興味あるひとしか興味がないアーケードカードゲームの話

そもそも携帯でないゲーム全体が
世間一般からみて興味をもたれず
「テレビゲーム」という言い方があやうくなっている今日この頃。
何と言い換えるべきなのか。
ビデオゲーム」では区切れていないし
カジュアルでないゲーム。「フォーマルゲーム」。
意味不明。


ユーリィ:セーブってなに?
チェリンカ:……世界の愛。

今回はこういう印象的な出だしで始まる「きれいなファイナルファンタジー」、
ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト
ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル リング・オブ・フェイト
の感想でも書こうかと思っていたのですが
GC版も書こうとして挫折したように、
クリスタルクロニクルシリーズはちょっと違う気がする。
このゲーム多人数で協力して遊ぶよう
キャラクタやお話や地形なども設計されていて
そこは「きれいなファイナルファンタジー」として良く出来ているけれど
その部分は1人でしか遊べないのである。
多人数は別ものなのである。
仲間と一緒に冒険しているのに操作できるのが1人、なのでなく
戦闘したりできるのも操作している1人だけというのはおかしい。
いやでもそんなわけはないので何か勘違いに違いないと
GC版は見なかったことにしたのですが
このDS版も同じに見える。WiiU版とか出れば違うのだろうか。


ちなみに全年齢向けの「きれいな」おはなしとかキャラクタは
小説や映画やマンガや他の表現媒体でもそうだけれど
中高生向けとか中高年向けとかの商材より売れないものであるのは
いつの世も同じ。せつない。
任天堂の努力がしのばれるところであります。




そこで今回はがらっと変わって表題通りに、
狭い範囲で面白い情報のあったアーケードカードゲームの話です。




相変わらず7年前から稼動している『三国志大戦』を
週1度くらいの頻度で遊んでいて
他のアーケードゲームはお試し程度しか遊んでいないのですが、
その理由は圧倒的なお値段の安さにあります。
例えば人気の『初音ミク Project DIVA Arcade』が
3分くらいの曲を2曲\100取るのに対し
三国志大戦』は今や3戦\200。
1戦がおよそ8分くらいなので\1000で2時間超遊べるお値段設定。
安すぎる。


もちろん月額\1000のオンラインゲームとか
数百円でダウンロードしてずっと遊べる小型ゲームとは
比べようもなく高いのですが
それはそれこれはこれ。
昔の平均1戦\260くらいでも列をなして遊んでいたその同じものが
\1000で2時間じっくり遊べるのだから何も問題ない。
と6年くらい騙され続けているのです。
週1くらいでしかゲームセンターに行けないので
長いこと遊んでいるわりに総額もそれほどではないと言い聞かせるのです。


それで付録に新規カードが付くと聞けば、喜んで普段読んでもいない
\1000くらいするゲーム雑誌を買ったりもするのです。
これとかこれとかこれとか。

電撃ARCADE (アーケード) ゲーム Vol.32 2012年 10/11号 [雑誌] アルカディア 2012年 11月号 [雑誌] カードゲーマーvol.6 (ホビージャパンMOOK 458)


見事な釣られぶり。
もう2年以上追加カードがなく、今後も大型バージョンアップは
市場規模からしてないゲームなので、餌にはすごい勢いで飛びつくのです。


さて、これらを読んで、昨今のアーケードゲーム市場は
対戦格闘のみでプロゲーマーとかケイブグレフダライアスとか、
トレーディングカードゲーム市場は遊戯王で子供騙しで
ずっと俺のターンがうんたらかんたらとか、
そういう政治論をぶつのも楽しいものですが
今回は先の通り『戦国大戦』に面白い話が載っていて
興味引かれたので以下それについてうんぬんかんぬん。


ネット上の公式報道は下記くらいしかなさそうですが
 http://www.am-j.co.jp/newmachine/201207/001.html
来月『戦国大戦』が大型バージョンアップするらしい。
伊達家とか豊臣家とか鉄砲騎馬とかが追加されるらしい。
そして「戦国鬼札」「電影武将」とかいう仕組みが追加されるようである。
上のアルカディアとかに書かれていた話によると。


この「戦国鬼札(センゴクジョーカー)」「電影武将(デジぶしょう)」、
読ませ方が相変わらずのセガクオリティですが
それはともかくその仕組みは、
ゲーム中で稼いだポイント、これで「電影武将」、
すなわち、
過去バージョンで排出されていたが現行では排出停止の
武力とか特技とかから成る武将カードのデータを、
ポイント分購入して
ゲーム開始時に「戦国鬼札」の能力値に上書きする、というもの。
「戦国鬼札」はこれまでの武将カードと同じく紙のカードとして存在していて
ゲーム内で、名の通り「ジョーカー」あるいは「ワイルドカード」となる。
正式に稼動開始していないので今のところではありますが
そういう感じらしい。たぶん。


つまり1ゲームごとゲーム筐体から排出される紙の武将カードを集めなくとも
ゲーム内だけで武将をおおかた揃えられるのである。
大方というのは排出停止になっていないものは「電影武将」化されないし
特別な限定カードのような例外もあるだろうからして。
もともと紙のカードを収集する、という意識が
ポケモン』にせよ『アイドルマスターシンデレラガールズ』にせよ、
あまり無い従来のテレビゲーム分野からすればそうでもないけれど、
紙の、トレーディングカードゲームの分野からすれば
根幹に関わる内容なのでなかろうか。
トレーディングカードや何かをコレクションすることに興味ないので
実際のところはよく判らないのですが。




私が『三国志大戦』ばかり遊んでいて
新しい同じようなゲームで遊んでいる人数もおそらく多い『戦国大戦』を
あまり遊んでいないのは
先に書いたように3戦\200に対し3戦¥400という市場価格もあるのですが、
市場価格というのは値段設定が各ゲームセンターの営業努力に拠るからですが
細かいところがいろいろ気に食わないのもあるのである。
大きい不満でなく、ひとつごとはさしたることない細かい不満がちり積もり。


虎口攻めや鉄砲の強さ加減とか戦場の広さなどの仕組み周りや
武将能力値とかカードイラストとか、ほんとうにすこしばかりのところなので
同じような仕組みの『三国志大戦』がなければ、問題ないのです。
『三国』の方にもイラストや能力が気に入らないので使わないカードはあるし
『三国』が撤去されたら『戦国』を同じだけ時間割いて遊ぶ程度ではある。
しかし現状、半額の『三国』を退けて遊ばせるには不満が多い。


ゲームなんて嗜好品なのだからそんなものである。
XBOXが売れなかったのは色々理由ある中でも、
ただ単に「大きいから」というの間違いなくあるのです。
値段が高いとか遊びたいゲームがないからとかでなく、
ただ単なるそんなことも、ひとつのひいては大きなことの、
きっかけには成るものである。


そういうわけで『戦国大戦』の細かいところが嫌だなあと思っていたのですが
他のアーケードカードゲームを見ると、いろいろ気付かされるところもある。
例えば『三国志大戦』より昔の10年前から稼動している『WCCF』こと
『ワールドクラブチャンピオンシップフットボール』。
サッカー選手のカードを集めてチームを組んで育てて対戦するゲーム。
カルチョビット』のGBA版と3DS版を比べて違いがわからない程度に
サッカーに詳しくない、興味がないからでもありますが、
この『WCCF』を『三国』や『戦国』ほど面白いとは思えないのですが
同じくカードを筐体盤面に置いて操作するゲームでも
操作している感じがまったく違うものだから、
というのも大きな理由としてあります。
「アクションゲーム度」が『三国』の方が高くて
その割り合い度合いが好みに合うのです。
そしてそれだけでなく、『WCCF』より『三国』が好みに感じる所として
チームの中での1つのカードが持つ重みの違いが
WCCF』はゲームとして軽く感じるのです。
しかし、むしろ逆で、『三国』の方が、トレーディングカードゲームとしては
重すぎたのではなかろうか。




WCCF』や日本の野球が題材の『ベースボールヒーローズ』の
トレーディングカードゲーム」らしい特徴として
パワプロ』などと同じく、毎年ごと前年度活躍した選手の結果を
新規カードとして能力値に反映させれる、
立派な「理由」の在ることが挙げられます。
WCCF』は毎年1年ごと、大きなバージョンアップを行い続けて
10年経ていますが、
10年稼動し続けられていること、
10年前のゲームが、毎年の細かい改良の積み上げあっても、今も通用するのは
1年ごとに新規カードを追加する理由があるから、
1年ごとに大きく手を入れられるから、でもあります。
もちろん10年前の最初の時点で、10年後にも通用するゲームとして
出来上がっていたからでもあります。
10年前に手に入れた選手カードをそのままの能力値で10年後も使い続けられる
ゲームだからこそ10年続いている。


しかし7年半続いている『三国志大戦』は、
そうそうに追加カードをつけられない。
それは予算をかけるほど新規のお客がみこめないからであるし
それなら同じようなゲーム新型の『戦国大戦』にお金をかけるべきだし
そういう大人の事情でなくゲーム内のことでいうなら
WCCF』ほどにはカードの差別化が難しいからである。


というとよく知らない『WCCF』に対して無責任な発言になってしまうので
こうどにげーまーてきなはなしをするに対しては『三国』に限りましょう。
『三国』も属性や特技、計略でかなりの差別化、各カードごとの特徴化を
実現できていると思います。
遊んでいる方が無責任に思いつく以上の立派なお金を取れる仕事です。
それでもある勢力のあるコストにおいては
多くのデッキでこのカード、という固定化は見られるし
全国対人対戦でみかけるどんなデッキにも
このカードを押しのけてこのカードを使う理由はないだろうと思われる、
使えないカードも相当数存在している。
ここまでは良いのです。どんな対人対戦ゲームでも生じる問題内。
細かなバージョンアップの調整で、飽きない程度に様々な種類のデッキと
対戦できる環境を持続できています。


しかし『WCCF』のように毎年新規カードを導入できる環境だろうか。
そういうゲームだろうか。
極端に言えば、カードのデッキにおける役割を据えたまま、みためだけ変えて
新しさを出せる「トレーディングカードゲーム」だろうか、
といえば否である。
『三国』の場合は毎年ごとの理由がないからでなく
デッキ内で同じような働きをできるカードで、微妙に能力が違うカードが
各カードの能力が対戦結果に関わる分が、
他のカードでデッキを組むゲームと比較して、極端に重いわけではないが
少し重い。
ややでも少し劣るとまったく使われない。愛着で補いつくよりやや大きい。


ごくわかりやすく言えば、武力が「1〜10」の10段階より「1〜100」のほうが
それぞれの武将がいる理由をつけやすいということです。
武将、キャラクタ、名前とイラストの総数は多い方が
カードゲームとして良いのです。
遊ぶ方にも。それを売る方にも。
そして1人用ゲームでも対人対戦ゲームでも。
そしてゲーム内でまったく同じ働きをして、みためだけ違う場合よりは
みためだけでなくその役割と個性がすこしでも違う方が、どうせなら良い。
全種類を集められるかどうかではなく、
集めたくなるほど種類に意味有る違いが在るほうが、全体として価値がある。
それが「トレーディングカードゲーム」として正解で
その点『三国志大戦』は『WCCF』に比べて
ややまずかったかもしれないのでは、と
『三国』と『戦国』を比べて最近思ったのです。


『戦国』の細かく気に入らないところは、
『三国』に対してややカードごとのゲーム内での重みが
WCCF』ほどではないにせよ軽いこと、もあったのですが
むしろそれは優れたところではないのだろうか。好みではないにせよ。
RPGなどで図鑑が用意されていて、それを埋めようとしたり
入手したアイテムを1つずつ売らないで取っておいたりしても、
全部を集めるための手間はかけないのですが
トレーディングカードゲーム」も同じで
全種類集めるのでなく、いろいろ沢山あるだけで嬉しいものかもしれない。
そうあるべきかもしれない。
では、バージョンが変わるごと、排出停止にして
新規カードを手に入れ易くする割り振り程度はどれくらいにすべきなのか。
商売からでなく、遊ぶ方としてはどれくらいが嬉しいものか。
WCCF』も『戦国大戦』も一度入手したカードは、排出停止になっても
いつまでも使えるのである。
そういうように思うと、アーケードのトレーディングカードゲームにおける、
こたびの「戦国鬼札」「電影武将」という試みがどのような位置を持つのか
興味深いところなのです。