パペッティア

パペッティア - PS3


PS3でSCEJ(ソニーコンピュータエンタテイメントジャパン)が作った
アクションゲーム。
場合によってはアクションアドベンチャー
あるいはアクションRPGとか呼ばれるたぐいだろう種のゲーム。
英語題は『Puppeteer』。日本語直訳「人形つかい」。
ハインライン攻殻機動隊リンダキューブですが
公式サイトなどの紹介でわかるとおり、このゲームは全年齢向け。
任天堂ゼルダ』シリーズとかディズニーアニメとかあのあたりふう。


似たゲームを挙げると『風のクロノア』。
例が古いのはこのサイトの仕様です。
銃や剣や肉体言語で敵倒しながら進むアクションではなく
アスレチックコースに用意された仕掛けを跳んだり跳ねたりでかわし
軽快にゴールへ進んでいくのが主。
コース最後にはやはり様々な演出で、ボス敵が倒されるを待っている。
PS3だから当然3Dで演出されるけれど、操作は2D。
つまり画面奥や手前には移動できない形式。
主人公はダッシュとジャンプの他に、まったく攻撃できないのではなく
爆弾、フック付きロープ、リフレクトフォースに踏みつけ攻撃など
類するアクションアドベンチャー定番の仕掛け起動手段も
やはりよろしく、進行従い採れるよう用意されていますが、
本作の最たる特徴にして特長といえるのは、主装備「はさみ」。


この「はさみ」は切る事で攻撃手段として使えるだけでなく
切る動作に、切った方向への強制移動が重力より強く発生する。
ゲーム内の動きでいうと、切るものあれば連続して切り続けることで
足場なくとも上下左右いずれにも延々移動可能。
空中、ジャンプ後や高いところからの落下中など滞空時にも
このハサミアクション常時起動可能です。


つまり既存ゲーム作法でいうならば
これは2Dアクション版「空中連続ダッシュ斬り」。
足場がないところでも用意された何か切る、あるいは捕まえることで
空中を自在に跳びまわれる感味わえる、
ゲームならではのアクション様式のひとつ。
「空中連続ダッシュ斬り」が、剣で敵を斬る、
即座にたぶん敵の身体を足場にジャンプして移動、というりくつに対し
本作のりくつは、人形にされてしまった主人公が使う魔法のはさみ。
人形の軽いからだより、切り動作の推進力量のほうが大きいのである。
魔法だからしかたない。


ゼルダ』のようなアクションアドベンチャーでなく
風のクロノア』のようなアクションゲームである、
というのもここにあります。
舞台となるステージには、攻撃対象としてより移動足がかりとして、
はさみで切る切れるものが、そこかしこ用意されている。
舞い散る葉。流れる雲。漂う煙。風にたなびく旗。
魔法のはさみだからなんでも切れるのである。
むしろ全年齢向け仕様に相応しく
直接対峙する敵をはさみで切り刻んだりのほうがあまりできない。


切ることで移動補助となる対象物は
「背景に描かれた」「動くもの」で統一されていて
またみための上でも、
切れない背景、足場にできるところ、敵、敵の攻撃、といったものと
終始一貫、全ての場面で明確に区別できるようになっています。
また「連続ダッシュ切り」や『クロノア』の吸い込みジャンプ、
あるいは『ゆけトラ』の掴みフリフリ投げのように
敵は切りの対象でないため、その行動にあわせる必要がすくない。
仕掛け全てを解こうと思うと大変だが
最後までひととおり遊ぶ分には全年齢向け、誰でもできるような
本作の「難度」というものは
これらの丁寧な作りが下地にしっかりあるゆえ。


『マリオ』のジャンプ中機動や
『ボンジャック』の独特慣性ジャンプをみても
「2Dアクションで空中連続ダッシュ切り」自体は
さほど斬新というものではない。
されど謎の着脱伸縮能と異空間支点を要するワイヤーアクションでなく
3Dアクションのオートロックなればこそでもなくとも、
魔法のはさみで切る動作に、この機能をもたせたところは感心。
簡単操作でみため明解。なるほどこの手があったかと思わせます。




本作のもうひとつ特徴といえるのは
ステージ間デモというに留まらない、ほぼ常に働く豪華な演出。
アクションゲームというより
演劇舞台の合間ごとにゲーム部分があるような感じ。
3DSパルテナの鏡』でもナレーションが全場面についていましたが
こちらは比較して、声の演出に留まらず、
登場キャラクタの動き、背景美術一体となった様相。
舞台も様々次々変わって、長めの1ステージ終えるごとに満腹感。
手間かけて造られております。


ただ全体遊び終えて外観すると、やや演出過剰、
いや、場面ごとの見せ方が冗長というわけではないのですが
それぞれをまとめてひとつのお話としてみると難がある。
もっとも映画や演劇と同じような時間で
全体遊び終えてしまえるわけにはいかないのがゲームというもの。
クリアに必須でない要素ちりばめて繰り返し遊べるようするのと別に
ごく普通にひととおり最後まで行って
10時間かからないというのはそれだけで減点扱いされるのが現実。
映画や演劇は2時間半越えると非難轟々なのに。
私としてはアクションゲームなど1時間以内で
クリアできるほうが好みなのですが
ゲームの一般常識がそうなっているのは否定しがたい。


さらに余計な心配として
全年齢向け、つまり自分で選んでゲームを買って遊ぶ層だけでなく
親御さんにねだって買ってもらう層も対象としている、ということは
すなわりその層に楽しめて、それ以外でも遊べるもの、
親が子供に買い与えて遊んで欲しく思えるようなものに、
あってかつ、全年齢に受け入れられるのは
はなはだ困難ではないかという邪推です。
果たしてこの丁寧手間かけつくられた本作が
本当に相応しい対象に届いているのだろうか。
ちゃんと作った分を正等に評価されているのか。
そんなこと思ったところでどうしようもないですが。
ゲームの市場とか売り方とかそういう問題だし。
演劇や映画と比べて恵まれていないわけでもないだろうし。




そういう感じで、アクションゲームとしてなかなか楽しく
全体としてもこってりごっちゃり豪勢なたいした作品ですが
ゲーム好きなみなさんにはあまり好かれなさそうな感じの印象です。
女性の肌色とか銃撃でバリバリのほうがゲームらしいというのも
残念でもなく当然ではあるけれども。