「ゲーム批評 Vol.60」

kodamatsukimi2004-12-28

 マイクロマガジン社 12月3日発売 ¥780
 公式サイト http://www.microgroup.co.jp/game/

・特集は「2004年GJ(グッジョブ)ゲームアワード」
 「PCゲームをやらないか?」。
 今年のベストゲーム選定と、PCゲーム紹介特集。
 どちらも面白い題材です。力を入れて1冊丸ごとで扱って欲しい。

・けれどもどちらも駄目駄目な内容です。


・「GJゲームアワード」の趣旨は以下の通り。

 ベストと言う観点で評価しようとすると
 (中略)最大公約数的評価で選考されることが多く、
 結果、無難なものが選出されてしまいがちです。

 しかし、そういった評価は実際の買い物の参考にならないのではないかと 
 編集部では危惧しております。

 必ずしも万人受けはしないかもしれないが、
 どこか光るものを持っていたり、
 あるいは飛び抜けた発想はないものの、
 手堅くまとめてストレスを感じさせない仕上がりになっている作品を、
 相応に評価しようじゃないか、というコンセプトなのです。
            (以上3つP44より引用)

・……。

・それは「ユーゲー」のコンセプトの間違いでは。
 「ゲーム批評」、実際はともかく「批評」する雑誌だと思っていたのですが。

・「ゲーム批評」独自の視点から、埋もれてしまったソフトを紹介する。
 好意的に解釈するとそうなります。

・けれども中段の引用箇所でそれもできません。
 「買い物の参考になるような」ソフト評価をしてくれる雑誌だったのですね。
 いままで散々間違ったことを書いてきて失礼しました。

・それで、それは「ユーゲー」と、どのように違うのでしょうか。
 同じ出版社から同じ内容の雑誌を2冊出しても仕方ないのでは。
 

・モストGJソフトは今号のどこにも紹介記事がない「桜坂消防隊」。

・冒頭のゲーム業界トピックスにCESAアワードについて書かれています。

 趣味嗜好がそれぞれである以上、万人に認められる評価方法というものは
 存在しないのも事実である。
 しかし、CESAアワードの場合、
 その結果が実際の売り上げに直接影響する権威を持っているのだ。
 ならば、常に「最高」の選考体制構築を目指す必要があるだろう。
 今後も試行錯誤が続くと思われるが、一層の奮起を期待したい。
                   (P4より引用)

・過去最高級に駄目な特集です。
 今後にあまり期待できません。

(関連;10月31日「第8回 CESA GAME AWARDS」授賞作品決定
    http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20041031#p1



・第2特集「PCゲームをやらないか?」。
 PC(パソコン)ゲーム、このサイトであまり話題にしないのは
 もちろん書いている人の好みの問題もありますが
 そのありかたがPS2、GBAなどと比べて特別特殊だからです。


パソコンショップに並ぶゲームは
 その多くが18禁ソフト、いわゆるエロゲー
 次にFPS、RTS、SLG、フライトシミュレータなどが目立つ
 エレクトロニックアーツ、マイクロソフトなどの欧米製作ゲーム、
 いわゆる洋ゲー
 それと並んでMMORPGなどのオンラインゲーム。
 ようやくコーエーファルコム工画堂スタジオアートディンクなどの
 PCオリジナルゲーム、
 他には家庭用機からPCへの移植作。

・さらに特殊市場として同人ゲームがあり
 その販路は同人専門ショップ(及びその通信販売)や
 ベクターhttp://www.vector.co.jp/)などからのダウンロード。


・ゲーム情報としては
 18禁でないPCゲーム専門誌は「ログイン」(http://www.enterbrain.co.jp/login/
 1誌のみ。
 ネットでのPCゲーム情報は
 「4Gamer.net」( http://www.4gamer.net/)がわかりやすいです。
 4Gamerはオンライン前提(あたりまえだ)であることを生かして
 体験版が充実。検索すると600本近いゲームのデモ、体験版が楽しめます。
 またオンラインRPGではベータ版テストなどで無料で遊ぶこともでき
 これだけで充分満足できてしまう分量。


・PCは本体値段が高いです。
 けれども普及率はゲーム機として少ないわけではなく
 本体がないからできない、というのは他と比べてそれほど劣るわけでもない。


・なぜPCゲームがメジャーでないのか。18禁ソフトばかりなのか。
 コピー問題、値段の高さ、機種ごとの違いによる動作の有無、導入知識が必要、
 それらの悪循環による市場の縮小、
 さまざまな要因が考えられます。
 
・ソフトの値段の高さと、確実に遊べるのかどうかわからないという不安、
 これだけでPCゲームが避けられる理由は十分。



・ゲームの内容に関わるところを見ると
 PCと家庭用ゲーム機との違いは、オンラインと画面です。
 違うのはその2つだけです。
 コントローラーはPSデュアルショックサターンパッドを使えるし
 キーボードもマウスもPS2につなげられる、
 性能は大して変わりません。


・PS2もオンラインでの対戦、RPGを楽しむことができますが
 初めからネットにつながっている状態がほぼ当然のPCとは違い
 オンラインでないのが当たり前。
 発売されるソフトもそれを踏まえ、オンラインでないものが大多数。
 ファミコンディスクシステム、PS2のBBユニット、
 最初から当たり前についていない追加機能拡張ハードは
 当たり前、当然自然でないという理由のために
 対応ソフト比率が逆転するほどに普及するのは難しい。
 ハードが普及しなければ
 その上のソフトもいかに面白くとも普及することはやはり難しい。

・またジャンルとしてオンラインという要素は一般向けではない、
 ということも言えます。
 拘束される時間、課金の手続き。
 面倒であるということは、ゲームにとって大きな壁です。


・画面の違いは、まさに伝統仕様の違いです。
 PC、テレビとでは画面からの距離が違います。
 なぜでしょう。
 PCであってもテレビと同じように画面から離れたほうが良いに決まっています。
 普通のテレビより大きいパソコン用の画面もあるし
 テレビにパソコンからの画像出力ができるものもあります。
 2つの違いは情報量。
 もともと画面に近いところで見るものだったから、情報量が増え
 そして画面に近づかないと見えないものになった。
 テレビが近づいて見るものだったならば、やはり様々な情報がテレビ画面を覆い
 やはり近くで見るのが当たり前になっていたでしょう。 

・その明らかな例がPCゲームとテレビゲームの画面の情報量の違い。
 技術的にそうだから、というよりもそういうものだから
 このような違いが表れた。
 そしてその違いはSLGやRTSなどで大きな違いとなって表れます。
 テレビでは許されないほど大量の情報を表示させ処理するゲームが許される。
 それがPCと家庭用ゲーム機の唯一の違いです。

・そしてやはり違うのはそれだけです。


・PCゲームと家庭用機はどう違うのか。 
 機能的には何も違わないと言えましょう。
 PS2とGBAほどにも違いません。


・なぜPCゲームを遊ばないのか。
 それはPCでなければならない理由が弱いから。
 
・市場的にPCでしか遊べないのは18禁ゲームと同人ゲームだけ。
 
・機能的にはSLGやRTS。
 けれど、PCオリジナルゲームで家庭用機に性能的に移植できないものは
 どれだけあるでしょうか。
 
・そして値段の高さと、快適に遊べるかわからないから。
 その敷居の高さ、導入購入の面倒さが実は最大の理由です。