ブレイブリーデフォルト

ブレイブリーデフォルト - 3DS

Bravely:潔く 毅然 敢然 思い切って雄々しく失敗恐れず勇敢に
default:棄権 怠惰 不履行 規定値 初期状態

辞書によるとこうなる題名ですが
作品内でその意味するところは戦闘中の行動システム。


「ブレイブ」すると、行動を1ターン毎、先取り出来る。
「デフォルト」すると、そのターンは防御して
1ターン分行動を貯金できる。
「デフォルト」を3回すると貯行動回数は「+3」。
「ブレイブ」でそれを消費すれば1ターンに4回連続行動可能。
それだけでなく、戦闘開始時「0」の状態からブレイブを3回すると
「-3」になって即4回行動。
戦闘開始直後にパーティメンバー4人で計16回行動したり
攻撃力ない回復役がすることなければ「デフォルト」しておくことで
防御しつつピンチに蘇生呪文と回復呪文を1度に連続して使えたりする。
とても便利。
いやいやいや、便利とかプレスターンとかスーパーハイテンションとか
黒羽斬りとか龍の眼光とか総攻撃チャンスとか
そういうちゃちなレベルじゃだんじてない。
すごく良く出来ている。感服。


次ターン以降へ制限がかかる代わりに、現ターン行動に付与があるとか
このターン貯める代わりに、次ターン以降で付与があるとか
RPGで、いやRPGでなくともターン制のゲームすべてで
そういう仕組みはいままでいくつもありましたが
「ブレイブ」「デフォルト」システムはそれらみなを内包し
整理して明示し、意識して戦闘の基本システムに組み込んだところが
偉大な発明です。


例えば「デフォルト」が「溜め」ではなく「防御」を兼ねる点。
そして行動回数貯金が「+」だけでなく「−」も、
いつでもペナルティなしで使用できる、というような所は
当たり前なようで、決してそうではない。
既にどこかの作品が似たようなことをしていたとしても
似ていても別物。ありそうでなかった。
1人用オフラインRPGの戦闘システムとして至上の地位。
なるほど、内容と関係なく
作品の題名へ、戦闘システムをもってくるのに相応しい。




中身はアイテムや魔法の名前とかジョブやアビリティなど
ファイナルファンタジー5』などを思い出させるもの。
二刀流とか魔法剣とか歌とかマスターすっぴんとか懐かしい。
あのころと違って武器名も漢字。サイタニヤはカタカナ。
舞台も風水火土のクリスタルにかかわる、
あのころの剣と魔法の中世ヨーロッパファンタジー風。
悪いけれどライトニング(自称)さん( )よりこちらの方が良いなあ。


「FF」は「4」から「6」が最高とおっしゃる方々は未だにおり
20年前のゲームがなんでまだあがめられているのか、とも思いますが
ゲームの歴史をみると、
いやゲームに限らずどんなものでもそうかもしれませんが、
3歩すすんで2歩さがり。
見ているほうからすると、変えなくて良いところを変えての
縮小劣化が世の習いかすうせいかというおもむき。
といって観客の言うとおり動いて先々良くなる保障もなし。
FF8」とか「10」とか「13」をみて、
「4」から「6」のころは良かったなあ、というのはわかる。
だからといって一番人気の「7」を
「5」風で作り直せば良いというものでもないのである。
みためはきれいな方が良く、ロード時間などの無駄はないほうが良く
遊んでいて楽しいほうがよく、けれど誰もが同じ好みでもない。


昔風のドラクエ仕様1人用RPG、あちこち指示通りにおつかいをして
雑魚敵で稼いでボス戦前でセーブするという仕組みは
良いところもたくさんあるけれど、それだけでは嫌なのだ。
仕組みは同じでキャラクタとか舞台とかお話とか見た目とか
上モノものだけ変えてくれれば良いと思うこともあるけれど
それでは「ブレイブ」「デフォルト」システムを
20年間誰も作らなかったように、今後も誰も使用できないのである。


「昔のFFは良かった」は、あるひとにとって確かに真実でもある。
けれどその見た目だけ変えたものを作っているわけにはいかないのだ。
一方で、ゲームは新しくなければならない。そこには進歩が発展が、
前よりより良いものが、これからいつまでもどこまでもずっと、
作られ続けなければならないのだ。
もちろんそんなことは不可能である。
コンピュータ、ゲーム機に限らず
進歩が目に見えて確かにいつまでも続くのは、そのはじめだけ。
新しいことが当たり前になれば、その進行はもう新しくない。
だから上モノを変えるのは商品として当然として
その土台も、見た目でも仕組みでも、進歩してなくとも何でも良いから
何か違って新しくなければならないのだ。
区別されるためには「新しい」が絶対に必要なのだ。
お客が求めるからとか製作者の都合とか関係ないのである。




3DSすれちがい通信で友達の数をきそったり

え? そもそも友達がいない?
          ………。

「自ら考え行動する力」や「従わない勇気」のようなものが
話の進行に意味をもっているなど
いろいろ細かいところも今様なかんじに芸達者ですが
現在でも納得できる程度に
20年前の「面白かった」を再現できているのが
この作品の良いところ。
遊んでいる方が思う千差万別の「ここが良かった」を
製作する方が、知って、正しく再現することの如何に困難か。


昔なつかし良かったあのころを再現し
かつ新しく優れて整理された仕組みも提示している。
この20年のゲーム、とくに1人用RPGの迷宮、
どこかが何かが発展し続けなければならなかった過程の歴史を
あのころの懐かしさと新しさゆえに、思い起こさせてくれる作品です。