『シャイニングフォースイクサ』

kodamatsukimi2010-02-20


 公式サイト http://shining-force.jp/exa/ ASIN:B0018J6FGA


・この3週ほどの経過。
 TRPGのリプレイをいろいろ読む。
 その流れで『ロードス島戦記 ファリスの聖女』(ISBN:9784048534185)を読む。
 その流れでDCをわざわざ出して『ロードス島戦記 邪神降臨』(ASIN:B00006LJYK)を遊ぶ。
 ところが意外とあっさり終わってしまったし
 さすがに今遊ぶとなればいろいろ不満なのでバージョンアップしたものが遊びたい、
 その次の『ネオ』でも良いけれど、どうせだからまだ遊んでいないのを遊ぼうと
 今度はPS2を引っ張り出しこの『シャイニングフォースイクサ』を今更買ってきて
 遊んでいたのですが
 ACの新作『シャイニングフォースクロス』に比べるとやはりしょぼいというか、
 そもそもいまどき1人用ゲームとかどうなのかという時代な気がする今日このごろ。


ネバーランドカンパニーhttp://www.n-land.co.jp/)からすれば
 そんな旧作にまねびかえしていないで
 『ルーンファクトリー』とか『エストポリス』などを
 遊んで欲しいところであろうと思われますが
 いやでも『ネオ』『イクサ』『煉獄』に続く作品出ていないので仕方がないのである。

 でも『エストポリス』は出るんですねええなぜに。価値判断がよくわからん。
 タイトーブランドでなくスクウェアエニックスブランドだからなのか。
 いま少し『グランディア』を思い出しましたが忘れて
 シリーズ展開の下手さには定評あるセガさんの方ですが
 『戦国大戦』は出すからには『三国志大戦』を返せと言われないよう
 本気で頑張っていただきたい。
 もっともセガさんに期待しても無駄な気は凄くする。
 頑張ったからどうということでない気がする。祈るしかない。ええと何の話だ。



・本題。いまさら『イクサ』についてここが面白かったとか書いても
 『煉獄 The end of the CENTURY(仮)』をご期待ください出ないかもしれないけれど、
 で終わるような気がしないもないけれども、一応書きます。書かないと書くことない。
 というかいつになったら出るのでしょうか。出ないですか。
 360版『ケツイ』(http://5pb.jp/games/div2/ketsuiex/)は本当に店頭に並ぶまでしんじない。

・ついでに『イクサ(EXA)』という言葉の意味なのですが、ふつうエクサと呼んで
 メガとかギガとかテラとかと同じく単位を表す言葉のようである。ううんとりびある。
  http://ja.wikipedia.org/wiki/2進接頭辞
 「ペタフレア」はかっこうわるいけど「エクサフレア」「ゼタフレア」はありそうだ。


・それで内容なのですが、『ネオ』でも一応あったのだけれど
 大多数の人がほぼ使わなかった魔法主体でもこのゲームは楽しめますよ、
 というか魔法強いよ遠距離から一方的に攻撃できるんだから強いに決まってるよ、
 というのが、『ネオ』に対する変化。
 主人公をもうひとり用意して一方は武器攻撃系、もうひとりが魔法系。
 片方しか使わなくともクリアできるようにはなっていますが
 お話の展開的に両方つかってゆっくりしていってねの用意が整っている形。

・で私も実際『ネオ』で魔法はこんなこともできるんだ程度試しただけだったので
 今回は魔法のみ使って遊ぶことにした。弓というかボウガンも使えるけど使用禁止。
 してみたらとても強かった。

・魔法弾で敵をしぱしぱ撃つの自体は
 このゲームの理屈上、強くするとそれだけで終わってしまうため火力低めなのですが
 自身の周囲に魔力をまとう系がものすごく強い。
 地雷設置型とか範囲攻撃型とか敵操り型とかいろいろ用意されているけれども
 これくらい強くしないと使ってくれないんだろうなという、
 つくった方の思いが透けて見える程度の強さであります。


・ちなみにこの前作『シャインニグフォースネオ』については
 以前書いたのでそちらをご覧くださいませ。私は昔の自分の文など読めませんが。
  http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20050410
 それでである。
 改めて、このシリーズはつまりコーエーの『無双』シリーズと同じく
 群がる敵を一騎当千になぎ倒す爽快感が楽しいゲーム。
 けれど『無双』との違いは、あちらが一応アクションゲームであるのに比べて
 こちらがRPGであることにあります。
 ガードという概念がない。相手もガードしないから崩しや投げといった要素もない。
 武器を振りまわして当てるか魔法を放って当てるかして
 相手の体力を削り切った方が勝ち。
 正面からガチで殴り合って最後に立っていた方が勝ちというとても漢らしいゲーム。

・だから、一方的に殴れる手段、遠距離攻撃手段がとても強い。
 それこそ『タクティクスオウガ』の弓並みに強い。
 相手の攻撃を一切受けずほとんどの敵を倒せます。
 といってもそれではゲームにならないので
 不可視当たり判定突進系の遠距離攻撃を使う敵などもいて
 ああこれは確かにアクションゲームでなく、鍛え上げて強い方が勝つRPGだ、
 と再認した次第ですが
 ここで脇道にそれてみたい。 
 『ネオ』『イクサ』がRPGにおいてどのような位置付けにあるのか。

・今思いついた昨年立てた課題主題として
 「『勇者30』はなぜアクションゲームなのに遊んでいてRPGのような感じを受けるのか」
 があることにしたのですが
 そもそもRPGはどのあたりがRPGだろうか。
 いろいろありすぎてとても一口で言えませんが
 先月『エルミナージュ2』という名前の『ウィザードリィ』を遊んで
 かつTRPGリプレイを読んでみて
 そして『邪神降臨』、『ネオ』、『イクサ』とならべてみてで
 RPGに対するいろいろを並べてみると
 敵に勝つために強くなることがRPG、なのではないだろうか。



・『ウィザードリィ』は「ハックアンドスラッシュ」、敵をひたすら倒すゲームである、
 とその元となったTRPGに対して言われます。
 大多数の時間はどちらもダンジョンを探索しているのですが
 TRPGは、ダンジョンの仕掛けを解いて、その結果戦闘が発生することもある、であるに
 『ウィズ』は、つまりコンピューターRPGは、
 戦闘してアイテム拾って経験値得て強くなる、ための手段である、という違いがある。

・ちなみにTRPGでは大体において、戦闘に勝利することで換金アイテムと成長点を得られ
 ひとつのシナリオをクリアするごとレベルがひとつ上がる仕組みのようですが
 ある特定の敵より強くなるためにシナリオをクリアして強くなるわけではない。
 ひとつのシナリオを遊ぶこと自体が目的であるところが違います。


・もうひとつ『ローグ』系、「不思議のダンジョン」類でも良いですが
 それらと『ウィザードリィ』と、TRPGを比較してみたい。

RPGを目標達成ゲームとしてみなしたとき、
 目標は敵などの障害を乗り越えてひとつのシナリオをクリアすること。
 敵に勝ち、様々な仕掛けを条件達成して解くこと。
 敵に勝つ手段は『ウィザードリィ』の場合、アイテムと経験を積んで強くなること。
 ここまでは良く知るRPGのそれでありわかりやすいですが
 『ローグ』系で、シナリオの全過程においてより最善の手を常に取ること、と
 達成条件を満たしているかがあいまいになる。
 逆にTRPGでは、GMゲームマスターが主人公達遊び手の現状強さに
 程良く合わせて達成可能な条件を用意している、という
 メタフィクショナルな前提がある。

・話それますがTRPGリプレイは、
 読者側でなく作中人物もメタフィクションに自覚的であるところもおもしろいところ。
 いまだに犯人はヤスと『EVER17』の枠に囚われているAVGより余程興味深い。
 前回挙げた『アリアンロッドサガリプレイ』3巻(ISBN:9784829145623)、
 P142あたりからのベネットの演説など、それを言ったらおしまい的なところなのに
 物語自体を解決す共犯者であるゆえに好意的解釈せざるを得ない結構。凄い。
 以下話もどす。


・もうひとつRPGの特徴、物語を生み出す面について、AVGと比較したい。

TRPGではGMの用意したシナリオを基本としてお話が進行するが
 その上で役柄を、複数の遊び手が即興で演じることから、
 その時その場だけの物語が生み出される。
 コンピューターRPGでは複数人で遊ぶオンラインRPGではTRPGとほぼ同様の形をとるが
 1人用RPGでは、同じ結果に対してそれぞれの遊び手がその時成したことがらの差異が
 同一のシナリオからそれぞれの物語を生みだす素材となる。
 AVGでは、さらにより取り得る手段、目標達成ゲームの幅が狭い代わりに
 小説や映画などにより近い、物語としてまとまりの高いものを素材とできる。


・『勇者30』は、「RPGの勇者」という定型がどのような素材でつくられているかを
 パロディとして、アクションゲームとしてなぞるつくり。
 この場合の定型は、1人用コンピューター用RPGのそれ。
 アイテムと経験を積んで様々な仕掛けを条件達成して用意されたシナリオをなぞる。
 まさにRPGと変わらず、RPGらしさにあふれているけれども
 そこに物語が生まれるとすればパロディとしてのそれであり
 1人用コンピューターRPGのそれとは異なるもの。『ウィザードリィ』とは違うもの。

AVGと1人用RRGと、TRPGやオンラインRPGとの違いも大きい。
 遊んでいて何が楽しいか。
 それは遊び手が、作品世界に対して行使し得る力の圧倒的な違い。
 前者は主人公が手を出してあげなければ何も解決しえないが
 後者では決してそうではない。
 前者は大きな力を行使できることが楽しいのであり
 後者はそうでなくとも、誰かと協力することに意義をとることで楽しさを感じる。


AVGと1人用RPGについては、その振える力は同じようでも
 目標達成ゲームとしてとり得る手段の違いで、より物語よりかゲームよりかが異なる。

・また、低レベルクリアや短時間クリアという特殊な過程を手段とするとき
 1人用RPGでは「シナリオの全過程においてより最善の手を常に取る」のであり
 『ローグ』系と異なるのはただ、その目標、解くべき課題が規定用意ある場合で
 AVGのように答えがひとつのみの場合である。
 この場合、一般にゲーム性といわれる類のもの、
 目標を達成する手段を競うを、答えがひとつでない、常に最善であると結果からからも
 確定しない場合を、RPG以外、AVG以外である、パズルゲームなどのSLGであるとすると
 『ローグ』系「不思議のダンジョン」類はSLGである。ということにする。



・そういうかんじのRPGにおいて、『シャイニングフォースイクサ』は
 『ウィザードリィ』と同じ、1人用コンピューターRPGであり
 『ドラクエ』よりもまた『ウィザードリィ』よりもハックアンドスラッシュ
 物語をその過程で生み出す楽しさより、アイテム経験値で強くなる楽しさに寄る。

・ここで、『ウィザードリィ』よりもなお、というのは
 『ウィザードリィ』が現在のオンラインRPGのようなTRPG
 1人用コンピューターRPGで再現しようとしてできたからという過程はともかく、
 その成立時期という場所によって、
 1人用RPGで複数人用RPGのような物語を生みだす方策にとぼしかった、
 かつそれでいてTRPGにない、
 ハックアンドスラッシュという新しい楽しさを備えていたことで
 偶然獲得した個性を基準に、『ガントレット』にせよ『無双』にせよをみてからにせよ
 『ロードス島戦記 邪神降臨』というTRPGを意識させる過程をへながら
 『シャイニングフォースネオ』という形に至ったからである。


・そしてそのゲームがつくる楽しさは今後どのようになるか、というと、
 これが評論ならば、
 『エストポリス伝記』『エナジーブレイカ―』『カオスシード』も絡めて
 『ルーンファクトリー』も参照しつつ、『外伝アスカ』にもおよび、
 新作『エストポリス』とPS3で出る予定の『煉獄(仮)』につなげて
 RPGのみらいとはとかとかたらたら予見を書くとことであるけれども
 これは『イクサ』の感想なのである。
 なのです。はいそういうサイトなのです。
 というわけでとくに結論なく終わる。


・『イクサ』は今の私にとって、こういうことを感じさせる面白さだった。
 のでありました。うむ面白かった。さすがネバーランドカンパニーだ。
 こう感心されてもこまるだろうけれども。