『キングダムアンダーファイア サークルオブドゥーム』

kodamatsukimi2009-02-24


 公式サイト http://www.kufcod.com/JPN/main.asp ASIN:B001K7HX7U


・英字で書くと『KINGDOM UNDER FIRE CIRCLE OF DOOM』。戦火の王国、破滅の輪。
 360が付かないほうのXBOXで出た前作(ASIN:B0006JHQ8Y)は
 リアルタイムストラテジー風なアクションゲームで評判高かったのですが
 続編の本作は『真・三国無双』のようなアクション部分のみでできた外伝で
 欠点がとてもたくさんあって、とっても評判悪い作品でございます。


・『無双』と違うところは、RPG風に武器をお店で買い替えたり
 レベルが上がると上昇能力値を自分で自由に割り振れたりするところ。
 能力値は3つ。
 HP、敵の攻撃で減る残り体力値。
 SP、スキルポイントの略らしいですがスタミナです、と説明書に書かれていますが
 要するに行動力。
 運、敵の落とすアイテムや状態異常からの復帰にかかわるらしい。
 以上。攻撃力は武器依存、守備力はなし。なかなかわかりやすい。

・なかで、この行動力が面白いところであります。
 『無双』のようなアクションゲーム、なので剣を振り回したり
 弓とかボウガンで遠くからちくちく撃ったりするわけなのですが
 その装備する武器を自分で選ぶ際、攻撃範囲と威力だけではなく
 選んだ武器でどのように行動力を消費して戦うかという要素がある。


・一回の攻撃行動ごとに、行動力を消費します。
 後に出てくる強い武器ほど、消費行動力が大きい。
 小刀は素早く切りつけられるだけでなく、攻撃力が低く行動消費が小さく
 ハンマーは一回の攻撃行動が大ぶりで時間かかるだけでなく
 攻撃力が高くて、消費行動力が大きい。
 武器ごとに、1秒あたりの行動力回復値が決めれらています。
 後に出てくる優秀な武器ほど、行動回復力が高い。

・この手のアクションゲームは、テンポ良く攻撃指示ボタンを押すことで
 状況に応じた、当たり判定やはじき威力の異なる攻撃を織り混ぜつなげていくのが
 操作する際に楽しいところなのですが
 その攻撃をつなげるために
 一回ボタンを押して武器を振り回す行動にかかる時間だけではなく
 一連の行動を構成する一回ごとに要する行動力の和を
 その行動にかかる時間で除した値が、現在の行動力値より少なくなければならない、
 というように構成されている。
 SLGの、『ガンパレードマーチ』の戦闘モードにおける事前行動入力のような雰囲気。



・しかし雰囲気だけです。このゲームは悪評高いのが良くわかりますとも。
 仕組みとしてはそうなのですが、選べる選択肢はないに等しい。
 攻撃指示ボタンごとにひとつの装備が割り当てられているので
 複数種類の攻撃を連携させることはできない。
 切り替えると連続行動にならない、だけでなく、行動キャンセルすらできません。
 武器種類も、まあ『無双』もそうですが多くなく
 重い剣と軽い剣、連発弓と大威力弓の4種類のみ。
 キャラクターごとに専用装備があって性能が異なりますが
 1人でそれを組み合わせて使い分けたりはできない。

・そこはオンライン協力で補うんだと言いたいところですが
 個々人の行動選択範囲が狭いので、『無双』だから仕方ないのですけれどもね、
 狙って連携を組立ようがありません。
 アクションゲームとして駄作。
 『無双』をオンラインにしただけと言われても仕方のない出来。
 せっかく行動力による装備武器を通した攻撃行動の事前組立という
 面白そうな要素があるのに
 それを製作者が、そういう意図に気が付かずに
 たまたま組み込んだだけかのように見えます。
 まさかそれはないでしょうが。つまりどちらにせよ擁護しようがないですが。


・他にも
 敵の種類が少なくて攻略し甲斐がないとか
 攻撃の当たりエフェクトが見た目、音とも地味とか
 ハードディスクに取り込んでもロードが長いとか
 敵の落とすアイテム位置保存しないとか短くしようと工夫していないとか
 地形はそれなりに綺麗だが長くない割に使い回しだとか
 魔法の習得条件がひねくれ過ぎだとか
 武器が安すぎて良いものを得た喜びが薄いとか
 つまり強い武器が先に進めばどんどん出るので武器合成の意味がないとか
 箇条書きすると欠点がたくさんあって、評判悪いのもますます良くわかります。


・けれどそれなりに面白いと思う。遊べる。
 いやこのゲームは面白いと思いますよ。
 駄目なのは確かだが遊んでいて楽しい。

・『無双』と同じように、こちらが圧倒的に強くて敵はざくざく倒せる。
 剣だけでなく飛び道具も無茶苦茶強い。
 残弾数とかないので適当に撃ちまくっても良くて良い。
 『バイオハザード』におけるロケットランチャー装備状態がごとき楽しさ。
 射撃視点も『バイオ4』系なので同じように楽しめる。

・レベルも適度にどんどん上がって装備もすぐに良いものに付け替えられるので
 強さインフレーションが急でありながら
 自分でステータス振り分けが
 『メガテン』と違ってレベル準拠ではなく、できることに意味がしっかりあるので
 敵に合わせて強く育てている実感がある。

・オンライン協力でも声掛け合い、分担してざくざく敵を倒していくのは楽しい。 
 つまり『無双』だから、操作の上手い下手が関係ないため
 深く楽しめない分、気楽には遊べて
 レベルやアイテムでの成長が早い分、
 レベル差武器差を互いに埋め合う協力が素直にできる。



・それはひねくれて褒めすぎではないかと、自分で書いていて思いましたが
 むしろひねくれているのは、ゲームを遊んでいない時の自分なのではなかろうか。
 こうしてゲームをせずに、それを忘れて他と比較してけなしている方が
 あるいは実際から離れているのではなかろうか。


・ゲームを遊び終えて、ここに感想を書く時、その書き方は
 これまで遊んだ他と比べてどうか、と
 出来上がったものはどの程度の出来だったか、
 で書かれております。そういう書き方しかできないことは5年も書いていて自明ゆえ。

・この『サークルオブドゥーム』は
 『無双』や『シャイニングフォースネオ』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20050410)に比べ
 またこの手の武器を振り回す3Dアクションゲーム、
 『モンスターハンター』とか『ロストレグナム』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20070312)とかに比べ
 あまり目新しい要素はない。
 しいて言えば「行動力」を盛り込んでSLG様、RPG風にしたところが良いが
 それをアクションゲーム部分には、まったく活かせていない。
 そして構成要素を個々に見ていくと減点すべきところばかりで
 出来は良いと言うことはできない。

・しかし遊んでいて面白いのである。なぜだろう。
 中世ヨーロッパ風、剣と魔法のファンタジーワールドという素材が好みだからか
 銃を撃つゲームより剣を振り回すゲームの方が好きだからか
 操作が下手でも慎重に進めることで楽しめる種類のアクションゲームだからか
 自分が圧倒的に強くて常に楽に勝ち続けられるまま、
 最後まで引っ掛かりなく楽しめるからだろうか。
 つまり、好みの種類のゲームだから遊んでいて楽しいのであろうかしら。



・ゲームを遊んで楽しめるかどうかは、そのゲームが好みに合致するかどうかである。
 もちろん、
 ロードは短く、画面が綺麗で、操作がしやすく、情報は読み取りやすくて
 奥深く、幅広く、誰もがいつまでも楽しく遊べるもののほうが良いゲームである。
 しかし、誰もが遊ぶには適していないというものが
 誰にも楽しめないわけでなく、むしろより良く楽しめる場合のほうが多いのであり
 そして、それがゲームを楽しむということの全てではない。
 ゲームは1人で遊ぶためだけのものではなく
 誰かと共に、競って、遊ぶことで楽しめるものもあるのだから。

・この『サークルオブドゥーム』が欠点を解消して作り直されたものを遊んだとしても
 それほど楽しめる程度に違いがあろうとは思われない。
 そのゲームのどこが遊ぶところ、楽しいところなのか。
 そこを踏み外していなければ、瑣末は全体に影響僅少であるのが実際であり
 構成する個別の要素は結局全体の印象に収束しないのではななかろうか。
 比較して印象から、ここが悪いのでこうするべきと仮説を立て
 検証していないにもかかわらず、それを証明された事実の法則として
 また他との比較に用いている「決定されている判断の循環」ではあるまいか。


・というのがこのゲームの感想なのですが
 問題は、面白いゲームを探すには、どうするのが良く適当か
 未だに分からないことなのである。
 今のところ明らかなのは、何事もしてみなくてはわからない、ということ。
 自明のようであるけれど
 しかしそれで終わってしまっては困るのである。それが現実。