2011年くらいに読んだ本のまとめとか


はてな利用開始から9年目にして始めて大きな写真を貼ってみた。



本棚。
天井まで積み重なってる山状があと2つあるのですが
中でもっとも見栄え良いもの。クリックで少し拡大します。



別角度。マンガばかり。
購入代金より置いておく場所費用のほうが掛かるもの。それが本。
古典作品文庫版の値段を見ると安すぎる。
けれど豪華装丁本は高く感じるのもまた事実。



この本棚、手前と奥に分けられていて見かけより置けるのです。
奥は一段高く確認可能。
さらに一番下の段はまるごと引き出し可能。素晴らしい。




でそれで本題なのですが
毎月更新などと昨年末に高過ぎる目標掲げてしまったので
2回目にして早くも書くこと思いつかなくて頭かかえる。
おかしい。
ひとさまより仕事をせずゲーム遊んでいる比率は高いのに。
今月もいろいろ遊んでいたのですが
これというあれがない。
昔のように適当なこと書いても良いけれど
進歩がないので同じことしか書けないのである。


そこで今月は、いや今回は
2011年くらいに読んだ本のまとめみたいな内容で
誤魔化し揉み消し取り繕い。
2010年より前のまとめとかはこちらの右下の方参照。
http://mediamarker.net/u/kodama/

ライトノベルにおける青春もの

クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門 (ファミ通文庫) 豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J) 
2011年に読んだ本でよかったものを抜き出してみたら
高校生くらいの恋愛含みな青春もの、というようなものが目に付きました。
中でも際立って変わっていて面白かったのが一番左のそれ。
題名『クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門』。
ながい。


ライトノベル」というのは中高生向けに売っている小説の呼び方。
それらに良く見られる傾向、
他の、中高生を主要対象としていな小説、と比べての特徴を指して
「キャラクタ小説」という言い方があります。
ライトノベルらしさ、「キャラクタ小説」度合いの高さ、というものを
実際読み比べていないひとへ説明するのは難しいけれど
例えば「時代劇」と呼ばれるものは「キャラクタ小説」的、なのです。


エンタメ寄り、娯楽小説、大衆小説、というような言い方もありますが
そうは呼ばれたがらない小説らが、評価の一例として、
えらいひとに「人間がかけていない」とけなされるのに対して
「時代劇」の定番登場人物、ご隠居熊さん八っつぁんに若旦那、
越後屋と悪徳家老などのかきかたに「人間がかけていない」とは聞かない。
「深い」のでなく逆に「類型的」、型に嵌って独自性がない、のにである。


深くないけれど「類型的」だからどこにでもいそうであり
どこにでもいそうで名前の付いた唯一性ある人物でないのに
性格行動の長所短所らが誇張されて、特徴的であるところ、
独自性がないのに特徴的である、
どこにでもいるようでどこにもいないようであたりにいるようでもある、
そういう登場人物の有りかた要件が、
キャラクタ小説的な描き方。時代劇もそう。
西部劇もスペースオペラも全米大ヒットなハリウッド映画も幾分かはそれ。
そういう書き方のされていることが特徴となっている、
中高生向けの小説がライトノベルなのです。


類型的で特徴的な、うすっぺらでうわっつらで「人間がかけていない」、
そういう登場人物で行われる劇が時代劇でありライトノベル
登場人物がどこにでもいそうでありながら特徴的なので分かりやすい。
定番。安定安心して読めるという特長なわけなのですが
登場人物に縛りがあるぶん、お話の筋書きの方にも制限かかる。
特徴的なキャラクタが定番の行動から逸れてしまうわけにはいかないのだ。
正義の味方は最後には勝って善くなければならないのだ。
ヒロインとほんとうにくっついてしまってはシリーズが終了してしまう。
好評の内だからこそ終わるわけにはいかないのである。


時代劇でもライトノベルでも、そういうキャラクタ小説のお約束、
登場人物を安心の定番キャラクタと成さしめる慣習法を、無視することで、
このお話筋書き制限から逃れることは、最終回になるか、
もしくはそういうお約束の慣習からなるお話にしてしまうか。
その後者の例が
『クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門』。
ライトノベル的な登場人物とお話でありながら
高校生の恋愛ものでもある。こういう小説はみたことない。感心しきり。


「青春小説」というのは『ライ麦畑でつかまえて』のようなそれ。
その少女版が「少女小説」で『赤毛のアン』とか『若草物語』。
少女小説のキャラクタ小説化、らいとのべらないず、
女子向けライトノベルが『なんて素敵にジャパネスク』。
では男子向けライトノベルの元は何か。
「青春小説」を中高生向けにして
かつキャラクタ小説化すれば男子向けライトノベルになるはず。
青春小説の中高生版はなんというのか。
「ジュヴナイル」というのは『十五少年漂流記』みたいなあれであり
「青春小説」とは趣き異なる。
『三銃士』あたりはだいぶんそれっぽいが
「冒険小説」ではあるけれど中高生向けなのか。『ゼンダ城の虜』とか。
クライマーズハイ』が子供がいる「大人」が主人公でありながら
「青春小説」であるように
登場人物の年齢は、その小説が「青春小説」かどうかにはあまり関係ない。
といって中高生向けの小説に大学生くらいならともかく
30歳を過ぎた年齢の人物を主人公とするのも冒険だ。


男子向け、少年向けの定番といえるお話は
主人公が強くなって勝って偉くなる、というもの。
少女小説はそうでなくとも女子向け小説が
主人公の個性を認めてくれる相手との出会い、が定番と同じく。
「青春小説」が「教養小説」に対して
「大人」に対する逃避という年代やありかたを描くものであり
少女小説」が男子が大人に接続されるのを傍らに眺めるものである、
といったところからすれば
男子向け、女子向け小説に求められる定番というのは
キャラクタ小説であるうんぬん以前に、あまりに慣習お約束へと、
既に囚われているわけである。
「青春小説」は中高生の現実でも理想でもなく
既に大人になったもののもので
ジュブナイル」は大人が子供に向けて書いたもの。
いずれにせよ男子向け女子向けの上で
ライトノベルでない小説の下にあるものに対する名前は
ライトノベルとしかないのである。ヤングアダルトとか言われても。


そんなところが、
中高生向けのライトノベルという場で「高校生の恋愛もの」が
あまりみられない理由であろうと勝手に今回、
これらの本を読んで思った次第なのであります。
2冊目の『ヒカルが地球にいたころ』は
女子向けライトノベル内容ながら
男子主人公ゆえの男子向けライトノベルでもある作品。
光源氏源氏物語という女性による作品への男性と女性の評価の違い、
ローマの休日』みたいな「恋愛もの」に対するとり方の相違、
そういった観点からして面白い作品。
3冊目の『豚は飛んでもただの豚?』は
ライトノベル度の低い高校生の青春小説。
恋愛含みの高校生を描いた小説。
実際の高校生はこれほど自身と周囲を
淡くかつ好く描くのが当たり前ではない。それはまあそうである。


関連作品というか上の3冊に併せて次にお勧するならな作品。
俺はまだ恋に落ちていない (GA文庫) 灼熱の小早川さん (ガガガ文庫) パニッシュメント (ガガガ文庫)
左:上の『豚は飛んでもただの豚?』をよりライトノベル度高めたもの。
中:高校生活をファンタジックに狭い青春として描き換えた作品。
右:「青春小説」で宗教という素材を上手く扱っている非ライトノベル

歴史ものあれこれ

歴史とは過去の出来事に対する現在からの解釈である。
実際その現場において、大体何がおこったかは記録から想像されても
ほんとうのところ当人たちが何を思ってどうしたかは
ご本人たちにだって振り返っても先見ても想像しかできない。
にもかかわらず歴史はこういう事実であったと継がれていく。
後から読み返して、読み返した時代とひとなりに勝手にそれぞれ想像し
勉強になったり楽しんだりするわけなのだ。
教訓にならないのは1年くらい前の日本の有り様からも明らか。
例えば、中国史における新の王莽が行った失敗を
後世どれだけあたまのよい教養深くえらいひとたちが
自分は過去に学んで正しく善いと間違って、繰り返したか。
人間は歴史に過去に学べず、
失敗が起きてもなんとかなった程度には目先の努力を繰り返して、
結果たどり着いた今が現在だと思うのです。


http://yaruo.wikia.com/wiki/やる夫が徳川家康になるようです
いわゆるひとつのネット小説。
桶狭間の戦いが1560年。
本能寺の変が1582年。
小田原城落城が1590年。
豊臣秀吉の全盛期はおかしい。その後のやらかしぶりもおかしい。
状況変化加速度が一番おかしい。
歴史に現在進行で付いていくのは大多数にとって不可能事に違いない。


ローマ人の物語 (41) ローマ世界の終焉(上) (新潮文庫) ローマ人の物語 (42) ローマ世界の終焉(中) (新潮文庫) ローマ人の物語 (43) ローマ世界の終焉(下) (新潮文庫)

完結。
ローマ帝国はなぜ世界最初の大帝国を築くことが出来たのか。
真実その答えがひとつあるわけではもちろんない。
日本人的にはキリスト教の暗黒中世元凶説に飛びつきたくなるものの
では東洋もなぜ一緒に停滞していたのか。本当に停滞なのか。
進歩とは何か。
タイムマシンで現代科学技術を伝えたらローマは世界を征服できたのか。
知ることは出来ないけれど、想像してみることはできる。
歴史は面白い読み物です。

好みの問題

龍盤七朝 DRAGONBUSTER 〈02〉 (電撃文庫) 変態王子と笑わない猫。4 (MF文庫J)
ISBN:9784167791018IN:B000J80ACGとかISBN:9784150310554

文章の良し悪しというのは判らなくとも
中身が頭に入らずとも文を面を追うのに、心地良いのでなく、正しい感じを
与える文章というのはある、ように感じます。
正しい感じ、といっても良くわからないけれど
安易にこの並びが間違っているとつけ入り難い感じ。


それとは別に、文章は頭に入らなくとも
文が描いている内容が、絵でも画でもなく、日本語の羅列でもなくて、
頭にしみこむものもある。
それが好みということを示す一例ではなかろうか。
技術の巧緻なのかどうかは良くわからないが、これは良いものと感じる。
良し悪しも好き嫌いも文章で表すのは難しい。文章は難しい。

話の内容が凄い

サクラダリセット6  BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫) 円環少女 (13) 荒れ野の楽園 (角川スニーカー文庫)

良し悪しというのがわからなくとも、好みかどうかは感じられるように
何だかわからないがとにかく凄い、と思うものもあります。
凄いとは何か。普通でない。当たり前でない。見たことがない。
ここに挙げた2作、『サクラダリセット』も『円環少女』も
上で言う好みの作品でもあるのですが
加えて内容もまた凄い。みたことない。
こうなるのだろうと他の本を読んできてからの予想が付かない。
どこまでもいつまでもそういう感を与える得がたい作品。

TRPGリプレイの総評

リプレイだけで200冊超。有名どころは大体読んだと思うので
現時点でよかったものを改めてまとめてみたいの巻。

トーキョーN◎VA The Detonation リプレイ ビューティフルデイ あるいはヒュー・スペンサー最後の事件 (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
頂点に立つはこの一冊。
リプレイというのはこういうのもできるのかと驚嘆する作品。必読。
デルフィニア戦記』が『ファイアーエムブレム』だなと思うように
カウボーイビバップ』だなと思う作品。
ただ初めて読むリプレイとしてはおすすめしにくいのが難。


ノエルと薔薇の小箱―アリアンロッド・リプレイ・ルージュ (富士見ドラゴンブック) ノエルと翡翠の刻印―アリアンロッド・リプレイ・ルージュ〈2〉 (富士見ドラゴン・ブック) ノエルと白亜の悪夢―アリアンロッド・リプレイ・ルージュ〈3〉 (富士見ドラゴンブック) ノエルと蒼穹の未来―アリアンロッド・リプレイ・ルージュ〈4〉 (富士見ドラゴンブック)
もっとも広くわかりやすい高品質という意味ではこのシリーズ4冊。
テレビゲームのRPGを何十時間かかけても遊ぶのが好きなひとには
是非試してみていただきたい。
ほぼ同品質で次に読むならこちら。
アリアンロッド・リプレイ銀の輪の封印 (富士見文庫―富士見ドラゴンブック) アリアンロッド・リプレイ(2) 闇色の血の騎士 (富士見ドラゴンブック)  アリアンロッド・リプレイ3 金色の鍵の英雄 (富士見ドラゴン・ブック)


新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz〈1〉旅立ち・お祭り・子供たち (富士見ドラゴンブック) 新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz〈2〉競争・怪盗・大湿原 (富士見ドラゴン・ブック) 新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz〈3〉駆け込み・災厄・学者サマ (富士見ドラゴンブック) 新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz〈4〉誘拐・ヤキモチ・すれ違い (富士見ドラゴンブック) 新ソード・ワールドRPGリプレイ集Waltz〈5〉誓い・陰謀・巣立ちの日 (富士見ドラゴンブック)
女子向けライトノベル風味でテレビゲームのRPGな冒険もの。
普通に女性向けRPGというと『テイルズ』シリーズみたいな、
になるかと勝手に想像するのですけれども
そうではなく、より低年齢向けにも丁寧で意味なく美形の必要ない層、
という感じ。
自分で書いていて何がなにやら良くわからない。


ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(1)  星影の魔都 (富士見ドラゴン・ブック) ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(2)  残影の妖都 (富士見ドラゴン・ブック) ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(3)  孤影の死都 (富士見ドラゴン・ブック) ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(4) 黒影の王都 (富士見ドラゴン・ブック) ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・デザイア(5)  面影の古都 (富士見ドラゴン・ブック)
上の『Waltz』が中学生向けな感じだとするとこちらは高校生向けな趣き。
現代が舞台で女性2人が主人公のライトノベルなお話、
というだけでも実は例があまり思いつかないので
そういう観点からも面白い。


以上5作品はいずれも完結済み。
ライトノベルとテレビゲームのRPGを楽しめるひとにならば
誰に対しても自信を持っておすすめ出来る作品。
TRPGはどうしても内輪受けの閉じた感じがあり
売れている作品なのに表現に未熟なものも多いので
抵抗あるかたもおられると思いますが、お試し願いたいです。
以下は上ほど広くお勧めはできないけれど
次段階として良い出来と思うもの。

アリアンロッド・リプレイ・ブレイド(1)  サムライプリンセス   (富士見ドラゴン・ブック) アリアンロッド・リプレイ・ブレイド(2)  クッキングコロシアム (富士見ドラゴン・ブック) アリアンロッド・リプレイ・ブレイド(3) ハルマゲドンラヴァーズ (富士見ドラゴン・ブック) アリアンロッド・リプレイ・ブレイド(4) プリンセスショーダウン (富士見ドラゴン・ブック)
チャンバラ時代劇。全4巻完結。
時代劇の予定調和な面白さ、予想を越えるようなところはないけれど
安定して楽しく読める娯楽作品。
前作『アリアンロッドレジェンド』も同じく一定良品質。

クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえあんてぃーく (ログインテーブルトークRPGシリーズ) クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえはいすくーる (ログインテーブルトークRPGシリーズ) クトゥルフ神話TRPGリプレイ るるいえばけーしょん (ログインテーブルトークRPGシリーズ)
値段が高く、派手な展開のない地味な内容とあってすすめにくいですが
それでも楽しめる、納得できる内容。
他のリプレイが現代だったり剣と魔法のファンタジーだったりするにせよ
テレビゲームのRPG風冒険ものであるのに対し
こちらはホラー風味の古びた洋館探索ものなAVGという雰囲気。
戦闘で必殺技で大活劇みたいなものはないけれど
スリルでサスペンスだけれど嫌味のない冒険ものが味わえる作品。