クラシックダンジョンX2


クラシックダンジョン X2 - PSP

クラシック【classic】やや古めかしく、落ち着いた感じのするさま。
         三省堂 大辞林  http://www.sanseido.net/

名前通りに20年くらい前風、スーパーファミコンくらいごろ様式で
全編描かれているのがみための特徴。
日本一ソフトウェアのような大きくないと思われるゲーム製作会社には
データ容量の器を一応まで満たすのに苦心する現在こそのドット画芸術。
テレビ画面もPCディスプレイも
拡大していけばみなドット画のような気もするのですが
少ない要素で必要を充分に満たしているところが、この画法の価値。らしい。
キャラクタや武器防具のみためを自由に描き変えられるようになっていて
PCで処理した画像を転送とかでなく、直に点打ち方式の本格派。
「クラシック」はただ「古い」ということではないはずである。栄枯盛衰。


中身は1人用アクションRPG
やはり同社のお家芸、えんえん毎日ダンジョン潜り
ひたすら鍛えとレアイテム拾ってを繰り返すことで
感涙なお話の中身でなく、敵と手に汗握って戦うでもなく、
時間かけて成った数値の仕上がりに、満足する種のRPG
さくさく進めてちょくちょく区切りかついて、
どんどん強くなる感触、
成長と進行の兼ね合い調整を成長速度を強烈にして
負荷なく遊んでいるひと側に合わせさせる、いつものそれ。


ディスガイア』などと違うのは、いわゆるRPGSRPGでもなく、
ダンジョンで敵と戦う際にアクション要素があるところ。
ボタンを押すと武器振ったり弓撃ったりジャンプしたりができ、
大型敵の撃つ弾を避けながらこちらも魔法弾をぺしぴし当てるのは
なるほどクラシック。
といってもRPG。強くなった感を楽しむのが主目的だから
操作が上手いほど良い要素分の評価は
それだけでは進めないけれど、使いこなせば効率より良くなる程度。


ファンタシースターオフライン」くらいの感じな味わいです。
というのは、
先に書いたように、みためをドット打ちも出来る仲間キャラクタは
最初から各職取り揃えて大勢用意できるのです。
けれどアクション要素あるので、操作できるのは常に1人。
敵と戦うのも1人。RPGなのに一人旅。
ゼルダ」とかも思えば1人で冒険していますが
絶対に裏切らず能力も同じ程度の仲間が大勢いるなら
皆で動いた方が良いのでは、と思うのだけれど
ゲームだから仕方がない。諸行無常


だがしかし、画面に表示されて操作できるのは1人なのですが
仲間の皆は酒場で待っているのでなく、実は常に一緒にいてくれ
装備アイテムのような扱いで強化成分として働いてくれます。
さらに戦闘中は盾として敵の攻撃を代わりに受けてくれるのです。
えらい。いやむごいのか。
画面でアクションしているとして表示されるのが「主役」。
仲間はその主役に「脇役」としてくっつけ強化するところが
他のゲームと画す本作品の独自性みたいなところ。
ちなみに盾のみなさんは削られきられると強化値も消えます。部位破壊。


仲間は装備強化アイテムである。
おそらく『ディスガイア』にある「選挙事務所」の発展形で
この仕組みを他のゲームでわかりやすくいうなら
FF7』の連結マテリアみたいなもの。
仲間がマテリアとして装備され、付ける位置によっては
能力強化に連携追加効果がついたりする、というようなもの。
仲間の能力が高いほど当然、主役に対する強化値も高くなる。
クラシックな『FF7』を持ち出さなくとも
他に同種の強化仕組みを採用したゲームはあるかもしれない。
つまり「ファンタシースターオンライン」とかオンラインRPGでは
アクション要素がなくともゲームだから仕方ないではなく必然として1人。
だから一人旅RPGとして、そのキャラクタ性能の個性付けは
仲間がいて当たり前のオフライン非アクションRPGの仲間全員分と同等に
工夫がされているものと思われます。
オンラインRPGはオフラインモードを主に遊んでいるので
挙げられる例が古典しかなく思われますかもしれないですますとは
困ったものである。今に始まったことでないですが。平常運転。


そして話し戻って面白いのは、「主役」と「脇役」が交代可能であるところ。
「主役」のときは「脇役」の、
「脇役」のときは「主役」のときに役立つ能力が主に上がる、
という仕様はいらなかったと思いますが
とにかくそういう仕組みで、
転職もさらにクラシックな『ドラクエ3』風に制限ない同然なので、
脇役専門特化などで個性化、等との妄想をさまたげられがちとはいえ
仲間に装備部品よりは実際操る機会をかけさせられる分だけ
逆にダンジョンの中で一人旅している感がひきたてられるのが個性的。




古くは『聖剣伝説』とか少し前だと『テイルズ』シリーズとか
最近でもないかもしれないけれど『イース7』とか
仲間のうち1人だけ操作でき、あとの皆さんは自動、というよりも
仲間がおばかで役立たずだったり有能過ぎて見ているだけだったり
オンラインゲームで無双したり居心地悪かったり
端から見ているだけのほうが面白そうだと思うようなゲーム、
ドラクエ10』とか遊ぶより覗いているほうが面白そうですが、
それよりも
あえて一人旅であることに、戦力の強化やそのためのダンジョン潜りの日々が
楽しく価値ある構成。
そこがこの『クラシックダンジョンX2』の面白いと思うところです。


一人旅のアクションゲームをRPGな感じに色づけしようとすると
こころ動かされる物語展開なら背景と音楽と幕間演出で充分であり
アクションの部分をそこなわないよう色を足すなら
動くことができる種類の拡張と、舞台の広がりを
能力戦力向上の結果として表現するところにある。
しかしアクションだからオフラインだと、1人であるならば、
戦闘展開も成長種類幅も限りがある。
探索だって戦闘だって絵と既定台詞だけからなるキャラクタでも
仲間が在ることは多く大きい。
アクションだからとあえて1人で冒険の旅をする面白みの理由がない。
オンラインでアクションでもRPGができれば
その方が確実にゲームとして楽しく
ファンタシースターオフラインよりオンラインのほうがゲームとして偉い。


アクションでなく一人旅のRPGということであれば
絵と台詞と数値で仲間が表現できてしまうのだから
オフラインで遊ぶひとがひとりでも、みんなで遊べるのであり
コンピュータで遊ぶRPGのそこが偉いところ。
そこから減算していって
『九龍妖魔学園記』とか『闘神都市2』とか『雪道』とかと
戦闘数式の簡潔な美を眺めるのも楽しいけれど
そこから眺めるなら、無駄は削れるとわかっているのだから、
邪魔でなければ在って良いものでもある。


RPGでオフラインであるということは限りがあるけれど
1人用ゲームとしてはその幅でも無駄といって良く過剰に充分で
そこにアクション要素という枷を嵌めても
ゼルダ」を遊ぶことでなお充分であるとも思う。
4つの剣」でしか楽しめない種類のゲームはあるが
なくとも充分にその懐は広く使ってみせることも出来るようである。
出来る事が大きいほど偉いのは間違いではないとしても
大きさがゲームとして楽しい量を示すのでないように
その中に何があるか、それでどのように遊ぶことが出来るのか、
小さく言うなら、遊んでいて常の楽しさ総量を比べてどうか、が
そのゲームの偉さの中身、楽しく遊べるかの量である。


謎解きとかお話とかの開放とか感動でなく、競うことの楽しさ悔しさでもなく
気楽に埋めて、その着実な成果の量を眺めることを楽しむ種類のゲームに
彩りとしてアクション要素を振り掛けるに当たって
仲間全員を使い分けることが効率である、という本作の在り方は
装備部品に個性付け愛着湧かせる手段として巧妙ではないけれど
見所ある良い発想。
オンラインRPGでの進化系統が
まったく見ていないからこそかもしれないけれども。