A.B.「ゲームの批評と「匠の目」」

 http://ab.txt-nifty.com/ab/2004/08/post_1.html


・「ジャーナリストの視点から見るゲーム業界の裏側」という
 立命館大学のゲームアーカイブプロジェクトという研究の一文、
 「ゲーム批評」’99年の27号から’00年の35号まで編集長を務めた
 小野憲史さんの講演記事についての文章。

 ゲームアーカイブプロジェクト http://www.kyoto-one.ad.jp/gap/index.html

 講演記録 http://www.kyoto-one.ad.jp/gap/1gap/2now/gakusyuukai/200407.htm

・講演自体もゲームマニアにとって、興味をそそられるもの。
 ご一読を。


・その要旨をまとめると、

・まず、ゲームジャーナリズムとは何か。
 それは報道と批評である。
 作り出されるコンテンツ(作品)の紹介と評価。
 評価はどのように行われるか。
 ゲームは、作り手(メーカー)と遊び手(消費者、ここではマスコミ)の
 互いの価値観の相違により、絶対的な価値は異なる。
 これが批評の社会性。

・次に講演者の取る立場とゲームに関する価値観の基準。
 ゲームの価値は「すごいゲーム」であるかどうか。
 操作性から見たゲームシステムの完成度と
 エンタテイメントとしての新規性がポイント。
 自身のゲーム価値観に照らし
 社会的意図と出てきたゲームに対してどの程度の完成度であるか。

・最期に業界の現状を解説しています。

 
・さて、この講演について
 「A.B.」では「ゲームの批評とは何か」という点に注目して書かれています。

・「批評」ということばの意味について辞書を引くと

 批評  ;事物の善悪・優劣・是非などについて考え、評価すること
   評価;物の善悪・美醜などを考え、価値を定めること
                 (三省堂大辞林 第二版」より)

 となっています。
 「ゲームの批評」とは
 ゲームの善悪・優劣・是非などについて考え、価値を決めること、
 ということになりましょうか。

・ゲームの善悪、是非はちょっと気宇壮大なテーマですので
 一般的な「ゲームの価値」、
 いいゲームか悪いゲームか
 面白いか面白くないか
 値段分の価値はあるのか無いのか
 ということを考えてはっきりさせることが
 とりあえず、字づら上のゲーム批評と定義しましょう。


・挙げているのは、
 ゲームの特徴を簡潔に捕らえる主題がはっきりしていること。
 ゲームシステムの構造を一言で言い表すような文章。

・そしてゲーム批評とは何なのか。

「売れたものはいいゲームだ」という価値観以外のものさしを
定義し続けることが大切なんじゃないでしょうか。
わからないですけれど。

という文を引いてまとめています。


・過去ログでも様々な箇所で「ゲームの価値を決めること」について言及しています。
 7月20日「レビューの価値」
 6月30日「弾幕シューティングの登竜門「エスプガルーダ」」
 6月6日「ゲームデザインとは何か」

・特に「ゲームデザインとは何か」から長々と引用させていただきます。

 ゲーヲタ的にはゲームをプレイする事がまず第一義であって、
 ゲーム作りには興味がないのでゲームデザイン云々も本来はどうでも良い。
 しかし、ゲームをより面白く感じるためには、
 そのゲームがどうやって(どういう考えに基づいて)作られているかを
 知る事は役に立つ。
 面白いゲームを遊び尽くした後、
 何故そんなに面白かったのかを考えると、
 実際のゲームプレイから少し離れた所で更にそのゲームで楽しむ事が出来るし、
 つまらないゲームなら何故面白くないのかを考えれば、
 少なくともその過程は楽しいので損はしていない。
 そうやってひとつの解答に行き着けば、
 次に他のゲームを遊ぶ時にはそのゲームの面白さを理解する事に役立つ
 (どう遊べば面白いのか分かってくる)し、
 そういった知識やデータの蓄積を超えた次元、
 新しい面白さのブレイクスルーに達したゲームに出会えた時、
 本当に生きてて良かったと思えるくらい感動する事が出来る。
 そしてまたその新しい面白さについて考え、理解し、
 プレイヤーはゲームとともに成長して行くのだ。
 だから、ユーザーがゲームデザイン…どうやってデザインするかではなく、
 どのようにデザインされているかを学ぶ事は無駄ではない。
 方法論とパターン学習に終始してしまいがちになるのは致し方ない所ではあるが、
 なに、ゲームを攻略するのとそうたいした違いは無いのだから。
            (サイトデザイン上改行させていただきました)

・名文です。
 この文章こそ「A.B.」さんの考える「ゲームの批評とは何か」という
 答えなのではないでしょうか。
 

・ゲームの価値を考えるのがゲーム批評
 面白かったところ、つまらなかったところ、
 そして全体の感想で構成されるゲームレビューサイト。
 2ch風にあるならば、
 テンプレートにまとめられる仕様の是非と
 そのソフトに思い入れのあるもの同士の
 ゲーマーという世界の住人としての語らい。

・価値観が違う以上答えはひとそれぞれ尽きることはありませんが
 だからこそゲーム好きは楽しくこの果て無き議論をつづけるのです。



・さて[ゲームメモ]としては以上でよいのですが
 他人のサイトを写しただけだ、著作権侵害だといわれるのもこまるので
 引用になるよう
 私なりに「ゲーム批評とは何か」を書いてみたいと思います。