「田尻智 ポケモンを創った男」

kodamatsukimi2004-03-13

 著者 宮昌太朗田尻智   太田出版
  '04/3/12発行 \1,400 ISBN:4872338332

・ゲーム雑誌「コンティニュー」vol.7,8,9,12号に掲載されていた
 ゲームフリークhttp://www.gamefreak.co.jp田尻智さんへの
 ライター宮昌太朗さん(http://www.undersell.co.jp)による
 インタビューをまとめたもの。  

・その他、田尻さん過去業績の年表や
 同人誌「ゲームフリーク vol.1」の再録、バックナンバーリスト、
 クインティポケモンの初期開発資料、 
 ポケモンのデザイナーにして田尻さんの20年に渡る盟友、杉森建さんとの対談など。
 「コンティニュー」本誌を持っている方は不要かも。


・田尻さんの著作としては
 自身のゲーム歴を軽めの読み物にまとめた
 「パックランドでつかまえて」(ISBN:4757710046ISBN:4880638242)、
 「クインティ」を例に、ゲームデザインについて解説した
 「新ゲームデザイン―TVゲーム制作のための発想法」(絶版 ISBN:4870258587)があります。



・『ポケットモンスター』の開発会社 ゲームフリーク
 代表 田尻智さんは、'96/2の同ソフト発売以来
 あまり表に出ませんでした。
 ポケモンを作り出したゲームフリークとは。
 来たるべき次回作はどうなるのか。
 久しぶりに様々な面について語っています。

太田出版らしく、サブカル方面の話題も豊富。
 ジョン・ウォーターズの「ピンクフラミンゴ」が好き、などの話題は
 作品からはうかがい知れないところで興味深いです。


・田尻さん自身は筋金入りのゲームマニア。
 マニアが自分の作りたいように製作しようとすると
 自分で会社を作る必要がある。
 そうすると、会社のため、売れないゲームを作るわけにはいかなくなる。
 
・自主制作してナムコに持ち込んだ第一作『クインティ』から
 任天堂からの注文に沿って作られた『ヨッシーのたまご』。
 それらを経て「もはやアマチュアではいられない」『ポケモン』へ。


・ゲームマニアが自らのゲームメーカーを作る、
 チュンソフト中村光一さんなどもそうですね。
 会社の利益でなく、作りたいから作る、というところに
 真似出来ないファンとしては弱い。贔屓したくなります。


・「ポケモンはディズニーのように、
 新しいゲームというよりは新しい世界観を作った」
 との発言もあるように
 ゲームを超えて巨大になってしまった『ポケモン』に
 この10年、ゲームフリークは関わってきたわけですが
 さすがにそろそろ新機軸のゲームを見たいところ。


・「ポケモンを作ったころはアクションゲームに限界を感じていた」
 それがゲームボーイでのRPGという形に向かう
 理由のひとつとなったようですが
 ゲームフリークの他作品はアクションがほとんど。

・「新しい技術に新しいというだけで価値があるとは思えない」
 「ドラクエ8のように、あそこまでしないと売れないのは嫌だ」(杉森氏)
 「ハード、プログラムの縛りが少なくなったことで、よりゲームのデザインが重要」
 等々の言葉からも、シンプルな面白さへのこだわりが見えます。


・次回作も「交換」がテーマとなるもよう。
 期待して新作の情報を続報を待ちたいと思います。