複雑ゲーム、ロールプレイをシミュレーション


・前回のお題は「複雑なゲーム」。
 ルールが難しく、たくさんあるゲーム。
 逆にルールがわかりやすい例として上げたのがパズル、テーブルゲーム

・今回取り上げるのは、複雑ゲームの代表ジャンル、
 「シミュレーション(SLG)」で「ロールプレイング(RPG)」な
 「シミュレーションRPG(SRPG)」。



・「SLG」も「RPG」も
 どちらもテレビゲームならではのもの。


・「SLG」とは
 戦争「大戦略」、戦国時代「信長の野望」、娘「プリンセスメーカー」、
 サッカーチーム「J.LEAGUE プロサッカークラブをつくろう!(略してサカつく)」
 競走馬「ダービースタリオン」、街「シムシティ」などなど多種多様。
 飛行機を操縦するフライトシミュレーター、車のドライブシミュレーターなどもこの内。
 電車でいえば「電車でGO!」。
 いろいろな事柄をシミュレートするゲーム。 

・「シミュレーション」とは、様々な問題、条件から計算して
 模擬的、仮想的実験をすること。
 対象となる現実世界の法則をコンピューター内で再現し、干渉する。
 それ自体がゲーム的で
 またリアリティに裏づけされた奥深さを表現しやすいことから
 テレビゲームとしてはつくりやすいジャンル。

・ただ、リアリティ、再現性を重視するあまり
 ゲームとしての面白さを見失っているゲームも多いです。
 リアルすぎるフライトシミュレーターなどは
 多くの人にとっては楽しさよりも面倒さのほうが先立ってしまいます。


・「RPG」とはロール(役割)プレイゲーム。繰り返しではないですよ。
 なんともあいまいな名前。
 もとは「ダンジョンズ&ドラゴンズ」などの
 テーブルトークゲームから来ているものですが
 「ドラクエ」みたいなの、というほうがわかりやすいでしょう。
 ゲームを知らない人に「ロールプレイングゲーム」を説明するのは大変です。



・では「SRPG」とはどのようなものか。

・このジャンルにもRPGのように
 「ファイアーエムブレム」「タクティクスオウガ」みたいなの、
 というべき代表作があります。
 どちらもプレイしたことはなくとも名前は知っているかと思います。
 簡単に紹介しましょう。


・「ファイアーエムブレム」シリーズ(ファイ「ヤ」ーでもエ「ン」ブレムでもないのでご注意)
 は任天堂の代表的SRPG。
 開発は任天堂のセカンドパーティ(ハードメーカーとの結びつきが強い開発会社のこと)
 インテリジェントシステムズ。(http://www.intsys.co.jp/

 上記サイト内 ファイアーエムブレムシリーズの紹介
        http://www.intsys.co.jp/fe/index.html

・「エムブレム」は、’90年に第1作目「暗黒竜と光の剣」がFCで発売、
 ’94年、1作目のリメイクとその続編を収録した3作目「紋章の謎」(SFC)、
 ’96年、親子二代構成の4作目「聖戦の系譜」(SFC)と着実に名作を発売。

・その堅実でオーソドックスなスタイルから
 SRPGのベストスタンダートとでもいうべき存在です。

・難易度はやや高め。
 戦闘でやられてしまえば、基本的に復活ができないことから
 クリアに至るまで難度もリセットすることになるでしょう。
 さらにセーブ制限もあり。うまくいったら一手ごとにセーブ、というのはできません。

・しかしそれでもやめられない面白さがあるのがこのシリーズ。
 任天堂ブランドに恥じない細かいつくりこみが随所に光ります。

・お勧めは最新作のGBA「烈火の剣」。
 GBAがなければ、あえてPS「ティアリングサーガ」(製作はエンターブレイン)。
 ファミ通エンターブレインが発売した本作、任天堂と裁判になってもめていますが
 内容はエムブレムシリーズの正等進化版。
 任天堂が認める(訴える)ほど、面白さもそのままです。


・「タクティクスオウガ」は’95にクエストからSFCで発売。
 多くの熱烈なファンをもつ作品。

・クエストといえば「マジカルチェイス」なPCエンジン派(ごく一部PC派)の方も多い中
 ’93、SFC初期に「伝説のオウガバトル」を発売。
 その斬新さ、今までにない大人向け風のストーリー、
 MODE7(画面を奥行きに倒した画面表示、「F−ZERO」が例)や拡大縮小など
 SFCの売りの機能を豪快に使ってたインパクトあるデザインなどで
 大いに名を売りました。
 その独特の作風についたファンをやきもきさせる発売延期を繰り返しながら
 ついに発売されたのが本作。

・練り込まれたストーリー、洗練されたデザイン、シンプルで無駄のないシステム、
 どの面からも至高の完成度。
 あまり突っ込みどころがない内容。完璧に近い作品です。

・「伝説」「タクティクス」両作の開発メンバーである
 松野泰巳、吉田明彦皆川裕史さんらは、その後スクウェアに移籍し
 「ファイナルファンタジータクティクス」「ベイグラントストーリー」などを開発。
 現在は「ファイナルファンタジー12」の開発中心メンバーとなっています。

・SFC版がロード時間からも、もっとも評価が高いのですが
 バッテリーバックアップの電池切れの可能性が大きいのが不安要素。
 無難にPS版(あるいはサターン版)をプレイいたしましょう。



・さて、両作を知っている方には問題ないわけですが
 知らない方にSRPGとはどういうものかを説明するのは難しい。


・「SRPG」とは
 RPGのキャラクターを1ユニット、将棋の駒として
 大戦略のように、チェスのように升目で区切られたマップで戦うもの、

・より個性的で成長要素のある駒で
 広くバラエティにとんだマップと敵メンバーに対して
 戦略的、戦術的に闘うコンピューター相手の将棋。

・RPGのキャラクターの成長、育成要素と
 シミュレーションの戦術要素を組み合わせたもの。
 ルールは複雑。
 駒の能力成長まで考える、
 何十番勝負もの将棋と考えればだいたいイメージがつかめるでしょうか。


・複雑です。 
 複雑でないゲームの例、テーブルゲームの将棋のように
 成る前の動き、成った後の動きを覚えるのとはわけが違う。
 チェスだとさらに楽ですね。



・ユニット、将棋の駒はRPGの名が付く以上、成長します。
 キャラクターの強さはどのようになっているのか。
 その例をみてみましょう。


・まず、RPGの代表「ドラゴンクエスト」シリーズ。
 キャラクターの強さは「1」(’86)「2」(’87)において
 以下のようになります。

 ステータス(=能力値)+装備+呪文

 ステータス:キャラごと固定の能力値+レベルごとの固定上昇値(1は名前による)
 装備   :武器、防具、アクセサリーによる攻撃力、防御力への補正
 呪文   :キャラごと一定レベルで得られる能力で威力は固定


・複雑化が進む「6」(’95)「7」(’00)では

 ステータス×職業+装備+呪文・特技

 ステータス:キャラごと固定能力値
        +キャラごと傾向がある上限が決まったランダム上昇値×レベル
        +各種の「種」
 職業   :ステータス及び各種耐性の補正。レベルには無関係。
 装備   :武器、防具、アクセサリーによる攻撃、防御、呪文・特技耐性への補正
 呪文・特技:レベルあるいは職業ごとの熟練度(=戦闘回数)により得られる能力
        威力は能力に関わらず一定値

 その他  :転職条件はなし
        いつでも何度でもでき、元の職業になればステータスも同じ


・さらに「ドラクエ」の手本であり、現在のRPGの原点である
 「ウィザードリィー シナリオ1 狂王の試練場」(’81)。

 ステータス+装備+呪文

 ステータス:種族ごと傾向のあるランダム能力値+ボーナスポイント
        +職業ごと傾向のある上限が決まったランダム上昇値×レベル
        ACは忍者のみ固定値減少可
 装備   :武器、防具、アクセサリーによる攻撃力、攻撃回数、
        AC(防御力。守備力と攻撃回避率、低いほど良い)の補正
 呪文・特技:特技は職業個性、呪文は職業ごと一定のレベルで得られる

 その他  :転職(クラスチェンジ)条件は規定ステータスを満たしているか否か
        レベルは1、HP以外のステータスは種族ごとの初期値まで下がる


ファミコン発売は’83。いまから23年前の初代「ウィズ」からして相当に複雑。
 ドラクエも次第に複雑になっていくようです。8はどうなるのでしょう。



・では本題のシミュレーションRPGの例として
 「ファイアーエムブレム」、「タクティクスオウガ」はどうなっているか。
 さらに複雑怪奇。


・「エムブレム」は作品ごとわりとばらばらなので
 あえてまた「ティアリングサーガ」(’01)を例に。

 ステータス×地形効果×熟練度×撃破数×支援効果+装備+スキル

 ステータス:キャラごと固定能力値
        +キャラごと傾向があり、クラスごと上限が決まったランダム上昇値
         ×アイテム補正×レベル
        +各種の能力値上昇アイテム
 地形効果 :地形ごと命中・回避率補正、移動コストがかかる
 熟練度  :マップ属性、敵種族、武器種類ごと命中率、回避率に補正
 撃破数  :武器ごとの使用回数によるクリティカル発生率補正
 支援効果 :ユニット(各キャラクター)ごとに決められた命中・回避率補正
 装備   :武器、防具、アクセサリーによる攻撃、防御、ステータス全般、
        呪文・特技耐性への補正
 スキル  :クラス(職業)ごと特定レベル、あるいは、イベント、アイテム、訓練所で得られる。
        攻撃・防御補正、パラメータ補正、及び特殊コマンドがある

 その他  :クラスは各キャラ固定。
        クラスチェンジはレベル10以上かつ数が限られたアイテムを使用、
        または特定キャラのみイベントでチェンジ
        レベルは変化せず、能力値、レベル上限が上昇


・「タクティクスオウガ」(’95)

 ステータス×職業×地形効果×方向×エレメント×天候+装備+呪文・特技
  +WT(ウェイトターン)

 ステータス:キャラごと固定、あるいはクラスごと傾向あるランダム能力値
        +クラスごと固定上昇値×レベル
 クラス  :特定クラスのみ能力補正あり(例;ドラグーンのドラゴンへの攻撃)
 装備   :武器、防具、アクセサリーによるステータス、各属性耐性への補正
 地形効果 :地形ごと命中・回避率補正
 方向   :ユニットの向きが魔法を含むあらゆる攻撃の命中・回避に影響
 エレメント:攻撃・魔法威力および地形効果に補正がかかる
 天候   :魔法威力、移動コスト、攻撃命中率に影響
 呪文・特技:店で購入、あるいはトレジャーとして入手し装備することで使用
        クラスごと使用制限有り、ステータスにより威力に補正
 WT   :行動順の決定値でクラス、装備重量で決定
        レベルアップ時クラスごと傾向のあるランダム値減少

 その他  :転職条件は特定のクラスを除き、なし。
        いつでも何度でもでき、元の職業になればステータスも同じ。


・一応適当思いつくまま書いてみたので間違い、抜けもあると思いますが
 おおむねこのような感じです。



・なんだかわけがわからない。 
 しかし、ゲームをプレイする際は自分で計算するわけでなく
 コンピュターが処理してくれるわけです。
 ルールは単純にみえる将棋、
 ルールが複雑怪奇なSRPG。
 頭を使う方向性が違うということでしょうか。
 きまりごとで遊ぶゲーム、
 きめられた世界を遊ぶゲーム。面白さにもいろいろあります。




・ちなみに
 「ドラクエ1,2」は英雄、勇者が主人公。
 「ドラクエ6,7」は名もなき旅人(でもないですが)。

 「ウィザードリィー」は完全に没個性。
 
 「ティアリングサーガ」は王侯貴族のスター軍団。
 「タクティクスオウガ」は名もなき民衆。そして権力者達。 
 
・なんだかストーリーとも密接にかかわっていそうではあります。
 面白いですね。



・さて今度こそ次回は「魔界戦記ディスガイア」。
 もはや信用ゼロ。
 期待せずにどうぞ。