ゲーム世界のきまりごと 「ことばのパズルもじぴったん」

kodamatsukimi2004-07-16



・ゲームは独自のルールで作られています。
 プレイヤーが好きなように動かして
 考えて操作するほど良い結果が得られるようにできています。


・そのルールがわかりやすいのがテーブルゲーム、パズルゲーム。
 今回はパズルゲーム「ことばのパズルもじぴったん」を例に
 ゲーム世界のきまりごとについて書いてみたいと思います。



・このジャンル名ですが、おおまかにいって
 「テーブルゲーム」は、囲碁や将棋、麻雀、トランプゲーム、ボードゲームなど、
 電源不要ゲームをテレビゲームにしたもの。
 「東風荘」(http://mj.giganet.net/)、
 お使いのパソコン(ウィンドウズ)付属の「ソリティア」などがこの例。


・「パズルゲーム」はそれ以外。たくさんあります。
 「テトリス」「ぷよぷよ」「パネルでポン
 「ディグダグ」「ミスタードリラー」「ロードランナー
 「バベルの塔」「ソロモンの鍵」「上海」
 「倉庫番
 (創庫当番 http://www.vector.co.jp/games/review/1005/1005.html
        廃刊ダメゲーマー(http://ww5.tiki.ne.jp/~metoron/index.html)より)
 などなど。


・「パズルゲーム」をジャンルわけしてみると
 例えば「カルドセプト」や「ダービーオーナーズクラブ」などはどうなるのか。

・15パズルや、サブマリンゲーム、ルービックキューブ
 ジグソーパズルなどはどうなのか。


・ひとくちにパズルゲームといっても多岐に渡ります。
 プレイヤーが主に頭を使って最適解を見つけ出すゲーム。
 操作を主としてゲーム解を探すアクション・シューティング、
 複雑なゲーム世界をコンプリートするRPG・シミュレーション。
 ゲームの面白さが単純明快であることが一つの特徴でしょうか。

・ゲーム初心者が、まず何をしたらいいのかわからない。
 どうすればいいのかを理解しやすいゲーム。 
 それは見落とされがちですが、重要なことです。



・このたび、ベスト版がお安くでました、
 クロスワードパズルのテレビゲーム化、「ことばのパズルもじぴったん」。

 公式サイト もじぴったんうぇぶ http://www.namco-ch.net/mojipittan/index.html
 
 ナムコ PS2 廉価版プレイステーション2 ザ・ベスト 
 7月8日発売  ¥1,800

 
・どんなゲームなのか。
 製品説明文よりも、Web体験版を一度プレイしてみるのが早いでしょう。

 もじぴったんうぇぶ内 無料おためし版もじぴったん http://www.namco-ch.net/mojipittan/trial/index.html


・ゲームルールが充分に飲み込めたと思います。
 クロスワードパズルに隣接マス制限と制限時間を加えたもの。

・答えがひとつではないこと。成否判断が即座にコンピューターによって行われること。
 それがクロスワードとの違いです。


・誰にでもわかる、すぐに楽しめる。
 ロード時間、バリエーション、デザインなど製品としての完成度も高い。
 ナムコらしい、斬新で充分におもしろいゲームです。



・ゲームルールをより詳しくみてみましょう。
 独自の隣接マス制限、時間制限の2つについてです。
 

・「もじぴったん」は文字をひとつずつ置いていき
 そのたびごと、隣接する文字と意味のある単語ができるかの判定が行われ
 単語にならなければ置けない、という制限があります。

・このルールでは、2文字単語を基本として3文字以上連鎖を狙っていく、
 あるいは3文字以上の多連鎖単語内から偶発的に2文字単語が発生する、という形。

・しかしクロスワードパズルと違い、手出し文字制限、隣接制限が重複して存在することで
 中入れ、後付け型の単語成立が難しくなっています。

・多文字連鎖を狙う際、上の2制限からかなりの先読みが必要になる、
 それ自体はいいのですが、その土台となる2文字単語判定が
 納得できるほどに整備されていません。


・難易度の高さを呼ぶ2文字単語判定の整備。
 ゲームの根幹に関わる点でやや残念な点です。


・難易度に関わる時間制限。
 ステージごとに相応の制限時間が指定されており
 ギブアップ以外は唯一のプレイ強制終了要素。アーケードゲーム的です。

・制限時間の設定自体はやや高難度であるものの、
 挑戦意欲をかきたてる、一手戻しの待った制限がないことからも妥当で
 よく調整されています。


・しかし重ねて言うように隣接マス制限、時間制限の2つがあることで
 難易度はかなり高いものになってしまっています。
 偶然のデタラメ単語成立にたよるプレイスタイルが
 製作者の意図するものではなかったはず。

・その難易度上昇加減がやや単調さを生み出してしまっている。
 時間をただ掛ければいいのではなく、頭を使って解を得るのが本義。、
 この点さらなる工夫が欲しかったところです。


・苦言を呈してみたわけですが、体験版をプレイしていただければわかるように
 間違いなく名作の手ざわり。
 お値段も¥1,800。(ついでにやくみつるもいなくなったし)
 是非お試しください。



・「もじぴったん」の隣接マス制限、時間制限を
 オプションでオフにすることができたとすれば
 まったく別のパズルゲームになるでしょう。
 そしてそれはそのままでは物足りないゲームになります。

・「もじぴったん」はきめられたゲーム世界のルールの中で
 プレイヤーが楽しめるよう作られたソフト。
 ルールが変われば、また、面構成、あらたな制限、達成要素などの
 新しいゲーム世界のバランスが必要になります。


・ゲーム世界のきまりごとがそのゲームの面白さを作っている。
 よいルールと、それを支えるゲーム世界のつくりこみ、完成度。
 面白いゲームはプレイヤーがどうすれば面白いかを考えてルールをつくり
 それを阻害することなく、十全に堪能できるようゲーム要素を配置します。


テーブルゲームの例にあげたものは
 どれもが長い年月の中、磨きぬかれた至高のルールを持つゲームたち。
 しかしながら、同じルールのゲームでも
 ソフトごと、面白さに差があります。
 その差とは、製作者がどこが面白さなのか理解しているか、
 からくるものではないでしょうか。


・テレビゲーム独自のパズルゲーム。
 独自の面白さを作り出すことができるこのジャンルでは
 これからも、斬新な、わかりやすい、頭をつかう楽しさを感じられるゲームが
 遊べることでしょう。



・次回は複雑なゲームルールの世界、
 シミュレーションRPG「ディスガイア」を例にして書いてみたいと思います。