『エルミナージュ2』

 公式サイト http://www.s-f.co.jp/soft/psp/elminage2/ ASIN:B0026MT60U
 まとめwiki http://spoiler.sakura.ne.jp/srv/el2/

・名前は違うけれど中身は『ウィザードリィ』である。

・ところで、いまだに『ウィザードリィ』という古いゲームを求める需要あるのが
 以前から疑問なのであります。
 なるほど30年前なら面白かったし、10年前でも懐かしいかもしれないけれど
 現代用に合わせて作り替えられた『BUSIN』や『世界樹の迷宮』、
 そして『女神転生』シリーズと比べて、
 それでも『ウィザードリィ』が未だ一部で支持されるのはなぜなのだろう。

・そんななか、本作『エルミナージュ2』がウィズゲーとして大変素晴らしい、
 という噂がかぜのうわさに聴こえた気がしたので
 『剣と魔法と学園もの』とかいうのを以前散々けなしたのを忘れて遊んでみたのですが
 それまで遊んでいた『モンスターハンター3』をぶっつり中断、
 面白くて周回するほど長々遊んでしまった。
 おかげさまでこのサイトもすごいかんかく開きましたが
 その面白かった点について、今回は書く次第でございます。



・まずその1。フェイスロード。
 戦闘時や街中やメニュー画面で表示される、仲間キャラクターのみため絵に
 パソコン上で作成した画像を使用できる仕組みである。
 サイズと色数合わせてbmp.形式で保存し、USBケーブルでコピー貼り付けすれば完了。
 パソコン画面上で表示できる画であればなんでも使えるのだから
 およそなんでもかんでも使用可能。
 つまりこんな感じである。
  海老摺身 雑記22 http://abtwo.blog11.fc2.com/blog-entry-258.html
 作り方についてはまとめWikiがわかりやすいのでそちらを参照。
  フェイスロード登録手順 http://spoiler.sakura.ne.jp/srv/el2/E694BBE795A52FE3819DE381AEE4BB962FE38395E382A7E382A4E382B9E383ADE383BCE38389.html
  作成の仕方 http://spoiler.sakura.ne.jp/srv/el2/E382A2E382A4E382B3E383B3E5BA83E5A0B42FE4BD9CE68890E6898BE9A086.html
 キャラクターの名前も、かなカナ英字と記号はもちろん漢字も使用可なので
 大抵の既存キャラクターを再現可能。

・レースゲームなどで、自車へ作成した画像を切り貼りできるというのと同じ。
 そういう意味では何も新しくなく、すごくない。
 そしてまたただみためだけのことで、ゲームを解くことにはなんら寄与しないけれど
 もちろんゲームにはみためも、とても重要なのである。
 名前だけでなく、キャラクターのみため全てを
 自分で自由に描き与えられるということはとても大きい。
 キャラクターがしゃべったり画面上で絵として出てくるゲームでもないので
 戦闘に用いる細かな性能値以外は、なんとでも自由に想像できる。
 自分で好きに、どんな作品のどんなキャラクターでも引っ張ってきて使用できる。

・キャラクターは、使っているうちに愛着わいて思い入れ込めて
 出来あげていくという方法でも、もちろん良いのですが
 既に出来あがっているキャラクターをゲーム上で再現させる、
 冒険において役割を演じさせるという楽しみ方も、このフェイスロードではできる。
 そこが良いところです。


・ちなみに使用できる画の制限は48X48ドット256色。
 これはかなり小さい気がするのですが
 ゲーム画面上で表示させてみると、元絵の特徴をきっちり再現できていてかなり驚き。
 作成が自分でドットを打って作らなければならないというわけでなく
 既存のものをコピーして切り取りリサイズするだけと簡単であること、
 フェイスロードを使用しても、ゲーム中の読み込みが
 遅くなったりするわけではないというところも良いところ。

・しかし真にこの機能で驚いたのは、48X48をPC上で一杯に拡大したときであります。
 すごいドット絵すごい。
 人間の眼の性能と画像処理能力すごい。
 リキテンシュタインでなくとも芸術的な点描画を創造できるのがすごい。



・次に、いまどき今更『ウィザードリィ』を、なぜそれなりに楽しめるかという点。
 アーマークラスという概念はわかりづらいし、装備入手が運次第すぎるし、
 呪文も使える使えない差が大きいし、迷宮構成も踏破するためだけのものだし、
 進行管理もてきとうすぎる。
 お話上の最後の敵が2ターンめで倒れたのには目を疑いました。
 あまりにも『ウィザードリィ』すぎる。昔のままに過ぎる。 

・仕組みがあまりにも大雑把である。「ゲーム性」が低い。ゲームとして浅い。
 手段をさまざまに工夫して、なんとかぎりぎり相手に勝つ、という駆け引きがすくなく
 強い方が勝つという単純な仕組みである。
 強くなるためには、良い装備を運よく拾うことと
 ひたすら時間を掛け、経験値ためてレベルを上げることである。

・けれどそこが良いところなのではないか。この単純さが良いのではないか。
 いわゆる「俺TUEEEE」が出来るRPGを求めているのが
 『ウィザードリィ』を求める需要の一面ではないかと思う次第なのであります。
 

・本作の前に『モンスターハンター3』を遊んでいたのですが
 こちらのゲームでは、遊んだ時間が長いほど強くならないよう、レベルがなかったり
 その場面でどうすれば良いか、ゲーム内データでなく、遊び手が知っているかどうかで
 勝ち負けが決まるような方向に作られています。
 単に時間をかけて良い装備を揃えていれば強いわけではない。
 アクション要素の、敵との間合いと当たり判定を上手く見切って操作することは
 重要であるけれど全てではない。

・対戦前提につくられているゲームでは、それがよりはっきりしています。
 それ、つまり、ゲーム内データの量と質だけでなく
 その場面で採り得る手段を多く用意しておき、的確に活用して勝つ理論。知識。
 カードゲームや対戦格闘だけでなく、RPGでも
 『ドラクエ』に対して『ポケモン』はそのように作られている。

・しかしゲームの、RPGのおもしろさは、オンラインで対戦協力する時に最大ではない。
 1人用ゲームをより短時間や低レベルで解くときの面白さと比較して、
 また「ゲーム性のひくい」、工夫がなく長時間作業てきにボタンを連打するだけでも、
 面白さの量は誰にでも決められるものではない。
 ひとによりけりその時々なのである。


・『ウィザードリィ』に過去そのとき面白かったのは
 TRPGのようなものをひとりでできる、というところにあったと思われます。
 私が『ドラクエ』を面白いのは、お話の展開を戦闘して成長して街を巡ることで
 上手く表現しているところです。
 協力型オンラインRPGの苦手なのは、見知らぬ誰かに合わせなければならないところ。
 『エルミナージュ2』の、今遊ぶ『ウィザードリィ』の面白いところは、回顧でなく
 手を掛けた量に比例してのみ、キャラクタが強く育つところです。
 なるほどこういう面白さは現在でも有り得る。


・『女神転生 ストレンジジャーニー』と比べて
 質の面でほぼ全てにおいて劣っているという面から、評価できない本作ですが
 フェイスロード機能でキャラクターを再現して見せる楽しみを
 他のRPGのようにお話の展開で、
 この程度に調和のとれた戦力をここで持つべきというゲームバランスで
 邪魔しないという『ウィザードリィ』の仕組みが上手くかみ合って面白かった。
 けれど質が低くても良いわけではない。
 そこは製作のかたがたに勘違いして欲しくないところであります。