『デビルサマナー 葛葉ライドウ対超力兵団』

 公式サイト http://www.atlus.co.jp/cs/game/pstation2/summoner/
 ASIN:B000A85PL6


・『女神転生』という中小メーカーアトラス即時のRPGシリーズは20年前からあって
 歴史長いでございます。
 中身も、ただだらだら続いてきたというだけでない、熱心なファン持つ濃い内容。


・戦う敵を説得して仲間にして共に戦うことができる。
 『ポケットモンスター』よりずずい随分昔からあったこの仕組みを柱として
 西洋ファンタジーでない、現代風味日本が舞台に
 出てくる敵は、これまた日本らしく、世界各地の神話に出てくる神々や悪魔。

・それをデジタルの香りするRPGにまとめた独自位置は
 海外市場意識しないと大変らしい昨今とても外へお見せできない風であり
 日本の宗教といえば神道仏教と言われても「神道てな聞いたことないね」とこう返し
 葬式墓参りしか縁の無く八百万の神といいて平気にクリスマス初詣と齟齬感じない
 われわれかたがたにしか通らぬお話でありまして。
 RPGてのは日本ならでは何だ、かどうか向こうゲーム碌に遊ばず言えない口ですが
 前回の「読者が選ぶ心のゲーム」をRPGで占める割合は当方心の行く先でもありますか。


・そんな我々の『女神転生』略して「メガテン」。
 そのシリーズいくつか流れのうち「ソウルハッカーズ」系統最新作がこの『ライドウ』。
 次は「ペルソナ」系列でひとつ出すそうで、とにかくアトラスこの大看板、
 いかに倒さず腐らず壁立てかけて乗るか反るかいけるか勝負。

・中でどうも「ソウルハッカーズ」「ペルソナ」はシリーズ初心者開拓向け、らしい。


・20年続いて20年ベテランマニアの方々は遊んでいるわけですから擦り切れます。
 下手な内容では投げつけます。もっと深く。もっとややこしく。
 子供でもできるような『メガテン』など許さないという勢い。で、
 昔のRPGそうなのですが、例えば今度『3』出るらしい任天堂RPG『MOTHER』ですと
 その『1』は、とても今遊べたものではございません。
 親切丁寧、大人も子供もおねーさんもの任天印と思えぬ激辛味。

・これは『マザー1』が駄目だ、というのでなく昔のゲームはそうだったのでございます。
 そういうものだと皆思っていたのです。
 ソフトにエレガンにリファインです。洗練。結構なことで当たり前のこと、
 20年遊んでいれば慣れるばかりのマニア一方で
 マニアでないひとが20年間新たに触り続けているのですから
 そちら向きになって行かねばならないのです。
 そうしないと消えていくのです。そしてそうであるところがゲーム業界健全なところ。
 皆様のおかげ。私たちのおかげ。ありがとうございましてどういたしまして。


・それで多くのゲームは、楽しむのがより容易になるように改善されてまいりました。
 単に優しくするとか女性向けキャラクターでパッケージングとかの話でなく
 例えば次に何をすれば良いか分からなくならにように手を引くガイドであるとか
 街中の歩行速度上げるとか、ムービーをキャンセルできるとか
 ボタン連打しているだけでクリアできるようにするとか。

・マニアは求めます。もっと深く。今まで以上に奥深い面白さを。
 一方始めて遊ぶひと向けに入り口も広く空けておかねばならないその両立。
 当たり前ですが、いままでは20年かけての洗練と
 本体ハードの性能向上による見た目の美化の二本柱を、追いかけるだけで一杯。
 作る方も遊ぶ方も。

・しかしです。任天堂は『ポケモン』を変わらずもう10年売っているのです。
 そろそろこの手にあるゲームはどうなのかと見えてくるお年頃なのではございませんか。
 2Dから3Dへのお化粧にも慣れて。



・『ライドウ』はやはりシリーズ作品の一連でありますから
 基本的に『メガテン』と同じです。
 すなわち、仲間に出来る敵、『メガテン』流に言うと、仲魔に出来る敵悪魔は
 主人公のレベルより下である。つまり、ゲーム進行管理は主人公のレベルが軸。
 ひとつレベル上がることがいまだに、『メガテン』『ライドウ』では重要です。
 そこだけは変えていない。悪魔を仲間にする判定にそれを使わないと
 後輩『ポケモン』に全てを攫われる背中に悪寒。どちらが前。


・次に、見た目を変える項。
 世間がRPGでも2Dから3Dであることをあり、ついていけなければ携帯機コース直行で
 ごく最近こそPSPとDSがそうでない層も作り出してはいますが
 以前はそちらコースすなわち子供向け。
 それ単純低レベル一段下。遊ぶ当人がたそう思われの由ですから致し方なし。なので
 大ブランド保つには必要なくとも3D。
 『メガテン』どこを3D。それはあれです。
 ダンジョンもともと『ウィザードリィ』風に3Dなのでもう敵悪魔3Dにするより他なし。

・そしてようやくPS2『真女神3』にて完全3D対応完了新世代『メガテン』完成の次第。
 大変慶賀の至り。中身も正統本流に相応しくマニア対応筋金入りで大満足。


・しかし単調。その結果、ゆるくてぬるく、熱くて濃い空気に
 ついていけないという層は投げ出します。そろそろ逃げ出します。
 面白いのは良い。ただ、楽して面白い方がより良いのだという嗜好。
 でありながらお話の先を読めないのはおかしいと。
 誰でもクリアできないゲームは駄目だと。時代遅れだと。
 そろそろどういたしましょう。そういう向けにシリーズを分けて振り向けるしかないか。

・『ライドウ』はそう見えます。
 戦闘が簡易アクションである。ボタン連打でクリアできるアクションである。
 敵は折角3Dになったのだから、丁度良いではないか、
 主人公が仲間悪魔を従え剣を振り回すのは良い。見た目良い。



RPGは大概においてターン制コマンドバトルです。
 順番が回ってきて、このキャラクターは次にどの行動を取らせるか。
 敵の攻撃パターンを読み、ここで防御補助、ここで回復、ここで攻撃。

・ゲームがまだ2Dであったころ、それで充分格好良い戦闘場面が頭に浮かんでおりました。
 何々の攻撃。何ポイントのダメージ。何々を倒した。それで充分満足。
 けれど画面がきれいになって、その、脳内超絶格好良い戦いを画面に描いてくれる事を
 対戦格闘ゲームであるとかムービーシーンからは期待するに相成るは当然。

・けれど3DRPGの戦闘シーンはどこまでもそれに追いつけないのです。
 最初の『FF7』あたりではよろしいこういうもの、比較対象が今までのであるのだから
 十二分に格好良い。「超究武神破斬」とか言われてざくざく切りまくるは
 妄想具現の初端に充分でございましたが、慣れます。
 頭の中は始めてみたそれを、次に見た時、さらに良く成るを当然とします。
 けれどそうもいかないのは
 例えばコマンド入力順番が回ってくる間、何も出来ない画面の中皆様にもわかるのです。
 あれだけ剣をがしがし振り回せるのだから
 順番回ってくる間も避けるとか防ぐとかしてくれよと。


・ではコマンドバトルを止めて、アクションRPGにすれば良いのではないか。
 『聖剣伝説2』の時代からそうであったではないか。
 まあだからそういうふうにしたのが『ローグギャラクシーhttp://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20051218
 凄いですレベル5。さすが『ドラクエ』開発メーカー選ばれるだけあって技術力高く
 3DアクションRPGとして見事出来ておるかな。色々色々問題あるゲームではありますが。

・けれど仲間が間抜けすぎる。すなわち襲い掛来る敵様頭の中身も知れている。
 これは3DアクションRPGとして今のところ精一杯なのでしょう。
 見た目に力裂いて限界。計算能力全開でもまだこれくらい。
 ターン制やその他、RPG伝統積年重層洗練を今も極めるべく進む、
 コマンドバトルには到底追いつかない。


・『ライドウ』のもっとも焦点たる戦闘はつまり、本体性能の限界です。
 あれで満足できるかといっても、アクションRPGでもないのにあれ以上し様がない。
 例えばアクションRPGゼルダ』の戦闘が面白くないということはありません。
 なぜならあれはアクションだから。キャラクターはRPGのように成長しないし
 仲間と共に敵を取り囲んでぼこぼこ殴るには騎士道精神値高いのでございましょう。

・敵は色々アクションとります。攻撃してきます。
 こちらも銃を撃ったり剣を振ったりします。
 それでアクション操作技術が結果を判定するならば、成長させ強くする意味がない。
 何より面白くない。アクションでなくて『ライドウ』は
 悪魔で古典的なまでにレベル準拠のRPGでなければならないのだ。



・コマンド戦闘でマニア向け方面奥深くするを今回はばっさり切り捨て
 残り体力にのみ気をつけ剣を振っていれば良いアクションで
 見た目格好良さを表現、その独自の設定美術お話演出周りで
 誰もが狙う『ポケットモンスター』卒業世代受け皿狙い、
 広く入り口取ったRPGとしたのが『デビルサマナー』系統最新作『葛葉ライドウ』。

・全体割り切ってまとめております。良い。
 20年作っているだけに隅々しっかり出来る範囲分って、良い内容です。流石です。



・現行ハードの限界がそろそろ見た目以外のところで見える季節であることよと思いつつ
 非コマンドバトルRPGの先、
 そしてこの20年RPG形態「非オンライン『ウィズドラクエ型』」に変わる未来等とかは
 そう、『FF12』遊んでから。またの機会にいたしましょう。