シヴィライゼーション レボリューション


シヴィライゼーション レボリューション スタンダード - PS3 シヴィライゼーション レボリューション (「戦略ガイドブック」同梱) - Xbox360 シヴィライゼーション レボリューション (「戦略ガイドブック」同梱)

iPhone / iPod touch 版 https://itunes.apple.com/jp/app/civilization-revolution-japanese/id349323484


Civilization』シリーズはパソコン市場で現在5作目まで出ている
アメリカ産人気作品。
その名声はつとに高く
私も以前シリーズ中どれかは忘れたけれど買ったこともあるのですが
持っているノートパソコンでは動かなかったので放置されたのだった。
この『Civilization Revolution』はPC用として作られているそれを
家庭用ゲーム機向けにつくりかえたものらしい。
PC版と比べて省略されているところもあるけれど
なかなか良い感じである、という評判だったので
廉価版が出るのを長々待っていたのですが、いっこうに出ないので
仕方なく買ってきたのである。
そういうわけで発売から4年も経っているのですが
このサイトにはいつものこと。気にしない。




どういうゲームかというと
ナポレオン帝国とかモンゴル帝国とかアレクサンドロス帝国で
世界征服するゲーム。
コーエーの『信長の野望』『三国志』とかの全世界版。
ただ、『信長の野望』が1人用で、
つまり全国制覇できる全能感を楽しむゲームであるのに対し
シヴィライゼーション』は基本的に、
オンラインで対人対戦する用に作られているゲームであるところが
大いに違います。
ターン制なので当てはまらないけれど、遊ばれ方としては
リアルタイムストラテジー」というものと同じ。
歴史シミュレーションゲーム」とは別物です。


Civilization」は「文明」。「Revolution」は「革命」。
ナポレオンとかアレクサンドロスとなって世界征服するのでなく
「フランス文明」「ギリシャ文明」などの担当となって
紀元前何千年前の遥か古代からゲームは開始されます。
国民の数を増やし、文字、青銅鉄器、数学、宗教、政治学などを開発し
都市をつくり、お金を稼いで、軍事力を高め、
現代までに、自文明を世界の覇者にすると勝利。
戦争で他文明を叩き潰すだけでなく
19世紀にかけてのブリテン帝国や20世紀後半のアメリカ合衆国のように
文化、技術、財力いずれかの面で
他を圧倒する境地に立つことでも勝利できます。


「文明をどこよりも早く発展させて国力を高める競争」を
対人対戦コンピュータゲームとしてまとめるところは
さすがに有名長く多数に支持されているだけあって見事なもの。
国民を「人口増加」「技術開発」「生産施設製造」「資金稼ぎ」の
4つに振り分ける。
人口の頭数が多いほど多くのことを同時にできて効率上がる。
技術開発は即利益があるわけではないけれど長い目では絶対不可欠。
軍隊や製造効率を上げる施設の生産は人口と並ぶ国力の源泉であり
資金は軍事力と生産力に即時代替が可能な万能物資。
細かいことは実際ゲームをある程度遊んでみないとわかりづらいですが
「人口」「技術」「軍事力・生産力」「お金」の4つで
文明発展競争をとても上手く表現しています。


リアルタイム、自動で時間経過していくところへ
適宜即時に指示を出していくゲームではなく
ターン制で、都市ごとの作業割り当て、開発製造項目、
軍事ユニットへの行動指示などを出していくことで進行します。
初期は1ターン100年の速さで進みますが
古代から中世、中世から近世、現代へと近づくにつれて
1ターンが10年になり5年になり1年になりと、加速していきます。
とはいってもそのことは、あまり重要でない。
他の文明、プレイヤーより如何に早く先進技術を開発し
国力軍事力を高められるかが重要。
1900年までに戦車を開発して他勢力の騎兵をけちらしたりもできる。
紀元前にモンゴル騎兵が世界を駆け巡ることもできる。




だいたいそういう感じのゲームなのですが
特徴というか、この『シヴィライゼーション』の特異、
「面白い」ところがひとつ。
軍事部隊の強さは、戦車とか騎兵とかの種類、地形効果、
戦闘経験などの総和値で表されるのですが
これが絶対ではないのである。
戦力値が倍、いや3倍あっても負けたりするのである。
何ターン、何百年単位かけて育て上げた虎の子部隊が弱小敵に会って
あっさり戦場の露と消えたりする。


これはちょっとどころでなく驚きである。
戦力値13と12が戦ってだいたい互角、ならまだわかる。
戦力10に戦力30がぶつかって、30が消滅するのだから呆然とする。
信長の野望』だけでなく、他の戦争シミュレーションゲーム
いやRPGとかSRPGとかでもみたことのない処理。
なるほど確かに「現実」ではありえないことではない。
部隊を率いる「武将」「指揮官」の能力が
この文明指導者には見えていないの故だったりするのかもしれない。
しかし戦争競争ゲームにおいてはありえないのではないか、と
そういうつもりでいないと思ったりするのである。


他にもこの種のこととして、
即座に新技術を開発し終えて10ターン近くを稼いだり、
人口を直ちに150%増やしたりする効果などが
ランダムで入手できたりすることらは
歴史シミュレーションゲーム」でお目にかかれないもの。
新技術一番乗りボーナスや資金一定値到達ボーナスなども
効果は大なのですが、
勢力の別なく条件満たせば常に獲得出来るこれらと
同等の効果あるものがランダム入手であることは
全く異なるのである。


ターン制の対人対戦ゲームであるけれど
ターン単位何十手先をみ鎬を削る、将棋やチェスとは違う。
サイコロやルーレットの目、カードの引きなどの
運による触れ幅の間で最善を常に模索する種のゲーム。
モノポリー』とか『桃鉄』とか『カルドセプト』のような
ボードゲームと呼ばれる種の競争ゲームに近いもの。


信長の野望』は1人用の「日本の戦国時代眺めるゲーム」として
心地良いようにつくられています。
一方で対人対戦ゲームが競うことで楽しいのは
平等な立場から同等の試練を経て得る順位ではない。
例えば対戦格闘ゲームでは
通信ラグが一方へ不平等にあることは良くないが
同じ性能の自機同士で操作技術を競うものだけでは面白くない。
ある程度区切りの一勝負内において
参加者全員が納得できる範囲内であれば
戦場は多彩であり、保有戦力も多様であるほうが楽しいのである。
遊んでいても見ていても面白いのである。
初期条件は様々に有利不利すらあり
担当キャラクタや勢力には比較して長所短所生む個性があり
結果を生む過程も最善をつくしてなお運を天に任すくらいに
ゆらぎがあって遊びがあるほうが
対人対戦競技としては、楽しいかは程度によっても、面白いのだ。


シヴィライゼーション」にとって
人間の文明発展の歴史を模した「歴史シミュレーション」は
それを楽しむ主題でな舞台背景であり
「対人対戦ゲーム」の一回ごとを楽しむことのほうが優先される。
そこに運や偶然の要素が適当に手を伸ばすことはむしろ望まれる。
他のプレイヤーができることは、
全て自分もできるわけではないという差、違いが
競争の楽しさをつくるゲーム。
1人用歴史シミュレーション、1人用戦争シミュレーション、
1人用英雄体感ゲームとは、みため似ていてもまったく違う。
1人用モードで遊んでもきちんと遊べますが
楽しさの土台が違うのである。


同じ「鉄道会社経営ゲーム」でも
桃鉄』は対戦ゲームであり『A列車で行こう』は1人用。
信長の野望』は1人用だけれど『シヴィライゼーション』は対戦ゲーム。
運に左右される要素、初期状態での有利不利は
どれだけ許されるか、は
各ゲームごと様々だけれど
何度も遊ぶゲーム、遊び道具であるゲーム作品において
技術と知識と経験がそのまま勝敗に結びつかないことは
対ひととのものでは、必要とされることも確かなのである。




遊んでいてアメリカ産だな、と思うところもあります。
ゲームの処理でなく見た目の処理が優先されて固まったりします。
20年以上の歴史ある作品としては、なんともお粗末。
指示に必要とされる情報の提供も粗雑。
根本的にゲームとしてなっていない。
これが一部からすれば名作なのか、
ばかにされつつもコーエーは良くやっているんだなと
改めて見直す点が多々あります。


それでも確かに『シビライゼーション』は良く出来たゲームである。
ターン制対人対戦文明発展競争のコンピュータゲーム化という
着想の偉大さを、見失わずつなげている。
選んだ背景、人間の文明発展の歴史というのが壮大魅力充分であり
その「ゲーム化」として
「対人対戦ゲーム」として機能しつづけている点でたいしたもの。
その存在の大きさに納得。