「ゲーム批評 vol.55」  

kodamatsukimi2004-02-05


   (株)マイクロマガジン社 2月3日発売 ¥780

 公式サイト http://www.microgroup.co.jp/game/
 
・今回の特集は「シリーズゲームの盛衰」「クリエイター再編」。
 ほぼ同じ事を扱っているのでまとめて扱います。


・まずはこちら。

 マルガの湖畔      http://homepage3.nifty.com/TAKU64/rank2003.htm
 ZOOCA’S PAGE http://zoocar.cool.ne.jp/data/rank03.htm

 ゲームの売上データーを記録している両サイトさんの
 2003年のゲーム売り上げランク。
 
・見ていただけるとお分かりのように
 続編もの、2とか3、X-2などが並んでいます。

・なぜシリーズものばかりが売れるのか。
 今回の特集では9つのシリーズを
 「成長」「安定」「衰退」に分けて分析しています。


1.「ウイニングイレブン」(成長) 
 野球の「パワプロ」と並び、アンチコナミをも認めさせる、
 サッカーゲームの定番シリーズ。
 ゲームは「ウイイレ」しかやらない、
 という声も聞くほど支持されています。
 今回インターナショナル版が出ますが
 verUP版を出すなら最初からそういえば反感買わないのに。
 パワプロは何も言われないわけですし。

2.「サモンナイト」(成長)
 PSでの1、2、そして昨年の3と
 1作ごとに売り上げを倍増。
 開発は「ブラックマトリックス」なども手がける
 フライトプランhttp://www.flight-plan.co.jp/)。
 日本一ソフトウェアの「マール」「ディスガイア
 「ファントムブレイブ」や、「東京魔人学園」などと同じく
 アクションとかは苦手だけど、これならできそう、
 というSRPG好きの期待に答えています。
 電撃プレイステーション派とでも言うべきか。
 ちなみにGBAの「サモンナイトクラフトソード」もよい出来。
 SRPGだけじゃないのですねフライトプラン。やるな。

3.「ポケットモンスター」(安定)
 ’96年の一作目から今年のファイア、グリーンまで他を圧する売り上げ。
 マニア層がいかに無視しても、この事実は変わりません。
 マニアが否定するのは代わり映えのなさ、一緒に遊ぶ仲間がいないから。
 一人で遊んでも面白くないゲーム。

4.「スーパーロボット大戦」(安定)
 駄目ゲームの代名詞「バンダイキャラゲー」、の中にありながら
 SFC以来連綿と続くシリーズ。
 買う人は買う、興味ない人はまったく無視。
 読み込み時間が最大の問題。
 難易度は低いほうですが
 ボリュームありすぎで最後までたどり着けないです。

5.「ワイルドアームス」(安定)
 1作目は、地味ながらもPSを代表するRPGのひとつ。
 2、3作目は出来は悪くないながらも、1位にはなれないイメージ。
 可もなく不可もない普通のRPG。
 昨年末、競合作が少ない、良い条件で1のリメイクが発売されたものの
 やはりブレイクならず。
 地味だからでしょうか。

6.「サクラ大戦」(安定)
 セガのギャルゲー。
 しかし、この「ギャル」ゲーという言い方は何とかならないものでしょうか。
 「ギャル」ですよ。
 「ギャルゲー」でありながら飽きられることなく息が長い。
 固定ファンを満足させる、そのやりすぎな程のつくり込みゆえか。
 セガハードがなくなって
 サターン時代以上に売れるのか、それとも並みの作品となるのか。

7.「みんなのゴルフ」(安定)
 PS以来4作つづけて100万本クラスの売り上げを誇るSCEの安定株。
 ゴルフという地味な題材ながら、この実績。
 完成度の高さが光ります。
 SCEでは「グランツーリスモ」と並ぶ例外的作品。

8.「バイオハザード」(衰退)
 PSの1,2は100万、200万クラスの売り上げを持ちながら
 ここ数年迷走。
 映画化もされ、ブランド力は依然ありますが
 ゲーム性自体が古くなってしまったのか
 ホラーなのに怖さを感じない。
 アウトブレイクはオンラインならではの面白さがあるのですが。
 4はどうなるでしょうか。

9.「ときめきメモリアル」(衰退)
 ’94年、PCエンジンで発売され
 家庭用ゲーム機での「ギャルゲー」というジャンルを作り出した1作目。
 しかし2作目以降期待を裏切り続け、凋落は明らか。
 はたして4はあるのでしょうか。
 むしろ「ガールズサイド」の方が生き残るかもしれません。


・成長、安定、衰退の分類例として適当なのか
 疑問があるシリーズもあります。
 そうして考えてみると、ゲームにシリーズもののなんと多いことか。


・シリーズものの特徴は「変わらないこと」。

・まったく違っていてはいけない。
 変わらなければマンネリ、飽きられる。

・シリーズのファンが望むように「面白さ」を維持しつつ
 新規ファンを取り込めるように新しくする。
 また、変化しないがために、新規ファンが安心して途中から入ってこれる。


・シリーズものばかりになるのは冒険をしたくないメーカー側と
 安心のブランドを求めるユーザー双方が作り出しているもの。

・変えずに質を維持、向上させていけば生き残る。
 
・変えても前作以上に面白ければ評価される、
 ならばメーカーも安心ですが
 実情必ずしもそうとはいかず。



・特集その2はゲームクリエイター
 
・なぜ最近名のあるクリエイターがでないのか、と分析していますが
 そもそも「ゲームクリエイター」と名乗れるひとはどれだけいるのか。
 雑誌で紹介されているのは、そう名乗る広報担当者なのでは。
 実際のところはわかりませんが。
 
・もちろん宮本茂さんや、たとえば業界の首領、山内博任天堂前社長、
 故・横井軍平さんなどは
 まさに「ゲームのクリエイター」なのでしょうけれども。
 

 なお、任天堂の代表者氏名が一般に知られている
 「山内 溥」でなく「山内 博」となっているが、
 これは山内氏の戸籍上の本名で誤植ではない。
 「山内 溥」の名は山内氏本人が通称として使用しているものである。
    http://kyoto.cool.ne.jp/tssaiban/source.html より 

( ・∀・)つ〃∩ へぇー )

 
・STG「ボーダーダウン」で名を売った
 グレフhttp://www.grev.co.jp/)代表丸山博幸氏が
編集部の「ゲーム業界についてどう思うか」との問いに
 以下引用のように述べています。

  開発の立場の人間としては業界云々を語る前に
  ちゃんとしたゲームを作れよと、それに尽きると思いますね。
  強いて言うなら業界人だけでなくユーザーまでもがランキング至上主義に
  陥っているじゃないですか。
  売り上げの数字よりも、中身を見る時代になって欲しいですね。
  ゲームの面白さで評価されるのは難しいことだと思いますが。

 そしてそのページ下の欄外の読者の声より。

  おもしろいものを作ってくれればそれでいいんですが。
  いちユーザーとしては。


・面白いだけでは売れない。面白いゲームが遊びたい。
 「なぜ面白いのに売れないのか」
 「面白いゲームってどんなもの」


・「売れている」ことを理由に、友人にそのゲームを薦められるか。
 違います。
 売れていることは、そのソフトの質とイコールではないし
 嗜好品なので、映画、音楽、小説等と同様に、人により好みがある。
 

・面白いゲームとはなんなのか。
 シリーズの伝統を違えてでも、クリエーターが作り上げた、
 面白いゲーム、をユーザーは評価できているのか。
 

・何を基準に面白いものを選び出したらよいのか。 
 自分の中にしか、自分にとって正しい価値観はない。
 自らの判断で、様々な意見を参考にし、自らそのソフトを遊んでみるしかない。
 ゲームというものは自分で遊ばなければ、その価値が定められないのです。


・だからこそ、面白いだけではゲームは売れない。
 ユーザーは、面白いものは面白いと
 周りの意見にまどわさされずに判断しなければならない。
 メーカーは面白いものを作り、さらにそれを知ってもらわなければならない。
 大変です。



・しかし、これは特にゲームに限った話ではありません。
 世の中そんなもの。
 ゲームもようやく世間並みの「産業」になってきたということでしょう。
 そして、各ソフトの質も、常に向上しています。
 ユーザーとしてはいいこと。
 ゲーマーとしてはただ、駄目なゲームのメーカーは見捨て
 面白いゲームにはお布施する。

・面白いゲーム、たしかに自分にぴったりくるゲームは多くはないですが
 ゲーマーをやめるほどには
 ひどい状況ではないと思います。