『ロストレグナム』

kodamatsukimi2007-03-12


 公式 http://lost_regnum.ertain.com/ ASIN:B000HQUO8K


・『ギアーズオブウォー』をいまだ、ちまちま遊んでいるのですが
 なぜにまだ、いまだに遊んでいるかと言えば
 前回書いたようにこのゲーム遊んでいて疲れるからです。
 1シーンクリアするだけでぐったり。面白いけれど疲れる。

・もっとお手軽に。ということでわかりきった2DSTGはやはり良いなあ、
 というのが前回までの感想でしたが
 今回は過去を振り返ってばかりおらず、積みゲーム山からもお手軽をひとつ発掘。
 ということで今回のこれ『LOST REGNUM 魔窟の皇帝』。
 『レグナム』は車のあれで、ラテン語で王権の意らしい。いわゆる古代ローマ風。



・さてさて普段は、見た目なぞどうでも良いのだ、とか
 すかしている私ではございますが、いやさて決して、どうでも良いのではない。
 画面が、ゲームをするのに邪魔にならない範囲でならばきれいな方が良いように
 ゲームを飾る美術というものも、また良いものである方がもちろん良い。
 『ロストレグナム』のデザインは、『エスプガルーダ2』や、
 『三国志大戦』のカードイラストを描かれている方のひとりである「masaki」こと
 廣岡政樹さん(http://www.backfire.biz/)によるものでございまして
 攻守自在と恐妻賢母大好きな私にはたまらない絵なのでございます。
 来る来る、このひとは来ますよ。これがまず選んだ条件その1.


・その2はこちらあたり。
 遊戯電線 - ロストレグナム http://d.hatena.ne.jp/NTZ/20070131/1170223956
 開発メーカー、娯匠(http://www.goshow.co.jp/index.html)の代表作、
 『グラディエイター』は地味ながら佳作、という以前から評判でありましたけれども
 未だ手を出しておらず、ほほうそういう来歴でありますか、であればひとつ、
 という辺りがふたつ。
 あとクリア時間の短さもある。これも重要である。
 同じPSPのアクションでも『モンスターハンター』は1度遊べば充分である。



・手触りは、とても単純なアクションゲームです。
 『ファイナルファイト』など、ベルトスクロールアクションの延長。
 大剣、二刀、片手剣と盾、弓の4種武器ごとにキャラクターが割り当てられていて
 レベルや装備品の育成要素も一応ありますが
 ざっくり言って一対多数の敵に押し潰されないよう誘導各個撃破、
 当身防御だけしっかり身につければ一対一で負けることはない。
 まとめてアイテムやスキルで殲滅もでき
 基本15分程度のダンジョンをさくさくと進むを繰り返す、予想通りのお手軽設計。

PSPのアナログスティックには辟易ですが、斬り合いアクションはさすがのお家芸
 アクションのモーションごとにある重み、つまり
 彼我の起動隙を見切り埋めて繋げていく手ごたえは実に良好。
 『グラディエイター』は4種攻撃と部位破壊要素があったようですが
 こちらは強弱の2種のみに簡単特化されていてとても楽。でも飽きない歯ごたえ。

・変な物好きとしていきなりアーチャーを選び、ボス敵の自動回復につぶされながらもなんとか 
 適当に武器合成しまくってクリアし、2周目は一転大剣振り回している現況。

 合成システムの意味分からなさっぷりとか最高!
 でも遊ぶうちに段々と理解できるようにはなっていて、その分かってくる過程も面白い。
 終盤でやっと合成の解説書を渡されるとか狙ってやってるとしか思えん。

 にやにやうむうむ。これは良いゲームだ。とても単調ながら楽しい。



・携帯機のアクションRPGのようなもの、といえば先の『モンスターハンター』や
 『煉獄弐』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20060722)などが
 類似品として挙げられますが、明らかにこれらに劣ります。

・遊戯電線でも指摘されているように、迷宮はひたすら単調。単なる通路。
 敵もまぬけで種類もすくない。工夫して苦労して倒す必要がほとんどない。
 装備アイテムも意味がない。敵誘導アイテムも同じ様なのばかり。
 上の2作品のように、収集して育成して、指先だけでなく計画性もって
 大々的にゲームを解きほぐして遊ぼうとするならば軽すぎる。
 ゲームの大きさが違いすぎる。敵を倒すアクションという一要素だけの作品である。


・しかしそれでもこのゲームは良いです。好きです。
 ひとに薦めるなら『煉獄弐』でも、自分で遊ぶのならこちらで充分だ。
 単純に、出てくる敵を、ミスしないよう次から次へと潰していく。
 間合いを見切ってすかしてかわして防御して、叩く切る撃つ。
 それだけのゲームだからで良い。そしてそこだけは良く出来ている。


・携帯ゲーム機にGBAだけでなくDSとPSPが発売されたのは
 多いに意義あることだと思います。

・様々なゲーム要素を積み重ね、それひとつで何ヶ月何年も遊べる。
 オンラインで協力して対戦して世界中と競い合い楽しみあう。
 それはもちろんとても楽しい。
 アクションの成果が成長につながり、成長がアクション要素を変化させ
 協力することで、対戦することで、無数の展開を楽しむことができる。

・けれど、それらには無駄なものとして切り落とされる、
 進行に邪魔なミニゲームとしてあるようなものも、
 それもまたそこだけ切り出せば楽しいゲームとして成立するものなのだ。
 STGやレースゲームやパズルゲーム、そしてアクションゲーム。
 そういう小さいゲームが商売的に成り立ち許され
 つまり遊ぶ方が遊ぶ気になれる大きさが、今の携帯ゲーム機にはある。


・このゲームも、例えばキャラクター、武器、アイテム、敵、地形の種類を増やし
 協力型オンラインゲームにすることだってできる。
 けれどそれは『QOD』とか『モンスターハンター』とか『ディアブロ』と同じ。
 あるいは『シャイニングフォースネオ』やPS3で出るらしい新作『煉獄』と同じ。
 しかし同じでないことに、このゲームの価値はある。
 どれでもなんでも贅沢に用意された一部分を、楽しむことを積み上げるのではなく
 最初からそれだけしか出来ないものをさらっと流し込んで満足できれば
 それでも良いのだ。それだからでも良い。


・けれども、そうでもないだろうことも、もちろんある。
 『ロストレグナム』の楽しさは、大作アクションロールプレイングに
 ないものではない。
 いくつものゲームに手を出して、多数のゲームを遊んでいることに価値を見出すという
 ゲームの遊び方が、正しいと言えるものではない。
 ひとつの最高に面白いゲームしか遊んでいないひとに比べて
 感じている楽しさの多寡を比べるなど無意味なことだ。


・良いゲームが売れる、良くできたゲームを多くのひとが遊ぶことは良いことだ。
 それがゲーム好きにとっての正義たる題目である。
 しかし、皆が良くできたゲーム全てを遊ぶわけでもない。
 畢竟、良く出来たゲームはひとつで充分なのかもしれないではないか。

・そうした時、正しいゲームとはひとつしかないような気がしてしまう。 
 『ロストレグナム』は確かに面白い。
 『煉獄弐』は良くできている。
 2DSTGはゲームの楽しさとは何かをいつも思い出させてくれる。
 『ギアーズオブウォー』は凄い。しかし『三国志大戦DS』も面白い。
 けれどゲームは、最高のものをひとつ遊べば充分なのだろうか。