初音ミク Project DIVA

初音ミク -プロジェクト ディーヴァ- お買い得版(通常版) - PSP 初音ミク -Project DIVA- 2nd お買い得版 (通常版) - PSP

ただでさえ天使のミクさんがなんたらかんたらで胸熱。
などとネットの一部もしくはそこにいるひとにとって広く有名の
初音ミクさん率いるキャラクタを用いた「音ゲー」、
すなわち音楽に合わせてボタン押すリズムなゲーム。
セガ製。せーがー。


既にPSPで3作出ており、アーケード版もあり、
さらに今度3DSでも新作出るようですが
そのPSP版1、2作目を遊んでみました。遊んでみた。歌ってはみない。
ちなみにPSPPS3につないで遊ぶ専用の
「ドリーミーシアター」というのもあるらしい。
単に大きな画面で、だけでなく
PS3並の画でPSP版のゲームと同じものが遊べるものらしい。
さすがキャラクタ魅力でも商売できるゲームというかキャラクタである、
と思っていたのですが
実際遊んでみたら良い出来で感心。セガなのにおかしい。
PS3との接続追加料金も見た目でなく
高難度がクリアできない所為をコントローラへ求めたくなる罠。




初音ミクとは」。
なかなかに有名であると思われるので
知っているひとはよくよくにご存知と思いますが
知らないひとはもちろん私のように知らなかったので説明。
楽器の名前です。


弦弾く弦楽器、管吹く吹奏楽器、太鼓の達人な打楽器とか
楽器にもいろいろありますが
他にも電子楽器というのがあります。
この中で聞いたことあるのが「シンセサイザ」。
英語で「synthesizer」。「synthesize」で「統合」とか「合成」。
その存在は音楽室にあった気がしますが、でも使ったことはありません。
電気で動く小型卓上ピアノみたいなあれ。
あれでいろんな音がなぜか鳴らせるらしい。弦も管も鼓もないのに。


そういうところ電子楽器は不思議なのですが
身近に有るもっと不思議な「楽器」はイヤホンとかヘッドホン。
あれら耳に収まるほど小さいのに
楽器演奏音どころか話し声まで鳴らせ作れて聞こえるのです。
改めて不思議。科学技術すごい。
そしてスピーカの中にある振動板の精密制御、
電子な命令でそれを行い、音を鳴らすのがすなわちシンセサイザ。
弦も管も鼓もなくとも、命令通り鳴ってくれるスピーカとかが付いている。
電子楽器シンセさんがスピーカさんとかにするのは
電子の命令。プログラム。
いわば電子計算機ことコンピュータと似たところある電子楽器なのである。


合成屋シンセさんの中でも、電子計算機と合成されたのが
パソコン上プログラムとして働く「ソフトウェア-シンセサイザー」。
さらにその中で「合成音声」、「Voice」の「Synthesize」、
すなわち音を組み合わせて人間の歌声のような音を鳴らす専用の電子楽器。
そこが「初音ミク」さんの在るところ。
ちなみに併せて付いている名称「ボーカロイドVOCALOID)」は
楽器製造会社ヤマハが作った音声合成専用電子楽器の商品名。
初音ミク」は「ボーカロイド」のひとつ。
細かく言うといろいろあるのですが
つまりゲーム機なら3DO社の3DO規格で故三洋電機が出したTRYのようなもの。
違うか。違うな。まあいいですそんな感じです。


もとい、「ボーカル+アンドロイド」という字面の通り
ボーカロイドのみなさんはキャラクタ付きで、それぞれの声で歌えます。
シンセサイザーで日本産だから日本語の歌詞ならおおよその曲歌えます。
歌いますが、けれど喋るのは難しいらしい。
素人思うに、歌う方が喋るより難しいような気がするのですが
どうもそうではないらしい。そういうものらしい。
歌には楽譜というこうすれば正解、という基準があるけれど
喋る方にはないから、みたいな模様である。
ホンヤクコンニャクの発明を信じて英語勉強しないで過ごしてきたので
科学技術のさらなる奮起を期待したい、という話ではないようである。


ボーカロイド」としてはVer.2に当たる初音ミクさんの登場からでも
既に4年半くらいたつのに
このゲーム遊ぶまで話題は聞いても、まともに歌聴いたことなく
正直どきどきメモリアルEVSなどとかなり舐めて掛かったのですが
皆様とっくにご存知の通りヤマハ音声合成技術はすごいのである。
確かに特徴ある声質で歌うことで誤魔化しているのかもしれないにせよ
様々な種類の楽曲に併せて、
指定した「歌詞を歌っている」ように聴こえる。
その音を出しているのでなく、歌詞を聞き取れる。
なるほどこれはたいしたものである。今更さらさら。


音楽の知識は英語と同じく、
きれいさっぱり全然まったく少しも持ち合わせていないのですが、
たぶん電子楽器なのだから、楽譜の指示通り歌うことに掛けては
どんな人間の歌手より正確なのではなかろうか。
つまり絵画に対する写真のように。
昔からある楽器と対する電子楽器として。
写真があっても絵画があるように
合成音声や電子楽器が人間の歌や演奏と対立するわけではないにせよ
絵を描くこととカメラのシャッターを押すことの差と同じく
そこには素人の手を入れ得る容易さがある。
また電子機器として新しい利用ができる。


他にも「ボーカロイド」「初音ミク」については
多様な切り口があるとは思いますが
それはともかくとりあえず、
現在の音声合成技術はいつのまにやらたいしたもの、と感心したわけです。




次にゲームの中身について。
良くあるリズムゲームで、2DSTGから照準と回避は廃して
BGMとの同期性にこだわった「避け」でなく「打ち込み」アクションSTG
同じ打ち込みアクションSTGとしてキーボードタイピングがありますが
「ゲーム」に加工利用しやすいのは常にゲーム進行へ沿う方。
連射速度が価値だった時代も多くは前提に正解に倣う正確な挙動があって
「タイピングゲーム」の突出した特殊さが思われます。
クォース』なんかは相当に独特です。


クレーでなく照準でもなく、マーカー舞う背景では
ミクさんとかが音楽業界でいうPV、プロモーションビデオ風に
歌いつつ踊っていて邪魔ですが、雰囲気。
ためしにBGM消して遊んでみろってなもんなのである。重要なのです。
リズムゲームというのはゲームにおいても
見えないがゆえに普段あまり気にしていない「音」が
空気と共にそこで当たり前にあることがいかに大切かを
思い出させてくれるジャンルであります。
また音を視覚として意識させてくれるつながりの面でも趣き深い。
音楽を目に見えるように感じることなんて
多くのひとにとってはないことです。


まずこの作品、これも今更ですが感心したのは
全曲に難度の別があるところ。
つまり、この曲は簡単、この曲は難しいと分けられているのでなく
簡単難度なら全部の曲を遊べるという仕様。
お気に入りの曲をゲームが得意なひとも不得意なひとも楽しめる仕様。
当たり前のようでテレビゲームではなぜか当たり前でないこの仕様。
遊ぶ方は「音ゲーが上手くなりたい」「このゲームをクリアしたい」
わけではもちろんなく
BGMに合わせて打ち込んでいることが楽しいから遊ぶのである。
その曲が聴いていて心地良く好きかどうかが重要なのだ。
しかし1面から順に進んで段々難しくなっていき
上手くなって先に進めるほどえらい、というのがゲームである、と
ゲームを作る方と遊ぶ方も勘違いするわけである。
しているわけである。私もしています。
そのほうが面白いものだと思い込んでいるのでなく
そういうものだと思っていて疑問に思わない。
なぜ今まで音ゲー遊んでいてそう思わなかったのかと思うのです。


また、上に書いたように1作目と2作目を遊んだのですが
得点評価基準や難度の進行管理や収集要素実行要因処理などが
きちんと進歩しているのも偉いところ。
細かいところでは、2作目ではミスしてもBGMの歌が影響受けない。
リズムゲームでよく見られる、
打ち込みに失敗すると背景の音楽にも忠実に反映される、
という仕様が除かれている。
これは処理落ちからの要請があったのかもしれませんが
下手な私にとっては、ミスがミスに繋がる悪循環に陥らないで済む改善。
ボタンを打つことで音を刻む操作をする「ゲーム」であるから
その結果がBGMにも「わかりやすく」反映されるのが正しいと
ゲーム的には思っていたわけですが
これも上と同じく、余計な工夫であったのかもしれない。


ちなみにこのゲーム遊んでいて思ったのですが
音楽業界で奏でて踊って歌っているひとたちは
なぜ自分の曲プロモーションビデオに
音ゲー」つけたものを売らないのだろう。知らないだけかしら。
音と映像だけのプロモーションビデオよりは
遊べる分多少高くでもより売れるだろうに。
ゲーム部分の製作費用は使いまわしで賄えように。
詩だけでなく曲としてより理解してもらえるだろうに。
好きな楽曲なら買うかもしれないけれどな。
でも「音ゲー」としての判定や難度指定と査定、
意欲保持のための衣装換えご褒美や遊び手の意識共有も、
そうしてみると改めて重要さが意識されるわけでもある。


長調短調についてでも問われるまますらすら答えられない身には
敷居高いですが
エディットモード、つまりゲームの「1面」「1ステージ」を
作成する機能もついていて
曲データをPSPに取り入れて新しく作ることもできる。
既存持ってきて、また短い曲でも
キャラクタが背景で音と合わせ踊っているまで指定するは
滅茶苦茶に大変そうというか仕事でなければ愛がないと困難そうですが
ゲームとしてこれほど開いているにもかかわらず
それでも次回作に需要損ねないという消費者動向も面白いものであります。


いろいろ感心しているけれど
それは普段「音ゲー」を遊ばない時代遅れな見解ではないか、というと
多分にそういうところございましょう。あります。ある。
ゲームセンターであの手のものに手を出す気にはなれないし
太鼓を部屋で叩けるほど住環境良くないのである。
同理由でXBOX360Kinectも無理。
まあそれはそれとして、それはともかく、
この『初音ミク Project DIVA』にはいろいろ感心しました。
キャラクタ人気というきっかけもあったけれど
PSPで遊ぶリズムゲームとして良く出来た作品でありました。
セガなのに。
時流の期待に沿えない一方で百に一つの当たりもある。
それがセガクオリティ。それもまたセガクオリティということかと胸熱。