『GEARS OF WAR』

kodamatsukimi2007-03-06


 公式サイト http://www.xbox.com/ja-JP/games/g/gearsofwar/ ASIN:B000K81JC0
 製作者インタビュー http://www.gearsofwarzone.com/news/020907.html


・ゲームはクリアしたらしまいこんでしまう。そうしたら中々また遊ぶことはない。
 売りとばさず、家賃を払っている住居の片隅に置くという保管費用は出すほどでも
 遊ばないのはなぜかというと、新しいゲームが次から次へと出るからである。
 新しいゲームを次から次へと買うお金はあっても、遊び込む時間がないからである。

・これで良いとは思っておらず、もちろん働かなくても済むほどお金があるなら
 働かず遊んでいたいけど、しかし根が貧乏性ゆえそれでも働くだろうけれど、
 とにかくもっとゲームを遊ぶ時間を取りたいとは思っているのではある。
 けれど大方中途半端に投げ出すのだ。いやほとんど全部。


・しかしながら去年1年間に渡って、仕事帰りにゲームセンターに通い詰めてまでして
 『三国志大戦』を遊んでいたのである。
 これはこのゲームだから特別に、ということではなく縁と機会の妙ゆえであって
 良いゲームならばどのゲームだってそれくらい遊び込めると思うのである。
 そうしたいのだ。やまやまなのだ。

・『ウイニングイレブン』とか『パワプロ』とか随分遊んでいないけれど
 オンライン対戦で果てしなく遊び倒してみたいものである。
 対戦格闘も全然まったく遊ばなくなって久しいのであって
 部屋の片隅に鎮座するアーケードスティックはとてもすごく邪魔で、でもそのまま。
 オンラインRPGだって試してみたいのだし、PCである海外もの重厚SLGも遊びたい。
 レースゲームも『リッジ6』を買ってリハビリしようと思ったのに
 またすぐ遊ばなくなって、結局全部、だからそのまま途中で放置。


・それでこの『ギアーズオブウォー』もそういう感触を受けたのです。
 これは相当に長く深く遊び込める良いゲームの感触である。
 去年遊んだ『三国志大戦』と同じくらい遊び込む価値あるゲームである。

・けれど、しかしどうも、遊びなれた2DSTGとかのほうが楽であるなあ、と。
 クリアして対戦してすぐ満足、大事にしまいこんでそのままになるであろう展開の結末。
 遊び込まずに流れていく消費。時間は有限。人生は刹那の瞬き。
 ゲームはどこまでも暇つぶしであり、けれど暇だと、遊ばないものなのである。





・『ギアーズオブウォー』はFPS『アンリアル』とそのエンジン開発で有名なEPICGAMESによる、
 とか書いてももちろん大方のかたはご存じないし
 何より書いているひと自体が知らないのでさらっと流すと
 つまり海外の有力FPS製作実績持つメーカーによる、
 昨年11月に欧米で発売、今年1月18日に日本で発売されたXBOX360向けのゲームである、


FPSでなくTPS、つまり動かす操作キャラクターが画面に常に見えていて
 ライフル、狙撃銃の遠距離照準を覗く時しか主観視点にはならないゆえ
 3Dアクション、というだけで酔うほどのひとでない限りは問題ないはずなのですが
 けれどもうひとつこの手が国内で売れないのは
 『ロストプラネット』の時も書いたように、やはり銃を撃つゲームであるからか。

・3Dの画面を奥へ進ませつつ、画面に表示された照準を敵に的確合わせて引き金引く。
 3Dでないことを覗けば、古びたゲーム好きが大好きな2DSTGと同じである。
 先手必勝、攻撃される前に撃つ。もしくは、とにかく避けているうちに勝つゲーム。
 なぜそれが大好きで良くて3Dになると違うのか、というと
 別に何も違わなくて、ただ皆慣れていないだけである。とは
 トレジャーの『罪と罰』は認めることが証明している。身内贔屓。


・『ヘイロー』や『ロストプラネット』の1人用はそういうゲームであるけれど
 このゲームは少しそれらと違い、その違いとは
 ガンSTGとアクションゲームくらいの違いである、とでも言いましょう。

・3Dアクションであるからとして『無双』シリーズのように突き進んでいくと駄目。
 まず違うのは敵機と自機との性能差がないところ。
 同じだけ撃たれると同じ様に負け。
 また違うのは敵の弾は見てから避けるのは無理であること。
 立っていて、敵が撃ってきてから避けても駄目。

・そこでとりあえず物陰に隠れる。牽制の弾幕を張り、隙見て敵の攻撃し難い側へ移動。
 そこからちくちく一方的に撃つ。反撃されそうなら即隠れて逃げる。
 そういうゲームである。
 STGというより『ロックマン』のような、というよりは
 『マリオ』で砲弾しゃがみ避けしてジャンプして踏むのも同じであるけれど
 そういう従来横スクロールでしていた種、
 敵や障害との距離を調整するアクションの動きをするものであり
 けれど見た目は、上から覗いている印象の『天誅』や『メタルギア』を
 派手にしたそれである。

・だからして遊んで受ける感覚は
 『ロストプラネット』が基本先手必勝、敵見えたら即、平面上で位置合わせて撃つ型の
 ガンSTGと見立てるならば
 『ギアーズ』は、弾をばら撒く様はSTGのようであるけれど
 障害物で敵側が自機の射線を遮る横STGではなく、
 自機が敵の攻撃をそれでやりすごす横スクロールアクション。を3Dで見たもの。
 それくらいな程度に違いがあって、やはり『メタルギア3』や『バイオ4』とも違う、
 FPSのようなTPSという、従来のアクションやSTGと呼ばれるジャンルとは
 違うゲームであるといえましょう。 
 もちろんボス敵戦闘はまた別、『地球防衛軍』との比較もあるし
 剣を振り回すゲームならば、またいろいろに言えるけれども。



・このゲームが優れているのは、『ゴッドオブウォー』と同じ様に
 して当然、当たり前のところが、当たり前に作られているところ。
 見た目背景は、銃撃戦視認性の妨げにならないように綺麗であり
 ロードは極力感じさせないよう場面転換を演出し
 何を遊ばせたいのかをはっきりさせて、装備や地形や自機性能の無駄を削いでいる。
 このゲームはTPSというアクションSTGである。
 それを邪魔する要素はあってはならず、それを引き立てる要素しかあってはいけない。
 そういう、ほとんどのゲームができない当然当たり前のことが
 わかって出来ているゲームであると見え
 つまりとても良く出来た優れているゲームと感じられる。


・PCでなくXBOX360で出す意義を、標準装備された通信要素に持たせているのも
 わかっているように、当たり前で素晴らしい。
 4対4によるオンラインチーム対戦はもちろん、
 1人用をオンラインで協力攻略できるのは単純に素晴らしい。
 これは当たり前でなく素晴らしいところでございます。


・率直に言って、国内の家庭用ゲーム機に発売されたものくらいしか
 この種は遊んでいないゆえ、このゲームのどこが他と比較して優れているのかは
 まったくわからないのであります。売れ行きと評判高い様子が垣間見えるだけ。
 けれど遊べばわかる。遊んでみなければわからないという逆の意味で
 遊んでみればこのゲームが、他と比較してはどうか知らないけれど
 良く出来ていることは感じられる。これは良く出来ている。




・けれどしかし、遊んでいて疲れる。2DSTGを遊びたくなるのです。

・まず、アクションゲームであれば仕方ないのかもしれないけれど
 協力して対戦する前提の仕組みからしてまず、
 足を引っ張らないようにするだけの基礎技術を身につけていなければならない、
 ということが『QOD』や『ドルアーガオンライン』、『戦場の絆』ができない、
 遊び込むまずその最初の一歩が高いものと同じ理由で辛い。

・けれどそれは仕方なくではなく良い、のではある。
 性能は同じなのだから操作が上手いかどうかが全てであるだけ
 蓄積を問われる可視化分が少ないだけ良い、とも言えるのだから。


・疲れる、遊んでいて疲れる最たる理由は
 これが過去最高に美しい3DアクションSTGであることによる。

・なぜ『メタルギア3』は従来のように、『無双』とかでもあるように、
 敵の位置を示すレーダーがなかったのだろうか。
 それはかくれんぼゲームだからであり
 『無双』や『ロストプラネット』のように敵をなぎ倒して進むものではないから。
 敵より自分が強いこと、違うものであることを地図上でも示す必要がなく
 むしろ同じ程度であることを演出することのほうが重要であるゲームであるから。

・そしてそういうことが出来るのは、移動する画面の背景において
 自分が敵を見わけられるのと同じ程度、
 敵から自機を見たとき見えないことが許される程度に
 見た目が持たなければならないゲームを成り立たせるための視認性、
 つまり宝箱を地形の凹凸壁の模様と区別して描く必要性というようなものが
 性能向上で変容してきつつあるからである。


・『ギアーズ』は、おそらくも国内で発売された家庭用ゲーム機のアクションゲームで
 もっとも綺麗な背景を持っている。だから疲れる。

・敵がどこにいるか。どこから撃ってくるか。どこを攻撃すれば良いか。
 それを背景から読み取らなければならない比重が、かつてなく最高に高い。
 見分けが付かない、つまり敵機爆散の破片と敵弾と地上地形の区別が
 付かないのではなく、自然につかなければならない程度に綺麗になっているから
 情報量が増えすぎていて、疲れる。


・ゲームにとって見た目は従であり、面白さの中心は操作してどうなるかである、
 という態度を採っているとすると、この仕組み自体が過剰と言える。綺麗過ぎる。
 けれど結局、いずれこうなることは
 綺麗であればあるほど良い、それだけで良いとするのだから当然明らか。
 3Dの背景をゲームで活かすのに、視点、カメラの位置をどこに置くのかついてが
 積年積んでまだ安定しないように見える事の方が見えてばかりいる内に
 いつの間にやら背景は足元まで迫り、
 2DSTGが立体に立ち上がって呑み込まれてしまうことはないにせよ、
 3Dであることに意味を問われなくなる程度には成っていたのである、というように。
 レースゲームが上から覗くのではなく、車を見せるためにも、ああなったように。
 銃を撃つことが、ガンSTGでも横スクロールアクションでも表現しきれないように。


・それは結局慣れで、画面の情報取捨選択の閾値
 一時に大きく変わり過ぎたことによる戸惑いに過ぎない。
 今は『ギアーズオブウォー』より2DSTGの方が楽。
 けれどいずれこれも『スペースインベーダー』のように見えてくるのだろうか。
 ゲーム&ウォッチは、ゲームとして理屈で楽しいと言えるのに
 楽しく感じられなってしまっているように。
 中心と端との焦点を置く位置は、これからも変わっていくのかと想像できる。


・ゲームというものは、見ているだけでは楽しめないもので
 つまり操作しなければ楽しめない。操作できなければ楽しめない。
 遊ばないひとはだから遊ばないけれど
 その面白さを知っているのに遊ばないでいるのは、
 時間がないことを理由にするのは、自由だけれども面白いものではある。
 遊んで面白いかどうか以外にも、遊ぶか遊ばないかのそこに価値基準があるのだから。
 いずれ投げ出す未来が見えるように見える、
 『ギアーズオブウォー』を練習しながら楽しみつつ疲れつつ遊びつつ連れ連れ思う。

・そうして自身に答える。
 まあだから、それがゲームというものであると。