『カルドセプトサーガ』

kodamatsukimi2006-12-06


 公式 http://www.culdcept.com/(『サーガ』単体サイトは音注意)ASIN:B000FGUNQA 
 まとめサイト http://www1.atwiki.jp/culdcept_3/pages/26.html
 攻略Wiki http://www21.atwiki.jp/culd_saga/


・皆さんこんばんわまたはこんにちわ。おはようございます。
 すっかり冬で朝霜降りて、寒いこんにちマフラー暖かくて心地良いこのごろですが
 何万円もする新ゲーム機ですとか注目の新作ソフトとかにて
 懐は寒いこのごろかとお察しいたします。冬です年末です。
 師走の師でなくともそれなりに忙しくありまして
 どちらのゲーム機も買いに並ばず並べず仕事して寝るだけの毎日。
 生きていくためお金のための人生であるこのところの短観。
 リモコンコントローラーを剣に見立てて振り回しもせず
 ただ寝る間削って遊んでおりましたのは、お題の『カルドセプトサーガ』でございます。


・『サーガ』はシリーズ3作目にあたりまして、9年くらい前に最初のが出たのですが
 はじめからとても良く出来ていたゲームでありました。
 当時のセガマニア的にはあまり注目でなかったように記憶しておりますけれども。
 やはりこういう勝てないと面白くないゲームは合う合わないがございます。自省。

・2作目の『セカンド』も、そしてこの『サーガ』も内実あまり変わっておりません。
 折角高い性能を誇るXBOX360で出たのに全然変わりません。
 むしろ微妙にテンポが悪いので、DSで充分なのではと思ったり。
 今作の大きな売りは通信対戦。『セカンド』はDCでも完全にはできませんでした。
 というのはこれも、当時の技術的にどうこうでなく
 単に回線につないで遊んでくれる人分の元を開発費から取れるかというところ。
 けれどもっともこのゲーム、1勝負にかかる時間が中々なのであり
 またそれなりに手元データを見栄え良く育てるにも結構にかかるため
 せっかくなのにつないでもいないのですが。そこまでも行っていないのですが。


・なにかバグが多くて不評をかこっているらしい。
 というのを今日書きつつ調べ、初めて気付く程度ではあるのですが
 それでも何十時間かは費やして楽しみ、そして外に書くこともありませんので
 いつものように、このゲームについてこそどうこうではなく
 このゲームを遊んで思ったところなど、だらだら書かせていただきます。




・『カルドセプト』はボードゲームです。『桃鉄』とか『いたスト』などに同じ。
 自分の番が回ってきたらサイコロ振って出た目の数だけマス目を進む。
 スゴロクと違って、「振り出しに戻る」「1回休み」とかではなく
 「プラス500万円」「マイナス1億円」とかマス目に書いてあり
 自分の持ち金が増えたり減ったりして、何周かぐるぐるボード上を回っているうち
 あらかじめ決めた目標金額へ最初に達したひとが勝ち、で1ゲーム終わり。
 というような種のボードゲーム

・まあそれであると金額計算が面倒だし、ごまかしが出来てしまうので
 そのあたりをゲーム機に任せてしまおうというゲーム。
 すなわち点数計算が面倒な麻雀と同じです。『カルドセプト』は麻雀です。


・細かく言いますと、マス目は持ち金で買うことが出来ます、自分の土地。資産。
 そのマスに別のひとが止まると、その土地の価値が高いほど多額のお金を
 土地所持者が奪い取れます。ただそれは主な収入源ではないのです。
 投資が出来ます。自分の買った土地へ所持金から幾らか払い土地の価値を高めます。
 どのマスに止まるかはサイコロ次第。いわゆるひとつの「運賦天賦」。
 人事尽くして天命を待つの「任天堂」。もとい、つまり運任せですので
 自分の土地に止まってくれず、収入得られないままのこともある。
 多額の投資をした高い土地に誰も止まってくれないまま終わってしまうこともある。
 のでそうならないよう、勝利条件は持ち金の額でなく、総資産額となっているのです。

・さあ難しくなってまいりました。資産です。財布の中にある金でなく
 負債とか有価証券とかバランスシートとかそういうやつ。
 いわゆる株も買えます。あらかじめ値上がりしそうなあたりの、土地ではなく
 そこへの権利を株式という形で買っておく。
 買っておいた資産がめでたく価値上昇すると、株の価値も上がって高資産の持ち主。
 他の皆が買い占めそうな所の株を買っておいたり
 自分が力を注ごうと思うあたりに別の形で投資しておいたりと。

・ところで、投資が過ぎて手元不如意の時、ひと様の高額土地に止まってしまい
 自分の持ちがね以上の金を取られることになりますと
 すなわち財布に入っている金額より多くお金を取られて持ち金マイナスになりますと
 資産を取り崩さなければなりません。
 ゼロを上回るまで投資した土地を売ったり株を処分しなければならない。
 総資産減少。だけでなく将来の収入源が減少する先細りでございます。

・みんながぐるぐる回る周囲を眺め、どのあたりにどれくらい投資すべきかを
 常に思案して一手ごと止まったマス目で判断をしなければならない繰返し。  
 難しいです面倒です。しかしテレビゲームでないボードゲームには
 このようなを手計算でするものもあるのです。凄いですね驚きです。
 ゲー無能なひとには無理。ゲーム機さまさまです。ゲームで商業を学ぶのだ。


・『桃鉄』『いたスト』は上記そういう感じなのですが
 『カルドセプト』はさらに少し違います。

・止まったマス目はお金で買って自分の物にできる、は同じなのですが
 そこに自分の持ち札、カードを置かなければならない。
 別のひとがそのマスに止まった場合、置いてあるカードと持ち札を比べ
 戦わせます。土地持ち主のカードが勝てば初めて土地価値に見合う金額を取れて
 逆に止まったひとの選んだカードが勝つと、ごく安価、そのカードの使用に必要な額、
 すなわち誰の土地でもないものを買うのに必要な額だけで
 その土地の価値を引き継いだまま相手から奪うことが出来るのです。
 大逆転が起こりやすい、伝来の金持ちへ下克上可能な仕組みと申せましょう。

・カードはゲームをはじめる前に、自由に組み合わせて自分の分をつくります。
 トランプのポーカーのように、切られたカードからの山から順番が回ってくるごと
 1枚ずつカードを引く。使わず溜まり、一定以上になれば不要なものを選んで捨てる。
 つまり欲しいカードが欲しい時手元にあるとは限らない。
 自分で引いてくる山の中身を組み合わせておけるのだから
 欲しいカードばかりであるようですが
 カードには総数何百種類とありまして、同じカードは何枚以下しか入れられないとか
 カードの勝ち負けは単純に数値の大きい小さいでは決まらないなどがあって
 万能にいつでも使えるものはない。

・どのターンでどれを引いても、どの状況でも必要とされるカードが引けるよう
 自分のカード組み合わせは偏りなくつまりバランスよくかつ強く、組んでおかねば
 サイコロの目だけでなくマス目ごとの投資判断だけでなく
 カード組み合わせによっても勝ち負けに有利不利がかかってきてしまうわけでございます。


・ちなみにこの、自分の手札の組み合わせ山を「デッキ」というでございます。
 業界用語。カードゲーム業界専門用語。
 『マジック・ザ・ギャザリング』などで有名なトレーディングカードゲーム用語。
 テレビゲーム的には『遊戯王』。『ポケモン』に対して
 『ドラゴンクエストモンスターズ』でパーティを組んで対戦するの拡大版。

・つまり『カルドセプト』は
 スゴロクの発展形である『桃鉄』より複雑で
 「モノポリー」に株を加えた『いたスト』に
 トレーディングカードゲームの仕組みも組み合わせたようなボードゲームであるのです。


・となるととても難しくて頭使って複雑なようでありますが
 酒を飲んでいようが仕事の後で疲れ果てていようとも
 徹夜で平気に遊べる麻雀と同じく、遊ぶだけなら簡単です。楽しめます。
 もちろん素面がひとり混ざれば勝つのは難しいですが。楽しめなくて荒れます。

・つまり、「デッキ」は毎回組む必要はない。
 相手とか勝負するマップの特徴に合わせた対策を盛り込んだ方が勝ちには近づくけれど
 そのターンにどのカードを引いてくるかは
 麻雀で自分の手番に来る牌を、今まで捨てられて盤面に出ているものから
 予想する必要が無いのと同じ程度に、運任せでしかない。

・自分の番が回ってきてサイコロの出た目に移動したあとに
 取るべきもっとも最善と思われる行動とは
 手番が回ってきて牌を引いて、ただどれを捨てるかだけを選ぶだけと
 まったく変わりない。一度のミスで勝敗も決まらない。

・麻雀がまったくの時の運ではなく、自身の技術実力が勝敗にかかる分と同じ程度に
 『カルドセプト』は運任せの要素も大きい点、シミュレーションゲームとかではなく
 ボードゲームテレビゲーム機でするゲームであり
 麻雀牌と同じく、それは誰かと遊ぶための道具であるのです。


・通信対戦が重要であるのも人間を相手にしてこその楽しさ。
 ただ道具でなく遊び相手がいる遊び場としてこそ
 麻雀ゲームにおける『麻雀格闘倶楽部』のように価値を持てるわけでございます。
 麻雀牌を発明したひとも製造元も、大金持ちにはなれません。
 ちなみに「かくとうくらぶ」でなく「ふぁいとくらぶ」です。コナミめ。
 大宮ソフトに通信対戦は荷が重かったのかしら。
 まあ今回はバンダイナムコが悪いということにしよう。




・『カルドセプト』はテレビゲーム用のゲームとして良く出来ています。
 1ゲームごと新しいカードがもらえます。
 トレーディングカード要素としての収集の味があり
 カードにはなだらかに強さの高低、つまり価値の差があります。
 カードを集めてだんだん強くなっていく、収集による育成要素。
 カードを自由に自分で組み合わせることで自身の強さを高められるのは
 トランプや麻雀にはない要素。

・対戦シミュレーションゲーム囲碁とか将棋に例えられるように
 ボードゲームであり麻雀に例えられるこのゲームには
 けれど、ゲームを始める前から、カードの組み合わせによるデッキ能力の差が
 遊び手ごとにある。まったく同一条件下で勝負をはじめるわけではない。

・しかしそこがカードゲーム、トランプとは違う、カードを用いた対戦ゲームである
 トレーディングカードゲームの特徴です。
 ゲームの勝ち負けは、デッキの中身だけで決まるわけではない。
 その活用技術の高低でほとんどが決まるという仕組み。
 対戦格闘ゲームにおいては、まったく同一能力の相手と戦うだけでなく
 様々な特徴を備えた同士で競い、その性能差でなく
 その能力をどれだけ引き出し活用できたかで勝敗が決まる。そのほうが面白い。


・誰かと競いあう勝負の楽しさが、ゲームを遊んでいる楽しさの多くです。
 上手く操作できる楽しさ。
 そうすることによって勝てたという結果。上手く操作できれば勝てて楽しい。
 それが操作できることが価値であるテレビゲームの楽しさである。


・誰かと競い合う仕組みの決まり、ルールはゲームの数だけあるけれども
 それは現実に範をとっただけでなく
 高性能計算機であるゲーム機の力を借りてこそのものとしても良い。
 そうできるのがテレビゲーム機であるとも言える。

・だから、ボードゲームに電源は要らないし
 トレーディングカードゲームにある、自身の手にしてこその価値もないけれども
 それだけにしかできないゲームの仕組みもあるのであって
 そして『カルドセプト』はとても良く出来たテレビゲーム用のゲームである。

・そのゲームルール、仕組みが独自に無駄なく優れて素晴らしく美しい。
 それが『カルドセプト』というゲームの価値。
 優れているから遊ぶと楽しく、そしてそういう他にできない仕組みそのものが
 ゲームの面白さです。