「アドベンチャーゲーム」の難易度


・「アドベンチャー」は「冒険」という意味ですが、
 そういうタイトルのゲームがその語源だとか。
 なぜ文章を読み、選択肢を選ぶタイプのゲームが
 いまだにそう呼ばれているのかは、ちょっと謎です。
 プレイヤーが主体的に関与する謎解き要素をゲーム性の主とするシステム、
 とでも言えるでしょう。
 

・「アドベンチャーゲーム」(以下AVG)というと
 「いどう」「はなす」「しらべる」などのいくつかのコマンドを選択し
 事件を解決するゲーム、というイメージです。

・私的には『ポートピア連続殺人事件』。
 なあヤス、ちょっと背中を見せてくれないかい。

・もっとも最近では、昔ながらのコマンド選択方式は敬遠され
 いわゆる「ノベルゲーム」、
 文章を読むことを主とし、文間にいくつかの選択肢を選ぶもの、
 がAVGの主流となっているようです。
 

・コマンド選択式のAVGは「本格推理もの」という分類になるようです。
 本格です、初心者お断りの歯ごたえあるゲームです、
 つまりは上級者向けの難しいゲームですよ、ということに。

・『逆転裁判』は『神宮寺三郎』シリーズや『ミッシングパーツ』などの
 探偵ゲーム、ディテクティブアドベンチャーに分類されるでしょう。


・『逆転裁判』は難しいのでしょうか。

 
・もちろん人それぞれ回答は異なりますが
 わかりやすい、と思わせるように出来ています。
 それは上に述べたように、段階ごとにプレイヤーを納得させて
 先に進むようになっているから。

・本作は矛盾を突きつけ事件を解決していくゲームですが
 答え(ゲーム内での正解)に矛盾を感じる点がないわけではありません。

・しかしながら、引っかかる所はあるものの
 全体の評価を傷をつけるものではない。
 プレイヤーにとって、話の筋が矛盾しているかは
 結局重要でなく
 驚きのある、予想を超える話の展開であることが
 ゲームに求められること。


AVGに欠けている重要な点は
 なぜ「そうする」と「そうなった」かを説明すること。
 
・プレイヤーが介在するため、製作者の思い通りには話は展開してくれず
 同じ場面で同じ証拠を突きつけるにしても
 製作者が考える内容とは全く違う意図でプレイしているかもわかりません。

・その思惑の差異を埋めるのは
 「なるほど、こうしたからこうなったのか」
 と納得させること。

・『逆転裁判』が優れているのは、携帯機ゆえに必然となる
 そのシンプルなシステム。
 「そうする」と「そうなる」の関係がシンプルゆえに明確。


・コマンド選択型AVGは、なぜ次のシーンに進むのに
 そのコマンドを選ばねばならないのか、明確でないものが多い。
 こう考えて欲しいのだな、という意図はうかがえますが
 多くは「ゲームであるため」に作られた、障害でしかないのです。

・選択肢の正否判断幅が難易度となりますが
 簡単すぎれば真意が伝わらず、難しすぎれば遊んでもらえない。

・例えば小説は誰にでも詰まることなく読み下せます。
 作者の思い通りの展開で。

・気まぐれなプレイヤーをいかにコントロールするか。
 その場面で、どうひねくれてもそう考えざるを得ないように
 話の遊びをきつくするか、
 もしくはノベルゲームのように、プレイヤーをお話の読者として扱うか。
 
・難しいですが、万人向けの選択肢幅、すなわちAVGの難易度設定を
 成し遂げたゲームはまだないようです。
 もちろん『逆転裁判』も。


・プレイヤーが主体的に関与する謎解き要素をゲーム性の主とするシステム。

・プレイヤーが頭を使わず読み下していくだけならそれはAVGではないし
 意図が解らない、製作者の自己満足の障害と思われてもいけない。

・小説では、読者に作者の思い通りに手を止め
 謎の回答を考えてもらうことはできません。
 そこがAVGの「ゲーム性」の利点。
 しかしそれを生かしている、
 考える楽しさを得ることが出来るゲームは数少ない。

・『逆転裁判』は明らかにプレイヤーが考えなければならないポイントを
 数多く、しかもわかりやすく設定した稀有なゲームであり
 間違いなくAVGの歴史に残る傑作です。



・そしてゲーマーはより優れた、新しい面白さを求めてしまうのです。
 より面白いゲームを。
 『逆転裁判』。面白いゲームをありがとうございます。