忍之閻魔帳「廉価版と値崩れはどこが違うのか」

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・ゲームの流通の問題。
 メーカーの立場、流通販売の立場、ユーザーの立場、
 さらには中古販売や製作者に対する適正対価の問題までからみ
 コメント欄も含めてこんがらがりの論争となっています。


・まとめると「完全版商法」と「廉価版を出す時期」の2点。

・「完全版商法」は、新品ソフトが発売されたあと数ヶ月程度たって
 バグを潰したもの、さらにおまけ要素がついた
 「完全版」とも言うべきものが発売されることに対する異議。
 「ディレクターズカット」「インターナショナル」などの名前がつくもの。
 「パワプロ」などスポーツゲームの「開幕版」などはちょっと違いましょう。

・「廉価版」は上にも重なりますが、メーカーが市場価格、主に中古市場ですが
 その調整をにらんで自己利益とするために
 やはり発売数ヵ月後に定価を下げたものを発売すること。
 中身は全く同じものだったり、「完全版」であったりいろいろですが
 大きなバグは直されているかもしれません。


・この2つのどこが問題なのかと言うと
 それぞれに同時に、得するひと損するひとがいるからです。
 だから議論になります。
 皆得するなら文句が出ようがないし
 全てのひとが損するようなまずいやりかたはさすがにメーカーも採らないでしょうし
 一部のひとが損するだけなら、大多数は相手にしないのでやはり立ち消えます。


・「完全版」は発売日に買ったものは未完成品だったのか、という不満。
 「完全版」が出るのを待っていたひとは
 より高品質のものが、同じかあるいは安く手に入るのですから、当然お得。

・「廉価版」はやはり発売日に定価近くの高額を出したのに
 数ヶ月で同じものが何千円も安くなってしまう、自己資本減少への不満。
 「廉価版」待ち組は、同じものならば当然安いほうが良い。

・ならば発売日に買う必要などないではないか、と思いますけれども
 「完全版」は発売されるとは限らないし
 「廉価版」はいつでるか、あるいはどれくらいでどれだけ市場価格が下がるかの判断は
 その道プロでも難しい。
 同じゲームを同じような値段で遊ぶなら、それは早く遊べるほうが良いわけです。


・いろいろな見方考え方がありますが
 単純に、遊ぶひとの立場からみてみましょう。
 販売流通問題ですから、ゲーム自体の面白さ、という質の違いは考えません。


・まずその1。
 この際、ゲームは工業製品と考えます。
 求められるのは品質、価格、納期。
 Quality、Cost、Delivery、QCDというやつ。

・できるだけ高品質、等品質で
 できるだけ安く
 いつでもどこでもできるだけ早く手に入ること。
 これが消費者が求める販売流通に関する商品価値。

・ここでの高品質とは、おまけ要素が完備され、バグがないこと。
 等品質は、究極的には発売日購入品も中古品もまったく同じものであること。


・少し考えればお分かりでしょうけれども、当然すべてを兼ね備えるのは反理です。

・品質。これはデジタル商品ゆえにかなり等質。
 けれど中古は当然劣化、
 かといって時間とともに必ずしも劣化せず「完全版」あるいは「廉価版」でも上下します。
 必ずしも上がるわけでもないところが微妙。
 廉価版パッケージ変更が寄して与するところ。
 高品質ほど中古市場価格は上がります。

・価格。ごく一部のプレミアム化するものをのぞいて時間とともに下がります。
 発売日が一番高く、後になるほど安くなる。
 細かいことを言えばいろいろありますが大雑把にそう考えます。

・納期。発売日に、どこでも、確実に入手できること。
 さらに、発売から何年、何十年たっても容易に入手できること。
 後者は眼をつぶるとしても、前者も難しいところ。
 これもいろいろありますが、単純に考えましょう。品質価格には無関係。


・その2。
 ゲームは娯楽の道具である。
 求められるのは、誰よりも早く、できるだけ早くより良く自分が楽しめること。
 さらにそれを満足した上で、より安く容易に入手できて、より高品質であること。


・さて1、2を満たしてもっとも優れている条件はどうなるでしょう。

・より高品質でより安いものを求めるならば
 「完全版」「廉価版」を否定するのは間違っています。

・対するは絶対価値、より早く遊びたい。
 これゆえに、高くてもバグがあるかもしれなくとも発売日に購入するのです。
 時間が経てば安くなる。時間が経てば質が上がるかもしれない。

・しかしそれは購入時にわかっているはず。いつかはわからなくとも。
 わかっていない、知らなかった、考えなかった、は理由にならない。
 なぜなら情報入手機会はすべて遊ぶひとに機会均等平等だからです。


・ゲームの価値は時間とともに基本的に減少する。
 「完全版」「廉価版」により一時的に上下する。
 それが事実。いつ買うかは
 品質と値段と、ゲームの面白さとの兼ね合いをそのひとの価値観が決めるもの。