『三国志大戦Ver.3.5』

kodamatsukimi2009-09-13


 公式サイト http://www.sangokushi-taisen.com/

・ゲームセンターに置いてあるカードゲームの本作。
 1回当たり\250くらいかかるので
 もう4年近く遊んで費やした総額は、計算したくない値である。しない。してみない。


・現在のバージョンは3.51。
 オンラインゲームのように、アーケードゲームは不具合があったり
 特になくともバランス調整のために、たまにバージョンアップでの修正が行われます。
 一番最初がVer.1.00。『三国志大戦2』という名前になったのがVer.2.00。
 不具合やバランス調整などのわずかな変更である場合は2.00が2.01、2.02と変わり
 新規のカード、使える武将が追加されるなどの大掛かりな変更の場合は
 Ver.2.02がVer2.10のように、小数点ひとケタ目が変わるという具合。

・現在は『三国志大戦3』のVer.3.51。09年7月に3.50になり、今週3.51となりました。
 3.00から始まって3.10でカードが追加され
 3.20があって3.30があって、というわけではなく
 3.13から3.50に飛び、3.51に至っております。

・なぜいきなり数字が飛んだのかといいますと
 自動車でいうところのLimitedに当たるのがVer.3.594となる予定だからに違いない。
 かどうかはわかりませんが、
 つまり『三国志大戦4』にするほど大きく変更をかける予算が回らないが、
 とりあえずカード追加のテコ入れはしなければならず、
 かといって3.10が3.20になったところで客が戻るのか、
 と悩んだすえと推察されております。
 3.20でなく3.50なんです。4.00でないにせよ大きな変更なんですよと広報。
 でもそれほど変わっていなかったりする。


・『三国志大戦』は5年先取りしたセガらしいまぐれあたりの傑作。
 というのが4年くらい前から何度も書いているように変わらぬ認識なのですが
 まさか5年たってもたいして変わらず生きながらえているとは。
 それで良いのかアーケードゲーム

・周囲は変わっているのです。オンラインで対戦や協力はあたりまえ。
 そもそもゲームセンターへ行かなければ遊べないというのが駄目。
 それでも1回\250くらいという大金を数万人が費やして、
 何千人かは総計100万円以上を費やし続けて、いまだにいるのから
 まだ支持されてはいるのです、稼働開始から4年半経つのに。



・あらためてどういうゲームか書きますと
 平面状の戦場に部隊を走りまわらせて戦いあい、
 対戦格闘ゲームの体力ゲージにあたるところの、相手の城ゲージを
 時間内により多く削ったほうが勝ち。という対戦型戦争ゲーム。
 店内で相手を探すのではなく、オンライン通信で全国対戦が可能です。
 いまのところ北海道から沖縄までが限界ですが
 将来的には香港やシンガポールとかとも対戦できるようにしたいらしい。
 三国志だからそのあたりにしか売れないらしい。

・相手のガードを崩して削り、機を見て決め技を当てていくために
 互いのキャラ性能知識と、こう来たらこうするという実戦判断と
 それを正確に実行する操作技術が、対戦格闘ゲームで勝つには必要ですが
 このゲームも同じ。
 相手の部隊種類を見て、自軍を良い時、正確に走り回らせる操作が上手い方が勝つ。

・自軍や相手軍の戦力が、格闘ゲームのようにひとりのキャラクターとしてあるのでなく
 複数の部隊からなる多対多の合戦形式であるのが違うところ。
 『ファミコンウォーズ』みたいな戦争ものを、
 ターン制でなくリアルタイム制にしているかのように、みかけ見えますが
 操作が早いからといって勝てるわけではない。
 相手よりボタンを速く多く叩けば勝てるわけではない。
 必要なことを必要な時に、間違いなく正確に。というアクションゲームです。


・複数の部隊操作は、タッチペンなどでそれぞれに適宜指示をするわけでなく
 カードで行います。
 筺体の盤面がカード位置を読み取り、カードを別の場所に動かすと
 画面内の対応する部隊がその位置へと移動する仕組み。
 ターン制ではないので、1部隊が移動している間も他の部隊を動かせます。
 置かれたカードの数だけ、複数部隊を同時に別々の方向へ動かせます。

・カードを動かしたら即、そこへ移動するのでなく
 戦場の遠い位置が目的地であるほど移動するのに時間がかかる。
 そこがボタンを押したら即座にふったバットにボールが当たる野球ゲームや
 狙った相手が逃げる前に攻撃が完了する将棋とかとは違うところ。
 そして対戦格闘ゲームと異なるところ。
 攻撃に時間がかかるかわり、
 例えば上段ガードしつつ投げ抜けをねらいつつ下段蹴りというような
 複数の行動を同時に別々にできるのです。
 忙しい。

・また、弓兵は弓撃ったり槍兵は槍振り回したり騎兵は突撃したりすることで
 カードごと決められている武力差をくつがえし得るのもアクションゲーム的。
 それぞれの攻撃動作も上記のカードの移動先指定のみで行います。
 相手部隊にぶつかっていけば後は能力差で勝敗がつくわけではない。
 個々の部隊同士の協力と、移動指定後に実際画面上で移動するさまを勘案した操作。
 とても忙しいゲームです。


・この動き回る部隊、対応するカードが、三国志を題材にしているので『三国志大戦』。
 曹操とか劉備とか諸葛亮を使えるわけです。
 技として「赤壁の大火」で周瑜が敵軍を焼き払い、
 奥さんの小喬が天に祈ると、曹操軍でなくとも敵城に流星が落ちます。
 例えばレッドクリフな感じだとこのような。
 電撃オンライン http://news.dengeki.com/elem/000/000/140/140551/

・だから『戦国大戦』とか『現代日本と某国が大戦』とかが今後出るかもしれませんが
 『桜大戦』はたぶんでないのではないか。たぶんではないかどうだろうか。
 しかし、いまだに三国志以外はでておりません。

三国志でも戦国でもなく、「ガンダム」を題材にした『ガンダムカードビルダー』や
 ファンタジー調に独自の設定で勝負する『悠久の車輪』『ロードオブヴァ―ミリオン』
 などもありますが
 しかしひとの付き方、人気の差は明らかである。なぜだ。先行利益か。
 いろいろに言えますが
 『スト2』以降の対戦格闘ゲーム
 数あるオンラインRPGのようなゲームで、いずれ人気の差がついていくのは
 結局、ゲームとしてそれをより多くのひとが楽しめるようになっていたかどうかです。



・『スト2』は初代からすぐ「ダッシュ」とか「ターボ」のように続きが出ていき
 『スーパーストリートファイター2X』まで出ました。
 『スーパーストリートファイター1』というのはないのですが。
 それがなぜ行われたかというと
 対戦ゲームとして多くのひとに、より長く遊んでもらうために、
 使えるキャラクターを増やしたり、それぞれの性能不均衡を随時見直すためです。

・というのは、遊んでいる方は相手に勝つために
 より深く知ろうとし、どんどん操作が上手くなっていきます。
 ひとの操作技術には限りがありますが
 その場面でそうするべきという正解判断をして、間違いなく操作しつづけることは
 だれにもできない。
 けれどよりミスを少なくしていくことは、誰にでもどこまでもできるのです。
 そうして遊びて全体の受け取る能力は果てしなく上がっていく。

・だから対戦ゲームは果てしなく追加要素を用意し、生じる不均衡を正さねばならない。
 けれど、例えば野球や将棋のルールはなぜ変わらないのだろうか。
 なぜそれでも多くのひとが長く楽しめるのだろうか。

・それは初代『スト2』が『スパ2X』や『サードストライク』より
 ルールとして要素が少なすぎ、また行動対価の釣り合い調整が不完全だったから、
 とも言えるし
 『スト2』だけしか対戦格闘ゲームがなかったわけでなく、
 だから『スト2』も変わっていく必要があったから、
 とも言えるし
 テレビゲームにおける対戦格闘ゲームというものが、野球や将棋と違い、
 遊び手に合わせて変わっていくものであるから、
 とも言えましょう。


・『三国志大戦』も、使える武将カードを追加したり、バランス調整してみたり
 『2』や『3』への大きな変更では新しいルールに変えてみたりと
 常に変わり続けてまいりました。
 変わり続けたおかげで長いこと遊ばれ続けているわけです。
 それなりに人気があったから常に変わり続けられたとも言えますが。

・Ver3.5では大きめの変更として
 槍を封じる「崩射」、兵力と回復力が増える「大軍」、
 戦場全体に効果があるがクセの強い「暴乱」などの特技が追加されています。
 計略では武力差で瞬間ダメージを与える「一閃」系や
 武力と知力の数字を入れ替えてしまう「知勇一転号令」など
 こんなのもありかも、というのを惜しみなく注ぎ込んできております。
 Ver.2を完全に飲み込んだ上位存在に達した感。

  2009.9.17追記
  更新時まったく忘れておりましたが、他に主な変更点として
  士気上昇速度、必殺技ゲージみたいなものの、溜まる速さがおよそ1.25倍になり
  撤退した部隊の復帰時間が、およそ1.2倍に短縮されました。
  特に士気たまり速度はVer1.00からVer3.13まで4年以上変わらなかった部分であり
  従来確立されてきたの様々な戦いかたに大きな影響を与えるもの。
  とはいえこれまでだって、常にこれくらいの変更は検討して欲しかったものではあります。

・3.10から3.13にかけて、半額にしなければ客がつかなかった状態からは
 多少持ち直してはいる現状です。多少。
 3.5の内容が3.0として出ていればこれほど客は逃げなかっただろうにという感はあり。
 多少遅きに失したか。


・オンラインゲームにおいては、なぜバージョンアップで同じものを長く遊ばせるのか。
 そうでないものは最初に1回お金を払うだけでいつまでも遊べる。
 そのかわり、値段分満足すればもう遊ばない。
 そしてそのかわり、また新しいゲームを買う。
 というわけではない。
 面白ければいつまでも遊ぶのだ。
 同様に、お金を払うに値するなら追加で払ってでも遊ぶのである。

・それが家庭用ゲーム機と違う、アーケードゲームならではのりくつです。
 1回ごと、費やす金額に見合う面白さを期待される。
 そしてだから、対戦ゲームは常に変わり続けなければならない。
 けれど遊び手に合わせていると
 それを遊び続けているひとと、これから遊ぼうとするひとの差は開き続けて
 変わるべき方向が明確でなくなるのです。
 初心者が常に入りやすくなければならない。
 遊び続けているひとが、さらに続けて楽しみ続けられるものでもなければならない。
 その両立は難しい。

・だからどこかで「リセット」をかけて
 遊び続けているひとに先行者利益を我慢してもらわなければならないが
 『三国志大戦』はこれを怠っている。
 大きく変えて全てを壊してしまうことを恐れている。
 まあセガだしな。『大戦』はまぐれあたりであったのだ、と。


・そこへいくとアクションゲームと違い、RPGは優秀です。
 データリセットが許される。
 『2』から『3』に変わるなら、いままで遊んできた積み上げは破棄されて当然である。
 けれどアクションゲームでは違うのだ。
 積み上げはゲームの中にあるデータでなく、遊び手の知識でしかないのだ。
 だからリセットできない。
 アクションゲームはリセット不可。
 ポーズボタンも禁止。負けそうになったら回線切断は悪。
 でもRPGなら許される。


・ゲームというのは、リセットしてセーブポイントから遊び直せます。
 しかしそれはゲームのデータに限ってのこと。
 対人対戦ゲームや誰かと会話しながら進めるゲームはセーブできないし
 遊び手のゲームに対する、これは新しいと感じる興味もロードできない。
 それがゲームというものであります。