『ユーゲーNo.22』

 http://www.microgroup.co.jp/ug/

・今回は特集3題、充実の陣容。


・その1「ゲームメーカー トレジャーの軌跡」。
 トレジャー(http://www.treasure-inc.co.jp/index01.html)。
 硬派ゲーマーであろうとすれば避けて通れぬ大メーカー。
 制作費高騰によりゲーム会社も苦しい中、
 アクションやSTGという限られたジャンルの中で生き残ってきたメーカー。
 マニアにとってはたまらない、「我らが」トレジャー。
 「ナイス2D!この緊迫感がいいぜ!トレジャー万歳!」


・発売日順に全作品が紹介されております。

・何もかも皆懐かしい、とか言いたい所なのですが私「メガドライバー」ではなく
 サターン『シルエットミラージュ』がトレジャー事始。
 遅まきながらセガ最高とかぶれていた当時にあって
 アクションとしての出来の良さはもちろん
 その奇抜な世界観も含めて、当時のマニア心を刺激する面白さに
 即座信者に転ぶのも自然なことでありました。

・『ガンスターヒーローズ』の評判の高さに、
 そのためだけに、メガドラ秋葉原に買いに行ったものでございます。


・よがてサターンは敗色濃厚。そのような中で『シルミラ』がPSに移植、
 『リプログラムドホープ』とのサブタイトルつきで発売されたときの複雑さよ。
 われわれ信者が不甲斐ないばかりにトレジャーには苦労をかけて。よよよ。

・『ゲーム批評』あたりに影響受けて、
 世間の奴らは『グランディア』の面白さもわからずに
 『センチメンタルグラフティ』なんざ買いやがって、と息巻いたりて不遇なわが身を嘆く、
 などど、そういう世間に認められない価値を自分「だけ」が知っている、
 という青春の逆巻きに、セガとその幕下は映っていたのです。


セガ最期の勝負ドリームキャスト
 しかし新ハードは発売日に買わない程度の信者であった私はそのころ
 サターンで『レイディアントシルバーガン』を延々と遊んでいました。

・ああ面白すぎる。STGを本格的に遊んだのはそれこそキャラバンSTG以来。間が空き過ぎ。
 それだけに衝撃が強く、STGというやつはこんなに面白かったのか、と
 いまさらながら気付く始末。改めてサターンを見渡すとSTGの宝庫。
 というわけでDCを買ったのはトレジャーが『バンガイオー』を発売してからでした。


・けれどDCはすぐN64に取って変わられることに。
 そう『罪と罰』を遊ぶため。
 これも時間をかけて遊びました。『バンガイオー』がつまらないわけではありません。
 しかし完成度が違う。素晴らしい。完璧。
 今もってSTGシルバーガン』、アクション『罪と罰』の二枚看板は揺るがないところ。


・であるがゆえに、その後のトレジャーはむしろ不甲斐なく見えてしまうのです。
 そう思っていました。『ひっぱリンダ』がゆえに。
 しかしこのほど\1,980でソフマップに売っていた『ワリオワールド』を遊び、
 やはりトレジャーはしぶといメーカーである、と思いなおしました。

・『ワリオワールド』は『罪と罰』に続く任天堂との共同制作。
 流石です。欠点が丁寧に潰され実に良く出来ている。
 カメラで操作不要の奥行きのある3Dアクション。つまり
 ベルトスクロール2Dアクションを3Dで描いたもの。 
 『ひっぱリンダ』でトレジャーに3Dは無理と思わせた惨状は見当たらない。
 『風のクロノア』が名作扱いされてなぜこれが無視されるのかと憤る出来。

・しかし『サルゲッチュ』へのマニア評判を見ればわかる気もします。
 なぜなら任天堂ワリオで子供向けだから。
 事実、ステージの少なさ以上に
 老若男女誰でもクリアできる簡単さは非難の対象となるでしょう。
 敵に倒されても『ソニック』のようにコインを失うだけであるし
 穴に落ちたら『ボンジャック』のように拷問部屋行き。や、『ボンジャック』は難しいですが。

任天堂の要請もあったでしょう。
 しかしそれ以上に『ワリオ』では無理をしていない様が見えます。
 全力をかけて作りこまない。
 ボリュームの薄さは難易度設定をつければ即座に解決するところ、
 なぜいままでも当たり前にしてきたそれをしなかったのかといえば、
 そうしても喜ぶ客は少ないからと見切ったから。
 冷静に弱点の3D技術を任天堂の下請け仕事で無理なく習得。

・流石トレジャー、とか思うのはやはり信者の贔屓目か。



・前川社長のインタビュー。ゲーマーです。
 アクションやSTGだけでなく、『ポケモン』から『エバークエスト』1500時間まで。
 いろいろな面について語られていますが、注目はやはり今後。
 トレジャーはどこへいくのか。社長のお言葉は明快です。

 「ゲームクリエイターは作りたいものを作りましょう」というのが
 トレジャーの基本的な考え方です。
 私が最低限守らないといけないのは「会社をつぶしてはいけない」という点だけです。
          『ユーゲーNo.22』P39 前川社長インタビューより 

・作りたいものを作る。そしてそれでも会社を潰さない。なんとも理想的。
 けれどトレジャーはそうして来たし、これからもそうして行くのでしょう。
 そこに痺れる憧れる。やはりトレジャーは漢のロマンでございます。




・特集その2。「隠れキャラ列伝 〜ファミコン編〜」

・隠れキャラとはまた懐かしい。『ファミマガ』の嘘テクもまた懐かしい。
 ファミコン編と銘打たれていますがPS以降に隠れキャラなんてあるのだろうか。
 STGくらいのような。うむ、STGは本当に進化していないですな。
 と、いうよりも、「隠れキャラ」というのは要は隠し点数アイテムであるわけで
 スコアという概念がないゲームには登場しようがない。

RPGで特殊な手順を踏まないと仲間にならないキャラクターは
 これら「隠れキャラ」の変容であるのでございましょう。
 『伝説のオウガバトル』など、そう考えると古いゲームでありますが
 実際古いゲームであるし。今発売するのならば
 全くのヒントなしなど許されないかもしれません。

・スコアからストーリーへと「ゲーム性」とやらが移り往く中
 変わらないのはSTGだけとマニアが嘆いてしがみ付く。
 けれど『レッキングクルー』のゴールデンハンマーは違う。
 あれを「仲間」にしないでクリアするのは私には無理です。



・特集その3。「絢爛!プリンセスゲーム舞踏会」。
 お姫様が主役のゲーム特集。

・意外と少ない。『虫姫さま』も『プリンセスメーカー』もありならば
 何か、大量にその手のゲームはありそうな気がしますが
 意外にない。なるほど『プリンセスクラウン』が妙に高く評価されるわけだ。

・実はこれ、未開拓の分野であるのかもしれません。
 RPGSRPGでお姫様を主人公にするとかは容易に思いつきそうな気もするのですが
 なぜいままでなかったのか、まことに不思議。訴求力あるだろうに。
 それってゲームを買うひとが、お子様から
 おおきなお友達に変わってきたからでありましょうか。

・でも『虫姫たま』はいりませんから。はい。要りません。