2012年分の読書まとめページ

今年は毎月更新を目標としないことにしたのですが
そうするといつまでたっても何もしなさそうなので
書くことがなくもないときは毎月更新を目安とするに変更。
目標が目安に変わってだからなんだかはともかく
今回は2012年くらいに読んだ本から面白かったものを振り返るの回。


いつものごとく
作品個別の感想は下記読書メモ参照。
http://mediamarker.net/u/kodama/

歴史もの

世界史 上 (中公文庫 マ 10-3) 世界史 下 (中公文庫 マ 10-4)
http://yaruo.wikia.com/wiki/やる夫がフューラーになるようです
2012年は「歴史もの」が自分のなかで燃え上がり。
そのきっかけが上2冊。2冊2作。


『世界史』は文庫本2冊で通史になっているところが良い本。
山川出版社高校世界史の情報集積は確かにすごいですが
併せて読むことで、よりわかった気になれます。
シヴィライゼーション』のテクノロジーツリーは
遊んでいるうち獲得ボーナス含めておおよそ頭に入ってきますが
なぜあれらがだいたいそういう繋がりで並んでいるのか
この本を読むと、その隣あたりから見える気分。
どうしても個別案件に踏み込むとどこまでも果てしないし
逆に世界史通史にまとめてみると個人の能力では限界あるのですが
だからといって現状集合的無意識
「正しい」世界通史を生成できるとも信じられないので
本作は偉いと思うのです。


『やる夫がフューラーになるようです』は
徳川家康になるようです」と並んでお金取れる出来ばえ。
背景となっている「歴史系やる夫スレ」、
そもそも「やる夫スレ」についての概略は以下参照。
http://yaruo.wikia.com/wiki/やる夫スレ
http://yaruo.wikia.com/wiki/歴史系やる夫スレ
「個人」が「無償」で「連載」のハードルは実に高い。
連投規制もかなりの壁だと思います。
なんだかんだ言われても「出版社による本の商売」は
インターネットがあってもなお重要。
そんな改稿すら許されない過酷な条件下でも
量集まると質良いものも生まれてくる。
他にも読み終えたものの中では
「関が原」だけでなく「唐入り」にも分量割かれているのが目を引く
『新・やる夫の関が原戦線異常アリ』も面白かった。
http://yaruo.wikia.com/wiki/新・やる夫の関が原戦線異常アリ


青春と教養

あらためて自身の好みをかえりみてみると
「青春もの」がひとつのツボらしい。
「青春」の指すところはとても幅広いのですが
読んだ本から例をあげると
豚は飛んでもただの豚?2 (MF文庫J) 僕は君たちほどうまく時刻表をめくれない (ガガガ文庫) 青葉くんとウチュウ・ジン〈3〉やってきた迷惑王女 (MF文庫J)
このあたり。
この3作を挙げてだいたいわかるかたが
どのくらいいるのかすごく不安なので
あえて「中心」を挙げるならばこちら。
あさってDance 1 (ビッグコミックス)
上に比べればだいぶ通じるはず。歳がしれますが。



一方で「教養小説」にもしびれます。
グレート・ギャツビー (新潮文庫) 女の一生 (新潮文庫)
この2作はおそらく「教養小説」と呼ばれるものだと思うのですが
けれど自分でも「青春」「教養」がなんだかはよくわかっていない。


谷間の百合 (新潮文庫) 怒りの葡萄 (上巻) (新潮文庫) 嵐が丘 (新潮文庫)
谷間の百合』とか『怒りの葡萄』は
「教養」にならない、という意味でなく
教養小説」の枠に入る程度が上の二つほど「教養」ではない、
と思われるし
嵐が丘』だと「青春」よりである、思われる。


グレート・ギャツビー』や『女の一生』の面白さは
初めて読んだときがいつか、に
大きく左右されるように思える。
そこが、通っていようがいまいが在ろうが有るまいが懐かしい、
かつていつかの「郷愁」や「青春」との違い、なのかもしれません。
そのうちもっと本を読めばわかってくる気になるかもしれないし
ますますわからなくなるかもしれないか、わからないけれども。


ファンタジーは現実

SFとは何かと同じくファンタジーとは何かは謎。
現実がRPGであるならば
全てはフィクションでファンタジーなのである。みたいなそれ。
一九八四年[新訳版] (ハヤカワepi文庫)
具体的には『1984年』はSFなのかファンタジーなのか、
それとも仮想歴史小説なのか。
歴史小説は小説なのだからみんな仮想なのではなかろうか。
けれど1984年を30年近く過ぎても
ディストピアとみられるものは日々の報道でみかけるように思える。
一方で「『1984年』のような世界」すなわち
ディストピア現代あるいは近未来過去風の舞台設定として
それが魅力的であるのも確か。
そこに、でなく、そこにもSFがあり、ファンタジーがあり、
娯楽小説と、FPSRPGに好適な環境が共有されている。
風刺も解説も分析も評論も、娯楽と重ならないのではない。

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF) バレエ・メカニック (ハヤカワ文庫JA) ノーストリリア (ハヤカワ文庫SF) 冷たい方程式 (ハヤカワ文庫SF)

どこから娯楽か、でなくどれだけかであり
どうとるのかでもある。


その一方で、「ファンタジー」「SF」と並ぶ一大分野「ミステリ」は
小難しいことはともかく
まず娯楽作品である、との共通前提が一応あるゆえに
安心して手を出してもらえるところもあるのかもしれません。
日の名残り (ハヤカワepi文庫)


ライトノベルは娯楽

BEATLESS 龍盤七朝 DRAGONBUSTER 〈02〉 (電撃文庫)
娯楽であるかどうかとか出来ばえとかでなく
SFだろうが中華武侠調だろうと読んで楽しいかどうか。
何を楽しく思うかとなると、また謎ですけれども。


「青春」「教養」の違いをライトノベルに無理矢理あてはめると
「教養」にあたるのが「ジュヴナイル」だと勝手に誤解していますが
天翔る少女【新訳版】 (創元SF文庫)
例えばこれはジュブナイル
これはひどい」という言葉がぴったりな作品。
「酷い」でなく「非道い」よボブ。
娯楽だろうと子供たちを甘やかさないのがあめりかん。
ところで、そういうのが「ジュブナイル」なのだろうか。
「教養」なのか。
なにか違う気がする。
ライトノベル度がキャラクターの設定と描写に大きく重く関わるように
ジュブナイルもお話の行く末の現実味度合いが重さなのだろうか。
何かもっと違うものだったような気がしますが
ライトノベルの強勢が目にまぶしい。
東京レイヴンズ8  over-cry (富士見ファンタジア文庫) 変態王子と笑わない猫。5 (MF文庫J) ペイルライダー (ガガガ文庫) 魔法少女育成計画 (このライトノベルがすごい! 文庫)
サクラダリセット7  BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫) 丘ルトロジック4 風景男のデカダンス (角川スニーカー文庫) 姫狐の召使い (富士見ファンタジア文庫) 幽霊伯爵の花嫁 (小学館ルルル文庫)


おまけ

そろそろなぜTRPGリプレイが世間から無視されているか
身にしみてきました。
内輪向けすぎる。
むしろこれだけ毎月刊行されているほうが
変に思えてくるくらい馴染みよう。

アリアンロッド・リプレイ・ブレイド(4) プリンセスショーダウン (富士見ドラゴン・ブック) アルシャードクロスオーバー リプレイ3 創世! 真ラグナロク!! (ファミ通文庫) ソード・ワールド2.0リプレイ魔法少女フェアリーフォース! (富士見ドラゴンブック)
ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・アカデミア(3) 戦え!  第三生徒会 (富士見ドラゴンブック) ソード・ワールド2.0リプレイSweets(4)  きらめき魔剣はあきらめない! (富士見ドラゴンブック) 聖戦士物語(3)  ソード・ワールド2.0リプレイ (富士見ドラゴンブック)

2012年に完結した作品でもこれだけ当りと思えるものがあるのだから
間違いなく面白いはずなのだけれど
大多数のひとからいないもの扱いされるのも、わかる。