著者;イダタツヒコ 小学館 サンデーGXコミックス
6月18日発売 ¥533 ISBN:4091571654
・マイナーなマンガです。B級です。
・マンガにもいろいろありまして
長く語り継がれる歴史的名作もあれば
一度読んだら電車の網棚、単行本化もされないものまでさまざま。
・映画やゲームは会社がつぶれない限り、商品として保存されますが
マンガや小説は一部を除いて忘れさられる運命。消費物です。
・その差はどこにあるのか。
他なら知らず
マンガであればその作品の質の優劣にあるといえるでしょう。
・マンガはとても読みやすい。消費しやすい。
映画よりも小説よりも新聞記事よりも、ゲームと違いだれにでも読める。
・ゆえに埋もれる作品は少ないのです。
優れた作品は他の媒体と比べて売れるし、残りやすい。
・作品の質の優劣とは何か。
エンターテイメント、嗜好品だから求められるのは面白さ。
ためになるから、泣けるから、笑えるから。
読んで面白いかどうか。それがすべてです。
・でも、同じものを読んでも面白いかどうかは人によって異なる。
・個人の主観を超えて、作品ごと優劣があることは確か。
・どちらが正しいのか。どちらが優れているのか。
・今回の「美女で野獣」は前者。
だれもが認める優れた作品(A級)ではなく
ただ、私の感性、趣味、嗜好に合って面白いと感じるもの(B級)。
・ちなみに前回5/29(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20040529#p1)
の例ならば
「エマ」「ハチミツとクローバー」はA級、
「きせかえユカちゃん」はB級でしょうか。
・なにか異論がありそうな結論ですね。
「エマ」はBプラスといったところかな。
・さて本題「美女で野獣」。
月刊サンデーGX(ジェネックス)連載。
サンデーGXというと「新暗行御史」、島本和彦さんの「吼えよペン」。
サンデーGX公式サイト http://websunday.net/gx/
最新刊は6月19日発売。
・「新暗行御史(しんあんぎょうおんし)」は
韓国の尹仁完(ユン・インワン)、原作者の梁慶一(ヤン・ギョンイル)、
お二人によって描かれる実力派の作品。
比べても意味のないことですが
日本の一流と呼ばれるマンガと比べて何ら遜色ない内容。
「吼えよペン」は「燃えよペン」の続編。
著者自身をモデルにマンガ家の熱い、暑くるしい執筆活動を描いた作品。
「吼えよ」はともかく、「燃えよペン」の方は是非一読をお勧めします。
・看板の両作も含めて全体的にマイナー感漂う紙面。
「エマ」のコミックビームはかなり先鋭的で
マンガマニアを意識した内容ですが
こちらはかなり中途半端。
小学館的には、ビックコミック系、ほど年齢層が高くなく、
少年サンデー、同超(スーパー)ほどメジャー性もなく、
かといってヤングサンデー向きでもない、といった分類でしょうか。
参考 小学館コミック雑誌 http://www.shogakukan.co.jp/magazines/z02.html
・著者イダタツヒコさんはホラー系の作品が多いマンガ家。
「外道の書」「ブレイド」「HeRaLD」など。いずれにせよマイナー。
公式サイト:道楽者の泉 http://homepage2.nifty.com/tatnat/
・さてこのマンガ、ギャグマンガと私は認識しております。
読むとニヤニヤしてしまいます。ときに下品に笑ってしまいます。
人前では読めません。
・面白いです。面白いけど、言葉で伝えるのは難しい。
著者得意のホラー、内面の狂気的な演出。
そこかしこに散らばるB級アクション映画などなどの小ネタ。
実に男前な主人公、一茜(いちもんじあかね)、
茜が大好きな最強ヒロイン毒島リリカ、
等々の実に個性的で愛すべきキャラクターたち。
・シリアスな展開、手に汗握るアクションシーン、
全てが笑えます。
話ごとの落ち、カバー裏のくだけたまんが、
著者が自分の好きなように、書きたいように描いている。
その楽しさがつたわって単純に楽しめます。
・単純でシンプルでまんがらしいマンガ。
作品の優劣でなく、そのマンガ単体で自分が楽しめるかどうか。
私にとっては「美女で野獣」は今、一番楽しんでいるマンガであり
一番好きなマンガです。
・万人に薦められるものではありませんが
くだらないマンガでだらしなく笑いたい方は是非手に取ってみてください。