ああ われもなりたし ハードメーカー その2


・前回の「ナムコがゲームハードを作ろうとしていたのですね、驚き」
 という話の、続きでございます。


・ゲーム業界史をやり始めたらきりがないので
 本題の「ハード新規参入の可能性」という点に絞って
 話を進めさせていただきます。


・まずファミコンありき。
 所詮おもちゃのひとつ、一過性のブームに終わるか、
 と考えられていたものの、そうではなかった。
 任天堂が大きな先行利益を得るのを見て
 他社もこれは儲かる、わが社も参入するべき、
 となるかと素人目には思われるのですが
 なぜかゲームメーカーはもちろん、家電業界の動きも無し。


・ここまでが前回の話。


・PCエンジン、メガドライブが追撃するなか
 ’90/11/21、任天堂からスーパーファミコンが発売されました。
 ちなみにネオジオも同年。
 
・当初検討されていた、ファミコンとのソフト互換機能は搭載されず。
 任天堂、開発第二部部長の上村雅之氏によると

 実はSFCでFCのソフトを動かしたかったんですよ。
 CPUも、6502(FCで使われているCPU)の
 エミュレートモードがついたものを採用したんですよ。
 ところが、あれだけの数のソフトがあって、
 しかもROM自体いろんな種類のものを使ってる。
 だから、完全な互換性を保つのが難しかったんですね。
 (中略)
 今から考えたら、無理して全部のソフトを動かさなくてもよかったんですよ(笑)
              ユーズドゲームズ vol.15より 

ユーゲーはなにげに偉い人にインタビューしているのであなどれないですな。
 

・SFCは大ヒット。
 PCエンジン、メガドライブの先行アドバンテージなどあってなきが如し。

・携帯機のゲームボーイにもライバルはなく、
 このまま任天堂の天下が続くか、と思われました。

・パイオニアの「レーザーアクティブ」
 富士通の「FM TOWNS MARTY」
 いずれも失敗。
 家電メーカーには、ゲーム業界がわかっていなかったさまが伺われます。


・FCから10年。SFCには大きな問題点がありました。
 それは価格の高さ。
 今、当時のソフトを見ると信じられない価格がついています。

 
・例えば先日、PS2で5のリメイクが¥8,190で発売されたドラゴンクエスト
 
・その価格は、1 86.5.27 FC  ¥5,500
       2 87.1.26 FC   ¥5,500
       3 88.2.10 FC  ¥5,900
       4 90.2.11 FC  ¥8,500
       5 92.9.27 SFC ¥9,600
       6 95.12.9 SFC ¥11,400
       7 00.8.26 PS  ¥7,800 といった具合。


・当時はロムカセットの価格高騰によるもの、と説明されていましたが、
 それにしてもSFC末期のソフトは高すぎです。
 いまなら下手すれば本体が替えてしまいそうなお値段。
 それでも売れていたわけですから、
 バブル経済の影響だ、などと景気のせいにもしてみたくなるもの。


・’94、次世代機が次々に発売されました。
 いずれも媒体はCD、ソフトの低価格を実現。

・3DOの発売が10月、、
 サターンが11月、プレーステーションが12月、
 ついでにPC−FXも同月。
 
・一方任天堂の後継機、NINTENDO64は’96/6発売。
 同時発売のスーパーマリオ64は¥9,800。


・なぜPSが成功したのか、はまた話が長くなるので省略しますが、
 その理由のひとつは任天堂が失敗したから。
 10年に渡る業界の盟主としての地位による慢心でしょうか。



・ハード新規参入の可能性。
 まずその資格。ハードを発売できるか否か。
 メーカーになるためには資金と技術が必要です。

 
・優れたハードを作り出す技術。
 メーカーにならば、あった方がよい。
 
・というのは、お金さえあればハードは作れるからです。
 何も自社で全てを作る必要はないわけで、
 単純に言うなら、規格だけ決めて箱は電機メーカーに作っていただく。

・当然、それなりに利益を持っていかれるので
 自社で賄えるならそれに越したことはないわけですが。
 
・ハード開発技術というと、セガのようにアーケードで基板を製作している所が
 ゲームメーカーのなかでは力がある所といえるでしょう。
 ナムココナミカプコンタイトー、今は亡きSNKなどですね。

 
・資金。
 アルゼとかサミーなどが浮かんでしまうのは
 私がパチンコをやらない人だからでしょうか。
 マイクロソフトはこちらに属するのでは。
 もちろんゲームハードは基板をそろえればよい、
 というだけのものではないですけれども。

・ようするに、資金さえあればゲームハードに参入は出来るわけです。
 その初期投資に見合うだけ成功できるかどうかは別にして。
  
・大手ゲームメーカーは皆がみな、お金があるわけではないです。
 

・次にタイミングの問題。どの時点で参入するか。
 
・性能は後ハードの方がより安く、高性能になるのは当然。
 現行主流ハードがへたるのを待ちつつ
 かつそのハードの後継機が市場を確立する前に
 ある程度のシェアを得なければならない。



・さて、ナムコはPSの発売前、自社ハードを開発していました。
 なぜ発売しなかったのかは、
 前回冒頭のファミ通記事によれば
 技術面でソニーに劣り、
 資金面で不安を抱えていたから、とのことです。

コナミならどうだったのか?
 なぜセガは自社ソフトを持たないソニーに負けたのか?
 なぜ他のメーカーはハードメーカーになろうとしないのか?



・さて最後に、ここまで長々と書いておいきながら
 全く逆のことを言わせていただくと
 そういうことはどうでもよいのです。
 おもしろいソフトさえ遊べれば。

・ただ、ゲームの面白さを知っているだけに
 もっと大勢の人にこの面白さをしってほしい。
 しかし、ゲーマーで無い人がゲームソフトを選ぶとき
 間違いなく良いものを選んでくれるでしょうか。
・音楽CDにせよ、書籍にせよ
 そのとき購入したものがたとえつまらなくとも
 ゲームのように
 「その媒体そのもの」を、嫌いになることは無いと思うのです。

・ゲームをやらない人にどのゲームを買ってもらえばいいのか。
 悩むことなく、どれでも各人の嗜好に有ったものを買えばよい、
 と言えるまでにはゲームはまだ成長していません。
・それはまだゲーム業界が幼いから。
 
・統一ハードを出せばいい、と言うのではなく
 ゲームハードのあれこれなどマニアのトリビアルな知識で充分。

・だれが遊んでも面白いゲームが遊びたい。


・マニアはどうでもいい知識をこねくり回して
 悦に入るものなので。
 このような駄文を書き散らしたりするのです。

・マニアが何を言おうが、売り上げが伴わなければ
 何も変わりはしないのです。
 ゲーム業界はもっとマニアを無視し、大衆に媚びるべき。
 もっと大人になるべき。




・ああ、またわけわからない内容に。
 次からはまともにいきたいと思います。
・次回以降の予定は
 「ゲーム批評vol.56」「文学賞メッタ斬り!
 以前からの宿題の「マンガ原稿料はなぜ安いのか?」
 「ドラクエ5」「塊魂」「戦国無双」なその感想
 昨年自分ベストゲームの「東方妖々夢」「天外魔境シリーズ」の紹介
 などを取り上げる予定。予定は未定。
・ああ時間が欲しい。毎日更新している人たちは凄すぎます。