2003年のゲームソフトまとめ


・まずは前回少し触れた「ユーゲー」読者投票ベスト10。
 以下の順番。
 「ボーダーダウン」「R−TYPE ファイナル」「GTA3」
 「ミッシングパーツ3」「怒首領蜂 大往生」「キャッスルバニア」
 「真女神転生3」「Zガンダム(エゥティタ)」「MOTHER1+2」
 「メイドインワリオ」。
 ちなみに「ディスガイア」が11位、「地球防衛軍」が14位だそうです。


・まず突っ込みたいのが、いくらなんでも1位が「ボーダーダウン」、
 という所でしょう。確かにいい出来なのですが
 2003年のベストゲーム、とまで言えるのか。


ユーゲー読者的にはそういう事になるようですね。

・さすがユーゲー。すばらしき偏りぶりです。

・ただ、票数が出てないことから票総数がかなり少なかったのか、
 とも思われます。
 それゆえにとても偏った結果になってしまったのか。

・まあ順位は参考程度ですよね。
 順位以前にこの結果自体怪しいですけども。
 


・では気を取り直して、上位5つを紹介。


・「R−TYPE FINAL」
 PS2 アイレムソフトウェアエンジニアリング 03年7月17日 ASIN:B00008VAFS
アイレム公式サイト http://www.irem.co.jp/official/rfinal/
 アールタイプシリーズの歴史 http://www.irem.co.jp/official/r/j/collection/index.html

・’87のアーケード版以来、長い歴史を誇るアールタイプシリーズ。
 なぜか今回エンディングテーマを椎名へきるさんというかたが歌うということで
 マニアはPCエンジン「コレクション」の悪夢再びか、
 などと頭を抱えたものですが
 そこは伝統のブランド、中身はきっちりと良作STGの仕上り。

・アールタイプシリーズは、高難易度横スクロールパターンSTG。
 フォースシステム、溜め打ちの波動砲などの斬新なシステム、
 独特の生物的に書き込まれた美しいグラフィック、
 巨大戦艦などの奇抜なアイデアのステージ構成など
 カリスマ性を感じさせる、STGの歴史に残る独特の魅力を持つシリーズです。


・とにかく難しい。
 パターン化を「グラディウス」以上にきっちり決めなければ
 2周目はとても無理。
 同社作品で人気を二分した「イメージファイト」も難しかったし
 アクションゲームの「最後の忍道」なども難しかった。
 それがアイレム。それが当時のアーケードゲームだったのでしょう。

・PSで発売された「デルタ」からはその難易度は大きく下がっています。
 例えば地形にあたってもミスにならない。
 画面が派手になった分、当たり判定も判りにくくなったのですが
 逆に敵弾回避が容易になった印象。
 いわゆる「いやらしい配置」が減っているのです。

・そして「ファイナル」は「デルタ」に倣いつつ、初代を意識させる面構成。
 ステージ3が巨大戦艦などのお約束はもちろん、見た目変わっているものの
 そこかしこに「Rらしさ」が感じられる、まさにシリーズの集大成。


・STGは冬の時代、特に横スクロールパターンSTGはほとんど全滅。
 タイトーダライアス」も今はなく、「グラディウス」は3,4と迷走。
 STGでは商売にならないということか
 アイレムは本作でSTG開発を終了すると宣言したわけです。
 残念です。

・機体を99機種集めるなど、長く遊べることを意識して作られている本作。
 その確かなアールタイプの血を感じつつ
 いつか登場して欲しい続編に期待したいです。

・そしてがんばって欲しいトレジャー&コナミ、「グラディウス5」。


・アールタイプシリーズは
 PSベスト、アーケード版1,2の良好完全移植の
 「アールタイプス」(ASIN:B00005QBA3
  同じくベストの「デルタ」(ASIN:B00005QBA4)が安価で容易に入手可能。
 「ファイナル」の次は、この2本からどうぞ。
 続いてSFCの3も、アーケード版のないコンシューマオリジナルながら
 素晴しい出来。
 さらには、サターンの「イメージファイト+Xマルチプライ」も
 ややプレミアながら、値段に恥じない内容です。 



・「グランド・セフト・オート3」
 PS2 カプコン 03年9月25日 ASIN:B0000AUETU

 日本版公式サイト http://www.gta3.jp


・全世界で800万本、続編「バイスシティ」は1200万本売れたという
 このシリーズ。
 驚異の売り上げです。
 ちなみに「Grand Theft Auto」とは「車泥棒」の意。

・日本国内でもっとも売れたと思われるのが
 FCの「スーパーマリオブラザーズ」の約700万本。
 全世界で1000万本ほどでしょうか。
 GTAシリーズは、ほぼアメリカ国内のみで
 それを上回る勢いの売り上げを上げているわけです。凄いです。


・開発はロックスターゲームズ。
 「マックスペイン」なども同社開発で、
 最新作が以前ちょっと取り上げた「マンハント」。
 危険なにおいがギュンギュンします!

アメリカでの発売は’01年10月のPS2版。PC版が’02年6月。
 その際のレポートがこちら。

 ゲームウォッチ海外ゲームレポート  http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20020605/yuki27.htm

・そして日本版発売が’03年9月25日。カプコンローカライズ

 ゲームウォッチ紹介記事  http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20030822/gta.htm


・これほどの売上げを誇るソフトが
 なぜ日本国内で約2年遅れでの販売となったのか、
 その原因はその過激すぎる内容にあるといえるでしょう。

・日本国内のテレビゲームは、基本的に全年齢向けでした。
 18禁、大人向けのゲームは家庭用ゲーム機では存在せず
 PCなどのアダルトゲームにのみ存在していたのです。

・適年齢審査はハードメーカー、
 任天堂セガ、SCEI(ソニーコンピューターエンターテイメント)
 などが、そのハードでソフトを発売する際
 独自の基準を守っているかを審査する、という形をとっていました。
 明文化はされておらず、またハードメーカーごとにその基準もさまざまに
 なるわけです。

セガはサターン当時、X指定として18歳以上向け、という区分ソフトを
 認めていたりもしました。
 結局売り上げのプラスよりも
 ハードに付くマイナスイメージが強いということで取りやめましたが。
 ちなみにそちら方面の表現は、むしろセガよりソニーの方が基準が
 緩かったようです。
 任天堂はもちろんもっとも厳しいです。


・「GTA」はその過激さから明らかに成人(=18歳以上)向けであり
 国内の販売は難しいわけです。
 ちなみに「GTA」1は国内でもPSで発売されています。
 これは視覚表現の向上に理由を求められるでしょう。
 かって、マリオがドンキーコングを檻にとじこめても
 動物虐待と非難されなかった例と同じといえましょう。


・それは違うか。


・もとい、そこでこちらが設立されました。 
 コンピュータ エンターテインメント レーティング機構、
 略称CERO(セロ)。http://www.cero.gr.jp/index.html

・PCのアダルトゲームや、アダルトビデオを手にしたことがある18歳以上の
 方々はお分かりかと思いますが、その倫理機構のテレビゲーム版です。
 任天堂、SCEIなどハードメーカーはもちろん
 大手ソフトメーカーのほとんどが加盟しています。
 昨年以降発売されたゲームにはその多くに
 CEROの年齢区分マークがついているはず。

・設立は’02年6月。その理事長はカプコンの会長が勤めているとか。
 GTAの日本版発売への過程と重なって見えるのは
 私の気のせいでしょうか。


・さてこの「GTA3」、
 もちろんその過激さだけで売れたわけではありません。
 架空都市「リバティシティ(自由の街)」を非常に高い技術力で再現。
 見た目でなく、そこに暮らす人々、マフィア、警官、軍隊などの
 ゲーム上のギミックに注力しています。
 それにより、主人公のが行う多様な任務を
 人に話を聞いて回る「おつかい作業」とすることなく
 達成方法に高い自由性を持たせています。
 そのほとんどが犯罪行為なので当然、警察が主人公を追います。
 これが同業マフィア以上に手強い。そこにいかに警察に追われず
 且つスピーディに任務をこなすか、というゲーム性がでてくるわけです。

・国内ローカライズもSCEやエレクトロニック・アーツ、はありえないですが
 カプコン自ら手を挙げ権利を勝ち取ったただけあって
 ゲーム性をよく理解したもの。

・いくらかの「GTA」とはいえ、果たして洋ゲーが売れるのか、
 という意見もあったものの、国内販売本数は約30万本。
 アメリカでの売り上げには無論遠く及びませんが
 あっちのゲーム、洋もの洋ゲーとしては、過去有数の実績といえるでしょう。


・ちなみに本年度のカプコン、開発本数の割りに売り上げは悪く
 財政危機が噂されていました。
 「GTA3」は結果としてカプコン
 当年度最高クラスの売り上げとなっています。
 他はGBAで展開するロックマンシリーズ頼り。
 今月の期待作「鬼武者3」の売り上げも前作、前々作に及ばない結果であり
 かなり厳しい現状が続いているようです。

ロックマンシリーズが子供に飽きられたら
 かなりピンチですよカプコンさん。 



・何か激しく脱線ばかりで本題が進まないですね。どんどんいきましょう。

・「MISSING PARTS 3 the TANTEI stories」
 DC・PS2 フォグ(http://www.fog.jp/top.htm) 

・開発主体がフォグ、サポートとしてオーツー(http://www.otwo.jp/)、
 システムプリズマ(http://www.prisma.jp)。
 システムプリズマとその関連会社オーツーは
 日本一ソフトウェアの「ディスガイア」「ファントムブレイブ」にも
 関わっているようです。

・フォグは「久遠の絆」で知られるメーカー。
 この「ミッシングパーツ」も従来どおり
 キャラクターデザインは前記オーツーの岸上大策さん
 (工画堂スタジオのリトル・ウィッチ パルフェ/PCなども有名)
 を起用、培ったアドベンチャーゲームの実績を生かしての、本格推理ものです。


・本格推理物、いわゆるディテクティブ(探偵)ものといえば
 データーイーストコーポレーション、略してデコの神宮寺三郎シリーズ。
 寺田克也さんのデザインでおなじみです。
 またワークジャムhttp://www.workjam.co.jp)の「クロス探偵物語」。
 もっとも現在データーイーストは倒産、消滅し
 ワークジャムが神宮寺シリーズの権利を買い取って続編を製作。
 クロス探偵の方は未完であります。


・他にはD3パブリッシャーの「THE推理」。
 公式サイト http://www.d3p.co.jp/s_20/s20_017.html

・このゲーム、トムキャットシステム(http://www.tomcatsystem.co.jp/main.html
 の製作。
 このトムキャット、エニックス発売の堀井雄二さん監修の
 名作ボードゲームいただきストリート」や
 アイレム発売の「激写ボーイ」などを製作している会社。
 さらにこの会社のメンバーは、かってナムコで「バトルシティー」や
 「源平討魔伝」などに関わっていたようで、影の実力下請け会社であります。

・内容の方は上の3作と異なる、非本格推理もの。
 一話あたりが短く推理内容も簡単、間違えてもペナルティーなし。
 ¥2,000なら十分な内容。気軽に推理物を楽しみたい方は
 「逆転裁判」よりむしろこちらのほうが良いかも。


・本題の「ミッシングパーツ」は、伝統のコマンド総当り、
 画面ひたすらクリック、凝った伏線、重厚に描かれる世界観、
 まさに本格探偵ストーリー。

・神宮寺シリーズは実は正解が一つしかない、一本道アドベンチャー
 雰囲気を楽しむタイプのゲームなのですが
 ミッシングパーツは6話に分かれたシナリオごと
 推理内容によりエンディングが5段階に分かれる方式。
 完全に事件を解決しなければ、謎が残ったままになってしまう。
 コマンド回数制限もあり、まさに本格。

・また、最終6話めにむけて全体の謎が収束するよう作られていて
 手を出したら抜けられないつくり。

・これだけ完全な探偵ものゲームはかってなかった、と言えます。
 意外にも。


・DC版は全6話を2話ごとに分けて発売。
 値段は「1」が¥5,800、
 「2」(ASIN:B00006IQJA),「3」(ASIN:B00009KAOZ)が¥4,800。
 昨年11月27日、及び今年の2月19日に発売されたPS2版は
 3話ごとに「A」(ASIN:B0000D0Y5Z),「B」(ASIN:B00015BG2U)と分割。
 両方¥6,800。

・そのようなわけで表題は「ミッシングパーツ3」ですが
 これから買う方は素直にPS2版「A」,「B」をお買い求めください。

・値段分の価値があるかは、プレイする人次第。でもやっぱり高いかも。



・「怒首領蜂 大往生」 
 PS2 CAVE・アリカ 03年4月10日 ASIN:B00008IDL1

 CAVE公式 http://www.cave.co.jp/arcade/daioujo/dai_index.html
 アリカ公式  http://www.arika.co.jp/product/daiojyo/index.html

・CAVEによるアーケード版は02年なので
 03年のゲームとするかは微妙ですが
 アリカ(http://www.arika.co.jp)の移植が
 実に素晴しいものだったのが印象的。

・「大往生」自体はケイブ弾幕シューティングの歴史を正しく受け継ぐ
 正統派作品。
 なんといっても前作「怒首領蜂」、
 これがまさにSTG史上の傑作といえるものでしたが
 本作も決してそれに劣らぬ難易度とカリスマ性を持った作品。

・「大往生」は台湾のメーカーIGSが開発した「2」と同じ
 性能がそれほど高いわけではない基板で作られており
 PS2への完全移植が可能。
 しかしながらアリカのこだわりは徹底しており
 細かいシステム周り、処理落ちレベルまでの忠実な再現
 そして全国で数人しかいないと言われる2週目の真ボス「火蜂」の撃破を
 A,B両タイプともムービーへ収録(そのムービー単体でも商品価値十分)
 などなど、まさに完璧、文句の付けようがない仕事。

・5月27日発売の「エスプガルーダ」も大いに期待してしまうところです。



・さて、ここまでの時点で夜が明けてまいりました。
 続きはまた明日。

・もちろんこの10本以外にも取り上げるべきソフトは多数あります。
 果たして2003年度中に終わるのでしょうか。
 どうなることやら。