ファミ通「浜村通信」;「3年B組金八先生」はなぜ売れないのか


・最大のゲーム雑誌、週刊ファミ通の末尾ページには
 同誌の元編集長であり、
 ファミ通を発売するエンターブレイン代表取締役社長 浜村弘一さんが
 「浜村通信」というコラムを書いています。

・9月3日、10日発売の同欄では、表題のように、
 チュンソフトhttp://www.chunsoft.co.jp/)の勝負作
 「3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!」はなぜ売り上げ不振なのか、
 という内容で書かれていました。

 公式サイト http://www.chunsoft.co.jp/game/3b/index.html
 ゲームウォッチレビュー http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040723/kin.htm

・その理由は
 「キャラクターもののゲームは出来が悪いと言う先入観があるからではないか」
 というもの。


・ゲーマーであれば他にいくらでも売れない理由、と思われるもの、
 を挙げることができます。
 誰が買うのか、という視点で見て見ましょう。

・まず、前作「かまいたちの夜2」。これを買った人はどうか。
 本作は細かい演出、つくりこみの完成度はさすがチュンソフトでしたが
 肝心のシナリオのまずさ、なによりフローチャートをたどるだけのシステム。
 このどこがゲームなのか。
 またベスト版が早期に出たこと。
 定価版が’02年7月18日、ベスト版が’03年4月3日。
 およそ8ヶ月。
 もちろん中古価格はベスト版が出るころにはそれ以下の値段になっていたのですが。

・さらにその前作で、今も根強いファンがいる「街」。このファンはどうか。
 売りはザッピングシステム。
 8人の無関係な人物の運命が、渋谷と言う小さな「街」に複雑に交差する。
 1日目、各人の絡まりあったシナリオを読み解く過程は
 確かに新しいゲーム面白さを感じさせるものでした。
 しかし、話が後半に行くに従って、ザッピングはただのフラグ管理になり
 しかも肝心の話が意味不明。最期にいくほどなんのカタルシスもなく尻すぼみ。
 可能性を感じさせる未完成の傑作だからこそ
 熱心なファンが完成された続編を待望していると言えるでしょう。

・「金八先生」はザッピングシステムを前面に押し出していません。
 使用できるのは2週目からで、それも限定的。
 「街」の面白さを求めるものとは違うよう。
 そもそも、サターン時代からのファンが実際どれだけの購買力に結びつくのか。
 ちなみに「街」PS版はフローチャート式で
 ザッピングの面白さというゲームシステムの根幹を揺るがす内容。
 大丈夫かチュンソフト

・そして「金八先生」の名前で買う人。
 これについては、ドラマをみたことがない私が判断できるものではありません。

 TBSのドラマ版公式サイト http://www.tbs.co.jp/kinpachi/series5/index-j.htm
 
・いったい誰が買うのか。
 チュンソフトブランドの底力を信頼できる人だけ、ということでしょうか。


・浜村さんの分析はどうでしょうか。
 忘れてならないのは
 浜村さんは、自身ゲーム好きであり、何よりファミコン以来20年
 常に最大ゲーム雑誌媒体のトップに立ち、ゲーム業界の中心にいたということ。
 それが、その雑誌を斜め読みしている程度に思いつくことに
 思い至らないとは考えにくい。
 
・それくらいのことはわかりきったなかで、上の「キャラクターゲームという先入観」、
 という言い方をしたのでしょう。
 事実その通りでもあります。

チュンソフトは大丈夫なのか。
 不思議のダンジョンシリーズが完成し、もはや発展しえなくなってしまった今、
 苦しい模索のなかにあるのかもしれません。


・私はベスト版が出たら買おうかと思います。
 それで良いのか。
 ゲームをプレイする側に取っては
 面白く、安く、いつでも手に入るソフトが良い商品。
 「金八先生」面白かった、発売してすぐ買えばよかった、
 と悔しがることになるのか、ベスト版でも損したと思うのか。
 すくなくとも、発売直後に買いたいソフトではなかったこのソフト。
 果たしてどうでしょうか。