『三国志大戦1』をまとめてみるの項


・『三国志大戦』は対人ゲームバランスが優れたアクションカードゲームです。

・いままでの感想(その1http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20051225
         その2http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20060408)書いた中、
 挙げた特徴「アーケード対戦ゲーム」「トレーディングカードゲーム」の2点から
 見てまいります。


新しいアーケード対戦ゲーム


・本作まず目に付くのは、フラットリーダー筐体を用いた今までにない操作方法。
 『WCCF』の発展形。
 従来のレバーとボタンによるコントロールパネルはもちろん、
 タッチパネルでも実現できない独自新操作形式であり
 嚆矢でありながら技術的精度完成度非常に高い出来に支えられているを置いても
 新しいアクションゲームとしてそれだけで素晴らしい。
 家庭用ゲーム機では実現できない入力装置であり、アーケードでしか出来得ないゲーム。
 これだけで歴史に残ります。


・もうひとつには、これも高い技術力に支えられた、全国オンライン対戦の舞台。
 光の速さが60分の1秒で3,000km。
 沖縄を除かさせていただかせていただきますと、北海道から九州まで2,000km。
 光は限界まで速いけれど遅い。国外とオンライン対戦格闘ゲームは物理的に難しい。
 けれど対人対戦であることに意味あることは
 NDSででもPCででも、一度でも体験すれば自明のことです。
 『クイズマジックアカデミー』のようにクイズゲームをするにしても
 対人対戦であるというだけで面白さが違う。
 上下ではないけれど間違いなく違う、面白さがあります。


・現在のアーケードゲームプライズゲームメダルゲームでないゲームが持つべき価値は
 遊び場としての魅力の上に、そこでしか出来ないゲームを置くこと。
 見た目に違いを見て取れないところまで来た現状、
 それを実現するのは特殊専用筐体でしか成し得ない操作装置であり
 体感ゲームリズムゲーム、タッチパネル。フラットリーダー筐体もその新しいひとつ。
 今後これを用いてどのようなゲームが作られるのか、楽しみです。

・オンライン対戦もアーケードでは当たり前にあるべき価値として今後おかれるでしょう。
 コンピューターと、隣の席とだけでなく
 どこかの誰かとも競える選択の広がりという価値です。


トレーディングカードゲーム


トレーディングカードゲームとは何ぞや。
 それは、交換することなどによって収集することに価値を置く遊びであり
 トランプなどのカードゲームのように、それらを組み合わせて遊ぶこともできるようにし
 集めるその価値を高めたものです。

 http://ja.wikipedia.org/wiki/トレーディングカード


・ゲームジャンルでいうとボードゲーム
 『桃鉄』『いただきストリート』そして『カルドセプト』。『アヴァロンの鍵』。
 これらはトランプのポーカーのように
 個々のカード自体だけでなく、組み合わせての強さも競います。
 それでバランスを取っています。ここが玄妙。

・この、対人対戦にあったバランスの取り様こそカードゲーム最大の魅力。
 単に強い無敵カードはなく、かならず長所短所が用意されます。
 数値強くても使い難いカード。数値弱くても数合わせれば勝てるカード。
 手持ちカード資産をどう組み合わせて、その組み合わせをどう使うか。


・『三国志大戦』の例で行きましょう。
 基本は騎馬、槍、弓の三すくみがあります。
 騎馬は神速か突撃。槍は連環と回復。弓は柵と麻痺。
 特化型あるいは組み合わせてのバランス型。
 攻め方は全体強化か少数高能力か単体強化特化かそれら組み合わせたバランス型。
 もしくは3すくみにとらわれない低能力多勢の攻め。

・強いカードの組み合わせは、明らかに存在します。
 しかしもちろんそれはひとつでなく、そして万能でもない。
 それぞれに長所短所があります。デッキごとに相性があります
 そして一方、ポーカーもそうであるように
 ロイヤルストレートフラッシュを一度出せば勝ちではなく
 カードを使い切った時点でどちらが優勢であるかの勝負。


トレーディングカードゲームとは
 持っているカードを、どのように組み合わせて、1戦の内どこで使い、
 最終的にどちらが勝つかを争うゲーム。

対戦格闘ゲームと比較。
 能力の高低が「有り」、使いやすさに差が「有る」中で
 飛びぬけて強く弱いがないようバランスを取られたキャラクターから
 自分が使い良いを選び、競うゲーム。
 レースゲームのように成長要素を付けても良いでしょう。
 しかしバランスは取れていなくてはならない。

・ここでバランスとは何か。
 それは、取りえる手段の幅を増やし、長所でなく欠点、弱点を増やして
 絶対を無くす仕方のことです。
 幅を増やす。絶対を無くす。機会の回数を増やすことで偏りを減らす。


トレーディングカードゲームは、その調整を自身が行えるゲーム。
 だからこそ、幅がより広く絶対の差が付き難い。
 そういうように出来ていて、収集という魅力も合わせ、
 バランスを取りやすく、かつ集め組み合わせるという楽しみも加えるゲームであるのです。


・もちろんここにも絶対はない。欠点があります。
 集めなければならない、ゆえに回数重ねなければならない、
 現実問題お金がかかり入り口狭まる。大きな欠点。
 幅は広いけれど入り口は狭い。つまり一度入れば抜け出せない、と。


まとめ

・『三国志大戦』はトレーディングカードゲームをアーケード専用筐体で遊ぶゲーム。
 新しい操作手段。対人対戦の面白さ。バランスの良さ。
 まとまり良く、良く出来たアーケードゲームです。
 出来すぎなほど良く出来たゲーム。セガにして。


・対人対戦。格闘。レース。クイズ。パズル。
 あるいは協力して遊ぶゲームにも競い合いがあり、足の引っ張り合いがあって
 同様の面白さがあると言えます。
 相手と同時に競うことが出来ないゲームでも、成績結果得点スコアという評価数値で
 競い合う楽しさを間接的にですが得ることも出来ます。

・そうして見て改めて思うのは
 『三国志大戦』はアクションゲーム要素が対戦格闘のようであり
 トレーディングカード要素は『WCCF』のそれであるから
 その新しさとは、それをまとめたところにあるということ。
 突然全くないところから作られたのでなく従来作品の延長にあるということ。

・アクション要素は専用フラットリーダー筐体ゆえにまったく新しい。
 カードを11人ポジションごとでなく自在自由に組み合わせるゲーム全体の戦略性。
 どちらも確かに新しいけれども
 駒の位置をリアルタイムに定めていくのは戦術SLGRTSのそれであるし
 カード要素はボードゲームで既に実現されている要素。
 その組み合わせも『WCCF』が果たしている。

・新しい。まったく新しい対戦ゲーム。
 そうであるけれども、形作っている多様な要素の積み重ねに
 面白さの全貌が見え難いゲームであるなと、こうしてまとめて見て思います。 



・今月末可動開始らしい続編『2』は、まだ『1』の可動から1年と少しでの登場ですから
 大きなバージョンアップという形に留まるものでしょう。
 しかしそれで問題ないほど完成されて見えるゲームです。
 戦国大戦といわずローマ帝国大戦でもヨーロッパ100年大戦でもユーラシア世界大戦でも
 サクラ大戦以外ならば何でも良いですけれども
 フラットリーダー筐体を活かした新しいゲームを見てみたい心。


・と、『ガンダム』に興味ないひとはうそぶくのであった。
 いやだってあれ(http://gundam-cardbuilder.com/index_e.html)、
 全国対戦できないではないですか。  
 とは言い訳。できても多分遊ばない。
 やはりガワは重要であるなと我がことにして実感なり。  
 サクラ大戦でも良いのではないかい。賞味期限切れのようにも見えますけれども。