『ブレスオブファイアⅤ ドラゴンクォーター』

kodamatsukimi2005-02-01


 PS2 RPG カプコン '02年11月14日発売 ベスト版 ASIN:B00009RBZY
 公式サイト http://www3.capcom.co.jp/dq/

・今回のお題は『ブレスオブファイア5 ドラゴンクォーター』、
 略して『ドラクォ』。


・賛否両論わかれるRPG

・いわく、
 システムがわかりづらく難しい。
 いやむしろ簡単すぎ繰り返し作業が面倒。
 やり込みがいはあるがごほうびが少ない。
 シナリオは良い。
 従来のブレスと違う。『バイオハザード』のようだ。
 といったところ。
 PlayStation mk2 http://kyoichi.mods.jp/ps2/soft/rpg/breath5/index.html



・『ブレスオブファイア』はカプコンの看板RPGシリーズ。

・『ブレス』シリーズは前作『4』までは普通のRPGでした。
 ナムコ『テイルズ』、コナミ幻想水滸伝』、
 あるいはSCEワイルドアームズ』などと同列のもの。
 『ドラクエ』のフォローワーといったところでしょうか。

・『ドラクエ』こそが和製RPGのスタンダード。
 その亜流であるならば、これらは実に普通のRPGです。


・普通のRPGとは何か。
 シナリオにそって目的地がきまり、順に強くなっていく敵と戦って強くなり、
 仲間を集めて中ボスを倒して驚きの展開を迎えてついに最期のボスを倒して
 感動のエンディング、というもの。
 そんなのは当たり前、と思われるかもしれませんが
 RPG足るは、かならずしもそうではありません。

・例えば任天堂RPGゼルダの伝説』。アクションRPG
 これもRPG。戦っても強くなりません。
 チュンソフト不思議のダンジョン」。ダンジョンRPG
 一応RPG。戦って強くなりますけれど、ダンジョンから出れば元のレベル1。
 アトラス『女神転生』や任天堂ポケットモンスター』はどうでしょう。
 間違いなくRPGですか、『ドラクエ』と同じようなもの、とはいえません。


・当たり前のシナリオと、ありきたりのシステムが特徴の、ごく普通のRPG
 けれど普通であることはマイナスではありません。
 先が見える展開は安心できるものであり
 わかりやすいシステムは欠点が少なく、シナリオを楽しむのを邪魔しません。
 『テイルズ』『幻想』は、普通であることに価値があり
 変化を求められていない作品ともいえます。



・『ドラクォ』は違います。
 名残は主人公の名前「リュウ」、ヒロイン「ニーナ」などわずかばかり。
 従来のファンが戸惑うほどに、そして投げ出してしまうほどにわかりづらい、
 独自のシステムに変更されています。
 それゆえにこそ賛否を呼び、また注目すべき作品でもあります。


・「SOL(ソル)=シナリオ オーバー レイ」というセーブシステムと
 「PETS(ペッツ)=ポジティブ エンカウンター&タクティクス システム」という
 戦闘システムの、2つが特徴。


・まず「SOL」。
 「所持金額、装備品、スキル、レベルなどを引き継いだまま
  セーブポイント、または最初からやり直す、
  ということを
  全滅したとき、クリアしたとき、
  またはメニュー画面を開けるときであればいつでも
  行うかを選択できる」
 というもの。
 おまけとして
 SOLを行わなかった時に見れなかったイベントが起こることがあります。

・『クロノトリガー』などから見られるようになった
 「強くて初めから」システムの変形のようなもの。
 クリアしなくてもセーブポイントからほぼ現在の能力値でやりなおせるわけです。

・当然それでは簡単すぎますから縛りがあります。
 回復魔法や宿屋がなく、回復は全てアイテムで行う。MPはない。
 セーブには一回ごとにアイテムを使用する回数制限がある。中断セーブはある。
 敵の出現位置、数は固定で経験値稼ぎはできない。

・『ザナドゥ』のように敵は一度倒せば復活しません。得られる経験値は有限。
 セーブはセーブポイントで希少アイテムをその都度使わなければ行えない。
 街についても宿屋はなく
 限られたお金から先の見えない道行きに備えて
 これも限られた所持アイテム制限のなかで回復アイテムを買う。


・難しそうです。
 敵は強く、ボスは『サガ』のように、単回攻撃こそそれほど厳しくなくとも
 無尽蔵に思える体力と、次第に効いてくる全体攻撃でいやらしく攻めてきます。
 難しい。

・ところがシステムを理解すれば簡単です。
 つまり、セーブポイントから現在の実力でやりなおせるのですから
 何度も何度も一度倒した敵をSOLでよみがえらせて
 再び倒し、経験値を稼げばよいのです。
 稼ぎは無尽蔵。



・次に「PETS」。
 複数人での『ベイングラントストーリー』を考えていただくと適当です。

・相手にあわせた装備を選択し
 フィールド上で、なるべく1対1になるよう、
 また確実に先制攻撃できるよう、戦闘を仕掛け
 ターンごとのコマンド行動力消費を勘案して確実にコンボを決める。
 回復魔法も支援魔法もないので、ターン内のパーティー連携ではなく
 複数で単体を集中攻撃、
 またはイベントボス戦闘等での分散各個撃破の位置取り戦術が重要。

・前述の通り敵は強いため、必ず分散させて1体ごと潰していく必要があります。
 『モンスターハンター』『バイオ』に見られる
 カプコンお得意のグロテスクな敵は、もちろん狩られる存在ではなく
 主人公たちを狩るために襲い掛かってきます。
 退路を断たれても動揺することなく
 群れから引き離し、隅に誘って確実に仕留める。


・不意打ちを受けないよう壁に天井に曲がり角に、探索時も常に集中。
 移動中も戦闘中もそして苦しいボスとの戦闘中も
 常に先の見えない緊張感があり
 またシンプルながら、それゆえに洗練されたシナリオも
 全体に通った束縛の基調を途切れさせず
 そして全てから開放されるエンディングの空の素晴らしさを強調します。



・『ドラクォ』は普通のRPGではありません。
 シナリオを語るためのシステムがあり、システムにより演出されるシナリオがある。
 独自の要素は普通のRPG、従来の当たり前のゲームからの脱却であり
 『ドラクエ』でなく、『ブレスオブファイア』であろうとする姿。 

・ドラゴンは幻想世界の象徴。
 『ドラゴンクエスト』幻想の探求、『ファイナルファンタジー』究極の幻想。
 幻想の物語、『ドラクエ』が極限のスタンダードという普通さを求め
 『ファイナルファンタジー』がそれを越える世界を目指すならば
 竜とリュウという名のひともまた、誰もがいまだみぬ空を目指したのです。
 
 
 参照;2ちゃんねらによる ドラクォ ファンサイト「Low−D's」http://lowds.hp.infoseek.co.jp/