・9bit confusion(http://gmk.9bit.org/note/20060109-chiba_gesen.htm)で紹介されていた
 STGのあるゲームセンター集wiki http://arcadestg.jpn.org/wiki/
 便利です。さっそく協力。

・ところで登録するとき、『ガンスパイク』はSTGに入るのかと悩みました。
 『ゼロガンナー1』も『ソルディバイド』もSTG
 けれど『ガンスパイク』がSTGなら『怒』系列もSTGになってしまうのじゃないかしら。

STGだけでなく他のゲームも検索できると便利。
 けれど各店舗ごと紹介サイトはあっても統合設置ゲーム機検索というものはない。
 AOUショウも良いですけれど、こういうところにも力を入れてもらえると良いのですけど。


・さて今回は、そのゲームセンターに昨年デビューいたしました変なゲーム。
 『マインドシーカー』を出した後なら何を出しても怖くないというナムコさまの
 『ダンシングアイ』『ゆめりあ』にたぶん続く最新作。

アーケード流対戦育成SLG『アイドルマスター』

 
 公式サイト「THE IDOLM@STER WEB」http://www.idolmaster.jp/
 アイドルマスターポータル http://idolmaster.fc2web.com/


・いちおう始めにお断りしておきますと、散々色物扱いしておりますところの本作、
 決して駄目なゲームではありません。
 斬新革新的。粗も多いながら良く考えられた面白いゲームです。


・内容はアイドルプロデューサーになり、担当アイドルを育て、売り出し、
 最高のアイドルを作りだすこと。
 『プリンセスメーカー』(http://www.gainax.co.jp/soft/primas/)に対して
 「アイドルメーカー」として、ずばりでございます。

・異なるところはアーケードゲーム、ゲームセンターに置いてあるゲームであること。
 ゲームセンターの筐体を通し全国のライバルプロデューサーと通信対戦できる点。
 お互いが育てるアイドルのどちらが優れているかを比べるゲーム。
 単にアイドル能力値の高低を比べるのではなく
 例えば競馬ゲームが馬の能力値のみで勝敗が決まるわけではないように
 対戦の勝敗はプレイヤーの駆引き次第。

・どちらがより優れたアイドルを育て上げたか、でなく
 誰がより優れて上手くアイドルを育て上げられるかを競うゲーム。
 優れたアイドルプロデューサー、「アイドルマスター」を目指すゲームであります。





・では以下ゲームの仕組みを見ていきます。
 ご存知の方はずずいと、このページ真ん中辺りまでとばしていただいて結構です。
 
・特に本作の肝である対戦の仕組みはわかり辛いので
 公式サイト(http://www.idolmaster.jp/)の説明や
 「THE iDOLM@STER Wikihttp://necron.s33.xrea.com/idolmaster/wiki/
 「アイドルマスターまとめサイトhttp://765pro.com/matome/
 なども合わせてご覧くださいませ。



・初回は\600、2回目から1プレイ\200、3プレイまとめてならば\500。
 プレイヤー履歴記録「プロデューサーカード」と
 アイドルユニット履歴記録「ユニットカード」が初回プレイで払い出されます。
 以降この2枚をプレイ毎使用して上書き書き換えしていく仕組み。

・プレイヤーランクを上げれば同時並行育成可能アイドル数が増え
 最初は1人、最高ランク「アイドルマスター」はアイドル9人まで同時プロデュース可能。
 ただし1枚の「ユニットカード」は3人組まで。つまり9人時育成時、最小3枚最大9枚。
 プレイヤー記録は「プロデューサーカード」にしか記録されず
 「ユニットカード」はいつでも破棄してアイドルデビューから繰返し遊べます。


・ゲームの目標はファン人数を増やすこと。アイドルやプレイヤー能力の高低は無関係。
 ファン人数を増やす方法は、「オーディション」に勝利すること。
 つまりファン人数はスコアです。勝負に勝てば高得点。
 そこで勝つために育成し、勝負を繰返し、ファンを増やしてより高得点目指して
 トップアイドルを作りだすことが目標。現在のランキングトップは約340万人。


・内容は短時間勝負のアーケードであるだけに簡易にまとめられています。

・まず育成パート。
 「ボーカル」「ダンス」「ビジュアル」3種の「イメージ」を
 「レッスン」を繰り返すことで上昇させる。「レッスン」は簡単なミニゲーム
 上昇能力値は、ミニゲーム結果、現能力値、プロデューサーレベルが良く多く高いほど高い。

・次、会話イベント。
 アイドルと3択会話「コミュニケーション」を行い「テンション」調整と「思い出」を習得。
 「テンション」はアイドルのご機嫌、調子の高低。
 様々な箇所で上下し、高いほど「イメージ」最大値を発揮し易い。
 「思い出」は対戦時に使用するストックアイテム。
 会話が成功するほど、やはり「テンション」が高いほど多数入手可。


・アイドルユニット性能は、3種の「イメージ」に
 「テンション」、持ち歌や衣装などのアイテム、芸能記者、プロデューサーランクなどによる
 補正を加えたもの。
 能力値「イメージ」は、プレイターン経過により随時低下。
 初回のみ1プレイ3週、以降は1プレイ1週で、1週ごとに
 オーディション、育成パートと会話イベント、休憩して「テンション」回復、
 からいずれかを選択。休憩の場合クレジットは減りません。



・そして対戦。
 オーディションに出場し、勝利すればテレビ出演ファンが増えるという舞台。
 この仕組みは複雑。実際何度か遊んでみないとわかり難いかも。


・1オーディションに6人エントリー。アイドル能力に合わせエントリー対象の任意選択可。
 エントリーが6人に満たず締め切られた場合は残り人数をCPUキャラクターが代行。
 ライバルアイドル情報は3種「イメージ」のうちもっとも高いものがどれかだけ、判る。

・アイドルが1曲2分の持ち歌を歌う間、27回のアピールタイミングがあり
 アピールタイミングで「ボーカル」「ダンス」「ビジュアル」の3種いずれかを選択。
 選択した種に、「アイドル性能に応じた量のアピールポイント」が付きます。
 曲のリズムに合わせてアピール選択すると入手ポイントアップ。

・27回のアピールを9回ごと3度に分けて審査。
 3種それぞれ、アピールポイントを出場6人で比べ、上位3位まで審査ポイントを獲得。
 審査ポイント獲得数は上位3位で同じ。1位でも3位でも同ポイント。
 6位はマイナス1ポイント。
 「ボーカル」1位、「ダンス」6位、「ビジュアル」3位の結果ならば
 「ボーカル」「ビジュアル」審査ポイント獲得、「ダンス」は−1ポイント。
 アピールポイントが同値な際は、よりデビューから日が浅いほうが優先。

・ゲーム内の週でなく、プレイした日ごと「流行ジャンル」が設定されており
 その順に合わせ、流行1位は審査ポイント「5」、2位が「3」、3位が「2」付きます。
 つまりその日の流行1位が「ボーカル」であるとき
 他の5人と比較して、3度の審査全てで「ボーカル」アピールポイントが3位であっても
 「ボーカル」審査ポイントは「15」獲得出来る。

・アピール9回、審査ポイント配分、アピールポイントリセット、
 これを3回繰返し、最終合否を審査ポイント合計で決める。
 オーディションごとに合格者数は異なる。1から3名。


・また、アピールポイント27回の内3回まで、ストックしてある「思い出」を使用可能。
 「思い出」はさらに「good」「bad」のいずれかを選択でき
 「good」は「ボーカル」「ダンス」「ビジュアル」3種に倍率付けて同時アピール可能。
 かつ審査員興味回復。効果の印象からSTGのそれになぞらえて「思い出ボム」と呼ばれます。
 「bad」は審査員の興味減少。

・審査員は「ボーカル」「ダンス」「ビジュアル」それぞれ担当の3人がいて
 興味値が設定されており、担当ジャンルにアピールがあるごと、興味値は減少。
 ゼロになると退席してしまい、そのオーディションにおける担当ジャンル審査ポイントは
 全てのプレイヤーに等しくゼロになる。
 興味値は出場者のそのジャンル能力値が高いほど最初の量も多いが、同時に減りやすい。
 審査員は2名まで退席の可能性あり。

・この仕組みを利用し、狙って審査員を退席させ
 他のプレイヤーが獲得するはずの審査ポイントを帳消しにすることが可能。


・以上。ここで理解度テスト。審査ポイントの理論上獲得数最小最大はいくつでしょう。
 答えは最小-9、最大30。
 ここまで理解していただけたでしょうか。


・アイドル能力値、流行ジャンル、ライバルアイドルの得意ジャンル、審査員の興味残量を見て
 27回の機会を3種の内どれに振り分けていくか「思い出ボム」をいついくつ使うか、の勝負。
 得意ジャンルをとにかく押さえれば良いわけでなく、
 3位までは1位と同じポイントが得られることを充分に活かして
 確実に取れるジャンルとライバルが狙わないジャンルを上手く振り分けるのが要点。
 また審査員退場も序盤から当たり前に狙っていく、起こされる戦術として確認が必要。


・とっつき悪いですが、しかしこれは実に良く出来ています。
 アイドル性能が例え6人中で最低でも、アピールの仕方次第で勝利可能。
 実際下から3番目のDランクで最上位のSランクに勝ったこともあります。
 慣れれば簡単。むしろ簡潔明快解り易く、それでいて対人戦の駆引きが奥深くあり
 高レベル6人の読み合いは実に白熱、素晴らしく面白いです。

・どのタイミングでどの審査員にお引取り願うか。
 あと何度のアピールポイントで他の5人はどう手を打ってくるか。
 あるいは足を引っ張って、あるいは擬似的に手を組んで。
 2分の間に濃密な駆引きが最期の瞬間まで繰り広げられ
 そして合格発表の瞬間まで勝者は杳としてわからない。
 「オーディション」はこのゲーム最大の華です。



・獲得ファン人数がSからFまで7つの「アイドルランク」として区切られています。
 ランク上昇時に「イメージ」数値上昇。
 ランクごと会話イベント内容が異なり、ゲーム進行の目安とも言うべきもの。

・活動週において達成すべきランク、「次ランクまで何週以内」という達成ノルマがあり
 ノルマが達成できなかった時点でゲームオーバー活動停止。
 「お別れコンサート」を行いエンディング。
 
・引退時の成績に合わせ、プロデューサーランクが上下。
 そしてアイドルユニット消滅、2度とそのユニットで再プレイ不可能。
 失敗してもリセットボタンは無いし、ユニットカードを引抜けない。
 やり直しはできない。アイドルになるチャンスは唯一度きり。
 

・ただし、プロデューサーは現実世界でお金の続く限り、何度でも繰り返せます。
 1ユニットだいたい40から最大で60週。1プロデュースおおむね\6000から\10,000。
 値段設定は高く見えますが1プレイも長め。
 「レッスン」「会話」でも5分強、「オーディション」であれば確実に10分以上。
 1プレイ\200で育成SLGの1週間、とすると高く感じますが
 実際遊んで他と比較してみると、それほど差を感じるわけはない。
 もちろんそこにどれだけの価値を感じるかは人それぞれなのですけれども。
 
・そしてまたコインを投入すれば、引き続き新しいアイドルをプロデュース可能。
 今度こそより長く、より上手に、より高いレベルのアイドルを育て上げるために。
 



・以上説明終わり。

・では改めて『アイドルマスター』というゲームを眺めてみましょう。


・『アイドルマスター』はアーケードであることを活かした対戦育成SLGです。
 『ダービーオーナーズクラブ』、『ドラゴンクロニクル』、そしてその先の発展形。


・家庭用機の育成SLGと違うのは1プレイを10分以下程度に細かく区切られながら
 その短時間で満足でき、また繰返し長く遊ぶ気にさせる、という構成であること。

・そのひとつが対人対戦の駆引きの楽しさ。
 競馬でレース展開を支持するより、ドラゴンに次何をどうするか指示するより、
 より奥深い対人対戦を実現している点。

・もうひとつがキャラクターゲームとしての価値付加。
 ありていに言って、馬やドラゴンを育てるより、娘やアイドルを育てる方が当然楽しい。
 

・『アイドルマスター』はアイドル育成SLGアーケードゲームとして上手く成立させた形。
 その対戦が新しいし、アーケードにおけるキャラクター育成ゲームという点も新しい。
 そこが魅力。そこが価値。
 アーケード流対戦育成SLG。それがナムコの『アイドルマスター』。
 見た目は変ですが、中身は決して変ではなく、一流の面白いゲームです。

『アイドルマスター』はなぜアーケードゲームか


・以下ゲームマニア向けにだらだら思い付きを書き流します。



・育成SLGとしては『プリンセスメーカー』直系発展形を思わせる作品。

・世に育成SLGと呼ばれるものは沢山あるのですが
 どうもして、『プリンセスメーカー』にある対象キャラクター能力値上げ下げの面白さを
 そのままに受け継いで発展させた作品は中々にありません。
 あるいは『ときメモ』の方へ。あるいは『シムシティ』『ダビスタ』のほうに。

・むしろ直にその影響を残すのは『アンジェリーク』や
 『エラン』(http://www.visco.co.jp/prdc/elan/elan_con.html ASIN:B00005OV76)、
 『かえるの絵本』(http://www.infinity-soft.co.jp/kaeru/kaerutop.html ASIN:B00005OV2Z
 など、ぬるめRPGの1要素として。お手軽視覚にわかりやすいであるからでしょうか。
 そんな中で『プリズムコート』(ASIN:B000069SN1)はむしろ珍しいのかも知れません。


・なぜ『プリンセスメーカー』系育成SLGが少ないのか、は
 『雪道』の項(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20051118)にも書きましたが
 育成の評価判定が最期にしかないからです。
 それを転換させたのが『ときめきメモリアル』。ステータス数値がイベント起動条件。
 明らかにこちらのほうが仕組みとして上。

・『アイドルマスター』は、ただアイドルの能力を上げていくだけのゲーム。
 能力を成長させるのが、必ずしも目標に対し必要でないことが
 旧式育成SLGプリンセスメーカー』を思わせたる所なのですが
 違うのは、「対人対戦による育成評価を常に発生させることができる」こと。 
 育成の結果に評価があるのでなく、対戦、他との比較のために育成がある。
 その転倒が新しい。

・そしてこの仕組みに「アイドル」を持ってきたのが実に上手い。
 「娘」と「プリンセス」、そして「アイドル」。
 『ぼくらの太陽』に「吸血鬼」を持っていかれた時の「やられた感」です。




・さて次に欠点を並べてみます。大きく分けて3点。
 

・その1。育成と対戦の時間配分。
 上にも書いたように、「育成パートと会話イベント」を選んだ週と
 「オーディション」を選んだ週とでは、プレイ時間が違います。
 これは良くない。

アーケードゲームではコインを入れることで自らの腕に「賭けて」いる以上、
 ゲーム上手ければそれだけの見返りがなければならない。
 でなければ上手くなろうとしない、すなわち長く遊んではもらえないからです。
 その見返りはゲーム内のスコア、アイテム、データ内容での優遇や
 スコアランキングへの登録、プレイ時間の延長などのゲーム外でのもの、と様々。


・例えば、「オーディション」エントリー待ち時間にするべきことがない。
 「オーディション」に合格してアイドルがテレビで歌っている間にすることがない。

・それは例えば競馬のように、そこに「賭けて」いるものがない、
 注目して画面を見る必要のない「遊んでいない」時間です。
 遊ぶためにお金を払っているのに、お金を「賭けれない」。

アーケードゲームの時間管理は
 家庭用機のセーブロード時間とは比較にならないほどに重要です。
 常に1秒といえども遊ばせなければならない。遊べなければならない。
 1プレイで上手いほど長く遊べる構造、または誰でも同じくらい遊べるゲーム。
 そのどちらも満たしていない。そこが本作の欠点その1。



・その2。キャラクターゲームとして上手くない。
 これはこちらの指摘を参照。

 最強の伊織派blog: アイドルマスターの萌え構造 http://sfrenatezze.com/ioriha/2005/12/blog-post_16.html
 (「好き好き大好きっ」2005年12月17日より http://www.ne.jp/asahi/yu-show/sukisuki/200512b.htm#20051217


・用意されたアイドルは10人、内双子1組の9パターン。
 けれど個々の性能差が小さく個性に乏しい。
 育成SLGとして見て、初期能力値を成長させ易さで均せば、然程に差がないのは
 対戦との両立を図るためにの迷いがあったのかもですが
 ユニットを組むこと、デッキカードゲームほどにではないにせよ、組み合わせることで
 より能力に個性を持たせられたはず。

・逆に言えば「アイドル育成ゲーム」かつ「設定を持つキャラクターゲーム」、
 その両立が根本的に相性悪いのかも知れません。

・「対戦用の駒」と「アイドルキャラクターの個性」をかみ合わせた結果として、
 引退というエンディングが必ずある育成SLG
 常に勝敗の不確定な対人対戦を置くことで
 スケジューリングを調整していく過程。これがこのゲームとしての底で
 そこがつまり『プリンセスメーカー』のように思わせる。
 新しいジャンルを作りだす発展が見られません。


・上に言われているように、個性を寄り立たせる「キャラクター複層化世界観構築」、
 結果のストーリー生成によるキャラクターへのフィードバックはまるで生きていませんが
 これはアーケードゲームが押さえるべき点だけを
 慎重に踏んだ結果であるのかもしれません。
 むしろ自動生成でなく個性を持ったキャラクターを用意するのは必然であるとするならば
 なぜそれを活かさない対戦形式にしたのか。

・この点『ファイアーエムブレム』というと明後日に行きますが
 『機動戦士ガンダム 0079カードビルダー』辺りに注目して見ても良いかも。
 それともナムコ版『クエストオブD』たる『ドルアーガオンライン』(http://www.druaga-online.jp/)か。



・その3。難易度調整。

・このゲームの難易度を定めるのは実に難しい。

・繰返しプレイが、ややお金の問題があるとは言え、前提であるゆえに
 熟練プレイヤーも低ランクに当前存在し
 逆に高ランクプレイヤーが必ずしも経験豊かであるというわけではない、
 という状況が『三国志大戦』とはまた違った理由で起こりうるのは面白いところで
 本作の個性ともいえるところでしょう。
 それを活かす、例えば協力システムが一切ないのもまた欠点ではありますが。


・プレイヤー総数によって難易度調整の必要があります。
 この対戦システムは、合格者数以上にプレイヤーが揃わなければ面白くない仕組み。
 6人の対人で足を引っ張り合ってこそ面白いゲーム。
 『四つの剣』でCPU戦を行なうはかけらも面白くありません。
 キャラクター性能ではなく、勝負結果で脚切りする種の対戦ですから
 育成SLGとみたプレイヤーが、必然避けられない上位を除いて避ける傾向にあるのが
 コミュニティを見て窺えます。

・審査員ポイントの「星」や駆引きの様から
 福本伸行カイジ』「限定ジャンケン」を思わせる本作の対戦システムですが
 自動調整が働かない仕組みであるのは、さらにまだ発展の余地あると見るべきでしょう。




・『アイドルマスター』は、蓄積があまり必要でないゲームです。
 金銭面にもプレイ時間経験からも。

・『三国志大戦』や『クエストオブD』は最初に\10,000以上の投資をしないことには
 まともに世間並みへ付いて行けません。
 対戦駆引きの奥深さについてではなく
 デッキ構築のためのカード収集、カード操作の習熟
 装備アイテム蓄積、ダンジョントラップ対処アクションの修練。
 そういった、時間とお金を賭けなければ身につけることが出来ない要素、が少ない。

・収集要素に欠ける。それは悪いことではない。
 美点で良い点、とっつきやすい良いゲームといえましょう。

・プレイヤーの技量、蓄積によるその埋め合わせ、そして程良い時の運。
 「対戦」「蓄積」を売りとするアーケードゲームにおいて
 この対比に疎かであってはいけない。しかしそれを成し遂げるのは難しい。
 『アイドルマスター』はこの点、良く考えられて優れている。





・『アイドルマスター』は育成SLGでありながら、アーケードゲームです。
 ゲームセンターにおいてあるゲーム。

アーケードゲームであるがゆえの特性は3点。
(関連 http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20051225#p2
 専用筐体。「ガンSTG」「音ゲー」「レースゲーム」『三国志大戦』などの特殊大型筐体。
 手軽な対戦としての「場」。「格闘格闘」「麻雀」「FPS対戦」。

・『マジックアカデミー』はアーケード、ゲームセンターに置かれてこそのゲームです。
 例えばPSPに移植されても、それは格闘ゲームと同じく練習用のものであって
 ゲームセンターという「場」で
 誰かと競い合うことの価値が必ずしも減じるわけではない。
 もちろん、現在のゲームセンターと同質に整備されたオンライン環境が
 家庭用に用意されるならば、家庭でない「ハレ」の場である以外には
 この価値は減じます。ゲームセンターは家より遠い所にあるのだから。
 

・画面のきれいさは家庭用ゲームと比較して既に売り物にはならない。
 ではアーケードでこそ、実現できるゲームとは何か。
 それは上2点を活かして家庭用ゲーム機でしか出来ないと思われていたことを取り込むこと。

RPGSLG
 1プレイに長い時間が掛かるのが当たり前、
 3分\100のアーケードにはまるで合わないと思われていたゲームジャンル。
 しかしカードシステムでプレイデーターが記録できることで、それが大きく変化した。
 協力してダンジョンに潜れるオンラインRPGを手軽に楽しめる。
 育成した愛馬を他のプレイヤーと手軽に対戦勝負することができるゲーム。



・上記参照サイトの末尾から引用。

 いってみれば、アイドルマスターはお金が掛かるゲームだからこそ生きる。
 いくらでもコンティニューを繰り返せる家庭用ゲームになったら、この緊迫感はない。
 今私らが楽しんでいるようなものは得られない。

・これは『アイドルマスター』に限るものでなく、アーケードゲーム全てに言えること。
 

アーケードゲームは遊びたいからお金を入れる。
 面白いと思われるから、期待値より最初のプレイ料金が低いからこそお金を入れる。
 これは場の特性もあります。
 ゲームセンターはどこにでもあるわけではない。
 まして大型筐体を置く店は限られている。
 そういう場所に現在居るからこそ、家庭用ゲームの用に腰を据えて品を定められなくとも
 遊んだこともないものにお金を払うのだ。


・それだけではない。1プレイを短く、繰返し長く遊んでもらわなければならない。
 つまり最初に入れたお金の分以上に満足できそうだという期待を次の1回に、
 「賭けたくなる」ようでなければならない。

・賭博と同じ。明らかに賭けないほうが損失は少ないことが自明でありながら
 期待できる見返りの多さが、賭ける金額の持つ期待値との平衡を超えると
 錯覚できる状態を作りだすこと。
 その点生命保険は宝くじなぞとは比較にならないほど良く出来ています。


アーケードゲームの特性はそれです。
 お金を賭けた以上、このゲームは今は期待以上には面白くなくとも、
 いずれ期待以上に面白くなくなければならない、と期待させ続けなければならない。
 自分に対し。また製作者はプレイヤーに対して。
 それがアーケードゲームを遊ぶときのみ感じる高揚たる期待感で
 価値ある面白さと錯覚させるために、なくてはならないものである。



・『アイドルマスター』は家庭用版も計画にあるらしい。
 果たしてどのようなゲームとなって来るのか。
 それを思うだけで楽しめるのだから
 『アイドルマスター』は間違いなく面白いゲームであります。