メダルゲームとお金に関するあれこれ

・『セガネットワークカジノクラブ』、略して『SNC』というゲームがございます。
 公式サイト http://www.sega-snc.net/

 今年3月可動開始、初のオンライン全国対戦可能であるメダルゲーム
 大きめのゲームセンターなら今やビデオゲームに代わり
 メインフロアを占めるあのメダルゲームです。
 料金はメダル。そしてそのメダルが賭けるチップそのものという
 わかりやすいしくみ。遊ぶお金がなくなったら、ではなく
 賭けるチップがなくなったら終わり。遊べなくなります。

・遊べるのはポーカーとブラックジャックだけですが
 ゲームの内容自体と、勝てば勝つほど儲かる、という点で
 海の向こうにあるカジノと同じ。
 そして従来のメダルカジノゲームとの違いは、安全に賭博を楽しめること。
 ゲームセンターはまだ、見知らぬ隣のお客に勝って素直に喜びを表せるほど
 クリーンではございませんのです。
 もっとも、まだ、ではなくこれからも、というものでしょうけれども。


・というようにこのゲームを説明しますと、違うところがあります。
 メダルゲームはギャンブルではない。賭博ではない。
 いくら勝っても儲けは現金に換金できないのだから儲かることはない。
 パチンコパチスロとは違うのだ、という点です。

・いやでもしかし、普通のアーケードゲームと比べてもメダルゲームは違う。
 確かに勝って大量のメダルを手に入れても、換金はもちろん
 景品と交換することもできないけれど、それでゲームを遊ぶことは出来る。
 他のゲームは普通、勝っても負けても何ももらえないのに
 メダルゲームは勝てば続けて遊べるのです。

・あれ、でも対戦格闘なんかが負ければ終わりだけど勝てば続けて遊べるし
 STGなら2周目のない旧式においては閉店まで\50で暇をつぶせますよ、
 これは勝つことによる報酬ではないかしらん、ともいえたりします。
 つまりメダルゲーム以外のアーケードゲームにも
 勝てば勝つほど長く遊べるもの、勝っても報酬がゲーム内にしかないもの、
 と2種類あるのです。もちろんその中間が大多数ではありますが。


・後者についての好例は、いわゆるひとつの『アイドルマスター』であります。
 オーディションという対人対戦に勝つことで、引退までの期限が延び
 結果としてそのキャラクターデータで、長く遊ぶことができる。
 けれどその間、ゲーム内の毎週ごと、つまり1プレイごとに
 休暇したターンを除いて、どのようなゲーム内容でも
 お金を払い続けなければならないのであり
 勝ちつづけて大成功のエンディングを迎えても、負けて失意の早期引退をしても
 結局のところ、同じ週数分遊ぶならば、ゲーム内で勝とうが負けようが
 使うお金はまったく変わらない。
 他ゲームのように、勝てば長く遊べる、次回の料金が安くなる、とかがない。

・パチンコのそれと比べれば、とても特異な仕組みであります。
 1円も儲からない。いや長く遊ぶほどお金が掛かる。

・勝負した結果の報酬が目的でなく、遊んでいる過程自体が目的なのです。
 いくらお金をいれても何も出ないゲームセンターのゲームを遊ぶのは
 ただ、パチンコよりもメダルゲームの方が面白く
 メダルゲームより『アイドルマスター』の方が面白く
 アーケードの『アイドルマスター』より360『アイドルマスター』の方が
 安く容易に皆で楽しめるから、ということ、なのであります。




メダルゲームについてのウィキぺディアの項目で、次のように書かれています。

 したがって、メダルゲーム
 「日本の法規上(仕方なく)換金できないだけで、
  勝ち続ける限りタダで遊べる(=プレイ時間延長が実質的報酬の)、
  擬似(灰色)ギャンブルゲーム」という性質ではない。
   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0

メダルゲームは、まずそのお店専用のメダルを販売機で買います。
 正確には借ります。買ったから家に持って帰っても良い、のではなく
 お店のものをお金払って借りるのです。
 普通他の店にそのメダルを持っていっても、使えても遊べません。
 遊び終えて、勝てればメダルは増え、負ければ減ります。
 帰る時点でメダルが手元に残っていれば、店に預けることができます。
 ここまでまったくパチンコパチスロと同じ。遊べるゲームの種類が多いだけ。

・唯一違うのは、景品に換金、いや交換できないこと。
 風適法、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律、の
 規制区分で、ゲームセンターは麻雀店、パチンコ店と
 別種のものとして分けられていることによるものです。
 「設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」は
 景品と交換しても良い、という決まりなのでございます。
 メダルゲームは射幸心をそそるおそれが、お上的にはないんでございます。


・ところで、パチンコパチスロは、どう見ても禁止されているはずの賭博です。
 玉を大量に得る。「特殊景品」に交換。店の外にあるいかにもな店で現金に交換。
 景品に交換するのは適法、その景品を古物商に売るのも適法。
 古物商がパチンコ屋にまたその景品を売るのも適法。三店方式
 だから違法ではなく賭博でもない、というたてまえを信じても幸せにはなれない。
 競馬競輪競艇などの公営ギャンブル、つまり国が運営しているものや
 また宝くじや保険のように、賭博にしても特殊な仕組みで
 当たる確率が低いことを明確にした上で商売しているものはともかく
 なぜパチンコだけは放任なのだろうか。

・それは放任しているわけではなく、管理が公営ほどではないにせよ
 行き届いているから、のようです。
 パチンコの仕組みが違法である、賭博であることは明らかだけれども
 それを違法と訴えるひとがいない。
 お客は警察も認めている身近な賭博場があるということに文句はないし
 お店も競争相手の少なくゆえに見入りの大きい稼業であるし
 取り締まる方も、法で規制されて言うことを聞いてくれる了解が
 互いの間に出来ている現状は
 無認可の賭博場をこれから規制していくより楽だからです。
 だれも信じていないたてまえも、だからといって無用不要ではないのです。


メダルゲームは、パチンコパチスロを包括して色々な仕組みのゲームがある点、
 海の向こうのカジノと同じようなものですが
 従来のゲームセンターにある機器と同じく
 賭博ではなく遊戯である、という範疇にあります。

・『UFOキャッチャー』のように、成功すれば景品がついてくる、
 その景品を売ればお金になるかもしれない、という
 プライズ(賞金)ゲームという種類のゲームがあります。
 しかしその景品に許される内容は、「賭博性」高めないよう射幸心そそらないよう
 上限¥800までと決められているのです。おやつは\500までバナナは入らない。
 誰が決める権利があるとかその適正値はいくらかとか言う問題でない。
 ギャンブルとして活用できなければ許可、という
 『toto』のような宝くじと同じようなものと捉えられているのであります。

(略)メダルゲームコーナーを実現するにあたり、
 日本の法規では金品への交換は行えないという点をむしろプラスに考えていた。
 つまり、金品への交換が禁止されているので、ギャンブルに有りがちな、
 金銭の損得や勝ち負けのみが全ての鉄火場のような雰囲気は、原理的に否定されており、
 イギリスのブックメーカーモナコのカジノのような、勝ち負けにはあまり拘らず、
 あくまで浮いたお金で余興の時間を過ごすための、
 大人の社交場的な空間を理想としていたようである。
   上記「メダルゲームWikipediaより

・実際どうなのか、その理想は実現しているのか、というと
 まあまあそこそこ実現しているといえましょう。

・そもそも休みの昼間から子供連れで暗いゲームセンター内にこもり
 メダルゲームに勤しむようなひとは
 その別のフロアでひとつのゲームに何十万もつぎ込んでいるひとと同じく
 普通でないのです。
 時間同じくして騒がしいパチンコ台をひたすら見つめつづけるのも
 やはり普通でない。それらの中で、メダルゲームは大人の社交場としてどうか、
 というなら、まあ確かに麻雀屋や競馬場やパチンコよりはましかもしれない。

・この間にあえて差をつけるなら、報酬を目的としているか暇つぶしがそれかの
 比率の違いですが
 お金が欲しいなら普通に働いた方が良いのだし
 大金欲しいならパチンコより競馬とかの方が良い。
 暇をつぶしたいならお金をかけずにすむ方法はいくらでもある。
 アーケードで『アイドルマスター』をせずに、家で360を起動すれば良いのです。

・パチンコとメダルゲームを比べれば、どちらが遊んで面白いかは明らかです。
 メダルゲームなんぞつまらないものばかりである。
 パチンコと同じく賭博性があるからこそ存在していられるのだ、
 というゲーマーの見方も、『ダービーオナーズクラブ』と『スターホース2』、
 『クイズマジックアカデミー』と『セガネットワークカジノクラブ』を並べれば
 そこに差をつけることは難しいのであります。



・ゲームはその要するお金によって、何種類かに分かれて存在していると言えましょう。
 最初の一度だけお金を払えば、壊れない限り遊べる家庭用ゲーム。
 遊ぶたびにお金が必要だけれど勝つといろいろ報酬があったりするゲームセンターのゲーム。
 遊ぶのは無料だったりするが、強くしたり目立つにはお金が必要なこともあるオンラインゲーム。

・家庭用ゲームにも中古があるし友達の貸し借りもあるし、パソコンなら違法コピーもある。
 ゲームセンターのゲームはすぐ隣にパチンコ、カジノがあり、大きく見れば同じものである。
 オンラインゲームは、ゲーム内データを得るのに費やす時間分の価値を現実のお金に持ったりする。


・というように、ゲームとお金の関係はいろいろです。
 しかし結局はこう言えるでしょう。
 ゲームはお金儲けの手段である以上に、暇を楽しむための遊びである。
 だからより楽しく遊べる面白いものの方が良い。
 面白いことが第一の価値である。


・現実に使うことを許されている時間は有限です。
 しかしそれを気にしなくとも良い程度に長いと思えるから忘れていられる。
 つまり時間は無限にあるのだから、暇なのであり
 だからゲームのようなものにお金を使うのだ。

・お金と時間とどちらが有限で、どちらが自分にとって価値があるか。
 ひとによって、時と場合によって様々であるけれど
 生きていくのに必要でない程度のお金をつかうことで遊べるから、ゲームをする。
 だからこそ面白いのであり
 それが時間を費やすに値するほど面白いから、ゲームをするのです。