『くるりんスカッシュ』と『疾風魔法大作戦』

 ASIN:B0003H2R92

・公式サイト(http://www.nintendo.co.jp/ngc/gkqj/index.html)の
 スーパープレイムービーを見ていただければ大体どのようなゲームか
 お解かりいただけましょう。そのままです。

・『ユーゲー』NO.18に書かれている通り、アナログコントローラーで真価を発揮。
 GCのスティックはセガマーク3ほどではないにせよ使いにくいのが玉に瑕。
 けれどおおむね任天堂印。幕間デモいかにもオトナを馬鹿にしくさった出来。
 「馬鹿にしくさった」というのは何を元にしたなまりなのだろう。
 もとい、とにかく、底は浅いがとてもよく出来たゲームである。



・遊んでいて『グラディウス5』を思い出しました。
 トレジャーが作ったらどんなものになろうか、
 『ワリオワールド』(ASIN:B00008RJZS)のような中途半端なあれでなく
 『罪と罰』並みの気合で。というのは難しいだろうけれど。売れないだろうし。

・というのは、なぜ『グラディウス』を思い出したかというのは、ですが
 STGで、狙い打つより避けている分が、『5』で大きいのは最近風味であるな、
 と思い出して思ったから。
 『シルバーガン』を知らないひとに遊ばせると、縦STGなのに地上ものに衝突して
 ミスするのことへ驚くのに驚く。
 言われてみれば『ゼロガンナー』でも最初驚いた。
 『ガンスパイク』はそうは思わなかった。
 そういう、進むために避けるのが敵弾だけではないSTGであるように見えたのです。



・『くるりん』はレースゲームであり横スクロールの否弾幕避けSTGでもあります。


・まずゲームの主体は、コースを覚えて最短タイムでゴールへ駆け抜けること。
 レーシングゲーム(RCG)のそれ。
 RCGではメモリの都合から限られた同じコースを何週もするものが多い。
 何度もぐるぐるまわっている内にコースを覚え、
 早くゴールにたどり着くのが目標だから、その手段として
 できるだけ速く走り続けられる最短コースを見つけ出していく。
 ライバルの車が、適度なランダム要素、
 あるいは、より早くではなく目標を勝利することに置き換えて
 別の方向から同じものを見せる手段として、用意されるものもあるけれど
 自分の最速タイムのゴーストより、より速く正確に操作することで
 速くゴールするのが目的。速さのための最高効率。

・『くるりん』では特定のステージによって、あるいはボス戦で
 攻撃手段が用意される。(http://www.nintendo.co.jp/ngc/gkqj/aheri/index.html
 なかで面白いのが竜巻型で、発射ボタンを離した時の進行方向に、
 止まっている時はその場に、竜巻が発射される。ためで威力増大も可能。
 目標物へ進行して発射と同時に別方向へ離脱する切り替えしの繰返し。
 連射したりためたり。操る感じはそのままSTGであるけれど
 目的はボス戦を除いて敵を倒すことでなく、早く通り抜けるための障害物排除。

STGで、タイムアタックをするゲームというのはあまりない。
 出てくる敵の攻撃をかわし、敵を攻撃して倒す。
 攻撃では連鎖や速攻撃破の早回し、避けではよりギリギリまでひき付ける魅せで
 スコアを稼ぐのが目的。何のための最高効率か。
 クリアすることが目的になる度合いがRCGに比べ低いことは
 どうすれば正しい答えへのもっとも正しい解法なのかの手段が曖昧であることと
 合わせてSTGの特徴といえる。


・違う見方からすれば両者は同じアクションゲーム、
 操作する楽しさを主体とするゲームの中のうち。でありながら重ならない。
 STGで敵を攻撃することは、その方が避けるよりも効率的だから。
 攻撃することができないSTGであってもクリアは、
 ゴールにたどり着くことは、多くでできる。
 RCGで自分のベストタイムゴーストは攻撃することはできないが
 ぶつかることもなく邪魔されることもない。
 しかしグランプリモードなどでの敵となる相手は、大方攻撃できず避けるしかない。
 効率だけを求めるなら避ける要素は、正しいコースを逸れなければならない無駄だ。


レーシングゲーム、限られた範囲を最速で抜けるタイムアタッククリアゲームと
 シューティングゲーム、限られた時間で最高得点を出すスコアアタックゲームの
 どちらも取るのは矛盾している。
 RCGで、より高得点を出すことを目的とするとどういうゲームになるか。
 STGで、より早くクリアすることを目的とするとどういうゲームになるか。

・解釈は違うけれど、ステージ内のチェックポイントを全て塗りつぶす過程に
 唯一の正解を持たせないドットイートアクションの先へ
 『ジェットセットラジオ』から『クレイジータクシー』を置いて
 RCGの方へ寄せることが出来る。
 あるいはスキージャンプが遠くへ飛ぶことでなく飛形というその過程を問うことの先に
 『バーンアウト』を置くこともできる。


STGでより早くクリアすることを目的とするならば、自機は前に進めなければならない。
 誰もが知っているように、殆ど全ての2DSTGは強制スクロールで減速できない代わりに
 後ろに飛ぶことが出来る。
 3DRCGはもちろん2DRCGでもありえないことだ。


・さて、かつて「それ」を可能にしたSTGがあった、という前に
 まともに演繹するならば『くるりん』のような形のアクションこそそれだ。
 前進後退、全方位STGの移動形式はそのままに、自機は常に画面の中心にあって
 ステージが進みたい方へスクロールしていくRCG、あるいはSTG
 STGであるところはもちろん、邪魔な障害を攻撃して排除できるところ。
 目的はより早く。攻撃はその手段。きちんと仕組みを間違えていない、
 あれとちがって良く出来たゲーム。



・けれどこのゲームは底が浅い。
 用意された全ステージを終えてようやくチュートリアル終了というおもむき。
 この要素を活かして作りこんでくれれば、実に味わい深いゲームになるのに。
 \3,800の値段が示すように、任天堂STGなど作る気はないのだ。
 『罪と罰』は\3,800でも売れていなかった経験が彼を大人にしてしまったのである。
 『バンガイオー』は『くるりん』よりましではあるが作りかけであるのに
 プレミア付くところからして、マニア相手の商売など
 トレジャーのような中小に任せておけば良いのである。

・『サルゲッチュ』を遊んでも思いましたけれども
 良質な子供向けは大人も楽しめる、というよりは
 大人が楽しめるものは大方片寄っていて子供向けには良質でないというほうが真。
 良く出来ているのに。ゲームのことをわかっていると思っている層にこそ
 こういうゲームは届ける必要はないようにしたということでしょう。みんなが。
 それが間違っていたのでなく、そういうものだというでもなく
 そうであってそうなのだ。
 面白さは正義。しかし正義は個人の立場だけある。




・ところで公式サイトの一番下に書いてあることからもわかるように『くるりん』は
 『バトルガレッガ』はナグザットの『烈火』とケイブの『鋳薔薇』の筋であり
 『ブロッディロア』はいかにもハドソンだよね、の
 エイティングhttp://www.8ing.net/index.html)開発。

・いや本当に。『くるりん』遊んで思い浮かんだのは
 『疾風魔法大作戦』でなく『グラディウス5』だったのです。
 駄目だ。侮辱だ。
 『くるりん』が良く出来ていたというより
 今すぐ『グラディウス』シリーズと『銀銃』『斑鳩』を遊ばねば。
 XBOX360でのSTGはまだですかトレジャー様。
 というように思って楽しむ方が楽しく思うのが駄目だ。

・そうしてマニアの眼は今日も曇り
 濁りいくばかりなりなのである。駄目だ。