『バイオショック』

kodamatsukimi2009-09-20


 公式サイト http://www.spike.co.jp/bioshock/ ASIN:B00272N07E

RPGだけ遊んでいたわけでなく
 このXBOX360バイオショック』廉価版も長いこと遊んでいたのですが
 出来の良し悪しでなく、やはり主観視点のゲームは苦手。というおはなし。



・製作は2Kゲームズ(http://www.2kgames.com/index.php)。
 題材はアメリカ風レトロフューチャー、古き良き懐かしの近未来。
 そういう雰囲気として作られた海底都市を
 スプラッターハウス、日本的ならお化け屋敷として舞台に使用したもの。
 例によって正気失い治療不可らしい方々が襲ってくるのを
 がんがん銃で撃ったりバールのようなもので殴り倒したりするゲームです。
 『スマッシュTV』(http://www.xbox.com/ja-JP/games/s/smashtvlivearcadexbox360/)のような
 あちらなりのブラックユーモアな演出が特徴。
 当然Z指定。18歳以上でなければ購入不可。
 しかし向こうから見れば本邦PC18禁の方が余程あれだろうから何も言えない。


・360のゲームにはめずらしく、オンラインでの対戦や協力モードなどがなく
 終始オフラインで遊ぶ1人用アクションゲームであり
 海底都市をうろつきながら、背景で進むお話を幕間デモ的に見聞きし
 そしてそれに少しづつ関わっていく、という
 懐かしさ感じる仕様が独特の個性として、良くできております。

・武器もバールのようなものと銃だけでなく、超能力的なものも使えて
 それを状況に合わせて付け替え使い分け、
 また敵から奪ったりそのあたりで拾ったりしたお金で弾薬や回復アイテムを購入、
 一本道でなくあちらこちらを荒らして回ったりができて
 単純に出てくる敵を殴り撃ち倒すだけでなく、幅広く遊べます。

・より昔風アクションゲームの味を色濃くした『メタルギア』のような感覚。
 迷宮の仕掛けをといて進む要素より、敵を殴ることを強めにした『ゼルダ』。
 実際、そこかしこの描きこまれた絵づくりや
 進行ガイドを含めたマップの見やすさ進みやすさなど
 とても丁寧かつ手間のかけられたつくりが好感度高。
 現代の「正統」派1人用アクションゲームとして褒めたい出来。
 お話を見せるための仕掛けが、なぜか迷宮を先に進むための仕掛けにしかなっていない
 多くのアクションゲームと比較して、出色の出来。
 是非多くのゲームに真似していただきたい。


・ただ問題がありまして
 アメリカ的に憧憬を誘う演出であるので
 日本出身で日本在住の身には、いまひとつどこが面白いのかわからない。
 わかったきでも、たぶん向こうからみればわかっていない。

・『スマッシュTV』が12歳以上で購入できるように
 ゲーム素材も表現力が向上したからこそ
 そういうところが気になるわけでありますが
 「古き良き」という舞台と「昔懐かしの」アクションゲームの空気が
 相乗して出来ているところを楽しむゲームであるだけに
 芯からわかれないのが残念。これが文化の壁。
 日本もこれからは英語を勉強すべきだよね百年以上前から上達していないけど。
 私も勉強するつもりないけれど。


・しかしそれ以上に残念なことは、自分が主観視点のゲームを苦手としていること。
 これだけ良くできたゲームでも、やはり苦手に思うのだから困った。




・私がどうしてもこれは無理、と思うゲームジャンルは
 オンラインの協力型ゲーム全般です。
 RPGに限らずアクションでもカードゲームでもオンライン協力モードだけは駄目。

・1対1の対戦なら良いのです。DSでもアーケードでも良く遊びます。
 しかし例えば麻雀は駄目。4人対戦ですが、1対1ではないので駄目。
 少しでも勝負中に誰かに合わせて協力しなければならないものは不可。

・なぜ駄目か。苦手なのです。
 ゲームの中で、見知らぬひとと息を合わせて協力しなければならないのが苦手。
 オンラインでなく顔つき合わせ知っている同士で遊ぶなら問題なく可。
 つまり見知らぬひとを1対1で叩きのめしたりのめされたりするのは良いが
 相手に合わせて勝ってあげたり負けてあげたりするのは駄目なのです。


・これはひとことで言うと、好みの問題です。
 複数人で遊ぶゲームで、誰かと足を引っ張ったり引っ張られたりするのは
 1人ですみずみまで自身の感触で遊ぶゲーム、
 1対1で勝敗は知識と腕と運と通信ラグによってのみ決まるゲームとは、
 また違った面白さが確かにある。
 いうまでもなくある。
 1人で遊ぶより面白さが大きく感じられることも多いし
 1対1の対戦とはまた違った駆け引きが楽しめる。

・しかし趣味のテレビゲームにおいて
 その場限りの見知らぬ相手複数との間で、勝敗を競うのでなくとも
 同じゲームをある程度の時間遊ぶのは、私としてはなしなのです。
 繰り返しますが、1対1の対戦なら見知らぬ相手全然まったく問題なし。
 オンラインならゲームセンターでリアル対戦に持ち込まれない分だけ気楽でよろしい。
 しかし協力は駄目。ゲームで協力する気はない。
 それは苦手。遊びたくない。



・他にもリズムゲームはリズムに乗れないので楽しめないとか、
 ホラー風味が売りのゲームは、怖さの演出と
 思う通りに操作できないところの噛み合わせが、もうひとつ腑に落ちないとか、
 苦手な分野はいろいろあるのですが
 協力型オンラインゲームに並んで苦手なのが、FPS、主観視点のゲームです。
 良し悪しでなく、単純に苦手なのです。
 操作が苦手とか酔うからとかではない。
 何が好きか嫌いかに、自分を納得させる理由を付けるのは難しい。
 好みの問題です。

・『ドラクエ』と『FF』のどちらが好きか。任天堂ソニーのどちらが好きか。
 例えば私は自動車を運転するゲームや、ロボットを操縦するゲームを
 それが好きなひとほど楽しめている自信がないと確信しております。
 その題材に興味がない。なぜなのか。
 なぜそれが好きでないかは、なぜ好きなのかを誰かに理解させるのと同じく、難しい。



・いちおう、FPSと呼ばれるゲームのどこが好きになれないか書きますと
 敵の攻撃が見て避けられないところにあると言えましょう。


・銃を撃つゲームで、よく主観視点が採られるのはわかる。理解できます。
 銃というものは、実際のところはゲーム外で実弾撃ったことないので存じませんが
 ゲーム的には照準に捉えて引金を引けば、当たるようになっているべきものなのだから
 よって、撃たれたら避けられないものであるべきなのです。
 見えない所から撃たれるのは、自分もそうするのだから理不尽でなく自然なこと。
 むしろ見えているところから撃たれる間に、何もできない方が頭にくる。
 銃で撃たれても体力が減るだけということに、
 現実味がないとか文句を付ける気はもちろんない。


・照準に捉えて引金引いたら確実に命中する。
 それを踏まえつつ、ゲームとして成り立たせるため、
 体調などによる照準のブレとか戦場地形による遮蔽とか距離とか大気状態とか
 銃の種類による性能の影響とかのもろもろの要素を付け加え、
 銃でなく超能力にしたり弓にしたりボウガンにしたりレーザーにしたりして
 様々な状況の違えで、ゲームは楽しませてくれるわけですが
 例えば野球を例に致しましょう。

・『パワプロ』型。打者の照準が、投手の投げてきた球の位置に合っていて
 さらに照準と奥行きもみため合ったと思うところでバットを振ります。
 あとは球種、球速、投手の能力、打者の能力、球場の広さや風速などの環境で決まる。
 もっとも重要なのは球種の読み合い。ストレートかカーブかスライダーか。
 そして次に、投手の能力と状態。ようやく次が内か外か高めか低めか真ん中かの位置。
 あとは、打者が完璧に操作することが出来るかどうかです。


・しかし銃は、打者を狙って投げれば当たるのです。そういうようにできている。
 狙って投げれば当たる状況に持ち込めば勝ちなのです。そういうものなのです。
 つまり打者、攻撃される側は、攻撃が実行されたら避けられない。
 攻撃を見て、気づいていながら避けられない。

・そしてだから、主観視点で、横や後ろは見えなくても、許される。
 見えない所から攻撃されたら、もうされた方が悪いのです。
 もちろん見えている範囲から攻撃されるのならば、先に撃たなかった自分が悪い。
 照準を速く正確に上手く合わせて引金引けなかったのが悪い。

・常に周囲に気を配り、相手が攻撃することを確定する前の
 攻撃しようとしているところに気付いて、
 避けたり攻撃を潰すための攻撃をするゲームである。
 そういうものです。理不尽なところなどない。それがなぜいけないのか。


・しかしそれは苦手なのだ。
 自動車にはサイドミラーもバックミラーもついている。
 そして目の視野は、ゲームを映す画面より広い。
 「だから」攻撃されている最中でもなんとかできないゲームでないと嫌なのだ。
 攻撃を認識した後、避け動作ができないと駄目なのだ。
 攻撃しようとしているのをみて、それを避けなければならないのは
 攻撃されたあとでも、どうにかできるのに比べて選択肢が少ないと思うのだ。
 視野が狭いより広い方が良いと思うのだ。
 複眼でなく単眼の方が、ゲーム画面的には距離感覚が判りやすいのは解る。
 銃だとそのほうが合っているのも解る。
 しかしそうでなくとも良いのでないか。
 なぜそうでなければならないのかが、わからない。 


FPSを好むひとは、なぜFPSが日本ではあまり受け入れられていないのか
 様々に理由をあげながらも、やはりわかりかねるところでしょう。
 私もわかりません。
 しかし自分自身の事は言える。
 『バイオショック』は良くできたゲームだが、主観視点でなければなお良かったと。
 もちろんこれは、アメリカ文化がよくわからないから、そこを削れと言うに
 同じことではないけれど、同じようなことではあり、
 私ひとりの好みをきく必要など売上分の1しかなく、次回に活かす必要はありません。
 自分が鏡という手段でしか見えないのも、ひとつの視点、在り方である。


・ちなみに細かいことで、ゲームの中身には関係ないのですが
 最初の開始前設定で、画面明るさを細かく調整できるようになっているのは良いです。
 照明の暗い絵作りをするゲームならば今後必須の仕様。
 ゲームに合わせていちいちテレビ側の明るさ調整を変えろとか
 たわけたことを言うゲーム自体が変わるべきであります。

・『バイオショック』はとても良くできている。
 最後まできっちり楽しんで遊び
 しかしそれでも好みだけで文句を付けるのだから困ったものだ。