「ゲーム批評 Vol.64」

 発行:マイクロマガジン 8月3日発売 ¥780 ISBN:B000AIQGF0
 公式サイト http://www.microgroup.co.jp/game/


・前回「ゲーム批評」について書いた際(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20050710)、
 こちらに言及していただきました。
 技術系のシバチョがコラムを書く-「ゲーム批評」批評 http://d.hatena.ne.jp/shibacho/20050711/p1
 ちなみに当該記事コメント2つめは私が書いたものでございます。

・何しろ「批評」というタイトルですから、中身も「批評」を求められるのは当然。
 けれど商業誌ですから需要がある記事を書かなければ売れない。
 そこがネット記事との違いです。

・「ゲーム批評」がハードの移り変わり行く中で10年という長い間生き残っていることが
 結局、批評誌としてどうかに関係なく
 読み手の要求を満たす内容であったということなのでしょう。

・1号ごと値段分の価値があるかでなく、ずっと買っているので惰性で買う、
 すなわち、引越しのとき畳の裏の新聞を読み込んでしまう程度には
 価値ある内容といえなくもないのかもしれません。
 すごい例え。



・特集の前に巻頭企画、「『GTA3』問題で浮上した機能しない「自主規制」」について。

・倫理、政治、商売、いろいろな面から百家争鳴意見があるところですが
 遊び手から見て言えることは
 何をいまさら。でしかありません。
 アダルトビデオ、いや、成人向け雑誌が存在した何十年前からの
 業界外部向けパフォーマンスをようやくゲームも求められる段階に来たか、
 ということでしかない。


・スポーツ新聞は18歳以下でも買えるのに、そういう記事が載っている。
 18歳以下立ち入り禁止コーナーの外にもいくらでも強烈な表現の映像作品はある。
 「時計仕掛けのオレンジ」は芸術だから許されて
 夕刊紙のオヤジ殿向け記事はどういう理屈で許されるのでしょうか。

・「ゲーム批評」がこういう趣旨の記事を載せるのは当たり前。
 カプコンが責められるのは悪役のお鉢が回ってきたのだから当然です。
 その代わりに利益もあるのだし。
 CERO運営もあの程度のものでしょう。
 業界内自主規制団体などそんなもの。ゲームだけが厳しいわけでも緩いわけでもない。

・そしてそれを業界内部で批判する。いったん世間様に頭を下げる。いつの間にやら元通り。
 時と所と場合によって、時代と文化の移り変わりで
 暴力過激表現に許される幅は変わるもの。
 これからはどうか知りませんが、今のところは何も変わってはいないです。


・では問題は何か、といったならば、世間への認知活動の推進しかないでしょう。
 ゲームに対する理解者の裾野を広げること。
 ゲーム業界を簡単に潰せないよう広く大きく育てること。


・だから遊び手からすれば関係のない問題です。
 「ゲーム批評」がゲーム業界紙として一翼を担う存在であることを
 思い出させてくれる記事ではありますことよ。




・では特集記事。その1「新ハード、勝つのはどれだ!?」。


・またこのネタか。


・前号がE3直後であっただけにタイミング上致し方ないのかもしれませんが
 さすがに3号続けて同じ話はどうか。
 記事の内容は悪くないですが時節ものは隔月刊誌には辛いところです。


・前号と比較してその後、XBOX360で少し動きがありました。
 GAME Watch記事  http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20050817/x360.htm
 XBOXにはハードディスク搭載版とそうでない版がありますよ、とのこと。
 世界同時発売、年内のクリスマスシーズン。価格はそれぞれ$399.99と$299.99。

・国内的には、それはまずいんじゃないか、という反応が多いようです。
 ディスクシステムやPS2BBUnit、後付ハードにろくなことはないというやつ。
 いやCDロムロムは売れたぜというエンジニアにはスーパーコアグラフィックス。
 メガCDには32X。以下延々と略。

・ゲーム機にOSは必要ないからハードディスクも必要ない。
 マイクロソフトがそれを率先するとは意外な展開。 
 資金あるのだからまず高性能機を手堅くマニア向けに売るべきだ、
 という理論は今のXBOXでそこそこ成功していたのですが
 あえて方針転換。どうなることやら。


・他方、直接的な関係ではないですが、PS3ブルーレイディスク規格関連。
 ITmediaニュース:次世代DVD統一規格は断念か?http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0508/24/news013.html
 ゲームを遊ぶひとには影響ないことですが
 PS3というハードを売るほうには歓迎できないお話です。


・『FF12』が今年度内、来年3月までに発売されるとすれば
 PS3はその後、来年夏以降になると思われます。
 レボリューションは早くて来年内か、再来年か。

・まだまだ先は長そう。
 「ゲーム批評」もハード戦争は売れるネタなのはわかりますが
 どっしり構えて頂きたい。さらに良い内容を期待しますです。




・その2「オトナのためのネットゲーム講座」。
 オンラインゲームネタは2年ぶり。けれどいまだに市場は暖まって来ていないようです。


・社会人には時間を拘束されるオンラインゲームは辛い。
 けれどお金を持っているのは社会人である。
 ではいったい誰がオンラインゲームを遊んでいるのだろう。大学生とかなのか。
 と、オンラインゲームを遊ばない身は思うわけです。

・なぜ遊ばないのかといったら
 自由になる時間を定期的確実に取れるわけではないから、はもちろん第一ですが
 周りに遊んでいるひとがいないのできっかけがない、というのもあるとは思います。


・そこで、今回この記事をきっかけにして遊んでみようと思い立つ。
 RPGは時間的に無理だから、罰帝さんお勧めのオンラインビートマニアのような音ゲー
 『DJMAX』(http://game.netmarble.jp/cpsite/djmax/index.asp)とやらをひとつ。



・動かない。


・よよよ、あっというまに挫折してしまいました。

・オンラインゲームはPCゲーム以上に敷居をまたぐのが大変でありますことよ。
 確実簡単に動くことが保障されている家庭用ゲーム機、携帯アプリとのこの差は大きいかな。


・けれど一方、『FF11』などはその大看板に恥じぬ成功をしているわけです。
 それを味わえず、いや味わわずにどうこういうべからずなり
 いわれても仕方の無いところではあり。

・課金問題解決への前進、PC性能向上、
 家庭用ゲーム機にもオンライン対応標準装備が当たり前。
 そうなったとき、いずれそうなるでありましょうからその時に
 付いていけず取り残されて
 昔のゲームは素晴らしいと殻に閉じこもって自己満足に耽るようにならないよう
 それなりに時代の後をうろうろしていきたいと思います。


・まずはPCを買い換えるべきなのだろうか。 
 それはどんなゲームを始めるより壁が高いやも。特に懐の辺りが痛いのですけれど。




・その3『ファイアーエムブレム』VS『ティアリングサーガ』後編。
 前回、後編が出てからまとめて、と逃げたので今回は前回記事分も含みます。

・この企画の要点は2つ。
 任天堂エンターブレイン、ティルナノーグの不当競争防止、著作権を巡る裁判について。
 その結果後、両者から発売された後継新作をゲームとして比較する、というもの。


・事の経緯は
 『エムブレム』シリーズ製作者が
 その著作権利と販売実績を持つ任天堂及び旗下インテリジェントシステムズから独立、
 ティルナノーグを設立、開発を行い
 「ファミ通」を発行するエンターブレインから『ティアリングサーガ』として発売。
 その過程、製作者は「ファミ通」紙上で『エンブレム』とつながりがあると発言。

・裁判の結果は、不当競争防止法違反有り、著作権法違反無し。
 『ティアリング』は売るときに『エムブレム』の名前を不当に利用したが
 内容はまねではない。
 という判断。



・入り組んで分りにくいですが
 ゲームの著作権は個人でなく会社名であるから誰が作ったかは関係ないとすれば
 単純です。


・まず『ティアリング』は『エムブレム』のマネか。真似ではない。

・いや、どう見ても同じだ、という個人の見解は幾らでもありましょうけれども
 法律的には別物と決定したのでこれは問題ではなくなった。


・『ティアリング』を売る過程で『エムブレム』の名前を出したのは
 エンターブレインとティルナノーグに非がある。

・ゲーム情報誌最大手たる「ファミ通」がそんなことをして良いのか、ということは関係ない。
 「ファミ通」の見解でなくエンターブレインとティルナノーグの意見なのだから。


・判決は真似かどうかの判断をどこでつけるか問題を置いて、至極妥当であります。


・このゲームとあのゲーム。似ているけれど真似ではないのか著作権違反でないのか、
 という判断は、明確な基準を付けようがない。
 模倣は世の常人の常、それがパクリかオマージュかリスペクトか剽窃かどうか、
 絶対の基準は、表現方法に限りがない限り、ありようがない。

・これは、著作権というものの本来の意義がどうであれ
 著作権保持者がゲームという商材で商売をするときの大きな悩みのタネ。
 だからこそ、ブランド、規模を大きく広めることで、それを防ぐしかないともいえます。


・遊び手からすれば、記事中にも書かれているように、どうでもよいことです。
 面白ければそれでよい。
 むしろ真似は駄目といったら、窮屈で魅力を失ってしまう危惧もあることです。
 任天堂が真似を一度もしていないわけではもちろんないのだし。

・結果として、『エムブレム』『ティアリング』の新作はどうなのか。
 それが重要。
 この記事の立て方は、無駄にエンターブレインをあげつらっていた以前と比して
 まことに結構な立ち方であると思います。



・さて両者の比較。
 
 GC mk2『ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡http://gcmk2.net/rpg/fireemblemsouen.html
 PlayStation mk2『ティアリングサーガシリーズ ベルウィックサーガhttp://kyoichi.mods.jp/ps2/soft_05/srpg/berwick.html

・『エムブレム』は洗練、正当進化といった趣き。見た目きれい。適度な難しさ。
 シナリオ中途半端が目に付く欠点。GBA版を継ぐ期待通りの作品。

・『ベルウィック』は、まったく違う。最早『エムブレム』ではない斬新なシステム。
 だが粗も多く、序盤が難しく、見た目も良くない。

・まとめるとこのような感じでしょうか。
 不満点欄の大きさ、それに反し点数が高い『ベルウィック』のレビューが印象的です。


・私も両方買ってきて遊びました。
 確かに両者は違うゲームです。
 しかしそれを書き始めるとかなり長くなるので、次回に改めて書きたいと思います。


・『エムブレム』と『ティアリング』。
 確かにゲーム自体とは関係のない面で問題になってしまった両作ですが
 今後は同じジャンル、あるいは近接ジャンルの
 良き好敵手となっていくのではないかと思います。
 ただでさえ初心者お断りの風強いのだから、潰しあわずにいて欲しいのが願いです。