著者;あさりよしとお
学習研究社 ノーラコミックスデラックス
8月3日発売 ¥820 ISBN:4056036136
・小学5年と6年の科学に連載されている科学マンガをまとめたもの。
’88年から現在に至るまで連載。
読者は常に入れ替わっているわけですが、内容は常に新しいもの。
その時点での最新「科学」をわかりやすく紹介。
・この手の、専門家でない読者を対象にした科学に関するテキスト、
意外に少ないものです。
日経サイエンス(http://www.nikkei-science.com/)は専門的過ぎるし
ニュートン(http://www.newtonpress.co.jp/)は値段のわりに内容が薄い。
新聞のサイエンス欄などが適当。
・本屋のサイエンスの棚に並んでいるのは
重厚な専門書と疑似科学、いわゆるトンデモ本ばかり。
門外漢にもわかりやすく、手軽によめて
もちろん正しい内容の科学の本。
その一つとして安心して読めるのがこの「まんがサイエンス」。
・小学生向け雑誌の連載作品ながら、常にきちんと取材を行い
現在の最先端の科学を、まさに小学生にもわかるように
わかりやすく、それでいて浅くなることなく解説してくれます。
・ただ注意したいのは、巻数の初めのほう、
昔の内容に現在からみれば間違っている点もあります。
連載開始から十数年。科学は常に進歩し続けているのです。
・この9巻、「からだ 再発見」に収められているのは
「背をのばす方法」「毒はどうして毒なのか」「脂肪のやくわり」
「カゼってなに」「デジカメと目はどちらが優秀か」「不老不死」
などなど。
・身近なところにある科学。
純粋に楽しめる、そして役にも立ってしまう。
唯一無二の面白い学習マンガ。それが「まんがサイエンス」なのです。
・著者、あさりよしとお(浅利義遠)さんは、わりにマニア向けのマンガを書く方。
代表作は「宇宙家族カールビンソン」。
他に「ワッハマン」「細腕三畳紀」「るくるく」など。
・「カールビンソン」はアメリカのSFホームドラマ「宇宙家族ロビンソン」
(参考 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0001EQJVE/250-0869723-4561842)
のもじり。
シュールかつシニカルでサイエンスなフィクションのマニアックホームコメディドラマ。
作者が好きなように書いている、代表作にふさわしい作品。
元祖、徳間書店キャプテンコミックス版、講談社アフタヌーンコミックス版の3種があります。
・あさりさんの趣味嗜好はSFよりであることは、どの作品を見ても伺えます。
SFはサイエンスフィクション。
科学的な嘘です。
・嘘と間違いは違います。著者がわかっているか、勘違いしているか、知らないか。
SFは科学的に正しく嘘をつかねばなない。
・SFマンガ、
裏「まんがサイエンス」ともいうべきSF(サイエンスなフィクション)マンガも
あさりさんは書いています。
・それが「HAL(はいばああかでみっくらぼ)」。
1巻 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847033744/qid=1091972230/sr=1-6/ref=sr_1_10_6/250-0869723-4561842
2巻 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4847034252/qid=1091972335/sr=1-71/ref=sr_1_2_71/250-0869723-4561842
このマンガのコンセプトは「この本には一部真実が含まれています」。
つまりフィクションです、と断っているわけですが
一部どころかかなりの部分が真実。
・「ドップラー効果による赤方偏移」や「シュレディンガーの猫」など
「まんがサイエンス」よりも難解で大人向け。
シュールでシニカルに科学について解説するサイエンスコメディ。
原子力に関する日本の「安全神話」として
東海村のウラン加工施設臨界事故について語られる回などは
まさにSFのブラックユーモアに満ちた内容。
・どの部分が真実で、どの部分が嘘なのかは書かれておらず
読者の科学的教養が試されてしまいます。
「まんがサイエンス」を楽しんだサイエンスファンならば必読のSF本。
・純粋に楽しめて、読者の知識まで試されてしまう作品。
正しい科学まんがと、正しいSFマンガ。
あさりよしとおこそ、正しいSFマンガ家であるといえるでしょう。
・というわけでこのサイトらしく紋切り型に言い切ってみました。
・基本的にあさりさんのマンガはユーモアマンガなのですが
「なつのロケット」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4592132793/qid=1091972230/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/250-0869723-4561842
は例外的に真面目な作品。
ロケットへの熱意が伝わってくるいい作品です。
・それから学研のサイト、学研サイエンスキッズ(http://kids.gakken.co.jp/kagaku/index.html)
の中に、毎日変わるサイエンスクイズがあります。
まんがサイエンスクイズラリー http://kids.gakken.co.jp/campus/science/
何気に難しい。小学生はこんなに高度なことをやっているのでしょうか。
大学生よりも優秀です。
・他のSFマンガとしては、「2001夜物語」の星野之宣さんの諸作品や
鶴田謙二さんの「 The Spirit of Wonder」などもお勧めです。
・また機会があればそのうちに。