『ゲーム批評vol.66』

 http://www.microgroup.co.jp/game/ ISBN:B000C2VIG6


・今号から大幅リニューアル。
 2〜3の特集とソフト批評、連載記事という創刊以来の形式を崩し
 小分けにいくつもの小さい記事を連ねる形。
 巻頭「XBOX360特集」となっていますが、それも従来とは異なる浅い紹介記事。
 それぞれの記事内容もかなりB級筋、
 ゲーム雑誌でいえば『ドリマガ』『ゲームラボ』方面。
 過去にない大変更です。
 「批評」という大看板を背負ってどこへ行く『ゲーム批評』。
 感想書きにくい形式で大変困りますですよ。



・「Xbox360 今度こそイケるぞ?」と題しておりますが
 いよいよ始まりました新世代ハードの動向、といったしつらえの記事。
 何しろ記事が書かれたのは発売前ですので何とも当たり障りない内容です。


XBOX360の年末年始商戦は話題性でDSに大敗の形です。
 ネット上ではその成否に様々に論争があったのですが
 実際結果として、発売直後のロケットスタートというわけには行かなかった模様。

・現行ハードはPS2、DS、GBAPSPXBOX360GCのような勢いでしょうか。
 家庭用据え置きハードはPS2の独擅場ですから、360の今後はPS3がいつ出るか次第。
 それまでにどれだけハードシェアを獲得できるか、
 マニアに有無を言わせず買いに行かせるソフトをどれだけ出せるか。

・性能はそれ以前最高のXBOXよりも当然さらに上。
 通信対戦環境も非常に整備されており、ディスク傷問題などの初期不良もない。
 減点要素はない。PS2の次にどれだけ割り込めるかの勝負。


・それにしてもDSの勢いは凄く見えます。PSPもなんだかんだ言われても順調に売れている。
 GBAと合わせて携帯ゲーム機の目に見える勢力の大きさは依然と違うものがあり。
 これはどういう変化なのか。単にPS2の後釜不在による一時的なものなのか。
 それとも、大作ゲームはもういらない、という流れなのでしょうか。
 今年の「ハードシェアでゲームを語る問題」はこの辺りから始まるようです。



・次。「ゼロから始めるTHE iDOLMA@STER」。
 ちなみに『IDOLMASTER』の「I」は大文字だそうな。
 なぜ『アイドルマスター』なのだ『ゲーム批評』。『三国志大戦』ではなく。
 なにか新しい『ゲーム批評』の方向性を窺わせる選定であります。


・前回(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20060117)特に言及しなかったのですが
 『アイドルマスター』は人気ないです。
 ゲームセンターにおいては大型筐体の中で
 『ドラゴンクロニクル』『アヴァロンの鍵弐』の次に撤去対象でありましょう。


・発売後1週間でネットでは攻略され、雑誌でも扱われるのはせいぜい1ヶ月。
 それが現在の家庭用ゲームの表面的な寿命なのですが
 対しアーケードゲームの寿命は長いです。それは最初にお金を払うゲームであることと
 適宜お金を払わなければならないという形式の違いによるもの。内容はその次です。

・『三国志大戦』の可動は昨年3月。今も常に順番待ちの列が並びます。
 『Quest of D』は一昨年9月。昨年12月にver.2になり『三国志大戦』以上に混み合っています。
 1年以上に渡り遊ばれるゲーム。バージョンアップを重ねて長くより長く。
 そこも家庭用ゲームとの大きな違い。


・『アイドルマスター』は恐らく大きなバージョンアップはしないでしょう。
 いまから大きく変えるのは難しいゲーム構成です。
 アレンジして家庭用に出すのが良いところ。
 それすらもナムコの迷走ぶりからしてどうかと見えます。


・『アイドルマスター』は斬新で面白いゲームですから採り上げるに異議はないですが
 なぜいまなのか。辺りが今後の『ゲーム批評』みてにやにやするところでございます。




・以下きりがないので軽く流します。


・「ゲーム業界再編の行方」。
 2005年を振り返る記事。12月頭発売で次号が2月頭。
 2月だと微妙に遅いし12月だと1ヶ月分欠けるし。隔月刊行雑誌の苦しいところ。
 「ゲームメディア時評」。
 これはまたネットを強く意識した記事。いや逆に意識していないのか。
 2chゲーハー板(ハード・業界板)を集約したような。
 ある意味面白いです。この記事の人気が雑誌の将来を分けそう。
 「代替現実ゲームの未来」。
 これって連載記事だったのですか。うむ。


・「オンラインゲームは「アイテム課金」が主流に!?」
 いわゆる「カジュアルゲーム」の動向。
 ネットを見た感じオンラインゲームを遊ぶひととそうでないひとと、
 コミュニティが分かれて情報がほとんど流通していない様は実に奇異ですから
 こういった記事は面白い。大きく採り上げて欲しい記事ではあります。
 特に'04年8月から開始した無料オンラインゴルフゲーム
 『スカッとゴルフ パンヤ 』(http://www.pangya.jp/)。
 その料金体系の独自であることは無視できない存在でありますよ。
 

・「ゲームなお仕事 「デバッグ編」」。
 ありがちな記事。デバッガーは話の種に面白いから良いけれど
 連載として続けていけるのかどうかに注目。
 「ゲーム有害説に踊る人々」。
 本当に『ゲーム批評』は影響力ない。誰も見ていないので自由に書き流せます。
 「大ヒット作の18禁への移植はエポックメイキングとなるか」。
 凄くどうでも良い。エポック(epoch)は新しい時期、時代という意。
 18禁を特別視するのは逆に視野が狭い。



・どの記事も浅い。掘り下げが浅い記事。
 他のゲーム雑誌とネットの情報も見ているゲームマニアにとっては
 いまさらそのようなわかりきったことを隔月で書かれても、と感じるところ。
 連載「ゲーマーズケースブック」位の質でまとまっていれば全く文句なく素晴らしいですけれど。


・このあたり難しい。
 実際『ファミ通』はすごく良く出来ています。
 やり込み大賞の記事が担当者まったくわかっていないと激しくいらついたりはしますが
 週刊の雑誌として実に目配り良く質が高いです。
 ネットニュースサイトを見るより明らかに価値は上です。

・そういう優れた雑誌とそれを範として差別化して並ぶ雑誌がいくつかある現状に
 『ゲーム批評』はどのように魅力を付けていくのか。
 情報速報誌としては隔月刊という時点で無理。メーカーから深い情報を得られるわけでもない。
 そうしたとき「批評」という看板で記事を書きますよ、というのが従来の方針であったのですが
 ここに来てそれを変えてきた由。
 『ドリマガ』や『ゲームラボ』と差別化できるのか。
 つまりそういうものを求める層に売っていくということなのでしょう。

・どうなのでしょう。360同様今後の動向次第として置きます。