『悠久の車輪』の感想 第二回

kodamatsukimi2008-03-23


 公式サイト  http://yu-sha.net/index.html
 攻略まとめwiki http://www34.atwiki.jp/ewwiki/

・このゲーム、実は面白い気がする。
 現在シナリオモードを40戦、全国対戦を20戦くらい。それで計\20,000弱。
 やはり少しどころでなく高過ぎである。


・ゲームとしては、良く出来ていると思います。
 ジャンルはいわゆるリアルタイムストラテジー
 互いに戦場に部隊を展開させて勝負を競う戦争ゲーム。
 同じアーケードゲームトレーディングカードゲームでフラットカードリーダー形式の
 『三国志大戦』が将棋なら、こちらは囲碁というおもむき。
 敵部隊とはなるべくまともに戦わない方が良い。
 逃げ回って陣地を確保して
 その範囲内にいるだけで自動回復効果がある本陣に引き込んで潰したり
 敵軍まとまったところで一気に召還獣で殲滅した方が良かったりする。
 戦術的でなくより戦略的。すとらてじかるである。

・『大戦』のようにハンドスキル、操作の上手い下手が直接に出ない、
 アクションゲームではない、というところも差別化成功でありまして
 強い部隊に弱い部隊が真っ正直にぶつかればどうしようとも必ず負ける仕様。
 正面突破だけでは必ず搦め手に対処しきれなくなる。
 私のような下手には嬉しいゲームです。

・『三国志大戦』は、それはそれで良いゲームであります。
 何しろ過去2年で\450,000とか使っているゲーム。
 過去最高のゲーム、それにふさわしくなくては困るというもの。
 しかし『悠久の車輪』も、これはこれで、また違って面白い。
 なぜカードを操るゲームは面白いのだろうか。
 このゲームはDS版で良いのではなかろうか。
 既に\20,000使っているからすれば、その値段で『悠久の車輪DS』が出たら買うのか自分。
 まちがいなく絶対買います。
 そして『大戦DS』と同じ様に大型DSが10万円くらいで出たら
 確実に買う勢いと書いておきますね。

・いやはやテレビゲームほど安く上がって大人も楽しめる趣味はございません。
 ただなぜかアーケードゲームのそれは別なのですけれども。



・大まかなゲームのありようについては前回も書きましたが
 補足としてまとめてみますと
 試合時間は1戦300秒、つまり5分。『三国志大戦』は4分ですが、
 様々なエフェクトで時計が一端止まる機会は
 『大戦』のほうがやや多く長いと思いますので、かかる時間は同じくらいだと思います。

・1ゲーム\300。ただし負けても1度だけ\200でコンティニュー化。
 『ガンダムカードビルダー』と同じ仕様らしいですが、全国対戦で負けても
 2戦目が勝ったのと同じ金額で出来るのはありがたい。
 またある程度遊ぶと『大戦』と同じく連勝で3戦目が\100でできるモードも
 最初に選べる仕様。良いとこ取りで後発の強みですな。
 ただ店内対戦は1度切り。\300で終わり。また3回あるチュートリアルも1度切り。
 ここは『大戦』に劣る謎仕様。こういうところで稼いでも印象悪くなるだけなのに。
 タイトーせこい。

・また、全国対戦の対戦相手決定はレーティング制。『テトリスDS』みたいなやつですな。
 1600からスタートして、最初は一戦で±4ポイントくらいの変動。
 戦歴積むと次第に変動幅大きくなっていく模様。現状全国トップは1800くらい。
 まだ団子状態で今後どう働くかわかりませんが
 『大戦』のようにサブカード横行、初心者狩りの頻発は
 できるだけ少なくなるよう、なって欲しいものであります。
 このあたりのまとめはWikiのFAQもご参照ください。http://www34.atwiki.jp/ewwiki/pages/67.html


・製作はタイトーhttp://www.taito.co.jp/)なのですが、この会社、すでに
 スクウェアエニックスの軍門に下っているのはマニアな皆様ご存知の通り。
 歴史はあっても大して売れるシリーズを持っていないタイトー
 なんでまたスクエニが配下にしたのかは
 全国にそこそこそれなり意外とあなどれない数あるアーケード系列店と
 ついでにアーケードゲームジャンルへの進出意図なのではなかろうか、
 というような噂であったと記憶してございます。実際どうだかは存じませんが。
 スクエニアーケードゲームだしたからってどうなるものだか。
 もっともセガとかが稼いでるのだから付け込む隙あると思うのもわかりますが。

・開発は、もっぱらセガ社内だけの『三国志大戦』と違って
 遊宝洞(http://yuhodo.jp/)、リズ(http://www.riz.co.jp/index.html)、
 といった会社にて行い、まとめとか筐体まわりとかネットワークまわりをタイトー
 という仕様の模様。そして看板はスクウェアエニックス
 しょせんタイトーだしな。


・ところがシナリオモードとか、これが結構良い出来なのです。
 勢力ごと、大別6ルートに分岐する結構な量のシナリオが用意されておりまして
 全国対戦と同じく1戦目\300、2戦目\200負けてもコンティニュー可で遊べます。
 ルートクリアで新規召還獣も手に入るので初心者はまずここから。
 1戦ごとの前後にカードイラストを使ったストーリーデモが挿入されるのですが
 これが短い文章ながら、展開といい良い感じ。
 『ファイナルファンタジータクティクス』を遊びたくなる。そういう雰囲気です。

・上の2社の内、カードゲームとしての設定のようなことは遊宝洞が、
 それをテレビゲーム化するのがリズの役割なのかな、というように
 シナリオモード最期のエンディングスタッフクレジットからは窺えるのですが
 どちらにせよ、カードゲームとして、三国志のように土台がないオリジナルでありながら
 中々に魅力的な、いわゆるひとつの世界観を構築できているのには成功です。

・こういうゲームにおいては、ただ遊ぶ1回に\250を出させるにはやはり
 排出されるカード自体にも魅力なければ成り立たないものでありますがゆえに。
 当たり前ですが、それが出来ていいないゲームは沢山ありますから。
 見た目そとづら外観もまた性能のうち。どの産業でも同じです。


・カードゲームとしてのバランスは、さすがに正式可動開始から
 まだ2週間と経っていないだけに未知数な面も相当に大きいのですが
 今のところなかなか良い感じなのではないか、というのが全国を遊んでみたり
 ネットの評判覗いてみてもの感想です。

・SR(スーパーレア)、R(レア)カードは高性能カードである、というよりは
 特徴が強く欠点も多い、という区分け。
 三すくみを見越した三兵編成を、カードコストのバランス良く組もうとすると
 スターターカードに何枚か加えるだけで充分だったりする。
 トッププレイヤーの全国対戦リプレイを見てもスターターカード、
 最初始めるとき購入するセットに付いてくるカード、が普通に使用されております。
 スターターが強い。Rカードがなくても全国で十分戦える。
 そういう意味でも、立ち上がりとして良いバランスと言えましょう。

・また、シナリオモードでしか新規召還獣が手に入らない、というのは
 対人戦だけをしたいひとにとっては確かに微妙ですが
 初期所持召還獣が実は一番使いやすくある意味強い、というのも良いところ。


・ただ非難轟々なのが、排出カードのR比率。これが偏り過ぎである、
 というのがこのゲーム、大きく言われている欠点なのであります。
 Wikiにまとめられた情報によるとSR:R:UC:Cが種類枚数25:25:25:42に対し
 排出率1:3:8:38の割合だとか。
 ちなみに私は1:2:11(2):61(26)。()内は重複。
 『三国志大戦』だとUCとCは区別せずで、2:5:43くらい。
 つまり、SRはまあこんなものかなのですが、RとUCがすごく出にくい感じの模様。
 『大戦』だとUC(アンコモン)は当たり前に出るので
 C(コモン、common=ありふれた)と分けていなかったのですが
 確かにこの排出比率を見ると偏っているようではあります。

・UCはCに比べるとやはり有用なものが多く、そしてRやSRを引くのは
 やはり1ゲーム平均\250の辛さを忘れさせる有効なご褒美だけに
 もう少し釘を緩くしても良いのではなかろうか、と思うわけですが
 上のように、SR、Rなしでも勝てるデッキは作れるというバランスだからこそ、
 という意図もあるのでしょうか。客が絶えるかそれとも耐えるか。
 面白いところでございます。
 もちろん私も、SRとかRが欲しくないわけでは決してございませんので誤解なく。
 引いた唯一のSRが、使えないガッカリSRと噂の「グラン・ピュータ」。
 『大戦』でもここ200回くらいで引いたSRは3枚だけ。
 我ながらなんという素晴らしい引き運。惚れ惚れします。


・他に欠点と言うべきものは、お値段高いこと、
 『大戦』のようにアクションゲーム仕様でないこと、
 『アクエリアンエイジ』ほどではなくとも女性カードが多くて「硬派」でない、
 というようなのがあるのですが無視。高いのは仕様です。

・ただ、回線の安定度が『大戦』に劣るのは確か。
 アクションゲームではないからラグは比較重要でないのに安定度でも劣るのはどうか。
 勝ち確定はもちろん、負けが確定の時にいきなり切断してCOM戦に切り替わっても
 どちらにせよ気分よろしくない。
 本日など負けデモ最中に回線切れいたしました。
 まるで負けそうになったからあわてて故意に回線切断したかのように、
 しかもそれが遅すぎて失敗したかのように相手のかたには見えたかもしれない。
 恥ずかしすぎる。タイトー最悪。もっとプログラム的に工夫してください。

・それから、まだ遊んで80回くらいなのに、『大戦』では2000回程で1度も起きていない
 排出カード詰りに2回も当たっていることも駄目。
 これは別々の店舗だったので整備でなく筐体設計不良でしょうか。
 ソフト面ではないので容易に直しようがないかもわかりませんが
 やはりタイトーは駄目会社との認識を新たにする次第でございます。 
 まだ『2』でなく可動開始2週間未満なのにver.2.04なのは
 それなりに頑張っている証左とでも言うつもりですか。駄目なものは駄目。



・全国対戦を遊んでみた感じでは、まだまだ自分同様みなさま慣れていない感じで
 なんだかわからないうちに負けた、というようなことは減ってきているものの
 意図通りにして勝った、というのをバランス型デッキで体現するのは
 まだまだ難しいところ。
 本当に、将棋でなく囲碁のように
 勝っているのかどうかが一見してわかり難いところがあるゲームです。
 強い人ほど、その強さが目に見えてわかりづらい。けれど結果勝っている。
 ひとつずつの部隊はそれほど強くないのに
 立ち回りでいつの間にやら覆しがたい差を付けられる。

・シナリオモードの対COM戦も、後半などはかなり、いや凄く強いです。
 開幕の条件などはやや差があるとはいえ、デッキのコスト制限などは同じなので
 戦場でぶつかり合う分には基本対等条件であるはずなのに
 それなのにコンピュータごとき、計算機相手にも負ける。
 『三国志大戦』ではありえない。最初負けたとき呆然としました。
 なぜCOMがこんなに強いのか。自分はそれほどまでに下手だったかと。
 確かに、まだ敵のカードを見て性能をそらんじられるほどには詳しくないけれど
 それにしてもデッキ総量に差がない条件で負けるとは。

・カードごとが持っているアビリティは
 『大戦』のそれが「赤ボタンゲー」といわれていたほど
 極端に戦況をひっくり返してしまうような、効果が強いものはありません。
 けれど地味に効く。それひとつで勝負が決まることはないけれど
 局面ごとの優位差が少しづつ開く。
 それがこのゲームの大きな特徴でありましょう。
 アクションゲームではない。一気に敵を叩き潰せるものでもない。
 攻守両面にバランスを保った部隊同士の戦いで、局地的わずかな違いが詰みあがり
 いつか天秤を大きく一方に傾ける。
 渋い。渋いゲームです。


・画面は正面と、手元のカードリーダーを兼ねたものとの2つあるのですが
 主に演出よりの正面を見ている余裕は全然ない。忙しいです。
 数字上弱い部隊は強いのに必ず負けるから逃げなければならない。
 強い部隊はうまく弱い部隊が左右に陣地伸ばしてくるのを捕まえつつ
 本陣も守らなければならない。
 本陣を多少叩かれても部隊を撤退させないよう態勢を常に整え
 隙みて陣地を増やして局面を転回させる機を窺うのだ。
 なんというかすること地味。そういうゲームなのである。


・カードゲームは『大戦』を散々遊んだので、いまさら奥の深さはあまり感じません。
 ただ『悠久の車輪』には『三国志大戦』とは違う面白さが確かにある。
 これは実に非常に凄くとっても困ったことです。
 ゲームはお金のかかる遊びだ。
 家庭用ゲーム機は、数千円で何十時間も遊べるのに
 このゲームは試合時間5分で\250もかかる。
 なんて駄目なゲームなんだ。
 その上最悪なことは、それでも遊んでしまうほど、
 しっかりそれなり面白いことであるのです。