『ライオットアクト』

kodamatsukimi2009-03-08



 公式サイト http://www.xbox.com/ja-JP/games/r/riotact/ ASIN:B0012AXS9M

・「らいあっとおくと」ではなく『RIOT ACT』。直訳で「騒乱取締令」というらしい。
 けれど「ライアット」なのは日本のみ、海の向こうでは『CRACK DOWN』。
 英語に詳しくないひとには、同じような意味でなかろうかと思えるけれど
 なにか微妙な違いがあったりするのか。
 なぜか似たような名前ばかりのあちら製ゲームは区別をつけたいものなのか。

・騒乱を取締まりという名前の通り、警察ではないけれども治安維持局の手先となって
 街いく犯罪者を銃で撃ちまくるゲーム。血と爆発の過激な表現でZ指定。18禁。
 正義の味方だけど、犯罪者に問答無用でいきなり発砲、
 ばかりか間違えて一般市民巻き込んでもあまりほとんどお咎めなし。
 車で爆走追跡中に手が滑っても、『クレイジータクシー』などと違って
 周囲のみなさんが避けてくれません。でも問題なし。ないったらないのだ。

・そういうところはどうかと思いますが、それが現実というやつですか、ともかく、
 3D箱庭を犯罪者追っかけまわして飛び回るアクションゲームとして、良い出来です。
 ちなみに本作、2007年2月発売のゲーム。2年前。
 なぜいまさら。



・みため『グランドセフトオート』のようなゲーム。
 製作も同じひとが関わっているらしい。
 違うところは、するべきことが犯罪組織の壊滅、と明確であるところ。
 具体的には、街中に散らばる敵組織のアジトに突入して幹部を倒すこと。
 車を盗むのも銃撃って大爆発も全てそのためにある。
 それしかないので、終始一貫して目標が明確わかりやすい。
 また、倒すための条件、例えばこのアイテムが奴の打倒に必要だとか
 先にこのスイッチを押しておくと侵入可能だとかが、ほとんどない。
 さらにかつ、敵の武力と言うのが数をたのむばかりで
 個々人は幹部でもそれほど強くないため
 一手ずつ追い詰め、きっちり進めていけば容易にクリア可能な構成。

・つまり、アドベンチャー要素というような、事件解決のために謎解きする事はなく
 アクションゲームとしても、操作能力の限界を試したり
 何度も挑戦してパターン化を決める類の、攻略する楽しさがあるわけではない。
 ではどこが面白いかというと、強い主人公が多数の敵を相手に華麗に事件を解決、
 という種のゲームであると言えましょう。

・地道に隠れながら少しづつ取り巻きを始末していけば、確実に勝てる。
 しかしそれができることは判ったうえで
 あえて正面から群がる敵どもへ突撃してみたり
 背後上空から急襲してただ幹部1人を即座に討つ、ということをしてみたりする。
 そういう、用意された攻略法だけではなく
 様々な手段を、してみるだけでなく自由に実際実行できる、
 とても強くてかつ当たり前でなく格好良い自分に酔うことが出来るゲームである、
 というところが、このゲームの面白さです。


・このゲームの特徴は、3Dアクションゲームであるのに
 空中二段ジャンプや空中連続ダッシュなどの、「ゲーム的」な動きがないところ。
 空中連続ダッシュ斬りもできません。
 けれども3Dアクションゲームとして面白い。

・主人公は空中で見えない台を踏みしめてジャンプしたりはできませんが
 単純に人より早く走れて、高く跳びあがることができ、
 高いところから落ちてもケガをしないようにできている。
 改造人間なので最初は練習も兼ね、能力制限されていますが
 本来の力を発揮すると、一跳びに数階分の高さを跳びあがり
 助走なしに十数メートルを跳び越えることが可能になる。

・しかしこれだけでは、それほど驚く事でもありません。
 10年以上前から、同じように3D空間を飛び回るゲームはいくらでもある。
 ただ、このゲームの場合はその動きが現実的。
 画面のこちらから操作していて、わかりやすいのです。
 そういう風に跳びあがったらこういうように落ちて行くよな、
 と思うように、落ちていく。

・マリオのように空中制動がきかず、つまり飛ぶことはできず、
 重力に引かれて落下することしかできないという条件が付いた動作で
 立体的に作られた街、異世界の景色ではなく現実的な普通の建物を
 超人的走力と跳躍力で、けれど飛べない人間的に、跳び回ることが楽しい。

・それは、人間のすることができる動きを極端にしただけで
 もしかしたら走り幅跳びで10m跳べるひとやサーカスで活躍するようなひとたちなら
 同じように出来るかも知れない動き。
 想像の範囲内にあるからこそ、魅力的である。楽しい。


・舞台の街が良くできています。
 この跳び回る楽しさを存分に楽しませてくれるつくり。
 車で走りまわるとすこし狭苦しいのですが、何より足で周るを優先にできています。
 岩山のような地形もしっかり足場としてのひっかかりが綿密に設定されていて
 問答無用で一直線、まさしく道なき道を跳び跳び突き進んだりができてかなり快感。
 コースなどというものはない。この街全てを我が足で踏みしめることができる。

・そして、この跳び回る能力が
 ゲームの目的である、格好良く犯罪組織を壊滅させるに役立つのが良い。
 アジトはどれも、現実的にというよりは映画などでみたようなに従い、
 それっぽくありながら、かつ立体的に攻略し甲斐ある面白いつくりをしていて良し。
 ほふく前進で物陰に隠れて侵入するだけが、スーパーヒーローの手段ではない。
 正面から単騎突撃して、それでも勝つだけが強さの表現でもない。
 決められた攻略ルートはなく、好きなようにどこからどこへも
 自由に決める力があるのが、ゲームの主人公なのだ。



・射撃よりも跳び込んで蹴り飛ばした方が強かったり早かったりするのですが
 基本忠実に銃やミサイルで爆裂して敵を粉砕もできる。
 装甲車を奪って空中から突撃したりもできる。
 単に街中を跳び回って、いろいろな景色を眺めてみるだけでも楽しい。

・とても良くできたゲームです。攻略は解りやすいという意味で簡単、
 アクションゲームとして遊んでいて、つまり操作していて楽しく
 縮尺の関係上、車で走るには街が狭いことや
 敵種類の幅が演出ほど個性を出せていないというような面はあるものの
 かなりのところまで出来上がったゲームでありましょう。
 同じ仕組みで地形だけ変えたのを遊びたいレベル。


・発売から2年過ぎているけれど遊んで良かった。面白かった。
 『グランドセフトオート』や、リアルな銃撃ゲームはあまり楽しめないですが
 このゲームは好きです。
 何をするかが明確である。
 そしてそのための手段はいろいろあり、自由に遊ぶことができる。

・広い世界に放り出されて、目的を自分で作り出すゲーム。
 かっちりと構築された要素のかたまりに素早く正確に糸を通していくゲーム。
 どちらも面白い。
 このゲームのような、ゆるく様々な解きかたすなわち楽しみ方をするゲームも
 また違って遊んでいて楽しく、面白いです。