ゲームは何でも面白くはないりくつ


・暑いのでゲームなんてしていられない。
 などと暴言をはいて、今回も涼しいゲームセンターよりお送りいたします。
 クーラーの電気代よりゲームに貢ぐ方が高いのはわかっております。
 それを言ったらおしまいだ。趣味ですから。



・前回メダルゲームとかについてとやかく書いたわけですが
 それ以外のアーケードゲームは最近どうか、と申しますと
 あんまり変わっておりません。続編ばっかり二番煎じばかり。
 なにか革新的なそれはないのか、という感じですが
 家庭用ゲームでもそうです。そんなものそうそうございません。
 次世代気になったってE3だからって任天堂だからって何も変わりはしない。
 もっとも、昔のことなんてよく覚えていないから
 世の中なんでもいつのまにかで変わっていくのですけれども。


・これまでにも何度か書きましたように
 なぜ1回ごとお金払って、ゲームセンターまで来てゲームするのか、といいますと
 その家では出来ないゲームの特性とは
 家では出来ない特殊専用筐体ゲームのため、と
 みんなで遊ぶ場、としての価値。
 この2点です。

・パチンコの場合は違ってお金を稼げる期待感がすべて。
 ゲーム自体はパチンコパチスロより面白いゲームはいくらでもあるのです。
 なぜあまり面白くない「ゲーム」にのみ
 ギャンブルゲームという効果抜群の特殊能力付与が認められているのか。
 これが麻雀も可だったりしたらどうなるか。亡国の遊戯というやつであります。
 この場合警察のご指導通り、板チョコでも賭けましょう。


・もとい、プリクラとかUFOキャッチャーのプライズゲームメダルゲームを除いた
 残るアーケードゲームは2つに分けられます。
 1人用か。協力または対戦用か。

・PCのおおやけ向きゲームは今や、オンラインにあらずはPCゲームにあらず、の勢い。
 なぜそうなったかというと、PCではないゲーム機との差別化のため。
 ネット接続機能標準装備。この点にしか、いわゆる家庭用ゲーム機との違いはない。
 昔は画面が細かい、というのもありましてSLGならPCだよ、ともいえましたが。

アーケードゲームもPCと同じく、昔のように見た目のきれいさ、という面では
 もう家庭用と違わない。標準テレビ性能の方がボトルネックというやつです。
 何度目かの次世代を名乗るこのごろの家庭用ゲーム機も
 そろそろ良い加減にネット標準化を狙いつつはあるのですが
 もっともましな360ですら100%オンライン対応本体ではない。
 DSも本体は対応していていながら、次の1マイルどころかあと1メートルくらいが
 未対応である方が多かったりします。
 PCとアーケードのみ、確実にネット対応標準装備なのです。数少ない売りなのです。


・1人用は、対戦格闘、STG、ガンSTG、レースゲーム、音ゲーなど。
 レースゲームやアクションゲームの一部には対戦可能なものもあります。
 この内、アーケードゲームらしいゲームが音ゲー
 これは家でも出来ないことはないにせよ、やはり専用筐体である意味が
 他の1人用ゲームと段違いに大きいです。いや近所迷惑とかを置いてもです。
 STGなんか家では縦画面で遊べないことぐらいしか違いがない。意味ない。

音ゲーとならんでいまだ盛況である格ゲーは
 ゲームセンターにいけば対戦相手がいる、という価値を最大に体現する例。
 お店でパッケージを買うとものすごく安く買えるのに、です。
 また、通信対戦での格闘ゲームもできないことはないのであるからし
 やはり音ゲーと同じく対戦専用の筐体であること、が
 結果として対戦相手を常に存在さしめている、とも言えるでありましょう。


・協力、または対戦用のアーケードゲームは、1回あたりかかる値段が高いのが特徴。
 にもかかわらず現状1人用とほぼ同規模存在しております。
 この中で、ジャンルとしての意味あいを音ゲーのようにわかりやすく示しているのが
 麻雀です。コナミの『麻雀格闘倶楽部』とかです。通信対戦専用麻雀。
 ちなみに昔あった脱衣麻雀は現在ほぼ絶滅しております。

・麻雀はご存知のように、一応賭博ではありません。
 麻雀屋さんに行っても、将棋、囲碁と同じく
 同好の士が集まり、喫茶店のように場所代を払って遊ぶ場、としての機能しかない。
 はず、なので、メダルゲームにパチンコパチスロが存在する以上に
 必ずある程度同じくらいの腕である対戦相手がいて
 しかも相手に気を使わなくて良い通信対戦麻雀ゲームには価値があるわけです。

・PCでもDSにも無料オンライン対戦麻雀はあるのに
 なぜゲームセンターに来てお金を払うのか、という点については
 メダルゲームと同じでしょう。家以外の場所で、暇つぶしが出来る場所。
 いわゆるひとつの大人の社交場。社交というか通信対戦。まあこれも社交の内か。
 相手にむかついてもリアルファイトできない辺りが「大人の」、
 であるところなのかもしれません。
 対戦格闘とかはそれができないのが壁でもある。だから「子供の」、なのだろうか。


・対戦だけでなく、PCのオンラインゲームと同じく協力型のものもあります。
 通信先の相手と4人くらいでパーティを組み、ダンジョンにもぐって敵を倒したり
 同じ様にチームを組んだ相手と対戦したり。
 協力するだけで対戦はしないミッションクリア型アクションRPG
 PCのFPSのようなゲーム、銃を撃ちまくって相手を殲滅ゲーム、
 相手をひとが操っているならなお楽しい、というそれをアーケードでする型。

・後者の代表がガンダム題材の『戦場の絆』。最大8対8人でチームバトル。
 ガンダムだけに空飛んだりもできるので戦場が立体的なのも特徴。
 それを例のドームスクリーンが活かしているわけ。
 FPS型オンライン対戦ボイスチャット付き、ならPCでも360でもできるわけですが
 特殊専用筐体と、遊んでいないときでもチームで
 リプレイをみながら作戦を検討したりすることができるところ、などで
 アーケードにしかない特徴を発揮しているゲーム。
 ただ多人数の協力型だけに、独自の面白さがある分、調整も難しいかも。
 けれど『悠久の車輪』なんかより、現状もっとも先が期待できる種であります。



・そんな感じでこれまでと変わりなく、これ、という新機軸がないアーケードゲーム
 当分は現状維持でありましょう。
 なんだかんだいってSTGも変わらず出るだろうし
 『バーチャ』も『鉄拳』もこの分では20年くらい平気で続きそうです。 
 カードでプレイヤーデータが記録できるようになったから、は
 もちろん大きいけれど、それがアーケードゲームの価値ではありません。
 適当な対戦相手がいつでもいること。家では絶対に遊べないゲームがそこにあること。
 それだけが価値である構造は変わらないのであります。


アーケードゲームの特徴は、ゲームの数が家庭用より少ないことです。
 すごく外れのゲームをつかまされても、買って損した、ということにはならない。
 1回いくらの形式だから。つまらなければもう遊ばない。
 だからこそ極端に外れるゲームはすぐ消えるので
 結果としてある程度以上売れるゲームしか残らない。だから少なく見える。

・しかしだからといって、残っているゲームが誰にも遊べる面白いゲームなのではない。
 『アイドルマスター』は育成SLGとして、アーケード用としてもそうでなくとも
 それほど良い出来だとは思えません。
 それでもそれなりに需要があるからゲームセンターに置かれていた。

・この伝で、STGも一部の熱心なひとたちが遊んでくれるのであり続けることができる。
 と続きそうですがそうでもありません。
 STGなんか、何時間も続けて遊び続けるようなものではない。
 そして上手いひとほど長く遊び続けられる。のだからSTGは、たまに来て\50入れて
 1周目の4面あたりでゲームオーバーになってコンティニューしない、という
 多くの人たち向けの薄利多売型で残っているものなのであります。

・逆に言えば、どのゲームも、上手いひとほどそのゲームを遊び続けるのです。
 勝てるから。負けるより勝つほうが楽しいから。当然です。
 よって、STGやガンSTGやレースゲームなどの、見た目何をすれば良いかわかりやすく
 そして勝ったか負けたかが遊ぶ目的に重心を置かないゲームである、薄利多売型、
 あまりそのゲームを熱心にあそばないひとも
 たまに遊んでくれるようなゲームでなければ、上手いひとしか遊ばなくなるのです。
 初心者が入りがたくなるのです。
 遊ぶひとしか遊ばなくなるのです。


・それはそのゲームの欠点というより、形式的に仕方がないものかもしれない。
 どんなゲーム好きでも、どんなゲームも好きで遊ぶ、というひとはいない。
 時間がないからではなく、やはり興味が向く向かないはあるのです。
 『テトリス』は対戦すると面白い。でも1人用しか遊ばないひともいる。
 そういうひとからみれば、アーケードゲームのほとんどは興味のないゲームです。
 負けるから、勝てないから遊べない、ということもあるのと同じく
 対戦する遊び方しか出来ないゲームは、そのひとにとって興味あるゲームでない。

・そこまで極端でなく、面白いゲームなら遊んでみたい、
 と思っている層が最大多数だとする。
 しかし遊べないゲームは、そのひと達すべてにとっては、面白くないのです。
 対戦型クイズゲーム。とてもわかりやすく、STGやレースゲームより操作も簡単で
 誰でも遊べそうなゲームですが、そうではない。
 誰もが同じ売れている雑誌を見て同じ高視聴率のテレビをみているわけではないから
 誰にでも聴いた事のある問題、というのは出しようがないのです。
 わからない、のではなく、答えどころか問題の前提も知らない、では
 答えようがない。遊べない、面白くない。

・誰にでも遊べるゲームなんてない。
 操作の上手さを競うゲーム、
 そのゲームについて知っている程度を競うゲーム、
 そのルールの中で頭を使うゲーム、
 いずれにせよ遊べないひとがいて、面白くなく、興味が持てない。


・それがアーケードゲームというものでしょう。1回いくら。
 興味あるとわかっているゲームをパッケージで買う家庭用ゲームに対し
 その1回ごとに楽しめることがわかっているゲームでなければならないアーケード。
 だから、パチンコを遊ばないひと、麻雀を遊ばないひとが
 それを楽しめないことが遊ぶ前からわかっているように
 アーケードゲームを遊ばないひとは、それが楽しくないことをわかっているのです。

・対戦ゲームでは勝てないから、面白くないわけではない。
 カードでプレイヤーデータが記録されて、勝てないことが相手に、見ているひとに
 わかってしまうから面白くないのです。
 ゲームは2つにわけられます。
 遊んでいるひとだけが面白いものと、見ているひとも面白いもの。
 自分の思い通りになる。操作できる。それが楽しいゲーム。
 相手と競う。勝負を楽しむ。それが楽しいゲーム。
 そういう分類ではなく、
 上手いひとのゲームをしているのを見るのは面白いが
 自分でないひとの下手なゲームをするのを見ているのは興味を持てない、
 という違い。

・パチンコパチスロメダルゲームも麻雀もカード記録型ゲームもビデオゲーム
 オンラインだろうがオフラインだろうが
 遊んでいるひとにとってはそれは面白いゲームである。
 ゲームって暇つぶしだから。一部賭博もあるけれどやはりそうだから。
 どうせなら楽しい方が良いのだから。楽しくて面白くなければ
 興味がなくて、面白くなく楽しくないのだから。
 あたりまえだけど、ゲームとはゲームであればこそ
 良く出来ているかどうかと面白いかどうかは別なのであります。