恋愛シチュエーションシミュレーション/『トゥルーラブストーリー』


・『トゥルーラブストーリー(以下TLS)』直訳「真実の愛の物語」。
 凄いタイトルでございますことよ。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/トゥルー・ラブストーリー

・その最新作『True Love Story -Summer Days, and yet...』。
 遊んだ感想。
 何だか良くわからない。
 何が面白いのか上手く掴めない。
 どういうゲームなのかよくわからない。


・それで、しばらく存在頭から抜けていたですが
 シリーズ『2』の攻略本見つけたので、積みゲーム山から発掘して遊んでみました。
 なるほど成る程。こういうゲームでありますか。




・『TLS』は「恋愛シミュレーション」ゲーム。
 女性キャラクターとの恋愛をシミュレートして楽しむゲーム。
 『ときめきメモリアル(以下ときメモ)』とかそういうあれ。

・目的は狙いのキャラクターを「落とす」こと。
 告白成功あるいは向こうからしてもらうこと。

・それをゲームとして表現するに、恋愛SLGは以下3つの要素からできています。
 好感度の積み重ね。
 能力値判定。
 フラグイベント。
 人間関係をシミュレート、目的達成「落とせたかどうか」判定を成功させるゲーム。

・ちなみに「フラグ」というのは成功照合点を通過した証のことを言います。



・『TLS』というゲーム、まず特徴として目に付くのは
 プレイヤー操る主人公能力値を最初に設定できる点。
 成績や運動や見た目、センス、性格例えば活発かおとなしい、などを
 5段階で自由に決められる。
 『ときメモ』のように成長育成要素をなくし
 女性キャラクターを「落とす」ことだけに集中させる 。そういうゲームです。


・学校に行き、休み時間や放課後、目当てキャラクターに会うことで好感度を累積。
 メインとなるのは一緒に帰る下校イベント。
 『ときメモ』から『サクラ大戦』『アイドルマスター』まで伝統の
 「3択正解探し」、ではなく
 30種程ある「話題」から、相手キャラクターの設定及び、感情の高まり程度に合わせて
 より好感度高める選択肢を回数制限内で振っていく仕組み。
 好感度と共に感情上昇値も設定されており、上限超えると失敗。
 「ドキドキ」が上限超えないよう「トキメキ」値を上げる。

・好感度高まれば、下校会話でデートに誘うコマンド出現。
 デートを数回行い、フラグイベント発生させてエンディング迎える一連の流れ。


・下校の誘いは初期からしやすい。
 というのは「一緒に帰ると恥ずかしいし」を
 最初の能力値設定で越える仕組み、
 つまり『ときメモ』のキャラクター発生判定をあらかじめ行って
 目当てキャラクターのみ狙い撃ちして「落とす」ゲームであるということ。

・表面示されるキャラクター設定見て、その攻略に際し
 適当な能力値が何であるか、は普通分らない。
 『ときメモ』の場合、各能力値ごと、例えば文系、理系、運動、容姿等それぞれに
 対応キャラクターがあって
 どこを狙えば、どのように能力値を育成すれば良いかが判りやすい。
 いうなれば「ベタ」な味わい。着色料たっぷり。


・対し、時代下った『TLS』は
 より自然風味求められるは髪の色からも察せられるところ。
 「自然」な反応とは何か、というと話逸れますけれども
 より「らしい」、入力に対する反応が
 さらに寄って求められているのであろうと思われる。

・キャラクター設定から要求される正解選択肢を選び出す技術、
 どういう反応がより正しいか、というものは
 長年の積み重ね、私の見ていない方向に行われているらしく
 例えば『アイドルマスター』であっても、その受け答えは『ときメモ』と違い
 明らか明瞭正解が判るものでなく
 どちらを選べばより好まれるのか判り難いものが多いです。
 特に毎朝のあいさつは正解がランダム。
 自然である、現実的である、リアルであると追求するならば、そうなる。

・それでも会話イベントの正解選択は固定であり
 シミュレーションであるのか、攻略できる正解あるゲームであるのかの幅を
 そこに見ることができます。


・話を『TLS』に戻しますと
 能力値設定においてどうが正解か判らない、
 教えてくれる箇所が終始まったくないゲームであり
 非常に奇妙な印象を受けます。

・これは下校会話選択肢にも言えて
 これは能力値と違いその都度、相手の評価が分るけれども
 同じ選択肢を続けて選ぶと評価下がることもあり
 やはり多数の選択手段中から繰返し試すことでしか明らかな正解にたどり着けない。
 設定から自明に正解が浮かび上がらない。

・つまり『TLS』は
 「より自然に」女性キャラクター落とす過程のシミュレート、
 を主眼とするゲーム。
 比べて『ときメモ』は、今見てゲームらしいゲーム。
 より自然、リアルに落とし込むが、このゲームの独自性として置かれるもの。
 恋愛SLGとして非『ときメモ』であろうとする姿です。


PS2版『TLS』が良く判らなかった、というのは
 PS版3作と異なり、時間制限ないがゆえ。
 日付がなく、夜来朝来、日曜日来るけれども
 永遠に夏休みは来ない。
 冬も来ないし受験も卒業もない。 そしてまだまだ、それでもまだまだ夏。

・PS版は数ヶ月でプレイヤーキャラが転校するという時間制限があり
 その間に好感度高めてデートイベント成功される必要あり。
 この制限が、なるほどゲームらしい。

・対しPS2版は制限時間ないので、幾らでも好きなだけ好感度高められる。
 全員最高にすることもちろん可能。
 1回遊べば充分、ということでなく
 「落とし」て告白イベント見るのが目的でなく
 何度も一緒に下校し、何度もデートして
 いつまでも同じ学校に通って仲良くし続ける状況を楽しむ、
 恋愛シチュエーションシミュレーションであるのだ。



・PS版は難易度高いです。攻略本見なければクリア不能
 先の設定から選択肢正解読み取りづらい、
 試行錯誤セーブロード繰り返し、攻略しなければならないだけでなく
 制限の日程にも余裕なく
 ほぼ毎日発生する必須イベントを踏んでいかなければならない。

・下校時確実に目当てキャラクターを掴むため
 普段から好感度を積み重ねていく必要があるけれども
 そのキャラクターに会えるかどうかは
 ある程度居る確率高い低いあるながら、ランダム。
 下校時お目当て出てこなければリセット。それくらいの難度。
 日程的にも二股三股は絶対不可能。

・最初の能力値判定含めて
 相当数のセーブロードリトライが必要なのではないかと思われるのですけれども
 プロに言わせれば違うのかもしれない。
 プロってなんだ。


・対しPS2版はまったく違うゲーム。
 攻略の必要ない。「落とす」必要ない。ゲームでない。
 恋愛シミュレーションではあるのかもしれないけれども
 シミュレーションゲームであるのだろうか。

・面白いかどうか、をどこに求めるか、と見れば
 告白しされるイベントがなくなっているわけでなく
 同じ会話が繰り返されることに不満を感じないのならば
 「終わりなき文化祭前日を生きろ」であるのならば
 それで良いのだ。
 選択肢はもういらない。
 攻略する苦労と必要の意義、ゲームであるべき意味などは
 面白いかどうかに比べて著しく軽い。
 ゲームであることは邪魔であるならば
 ゲームである必要はない。



・『キミキス』がどういうゲームであるか、
 公式サイト見た様子では期間制限付き仕様であるよう。
 http://www.enterbrain.co.jp/game_site/kimikiss/
 『キミキス』がどういうゲームであるか、
 恋愛シミュレーションゲームとしては、興味湧くところであります。




恋愛シミュレーションの次段階はどこか。
 それは『アイドルマスター』でも同じ様に言われていますけれども
 キャラクター同士の関係強化による「世界観」構築にあるといえましょう。

・同人二次創作に見られるように
 そのゲーム、あるいは非ゲーム作品において
 「世界観」、設定、つまりキャラクターの置き方見せ方が
 時流に乗ってかつ、しっかりとなされているかが
 商品完成度として重要である。らしい。
 参照;好き好き大好きっ「シスタープリンセス以降」問題http://www.ne.jp/asahi/yu-show/sukisuki/200603b.htm#20060325

・そうでなくとも、プレイヤー操る主人公と
 プレイヤーに「落とされる」ために存在する女性キャラクターのみで
 構成される「世界」は、「自然」ではない。
 不自然である方法ももちろんあるけれども
 恋愛シミュレーション、さらに前提として人間関係シミュレーションであるならば
 そこにいるのはより人間らしくある前提、
 より広がりを持たせようとするとき必然存在すること。


・実際それどう表現するか、としたとき思い起こされるのが
 『ときめきメモリアルオンライン』(http://www.tokimemo-online.konami.jp/)。
 そしてオンラインRPG

・『ときメモ』オンラインは基本的にチャットゲームであるようであり
 女性キャラクターを落とす、あるいは遊び手間に「出会い系」として動くのでなく
 セガの『ぐるぐる温泉』のように
 ゲームを介在して仲間の輪を広げる健全なる感じである模様。今のところは。

恋愛シミュレーションでなく学園生活シミュレーション。
 長期的に見ても、人間関係シミュレーションとして当に正しい。


・オンラインRPGにおける人間関係、つながりというものは
 結びついている原因が舞台にあるゆえにいびつ。
 特にそれ分りやすく見られるのは『Quest of D』『ドルアーガオンライン」の
 アーケードアクションオンライン協力RPGにおいて。
 目的がひとつしかない。敵を効率的に倒すしかないから
 人間関係は一定の形に強固結びついて変わることない。
 それでは、いつまでもそこにあらねばならないは
 ひとの嗜好はそう変わるものではないにせよ、面白くないではないか、と見えます。



恋愛シミュレーションゲームとは
 キャラクター同士の関連性を強めて、かつ
 プレイヤーの試行錯誤で正解にたどり着け
 しかもノベルゲームでないゲーム。 ゲームであるゲーム。
 多様な目的へと広がり深まり
 もつれてほどけを繰り返す人間関係シミュレーションゲーム


・そもそも、そういうもの求められているのかどうか。
 ゲームである必要はなく、面白ければ良い、とするなら
 『ときメモオンライン』は
 見た目障害となるかも知れないけれども
 『マジックアカデミー』のように成功することも充分有り得て
 面白いシミュレーション「世界」と成るかもしれません。


・恋愛SLGとしてみたとき『ときメモ』は実に見事偉大。
 あるいはあれで完成していたのか。
 まだ様々にいじれる要素があるようにも思えるのだけれども。
 人間関係シミュレーションを「学園」や「戦場」の他に
 広くゲームとして切り取りルール付けするのは難しい。
 けれど、それがまた、ゲームの面白いところです。





・蛇足の余談。
 ついでにこのたび『シスタープリンセス』に
 再度挑戦してみましたが
 やはり最初のセーブポイントまでたどり着くが限界。

・これもある意味偉大な作品。ある意味でなく歴史に残る作品。
 製作者は尊敬に値しますです。
 相手が初めからプレイヤーキャラクターに
 これ以上なく好意を寄せているというのは
 目的がそこに遊ぶことだから
 PS2の『TLS』以上にゲームでないけれども
 そうでない方向から見ればひとつの極北である。

・小説構成にとってシェイクスピア読んでおけば
 立ち位置明確に定まるのと同様に
 『シスタープリンセス』もその極端さゆえに
 遥か至高の究極にあるとい得ると言える。
 のかもしれない。