企画書『勇者死す。』

・以上を踏まえて以下冒頭企画書に書かれたゲームの感想文。
 念のためもう一度 http://www.linda3.co.jp/column/sub.14.29.html


・このゲームは「RPGのようなシステムのアドベンチャーゲーム」で
 ジャンルは「魔王を倒した後の勇者の末路を描くRPG」。

・どちらですか。
 桝田省治さんがアドベンチャー(以下AVG)を作るというのは
 大変興味深く是非見てみたいです。



・実際この企画書から窺えることはごく少ないです。

・やるべきこと、できることは
 「プレイヤーは天使となって絶望した勇者を操る」こと。

・他に書かれていることは普遍性の高い汎用イベントネタのみ。
 行く通りものあるキャラクターのいきかたを見ることができるゲーム。
 それをプレイヤーが任意に選択できる、というのは
 それこそ『かまいたちの夜』辺りと変わらないのではないか。



・天使になって寿命を教えられて絶望している勇者。これにとりつく。
 勇者の意思は関係なし。
 これはプレイヤーに過去の記憶がないよ問題解決のためで
 本来の勇者の考え方との相違、周囲との関係がドラマを生み出すのだ、と思われます。

・ここは少し苦しいところ。
 勇者は無色透明の人物では有り得ない。
 伝説の勇者にわずか10日で働きかけるのは周囲の思惑ではなく勇者自身であるはず。


・プレイヤーは誰なのか問題。
 SLGなら全能の神で良い。
 RPGなら『俺屍』のように初代当主の意思がプレイヤーである、でも良い。
 けれどAVGでは視点をより狭めて、キャラクターを固定化しないとまとまりようがない。
 プレイヤーは誰か。
 記憶を失った勇者自身として周囲にあわせて演じるのか
 それとも『ルーマニア#203』(ASIN:B000067OWD)のようにキャラクターを操るのか
 それ以外か。



・もうひとつの企画意図、RPGのエンディング後の世界。

・想像できないです。
 一般的な、よくある、と考えられる中世ヨーロッパ調、
 剣と魔法ソード&ソーサリーのファンタジーワールドというものは
 『指輪物語』があれだけはっきり映像化された以上
 『ドラクエ』ですらもはや鳥山明ファンタジー世界に逃げ込んで存在しない。

・この企画書に書かれているように既存タイトルにくっつけるならば
 『テイルズ』などを想定して考えてみて、作りたい話が作れるか。
 『ワイルドアームズ』でも『メガテン』でも『FF』でも『ドラクエ』でも
 外伝だからといって好きなように作れるか。

・つまり既存のものを使うならば設定を壊してはならないキャラクターを作らねばならない
 すなわち話を作らなければならない。
 オリジナルならば作る必要はなく設定で事足りてしかも
 『ネクストキング』のように似非ファンタジーで成り立つけれど商品として訴求しない。
 ラブデリック系ゲームのようになるのではなかろうかと思われます。
 あの手のものは任天堂を持ってしてもなかなかに難しい。



・3Dグラフィックのダンジョン。戦闘シーン。オーソドックスなタイプで。

・ここも疑問。AVGならば思考と準備の手間を要してテンポを崩す戦闘も
 探索性を求めるためのダンジョンも不要である。
 万人受けを狙ってとりあえず企画に盛り込んでおくのは
 いまさら通用するのかしらん、と思います。

・他にはない独自の価値をまず持って、それを邪魔するものは除くくらいで良い。
 戦闘にこだわるならそれこそ『グランディア2』以上に面白くなければ許されない。
 なんでもそれなりにこなせるのは何十人で何年何十億かけてつくる大作で充分である。
 商品構成もスポンサーの想定顧客にあわせていろいろではございましょうが。



・現状浮かぶのはこのようなところでしょうか。


・『勇者死す。』というゲームに求めるものは
 いや、桝田省治印の新作ゲームであるならば
 AVGという形を活かしたRPGの新しい形、
 物語をゲームシステム、ゲームデザインが作りだすAVGを期待します。
 
・『暴れん坊プリンセス』や『我が竜を見よ』のように中途半端はよろしくない。
 まずシンプルに。どうせなら『逆転裁判』を超える面白さを。
 グラフィックなど古くて良い。GBANDSで出せば良い。
 

・けれど携帯アプリはやめてくださいお願いします。