ゲームは頭を使わない

・テレビゲームでは頭を使わないゲームの方が喜ばれます。

・たとえばパズルゲーム。
 主流は『テトリス』『ぷよぷよ』に代表される「落ちもの」。
 次に落ちてくる、配られるものを、自陣にどう配置するかが
 「落ちもの」のパズル要素ですが、
 頭は使いません。

・それは時間制限があるから。
 そのため、どこに配置するか考えるのではなく
 図形認識と、経験からくる咄嗟の判断によって勝負するジャンルとなっています。
 なぜかテレビゲームのパズルゲームには時間制限があります。
 『もじぴったん』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20040716)もそう。
 じっくり考えたいのに。

・なぜ時間制限が必要なのか。
 時間制限のあるクロスワード、ジグソーパズル、15パズル。
 考えてみれば、ゲームの組み立て方が根本的に変わってくる要素のようです。


・時間制限のないゲームもたくさんあります。
 RPGSRPGSLG
 リアルタイムストラテジーという日本ではあまりなじみのないジャンルは
 シミュレーションながら時間との戦いであり、
 正確で素早い操作が必要である、アクション的な要素も持っています。
 アクション、シューティングはプレイ中全てが時間制限との戦いです。


・パズルゲームに時間制限があるのは、そうしなければ果てしなく難しくなり
 一般性を失う、つまり遊んでもらえなくなるから。
 例えば倉庫番
 またカードゲームにその表れが見て取れます。

任天堂の『カードヒーロー』(ASIN:B00005OVBG)。
 公式サイト http://www.nintendo.co.jp/n02/dmg/ahhj/news/index.html

 素晴らしく良く出来たゲームです。
 実に完璧なゲームでプレイヤーは一切の文句を付ける余地がありません。

・しかし売れませんでした。
 難しかったからです。
 素晴らしく難しい。頭を本当に使わなければ、勝つことはできません。
 単純シンプルに纏め上げられたルール。
 それを完全に理解し、あらゆる局面に対応、応用できなければ勝てません。
 カードの特性を理解し、自分だけのデッキを組んでの対人戦にあっては
 そこにまさに無限の戦略が見て取れます。
 まさにテレビゲームの至宝。
 しかし、それについていくことは容易なことではないのです。

・『カルドセプト』(ASIN:B00009KAP7)SS、PS、DCもあり
 公式サイト http://www.culdcept.com/
 開発は大宮ソフトhttp://www.omiyasoft.com/)。
 カードゲームと、ボードゲームを独自のルールで融合させた作品。
 完成度は非常に高く、無数の対人戦に耐え得る内容。
 マイナーにとどまっているのは、ルールを理解しようとも思ってもらえないから。
 よりシンプルな『いただきストリート』、
 そしてなお単純な『桃鉄』シリーズほどには遊んでもらえません。



・なぜ頭を使うゲーム難しいゲームは一般性を得ないのか。
 それは、ゲームで頭を使いたくないから。


・パズルゲームでもじっくり時間を掛けて問題を解くのではなく
 アクション要素を組み合わせることで、
 よりわかりやすく、解きやすく、
 ミスを許容できる難易度の幅を持たせることができる。

・頭を使うようであるSLGRPGでも、
 ボタンの連打での爽快感が重要であり
 積み重ねが最終結果につながる、
 やはり難易度の幅のために作られたシステムとも見て取れるのです。


・そしてアドベンチャーゲームも同様です。
 アドベンチャーゲームとはプレイヤーが謎を解くゲーム。
 けれどプレイヤーは頭を使ってくれません。
 考えてくれません。
 確かに多くのアドベンチャーは考えてもわからない答えによって構成されている、
 製作者の勘違いを感じざるを得ないものですが
 そうでない良質な謎解きであっても
 はたして頭を使っているでしょうか。
 そしてプレイヤーに頭を使ってもらえるようなシステムのゲームが
 どれだけあるのでしょうか。


・テレビゲームは一部をのぞき頭を使わない。 
 頭を使うゲームを遊びたがらない。
 『カードヒーロー』で対戦せず
 『ポケモン』で延々レアものを探して交換するのと同様に
 推理するゲームでもそこで手を止めず、何も考えず
 ただ先を消化していくだけだとしたら
 それはとても勿体の無いことです。