未完成アクションRPG『Quest of D』


・『三国志大戦』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20051225)、
 『アイドルマスター』(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20060117)に続きまして
 近頃アーケードゲームを遊んでみた感想シリーズ第三弾は
 アーケードであるのにRPGであるセガ2研の『Quest of D(クエストオブディー)』。
 略して『QOD』でございます。
 ちなみに『三国志大戦』は1研、『WCCF』『アヴァロンの鍵』は3研。


・「Dの探求」、つまり「ドラゴンの探求」、
 そう「ドラゴンクエスト」ではないかセガのパクリめ。
 とか言わないように。ファンタジー話の種など所詮輸入物限られたもの。
 魔道書「D」の探求なのですよ、神秘の象徴「ドラゴン」のDではありません
 という建前を素直に聞くべし。


・『QOD』は最近のゲームというには少し違います。
 稼動開始は'04年9月。1年半前です。けれど今も人気商品。
 昨年末のver.2へ変更以来、『三国志大戦』同様常に人垣張り付いています。
 ただ、既に1年半の差が必然としてあり今更初心者には入りづらいゲーム。
 オンライン協力プレイできるまでの壁も相当に高い。
 その辺りをへたれなゲーマー視点変更ボタン押して見ていきたいと思います。



 公式サイトhttp://www.questofd.com/
 2chまとめサイトQuest of D 取扱説明書 Ver2.01」http://www.geocities.jp/qodtenpl/index2.html



・用意されたダンジョンをオンライン協力プレイでクリアするゲーム。
 1ダンジョンで1プレイ\200。敵にやられてのリトライその場体力全快復活\100。
 「不思議のダンジョン」の空腹度のように「エネルギー」が減っていく時間制限内で
 ダンジョン最深部のボスを倒すゲーム。


・ただしアーケードゲームです。腕の差で差が付かなければアーケードゲームではない。
 よってアクションRPG
 1レバー4ボタンと、見た目ガチガチのアクションゲーム筐体。
 ただ、どんな時も時間制限付きでテキパキ進めなければならないアーケードにおいて
 レバーとボタン操作でRPG遊ぶのは中々窮屈、
 アイテム選択するにもレバーガチャガチャ繰り返すは面倒でありますから
 タッチパネルも併用します。

・レバーでキャラクターをガチャガチャ操りつつ画面をタッチして
 魔法を使ったりアイテム拾ったりダンジョンの仕掛けを起動させたり。
 ドラッグ&ドロップもできて、なかなか良く見事。

・斬新です。慣れない内は手元見たり画面見たり分け判らず大混乱ですが
 ベテランの機敏なアクションを見ているとRPGとは思えないと感動。
 RPGではあるけれど、操作アクションこそがまず第一に重要なゲームです。


・レバーボタン操作体系も独特です。
 「アタック」「ガード」「ビューチェンジ」「ユーズ」の4種類。 
 最初の「アタック」「ガード」はそのままです。
 「アタック」で攻撃。武器を振り回します。「ガード」で防御。盾を構えます。
 「ユーズ」は決定ボタン。選択したアイテムを使用。
 ただパネルをダブルクリックならぬダブルタッチすることでも
 使用決定行動は代用できるのであまり使わない。

・そして「ビューチェンジ」。視点変更ボタン。
 いわゆる3Dゲームにおけるカメラリセット。
 押すと視点がプレイヤーキャラクターの後ろに来ます。
 重要なのは、カメラ位置変更がこのボタンでしか出来ないということ。
 レバーでキャラクターを歩き回らせても、カメラは的確に付いてきてくれません。
 LRボタンでぐるり見渡すことも出来ないし、3Dスティックも付いていない。

・ダンジョンに潜っていきます。壁にさえぎられて視界は悪い。
 曲がり角の隅に敵モンスターが潜んでいて襲いかかってくるし
 火炎放射だの鉄球振り子だの針床飛び出しなどのトラップも沢山。
 それを時間制限の中で的確にダメージ追わないよう処理していくアクション。
 その際必要なのが的確な視点変更。

・わざとです。
 視点補正がされず、プレイヤー自身が適宜臨機応変視点を切り替え
 ダンジョンの奥に暗がりを見透かして進んでいくゲーム。
 やはり、操作技術がどれだけ奥まで進めるかを決めるアクションゲームであるのです。



・雑魚敵との戦いはこれらのレバーボタン操作の使い分けが全て。
 ダッシュ攻撃やボタン同時押しの強攻撃や全包囲攻撃、これらを使いわけて
 各個撃破していくことで確実に倒せます。

・そして体力を損ねないようダンジョン最深部にたどり着くとボスが待っております。
 ここがRPG
 強くなっていないと倒せません。


・まず、レベルはダンジョンごと。
 1プレイ1ダンジョンですからつまり、1プレイごとレベル1からです。
 あとは装備アイテムと所持アイテムと所持スキル。
 ダンジョンで拾ったアイテム、
 それを売ったお金で1プレイ前後に入れるショップで買えるアイテム。
 それらの蓄積。
 1プレイごと払いだされるカードによるアイテム、スキル、味方魔物召還。 
 これらの組み合わせ。
 それがRPGたるアクション要素、プレイヤーの腕に関係しない、蓄積される「強さ」です。


・カードで得られるスキルは、魔法であるとか、
 例えば剣を振る新アクションなどもあります。
 隙がなく素早く攻撃できるアクションスキル。
 ボス敵の防御力を突き抜ける攻撃力、それを効率よく叩き込むアクション、
 そういったクリアするのに必要不可欠な要素にも
 プレイヤー技術でなくRPG的「蓄積」が強く介在する。
 下手でも手間と時間とお金をかければクリアできる。RPG的。
 アーケードゲームであるのにRPGです。
 まったくもって変なゲームだ。



・1人プレイシナリオモードで操作技術を身に付けつつ
 装備アイテムやカードアイテムを揃える。
 そうしてある程度慣れた所でオンライン協力モードに打って出る、わけですが
 これが相当につらい仕組み。


・『三国志大戦』や『アイドルマスター』は良いのです。初心者でも問題ない。
 対戦です。
 負けても損するのは自分だけ。相手は喜ぶだけ。
 悔しいですが負ける理由も明確。悪い言い方ですが、負けても諦めがつきます。


・協力プレイはそうはいかない。
 しかもオンラインリアルタイム、時間制限付きアーケードアクションゲームです。
 少しミスしただけで心臓に悪い。足を引っ張って胃に悪い。
 ついには自分のせいでボスに返り討ちされて立つ瀬がない。
 ボイスチャットでも付いていれば罵詈雑言飛んで来るところですが
 簡易定型文やアイコン組み合わせです。
 申し訳ない感じのマークが私を見つめております。
 これはこれはすこしすこしすこしばかり、きついきついゲームでございます。
 負けても諦めが付くより悪い。邪魔したくなくなります。



・『アイドルマスター』の時も書きました。(http://d.hatena.ne.jp/kodamatsukimi/20060117#p2
 アーケードゲームは、技術と蓄積と運のバランスが良くなければならない。
 プレイヤーの技術が有るほどより良い結果が残せなければならないし
 そのゲームを遊んでいる量に対して結果し易い方が呼び続けられるし
 時には機会の偶然による高不調の波も今日の敗戦の理由に必要である。


・優れたゲームはこれらのバランスが良い。
 上手いだけでは勝てないし練習を積めば勝てるわけではないしその場の運にも限りある。
 ただ、プレイヤーデータ記録カードゲームでは
 ここでの「蓄積」の意味が特に問われます。
 遊ぶごとに操作に慣れて、上手くなる。
 遊ぶごとに展開を覚えて、上手くなる。
 それだけでなく、遊んだ結果、積み上げた経験が
 実際にカードアイテムとして可視化される。
 その活用もまた問われる。
 

・『WCCF』も『アヴァロンの鍵』も『三国志大戦』も、それぞれに工夫されています。
 『QOD』も深い。
 けれど可視化されるだけに、無理もまた多々生じます。
 そしてけれど、アーケードはバージョンアップでバランスを取っていける。
 だからこそ現状なんとか成り立つ仕組み。


・それがカードアイテム蓄積アクションRPGQuest of D』の現状です。 
 斬新。けれど完成はまだ、されていません。 
 最期のダンジョンをクリアしてエンディングは見れても終わっていないゲーム。
 対戦ツールでなく協力して冒険する場なのです。
 アーケードにも、未完成ゲームはありました。