ゲームの難易度

・なぜ「アトム」は売れなかったのか。
 誰もが褒めている素晴らしい作品なのに売れないのか。
 ゲームは商品ですから、ゲーム自体の出来不出来以外にも
 広告、値段、ブランド、パッケージなど
 さまざまな要素がからんで、それが市場としての評価になります。

・「アトム」¥1,000というのも、セガが需要を見誤って出荷しすぎた、
 それをソフマップがワゴンセールの目玉に安く引っ張ってきたという結果で
 作品の質とは無関係。
 ええ、ソフマップのワゴンにはお世話になっておりますとも。
 DC末期などは
 「コードベロニカ」「サードストライク」「クレイジータクシー2」あたりが
 ¥300で買えたりしたものです。
 もう1本、2本とやりもしないのに買いました。
 マニアはそれを「保護」とよぶ。


・「セガのゲームは難しい」。という話がネットで話題になっているようです。

 9bitconfusion;アウトラン
   http://gmk.9bit.org/note05q1/050202-outrun2.htm

 「高いハードルを限界ギリギリで乗り越えることこそ
 ゲームのカタルシスだと開発者全員が信じて疑わないから」

・「きみのためなら死ねる」の難しさは
 セガが適正な難易度をわかっていないからではないか。

 ABAの日誌;セガの高難易度設定が天然な件について
   http://d.hatena.ne.jp/ABA/20050202#p1

 結論。セガゲーをやるプレイヤーはその難しさを愛している、もしくは気づいていない。
 (中略)
 問題はカプコンが早々に高難易度路線から脱却できたのに対して、
 セガがいつまでもこの路線をずるずると引きずっている理由だよなあ。

セガのファンはその難しさを受け入れているのではないか。
 同じように言われていたカプコンは高難易度路線から脱却しているようだが
 セガはなぜ変わらないのか。

 発熱地帯;いいとか、悪いとかじゃなくて、ほろびつつあるような
   http://amanoudume.s41.xrea.com/cgi-bin/mt/archives/000286.html
・上記2サイトのまとめ。
 それでビジネスが成り立つならよいが、セガの売上は年々下がっている。

 そんなことより、ナムコのゲームがああも売れないことのほうが気になるし、
 何とかならないのかな、と思うわけです。
 新しいゲームも積極的に作っているのに、売上的にはスマッシュヒットにも満たない。

・確かに「きみのためなら死ねる」は難しい。
 さらにいうなら「スペースチャンネル5」も難しかったです。
 間違えたときタイミングが速かったのか遅かったのか表示がないので
 リズム感がないと、何度挑戦してもクリアできない。

・というわけで、間違いなくセガのゲームは難しい。
 と、思われているから「アトム」も売れないのかもしれません。



・ゲームの難易度はいろいろです。
 ジャンルにより、遊ぶひとによってもその受け取り方は様々。
 前回の「ドラクォ」は、わかりづらく難しく、わかってみれば簡単、というもの。
 それは結局、難しいのか簡単なのか。


・どんなゲームでも新しいゲーム、そのゲームのルールを知らないときは
 わからないから難しい。
 わからないから、やらない、とならないように
 優れたゲームはゲーム入り口を様々に工夫します。

・けれども、ゲームのルールを説明するのは難しい。
 それを、「勉強」することを面白いと思わせるのはさらに難しい。

・何十本、何百作品とゲームを遊ぶゲーマーでも
 面白いゲームと思って買ってきたのに積んだまま封を開けないゲームがあるのは
 その入り口の壁を越えるのに、「勉強」することに辛さがあるからでしょう。
 遊べば面白いのだろう。
 けれども。どうしても。
 面白いことがわかっているゲーム、
 シリーズの前作を遊んでルールがわかっているゲームとの間には
 壁があるのです。

ナムコのゲームは新しいゲームだから売れないのか。
 「ピクミン」も「真・三国無双」も「1」ではなく「2」でヒットしたのはそれゆえか。
 「太鼓の達人」が売れたのはなぜなのか。


・ユーザーにとって、ゲームの価値は面白いかどうか。
 このゲームが面白くないのは、ゲームが面白くないからでなく
 面白さを理解できていないから、
 作っているひとに選ばれたユーザーでないから、
 なのでしょうか。

・難しいゲーム、簡単なゲーム、そこに質の高低はない。
 けれど遊ぶ人によって、難しいから面白いひと、簡単だからおもしろいひと、
 分かれるわけです。


・では、だれもが面白いと感じるゲームはどうなっているのか。
 欠点のないゲームはどうなっているか。

・それはゲームルールを理解していくのが楽しいゲーム。
 ゲームのなかのキャラクターが成長するのが楽しいのではなく
 プレイヤー自身がうまくなるのが楽しいゲーム。
 そのゲームを理解するのが楽しいゲーム。


・ゲームが面白いのはなぜか。
 それはやらなければいけないからでなく
 何かすれば、何かができるから。
 繰り返す作業でも、成長して上手くなる、
 あるいは何らかの変化があるからこそ面白い。



・ゲームの難易度は、難しい。
 誰もが楽しめる難易度を作りだすのは難しい。
 だから簡単なゲームが良いのではない。
 難しくとも、面白さを感じられるように
 うまく上手になれるようになっているかが重要なのです。

・新しいゲーム、新しいゲームルールを持つゲームは
 やりかたがわかりにくいから敬遠される。
 良いゲームはその導入がうまく作られています。
 最初は難しくとも楽しんで遊んでいるうちにクリアできるようになる。
 それは良いゲーム。
 最初簡単で遊んでいくうちに難しくなってくる。それは悪いゲームか。
 それは違う。難しくなって、面白いのかどうか。
 「真・三国無双」は後者の難易度で作られています。


・新しいシステムのゲームが1作目において
 難しいゲームとされて売れないのは
 やはりその導入を作るのが難しいからなのでしょう。

・そしてそのゲームルールへの導入の前、
 買うか買わないか、売れるか売れないかは
 やはりゲームの質とは関係ないのです。 



 関連;好きこそゲームの上手なれ 下手でもゲームは楽しめる       
     http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20040816
    パターン化は作業的か
     http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20041009#p2



・最期に「アトム」について。
 「アトム」に欠点を感じるならば、「新しさ」がないところ。
 昔からの2Dアクション、トレジャーアクション。
 アクションゲーム、いやゲーム史上最高級の見事なストーリー、
 職人の名で称されるトレジャースタッフの細やかな作り込み。
 けれど、クリアした後に、新しいゲームを遊んだ感動はない。

・それが悪いのではなく、そういうゲームなのですが
 しかし欠点と感じるのは
 私がゲーマーとして新しいゲームを求めているからなのかもしれません。
 ゲームルールの新しさは、開発者のモチベーションとは関係なく
 プレイヤーに価値を持つのか。
 これは持つ、といえます。けれどそれはなぜなのか。

・次回はこのお題で。


・とか決めるとろくなことにならない。