スポーツゲームとしてのオリンピックゲーム


・ゲームでオリンピックといえばコナミの「ハイパーオリンピック」シリーズ。
 懐かしい。
 初代、ロスアンゼルスオリンピックに合わせた
 ’85年発売、FC版「ハイパーオリンピック」。
 専用コントローラ「ハイパーショット」を連打、爪でのコスリ、あるいは鉄定規。
 志村けんさんのバカ殿バージョンというのもありました。
 歳がばれます。


・その後もオリンピックゲームは出ています。
 しかし当然ながら4年に一度。
 季節限定どころかファミコン以来、20年の歴史しか無いテレビゲームにとっては
 遥かむかし忘却のかなた。
 シリーズものとして成り立ちません。
 それこそコナミのハイパーシリーズくらい。


・シリーズものでなくともゲームとして面白ければよさそうなものですが
 スポーツゲームというのは難しいのです。


スポーツゲームといえば「サッカー」「野球」。
 他には「ゴルフ」「テニス」、あるいは「バスケ」「バレー」といったところ。
 全て球技です。

・いったい、ただ走るだけの100メートル走を
 ゲームで面白く表現するにはどうすればばいいのか。
 難問です。

・結局は20年前の「ハイパーオリンピック」と同じように、
 ボタンの連打、
 ハードルを越えるジャンプのような押すタイミング、
 アーチェリーやクレー射撃の照準あわせ、
 などを組み合わせたゲームになります。
 最初はそれでも熱中して楽しみましたが
 「ウイイレ」や「パワプロ」のほうがゲームとして面白いのは明らか。

 
・それでも今回もオリンピックゲームは出ています。
 アテネオリンピック公式ゲーム「ATHENES 2004」。
 発売はSCEJ(ソニーコンピュータエンタテイメントジャパン)。PS2のみ。 

 公式サイト http://www.olympicvideogames.com/

 FLASHが煩わしく、見る気がおおいにそがれる内容の薄い駄目な公式サイト。
 どういうゲームなのかよくわかりません。
 売る気ないですねSCE。


・オリンピックゲーム、つまり一部の球技を除いたスポーツゲーム
 なぜ盛り上がらなくなったか。
 そのひとつの理由は、対人戦に向いていないから。
 
・これらのスポーツは結局、自分との戦い。
 人と人との競い合いではなく、自分の中でいかに最良の結果をだすか、であって
 ゲームとして奥深く表現するのが難しい。
 陸上競技や水泳では相手との読みあい、駆け引きを表現しにくい。


・ならば格闘技はどうか。柔道、レスリングなどなど。

・難しそうです。
 まだボクシング、テコンドーなどはわかりやすそうですが
 「スト2」以降の対戦格闘ゲームの前には地味すぎます。
 まだ「アーバンチャンピョン」や「イーアルカンフー」「カラテカ」の時代であれば。
 そう、「マイクタイソンパンチアウト」はさすが任天堂だけあって面白かった。
 もとの「パンチアウト」をアレンジして「はじめの一歩パンチアウト」として
 どこか出してくれませんか。GBAあたりで。
 

スポーツゲームのなかで「ゴルフ」、野球の「ファミスタ」は
 今現在まで通じるゲームシステムを、ファミコンのごく初期に完成させています。
 この2つのスポーツに共通しているのが、操作する選手がごく少ないこと。
 
・ゴルフは一人でプレイするスポーツ。
 地味ですが、コースの攻略、そして思い通りに打てるかどうか、という
 シミュレーションとアクションの面白さがあり
 テレビゲームに合っていた、といえるでしょう。
 ファミコンの「ゴルフ」は現任天堂社長の岩田聡さんの開発。
 最新の「みんなのGOLF4」もほぼ同じシステムで
 20年進歩がないというより、20年前に完成してしまったジャンルなのです。


・野球は現在は「パワプロ」ですが、ファミコン世代にとっては「ファミスタ」こと
 「プロ野球ファミリースタジアム」。
 ’86にナムコから発売された「ファミスタ」は
 野球ゲームとして抜群によくできた傑作でした。
 1人でも遊べる、そして何より2人で対戦して面白い。

・野球はゲームとして表現しやすいスポーツでした。
 プレイヤーが操作できるのは一人のキャラクターだけ。
 サッカーゲームを遊んでみるとこの事実が痛感させられます。
 野球は9人対9人の18人の選手を操作しなければならないのですが
 ボールを中心にみると、関わっている、つまり操作しなければならない選手が
 他の球技に比べて少ないことがわかるかと思います。

・サッカーはボールをキープしている選手以外の、キーパーを除く19人が
 しっかりと考えて、常に動き回っていなければゲームになりません。
 これはバスケ、バレーなども同じ。

・対するに野球は、攻撃側はバッターとランナーのみ。
 ランナーは少しコントロールが難しいですが、
 ボールが追ってくる走者1人だけ動かせばなんとかなります。
 守備側はピッチャーと、ボールを取りに行く選手のみ。単純です。

・「ファミスタ」はFCの今とは比べようもないほど、
 おばかさんなコンピューターにできる範囲で
 うまく作り上げることができたスポーツゲームだったのです。


・ゲーム機が進歩し、複雑な計算を高速で処理できるようになって初めて
 まともなサッカーゲームである、
 「ウイイレ」、「ワールドサッカーウイニングイレブン」は実現しました。

・ゲーム機の性能が上がるごとに、グラフィックがきれいになるだけでなく
 選手の動きがリアルになる。
 スポーツゲームは現実を模するシミュレーションゲーム
 プレイヤー以外の選手がどうのように、どれだけ賢く動いてくれるか、
 という点も重要なのです。
 リアルであるから好ましい、という以上に
 対戦ゲームとしてみたときに
 自分の分身である操作キャラクター以外の味方がおばかさんではこまるのです。


・現在の野球ゲームの本流は「パワプロ」こと「実況パワフルプロ野球」。
 「ファミスタ」との違いは投球に高低があること。
 キャッチャーミットの位置を打者側も見ることができることを利用して
 ピッチャーの持っている球種やピッチングフォームから変化を予測する、
 というなかなかに高度なゲーム。

・なれないうちはちっとも打てませんが、
 相手プレイヤーのクセまでわかってくるころには簡単に打てるようになり
 むしろ漫然と投げていては打ち取るのが難しくなります。
 当てるだけなら簡単、というレベルになってくると
 打者ごとに設定されているミート範囲、
 例えばイチロー選手などはこれが抜群に広かったのですが、
 その「芯」をいかに外して凡打に打ち取るか、という戦いになります。

・投打、どちらが有利というわけでなく、実にうまくバランスのとれたシステム。
 テンポよく進む試合展開など細かいつくりこみも一流で
 「ファミスタ」がやぶれたのもむべなるかな(もっともだな、という意味の古語)。


・相手との読み合い、思考する楽しさ、
 そしてアクション、操作する楽しさ。
 面白いスポーツゲームはこの2つを兼ね備えています。

陸上競技にはそれがなく、テレビゲームには向いていなかった。
 

・というわけで、オリンピックは今宵もテレビで見ることにいたしましょう。
 世界最高の選手が活躍するさまをテレビで観戦するのは楽しいです。

 
・ゲームを遊ぶ楽しさと、スポーツを観戦する楽しさはまったく違うことで
 比べるのが間違いではありますけども。 




・あれ、ところで、もう今回の「ユーゲー」に関しては終わりですか。
 数行で終わりですか。
 
・終わりです。
 オリンピックゲーム特集、結構ですけども
 取り上げたゲームのデータくらいしっかり書いてください。
 収録競技も書いてないし。
 
・この内容で¥860は高いぞ。
 買うのやめようかな。