『ベースボールヒーローズ』と野球ゲームについてあれこれ


・ここ10年くらいプロも高校も野球中継は見た覚えがなく
 今後も恐らく、何が恐ろしいのか良くわからないですが見ないのではなかろうか、
 というほどに、野球には興味がないのですがゲームは好きなので
 20年前『ファミスタ』で延々対戦していたし
 10年前は『パワプロ』をひたすら遊んでいたものである。

・なぜ興味がなくなったのか、それは難しい問題でありますが
 ゲームを遊んでいるとテレビを見ている時間がないから、
 というのが答えであるかもしれない。
 『パワプロ』や『ウイイレ』が存分に面白いことはもうわかったから
 次はまだ遊んでいないゲームを遊ぼうと離れて10年。
 野球はもう何十年も前からあるのだから良いではないか。
 ゲームはまだ20年かそこらしかないのだ。


・そんな無意味をつぶやきつつ、なんとなくゲームセンターで興味引かれて
 遊んでいないゲームがあったので遊んでみました。
 『BASEBALL HEROES』(以下BBHhttp://www.konami.jp/am/bbh/

・野球選手カードを使ってオンライン対戦するゲームである。
 カルビーのポテトチップについてたあれで、対戦ができるのである。


コナミのゲームであり
 『パワプロ』こと『実況パワフルプロ野球』(http://www.konami.jp/gs/game/pawa/)の
 リアル版である『プロ野球スピリッツ』(http://www.konami.jp/gs/game/prospi/4/)を
 流用して、というと言い方わるいか、共用して、作られたものらしい。
 『パワプロ』を遊んでいないくらいだから『プロスピ』も遊んでいないので、らしい。
 特徴はアクション要素がなく、監督となっての試合中の指示と選手育成のみ、
 『WCCF』のようなゲームになっているところであります。


・1ゲーム\300。ただし中盤負けているとコンティニュー追加\200必要。
 最初から\500入れておくと負けていても最後まで試合可能。
 試合後\300で1枚、\500払っていれば2枚排出される選手カードを試合前に登録し
 一打席ごと、投手は球威かコントロール、打者は強打かミートいづれかの力配分を
 そのつど決定、比べ合わせる形で対戦。

・時間短縮のためであろう、全ての打席は1球勝負、すなわち2ストライク3ボール状態。
 それでも実在選手のカードが使えるところが売りであるくらいにリアル指向であるから
 盛り上げるための無駄ない演出があるため
 1試合テンポ良く進めても30分以上はかかり
 回数制限あるサインの出し合い時間を対戦相手とこちらが互いにじっくり構えて使えば
 平均40分程度。あっというまに過ぎます。

・間延びしての長時間でなく、結構制限時間はうるさいくらいで
 かつ、実際にテレビ中継を見ながら監督として指示を出している感
 充分に味わえる構えでお見事。
 \300から最高\500で、存分長く遊べるのだから決して悪くない。
 コナミにしては良心的だぜよと思わせる感じでございます。


・最初に実在の12球団から操作するチームを選び、カードを持っていなくとも
 選択したチームの選手は自由に使えるのですが
 所持選手カードでもって登録した場合のみの特性として
 試合中の活躍度合いにより経験値が蓄積、
 レベルアップして選手の能力が向上する仕様があります。

プロ野球らしい。練習してチームとしての能力や連携関係が向上するのではなく
 伸びるのは個人の実力のみ。その組み合わせが監督の手腕。
 組み合わせの楽しさは、メンバー固定しての育成型『WCCF』と違うところで
 育成型カードゲームとして中々に楽しめます。


・選択チームでない選手のカードも登録できまして、それに関するデメリットはなし。
 強くて好きな選手を集めたオールスターチームでも良し、
 チームのファンであれば、純正メンバーのカードを集めて育成しても良し。

・あんまり聞いたことないような選手のカードでも、使っている内愛着わきます。
 そのチームに興味向きます。単に野球選手カードを集めて並べるだけでなく
 使って成長させられると言うのは、プロ野球が好きなファンにとって良いもので
 他のカードゲームも、元になるものが何もないものよりあるほうが
 ただカードに書いてある数字だけから以外にも
 浮き上がって掘り込まれるものがあるのでありましょう。
 カードゲームのカードを使ってビデオゲーム、テレビゲームに
 する意義があるところです。


・能力成長は上がるだけでなく、試合で活躍できなければ下がることもあります。
 好調不調があるし、投手はもちろん毎試合だせない。
 そしてアクション操作ではなく、対戦相手との球威やサインの読み合いが主となって
 結果を決定する仕組みであるので、ゲームが上手い、強い、ということが
 一筋縄ではない。

・『ファミスタ』はフォーク以外はストライクになる球を撃てば良い仕組み。
 『パワプロ』は相手投手の球種、相手打者のミート能力長打力を加味して
 空振りさせるのではなく、大当たりしないよう、ただ振るのではなく芯で当てるよう
 互いの駆引きがある仕組み。
 『BBH』では、基本は投手能力からの球威度合いを読みあい、
 ここぞという場、互いに細かいサインを出しての駆引きでは
 野球に興味が薄いひとには言葉の意味からして何をどうしたらかさっぱりの
 様々重層駆引きが戦わされている模様である、ような仕組みの模様。であるようだ。

・つまり『パワプロ』に対し『プロスピ』がよりリアル、というのは
 単に見かけだけではなく、もちろん見かけもこの際とても重要であるのだろうけれど
 そういう野球ファンをうならせる、
 細かい駆引きをしミュレートしているあれこれのこと、
 ということであるらしい、の模様である。



・アクション要素がない、操作の上手下手が勝敗に関係ない、それであるのに
 野球になっている、ように見える、
 野球のゲームとして楽しめる、というところまで
 ゲームの表現能力が20年で上がった、ということなのでありましょう。


・『ウイニングイレブン』と『WCCF』を比べてどうか。
 『ウイイレ』も家庭用版をそのままにゲームセンターに持ってきて
 『WCCF』の隣でオンライン対戦できるようになっている。
 そしてどちらにもお客が付いている。

・『WCCF』や『BBH』を家庭用ゲーム機で遊ぶならどうか。
 どちらも充分可能である。どちらも『三国志大戦』ほどに
 ゲームセンターにしかない専用筐体である意味は少ない。

・『プロスピ』があるからといって『パワプロ』がなくなるわけではない。
 同じプロ野球をするゲームであっても違うもので、現状並存していられることからは
 また『ウイイレ』と『WCCF』が並存していることからも
 シミュレートすること、現実の何かを切り取ってゲーム化することに
 正しい答えは、少なくとも今のところ、ひとつではないようであるといえる。


・野球ファンは、現実の試合を見ても楽しむし
 実際に自分で野球をして楽しむひともいるのだろうし
 『パワプロ』が良くて、『プロスピ』でも良くて、いやその方が良くて
 さらに比べてお金を多く払っても『BBH』が良い、というひともいる。

・一方でまた、無料の対戦野球ゲーム、
 『ファミスタオンライン』(http://fmst.hangame.co.jp/st/index.asp)のようなものもある。
 そのありかたは興味深いものがあります。
 ITmedia +D Games http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0612/27/news007.html

 「ファミスタ」はなんとなく“昔”のゲームを代表していると思うんです。
 野球ゲームというのはいわゆるニッチなジャンルで、20年前ならいざしらず現代は、
 野球というだけで誰もが飛びつくわけではないように感じています。
 本作がなぜ成功したのかというと、
 インターネットユーザーに漠然と広く訴求していくのではなく、
 ある束になって存在するお客様に訴求することを重視したからなんです。
 (中略) 
 ナムコさん側はもっと高機能なものをと考えていらして、
 もっといろいろできますよ? といったお話でしたが、
 その時にもう自分の中に絵ができあがっていたので、「ファミスタで!」と(後略)


・ゲームセンターで、ゲーム好きにはとても不思議なのがメダルゲームです。
 なぜあれにお金をつぎこむのか。
 まだパチンコはわかる。ギャンブルだから。お金が儲かるからだ。
 なぜ儲からず吸い込まれていくだけで
 しかも遊んだことない傍から見ると単調なものに
 お金と時間を費やして飽きることがないのか、と。


・『麻雀格闘倶楽部』。オンライン対戦麻雀ゲームですがDS版(ASIN:B000IZLSLC)なら
 無料で対戦できるのに、なぜゲームセンターに来てお金を払ってまで遊ぶのか。
 それに対する答えはこうだ。
 なぜ『ファミスタオンライン』は無料でできるのにお金を払って『BBH』を遊ぶのか。


・『アイドルマスター』のときにもいろいろ書きましたが(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20060117#p2
 つまりゲームの遊ばれ方は、ひとつ通りではないのである。
 お金がかからない方が良い、部屋で寝転がって遊べる方が良いわけでは必ずしもない。
 ゲームセンターでしか遊べないゲームがあるからゲームセンターに行くのではなく
 畢竟、ゲームセンターでしか遊べないゲームなどなくとも
 ゲームを街中で遊ぶ場所はなくなることはない、ということなのだ。




・『ファミスタ』を遊んだことがあって『パワプロ』を遊んだとき
 より良くなった、と思いました。
 複雑になった。リアルになった。現実に近くなった。そうではなく
 操作して楽しむアクションゲームとして、より奥深く対戦が楽しめるようになった。

・しかしプロ野球ファンのあるひとにとってはそうでない。
 操作が難しくなって、『ファミスタ』より野球らしくなくなったのかもしれない。
 楽しくなくなったのかもしれない。面白くなかったかもしれない。

・それを面白く感じるかどうか、興味を持てるかどうか、楽しめるかどうか、は
 出来の良し悪し上下という軸だけでは測れないものだ。
 メダルゲームで楽しめているひとに『三国志大戦』は必要ないのだし
 野球中継を見てビール飲んで寝るひとに、ゲームは必要ないのである。



・ゲームの細分化。ゲーム機がいろいろな物事を表現できるようになって
 野球ゲームがどんどん枝分かれしていくように、
 ゲームというものも無数に分かれていく。

・それは大変見ていて面白いのですが
 どれが自分にとって面白いか、楽しめるかに気付くのは、気付けるかは
 さらにますます大変、ゲームの平均点がせっかく上がっても
 何にもならないほど難しくあるこのごろなのであり
 結局、今の野球ゲームはそこそこに
 10年前のパワプロで満足してしまうのが今日このごろ。


・今日が楽しければよいではないか。それもまた間違ってはいないけれど
 いくつもある正解のひとつでしかないものでもあることよ。