『戦国ランス』


・PCの18禁ゲーム。なので公式サイトへリンクなし。
 コーエーの『信長』『三国志』のような国取り型シミュレーションゲーム
 以前取り上げた『大悪司』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20050915)の
 続編ではないけれど、同じメーカーによる同じようなゲーム。
 攻略本が出ていたのを読んで、実に面白そうなので遊んでみました。
 『大悪司』と『戦国ランス』の間には『大番長』というのもあるらしい。
 いずれにせよ18禁。まだ遊べない方は他のゲームを遊びつつお待ちください。
 我慢すればこそ、秘めたればこその喜びと楽しみもあるのですよ。


・過去に書いているような感じで、『大悪司』にはとても感心感服しましたので後、
 それ以前の作品である『鬼畜王ランス』、といういかにもであるお名前の
 同種であるらしいゲームも遊んでみたのですが
 今回『戦国ランス』への感想と同じ様なものであります。
 後から出たものの方が圧倒的に出来が良い。
 『鬼畜王』は『大悪司』の後だと遊び難いし
 『戦国ランス』を遊んだ後だと、もう『大悪司』は遊べない感じです。
 良くすべきところが判っている。優れたメーカーですアリスソフト
 次回作も楽しみだ。




・さて次回に飛ぶ前に今回、その良くなったところ、を挙げてみると
 戦闘が面白くなった、内政がさらに楽になった。
 つまり全面的に良くなっている、と言えましょう。またべた褒め。

・今回の舞台は題名通り日本の戦国時代風で、目標は明瞭、全国統一。
 お金で兵士を雇って戦力増強、有能な武将を見つけたり捉えたのを仲間にしたりし
 それらを掛け合わせた軍事力をぶつけ合い、勝った方が負けた国を征服して
 全ての敵を叩き撫す、この手の真っ当なそれそのものであります。
 何で戦争してるのか、とか思ってはいけません。
 ゲームなのです。その答えはエンディングをみるためです。


・『大悪司』はヤクザ屋さんの抗争なので個人戦でしたが、今回は戦国。
 戦闘は舞台を率いての合戦です。
 個人の能力値、命中度や回避度、体力攻撃力の強さを如何に組み合わせ
 敵の戦力に当てて有利を取るか、が全てだったそれに比べて
 今回もキャラクター能力値が高いに越したことはないですが
 それ以上に率いる部隊人数が重要。
 同じ能力値が率いるなら、人数2倍で攻撃力防御力とも2倍と正比例。

・限られたお金を部隊人数増加にどのように当てるか。
 交戦中の相手戦力に対し、近接、盾役、遠距離、一撃必殺、回復、補助などの
 役割を持った部隊をどのように育てるか。
 戦場で倒れた兵士の補給は安く出来ますが、各将が率いることが出来る最大人数は
 1人増やすのに1人補給するのの10倍から100倍近くもかかる。
 個人の強さだけでは切り抜けられない、RPGでなくSLGのようなである、
 そして長期的な戦略、というのを実行できているような気になれるゲームです。


・部隊人数を育てるための収入確保、いわゆる内政部分は
 今作さらに簡略化されています。というかほとんど何もない。
 戦国だけれど米の納税や兵糧確保の心配とかはまったくなく
 ターン冒頭で国力に応じて自動的にお金が入り
 増やす手段は征服国数の増加。使う用途は兵数の補給と増加のみ。
 部隊を率いる武将キャラクター人数コストが国数国力を越えるようだと
 収入半減してしまうけれど、軍隊維持費も輸送料もまったくなし。

・敵に宣戦布告や降伏勧告したり、国力を上げたり、捕虜を懐柔するのも無料。
 ただターンごとの行動回数と、部下の能力値が必要です。
 これら内政コマンドは、成功するために必要な数値があらかじめ提示される。
 そして部下能力値がそれを満たしてさえいれば必ず成功する。
 足りなくても必要数はその能力値分減るのでどの時点で成功するかは確実に判る。
 知力100の完全軍師に頼らずとも、内政コマンドは絶対に成功するのです。


・まず部下を増やします。2周目からは全ての勢力を選んで遊ぶことができますが
 1周目はとりあえず固定ルート。各国に用意されている地域イベントで部下獲得。
 次戦争。内政向き能力値の部下に宣戦布告させる。攻め込みます。
 お金が余っていれば、他に使う当てはないのだから部隊人数増加に使っておきます。
 戦闘は、最大6部隊対6。前衛後衛に分かれて素早い順に攻撃。
 一定の、敵味方合わせた総行動回数制限、つまり時間制限があって
 それがなくなった時有利な方の勝ち。殲滅させればその時点でもちろん勝ちです。

・国ごとに決まった数ある拠点数ぶん戦闘に勝てば征服。
 1ターンに行動できる回数は限られており、1回の戦闘で落とせる拠点はひとつ。
 一度に全部の敵拠点を落とすのは難しい。で、敵ターンになり
 相手の戦力残っていれば攻め込んできます。迎え撃って勝てば取った拠点は確保。
 負けたり迎撃しなければ拠点を奪い返されます。
 拠点防御側は戦闘の有利不利値に最初から有利差があるため
 圧倒的に負けなければ追い返せる。
 逆に攻撃側は相手より一回り強くなければならない。
 戦闘で勝てば敵を捕獲出来たりし、捕獲した部隊、
 すなわちそれを率いる武将キャラクターを部下にしたりできます。


・この繰返し。
 要点。国取りSLGとしてもの凄く良く出来ている。
 目標。全国統一。当面、目の前の敵に勝つこと。すなわち、敵戦力を上回ること。
 戦闘で相手の戦力を削り、その間にこちらは上手く資金を運用して強くなること。
 その繰返しです。
 それだけで、他に煩わされる無駄なところがない。ないところが素晴らしい。

・特徴は、敵勢力がやたらめったらに戦争をしかけてこないこと。
 宣戦布告する前に奇襲してきたりしない。同盟していなくても攻め込んでこない。
 イベントで多数の勢力が敵状態になることもありますが
 そうでなければ必ず一対一。こちらと相手のどちらが強いかが全て。
 武将部隊の所在地概念とかはなく、行動できるのは基本1ターン1度ですが
 北の果てから西の果てにもターンが変わればすぐ活用可。勢力総戦力の多寡が全て。

・戦う相手は自分で決められる。
 国取りSLGであることの意義が、しっかりと存在しているゲームです。



・戦争シミュレーションゲームは、軍隊をぶつけ合って
 少ない数で多数を倒したり、不利な状況を覆しての逆転勝利とかで出来ています。
 コンピューター相手だと。

・国取り型のSLGである、というのは、戦場に赴くその前の
 国力増強段階とか、誰とどういう状況で戦うのか、という
 より幅広い段階をシミュレートしてゲームで遊べるのが面白さです。
 が、しかし、そうすると戦争シミュレーションゲームより手間かかる。
 兵士の1人になって銃を撃ちまくっての多人数オンライン対戦より時間がかかる。
 だからして1人用です。大勢で出来なくはないけれど、ならば『桃鉄』の方が面白い。

・けれどもコンピューターは計算機。頭の良いにも色々ありますけれど
 脳トレやクイズは得意でも、国取りシミュレーションの相手は苦手である。
 遊び手が勝てないほど強くてはいけない。作業と感じるほど弱くてもいけない。
 この辺りを国取りSLGはどう解決してきたか、というと、放置。
 敵の強さは決まっていて、その時点でそれに勝てるかどうかしか見ない。
 時間をかければ自軍戦力は上がるのです。RPGと同じです。
 敵は、それより強くなる速度が低くさえあれば良い。
 そういう風にできているのです。 


・この『戦国ランス』も基本はそう。敵勢力に長期的戦略とかはない。
 イベントで、ここまで自軍勢力が伸張してきたらその時点で敵に回る、
 とかはありますが、遊び手と同じ様に戦力増強して勢力拡大はしない。

・その代わり、このゲームは時間、経過ターン数を用いてそこを調整しています。
 この手は、最初の立ち上げこそ面白いが
 ある程度強くなればどの勢力で遊ぼうが同じことの繰返しでつまらない。
 なぜなら敵がいつまでも弱いから。馬鹿だから。
 そういう構造に対し、経過ターン数に比例して敵総兵数が勢力国力に関係なく上がる、
 というRPGのラストボスの体力値が上がるようなに類する仕様だけではなく
 短いターン数で全国統一するほど高得点、という評価点が用意されています。
 スコアです。

・1ターン経過で1点マイナス。2周目以降は、始める前、難度を選ぶことができ
 難しいほど敵はターン経過の兵数増量速が上がるけれども、初期得点が高くなる。
 キャライベントをこなしたりダンジョンイベントをクリアすると加点要素。
 そういう仕組みです。
 そして、そういうゲームです。国取りシミュレーションゲーム
 でありながら高得点を取るほどえらい。
 単に全国統一する、が目標ではなく、に加えてできるだけ早く、
 すなわち効率良く敵を倒し続ける仕方の工夫が、遊ぶ目的であるゲームです。

・2周目以降で獲得したポイントで初期状態に援軍を加えたりと
 ボーナスを付けられたりします。
 しかしその使えるポイント数量は、過去の累積ではなく、過去最高得点のみである。
 3周目4周目に引き継げるのは、クリアした最高得点記録のみ。
 ハイスコアアタック履歴のみがゲームの結果。イベント達成履歴なんかはおまけです。


・いかに効率良く数字を操って最小手数で目標を達成できるかゲーム。
 それが『戦国ランス』という、とても良くできた国取りSLG
 そうであることの意義を、国取りで、戦争シミュレーションで、ゲームである、
 そのことの意味を、きちんと仕組みに体現している。
 面白い。そして良く出来ている。 
 この種のSLGで、これ以上のものは知りません。