ゲーム批評 VOL.57

kodamatsukimi2004-06-27


 マイクロマガジン社 6月3日発売 ¥780

 公式サイト http://www.microgroup.co.jp/game/

・今回の特集は「珍ゲーで、何が悪い 〜新しさはこうして生まれる〜」
 「買ってはいけない攻略本 -賢い選び方お教えします!-」と
 「モンスターハンターを楽しめ!」の3本。



・「珍ゲー」。初めて聞く名称です。
 Googleだと80件程度。「珍ゲーム」でも320件。微妙。
 例としては、最近では「塊魂」「幸福捜査官」などとか。

・ようは、シリーズものばかりで新しいジャンルが出てこないのはなぜか、
 という観点からみた特集のようであります。


・どんなゲームジャンルも最初の1作目は珍ゲーム。
 斬新で、変わったゲーム。
 例えば「バイオハザード」「バーチャファイター」「テトリス
 「ビートマニア」などなど。

・なぜシリーズものばかりが売れるようになってしまったのか、
 ということで挙げられているのが
 ・食べず嫌い
 ・意欲作を完成度が低いからと見落としている
 の2点。

・歴史の名を残すか、埋もれるかは売り上げが決めてしまうのだ、
 と締めています。


・食べず嫌いはやめて、意欲作にも挑戦してみよう。
 その通りなのですが
 だからといって完成度が低いものまで買わなければならないのでしょうか。

・「バイオ」にせよ「バーチャ」にせよ
 確かに現在からみれば粗があるようにみえるものの
 発売当時は他のシリーズソフトと比べても
 同等以上の完成度を持っていたからこそ
 売り上げという結果を残せたのです。

・斬新な新しい面白さがある、というだけでは売れない。
 完成度を上げる、ということは斬新さと相反することではないでしょう。
 斬新なゲームアイデアを形にするよりも、ずっと容易な事です。


・例えば、この特集でも取り上げられている
 SCEの「ブラボーミュージック」。
 このゲーム、私は大好きなのですが、大嫌いです。
 クラシックの名曲をPS2の内部音源で鳴らすことで
 プレイヤーが自在にオーケストラを指揮し
 好きなリズムで奏でることができる、
 とても楽しいゲームです。素晴しいゲームシステムです。

・しかし致命的なまでに完成度が低い。
 ロードが長い、グラフィックが手抜き、
 なぜ自分が間違えたのか解り辛い。
 せめて強弱を別のボタンに割り振ってくれれば。

・何より、もろもろの不満点が
 PS2だけで4作出ているのに、全く改善されていないのが許せません。
 収録曲を変えただけで他を何も変えずに新作として出すとは。
 そんなゲームにお金を出す気にはなれません。


・珍ゲーム結構。どんどん出して欲しいです。
 まだ、ゲームには今までにない面白さが沢山あるはず。
 ただ、開発する側も商売なら、売り上げを残したいならば
 しっかりと作っていただきたい。
 
・歴史に名を残すソフトは、斬新だから残っているのではなく
 単純に他と比べて面白いから。
 完成度の低い、面白くないソフトが埋もれるのは当然です。
 次回作に期待するため、お布施として完成度の低いものを買うほど
 プレイヤーは寛容ではありません。



・次は「買ってはいけない攻略本」。
 ソフトとの同時発売本とコンプリート本との違い、メーカーの情報規制など
 わりといまさらの内容。
 攻略本はゲームになくてはならないもの。
 もっと大きく特集して欲しかったところです。


・このサイトでも3月5日に
 攻略本の存在意義 「サガフロンティアアルティマニア」(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20040305
 としてちょっと書いてみたわけですが
 攻略本は、ゲームのプレイ前、プレイ中、プレイ後と
 3段階で活用の違いがあります。 


・まずプレイ前。ゲームのガイドブック。
 次にどのゲームを買おうか、という際に参考にするのは
 友達の話であったり、ネットサイトの紹介文であったり
 ゲーム雑誌の記事だったりするわけですが
 攻略本もまた、プレイしてみたくなる気を起こさせる、
 ゲームにとっての大事なガイドブックです。

・良質な攻略本、見て読んでいて楽しい本であれば
 やはり元となるゲームも面白いだろう、と思います。当然です。


・プレイ中は、攻略の手引書。
 複雑なゲームシステムの理解の助けに。
 さまざまに仕込まれた隠し要素を見逃さないため。
 詰まった場所でうろうろして、プレイ意欲をそがないために。


・そしてプレイ後。ゲームの副読本。
 一度クリアした後。
 再びそのゲームを楽しむために。
 設定資料で世界に親しみ
 隠された真実を求めるため
 プレイヤーは再び飽くなき道に踏み込むわけです。


・ゲーム世界への導入のガイドブックとして、
 プレイ中の手引書として、
 ゲームを手放せなくなる、副読本として、
 優れた攻略本はこの3要素を満たし
 ゲーム本体と不可分の位置を占めるのです。


・だから攻略本は安泰か、と言うとそうではなく
 ネットの紹介サイト、攻略サイト、ファンサイトも同様の働きをするもの。
 質の低いものは淘汰されるだけ。
 
・しかし、現在も攻略本の質は千差万別。値段も様々。
 立ち読みされては買ってもらえないので中身は見えない。(これは仕方のないことですが)
 
・ゲーム製作側は、攻略本の存在意義の重さを
 改めて理解するべきではないでしょうか。
 ゲームソフトを中古に流されないためにも。
 プレイする側もその質の良し悪しを判断して買う必要があります。
 まあ中身の確認は難しいのですけど。



・とまあそんなところで。
 「モンスターハンター」はプレイしていない身ではどうこういうでもありません。
 ではまた次回。